為替の話・トレンドを掴め!・・・(木村佳子)
11月24日~30日までの為替見通し2011年11月24日
ドイツ国債の入札が不調です。アメリカも財政赤字削減に関して超党派の話し合いが決裂。
ニューヨークダウ工業株30種平均は大幅続落し、世界的にまったくいい話のないまま12月を迎えることになりそうです。
そんな中、オバマ大統領は恒例の七面鳥への恩赦を実施。
クリスマスに料理に出される七面鳥のうち一羽に恩赦を与えるという行事です。
七面鳥といえば、「ブラックスワン」というベストセラー本に「七面鳥は人間のクリスマスにいきなり首を落とされることなど全く知らない」と揶揄しました。
世界のどこかでいつのまにか新手の金融商品が誕生し、リスクを醸成していることを知らない人間になぞらえて、現代社会に生きる人間の危うさを警告しました。
そのリスクで今、いやおうなく意識せざるを得ないのが、米国債の格下げ問題です。ムーディーズなどの格付け機関はアメリカの財政赤字削減幅が中途半端に終わる場合、米国債の格下げになる可能性があるとコメントしています。
今回のアメリカの財政赤字削減幅の交渉不調はオバマ大統領にとって支持率低下(ということは再選に悪影響)を招いているだけに、オバマ大統領の今後の対応に注目したいと思います。
財政赤字削減が不調に終わる場合、為替、株価に大きな影響が及ぶこともさることながら、日本にとっても大きな問題が持ち上がる可能性を考えずにはいられません。
たとえば、先般、オバマ大統領はオーストラリアにおいて、アジア太平洋地域を軍事上の重要地域にするとの演説をし、防衛力をつける中国に対するけん制とも受け取れる演説をしたうえ、オーストラリアに海軍を駐留させるとの意見を表明しました。
これは日本の基地・普天間問題とセットで考えるべき内容ではないかと思います。
もし、アメリカがオーストラリアに防衛拠点を置くので、日本は自前で自国の防衛をしてくださいという意味合いをメッセージとして発信しているのであれば、アメリカと同じように財政問題を抱える日本にとって、財政収支バランスを大きく揺るがす事態に発展しかねない事柄です。
アメリカ大統領選挙が控える来年は中国共産党トップの任期満了、翌年は中国首相の任期満了、ロシア大統領選挙など世界のトップが入れ替わる時期です。
パワーバランスの変化は為替変動に直結します。
これからの展開は投資家にとっても重要で、クリスマスは外国人にとっての日本の正月のようなもの。
その前に出てくる事象とクリスマス明けから始まる新年体制の欧米の動向を、よく、注視しておきましょう。
さて、今週もテクニカル中心に各通貨を見ていきたいと思います。
★ドル円
ドルは横ばいトレンドが続いており、大きくブレイクする印象は今のところありません。76.63~77.42あたり。
★ユーロ円
101.09~102.84あたりのレンジを想定。現在103円すれすれですがやや安値方向を見ています。
★豪ドル円
この通貨ならではの振れ幅の大きな状態に差し掛かってきたように思います。
買いたい弱気を言えば72.56あたり。
しかし、その目先の買いたい水準は誰しもが仕込んでみたいと手を伸ばす水準ともいえるので、余裕があるなら73.50あたりを狙いたいと思います。
現状75円台ですから、突っ込みがあれば買うというスタンスです。