首相がやったらみっともないが…サラリーマンこそ玉虫色発言で逃げろ逃げろ!
(日刊ゲンダイ)
野田首相はそれで支持率を下げているが、サラリーマンこそ玉虫色発言でうまく逃げなきゃいけない場面に、まま出くわす。
逃げ口上を知らなきゃ、自滅する。
「この件は一度持ち帰って上司と検討し、追って回答します」
中年サラリーマンだったら100回以上は言った、言われたことがあるはずだ。
イエスでもノーでもない。
なかなかさせてくれない女の「真剣に考えたいから、ちょっと待ってほしいの」と同じだろう。
もっとも、野田首相は玉虫色発言ばかりだ。
「~の方向で」「参加表明ではなく、参加方針」「それ以上でもそれ以下でもない」……。
だから、TPPをめぐる日米首脳会談の両政府の発表に食い違いが生じたりする。
言った、言わないの夫婦ゲンカみたいなことになる。
最高責任者の逃げ口上はみっともないが、大した権限もないのに責任ばかり押しつけられるサラリーマンは逃げていい。
政治家や官僚お得意の、責任逃れ発言をどんどんまねても許される。
元経産官僚で政策工房社長の原英史氏が言う。
「国会答弁や総理演説が分かりにくいのは、言質を取られて、身動きが取れなくなることを回避するための防御策です。
財務、国交、総務、経産、農水といった、比較的ドメスティックな省庁が長(た)けている傾向があるものの、いずれも“職場内訓練”で培われます」
例えば、「前向きに検討します」なんて、政治家や官僚発言の典型だ。
「やります」とも、「やりません」とも言っていない。
これは誰でも知っているだろう。
しかし、だ。この次の逃げ口上を知らなきゃ、二流のサラリーマンで終わる。
しばらく時間が経って、先方から「どうなった?」と聞かれたら?
官僚なら、たぶんこう答える。
「審議会を設け、鋭意検討を進めております」
ものすご~く前向きな印象を受けるが、検討を進めているだけで、やるのかやらないのか分からない。
ここで要注意なのが、明確な目標設定を回避すること。
「徹底的にやります」
「最大限やります」
「あらゆる手を尽くします」
すばらしい! 誰でもすごいことをやってくれそうな気になる。
「予算削減など、具体的な数字を示せない時に、そう言うことが多い。
結果として〈鋭意検討しましたし、徹底的にやりましたが、1円でした〉でも、うそにはなりませんからね」(原氏=前出)
そういえば、野田首相も所信表明演説で「あらゆる政策手段を講じる」「あらん限りの税外収入をかき集める」とか言っていた。
でも、まだ足りない。完璧を期すためには、例外の存在をにおわす。
前出の「~の方向で」に加え、「基本的には」と「原則」を使いこなせるようになったら、もう一流だ。
万が一、アテが外れても、うそにはならない。
◆水かけ論になったら逆ギレだ
クレーマーには、ルールを盾にできる。
「弊社は多数の株主さまのいる上場企業で、経営責任もあります。
根拠のないお支払いはできませんね」なんて感じだ。
「顧問弁護士が、法的に問題だと言っているんですよ」と、専門家に責任転嫁する手もある。
ある大手メーカーの顧問弁護士が言う。
「話をすり替えて逃げるように勧めることもあります。
〈今おっしゃったのは○○の話ですよね。私が申し上げているのは△△の場合の話です〉という具合。
それでも水かけ論になったら、〈その言い方は失礼でしょう〉と逆ギレしてみせたり、〈何を根拠におっしゃってるんですか。証明してください〉と逆質問するのも、矛先を鈍らせる効果があります」
面倒な相手に誘われた時、「嫁が最近帰りが遅いと怒っているので、今日は失礼します」と言ったとしても、今は許される。
ライフ・ワーク・バランスの時代だもの。
このように逃げ口上にもいろいろあるが、危機管理コンサルタントの田中辰巳氏(リスク・ヘッジ代表)は、「企業の経営陣が謝罪する際によくある間違いがあります」とこう言う。
「〈世間をお騒がせし、誠に遺憾〉〈私は知らなかった〉などとあいまいに済ませるケースです。
これは逆に尾を引き、相手を怒らせるだけ。
謝罪の場はまさに千載一遇のチャンス。
感知、解析、解毒、再生の4つの心得が肝要で、それぞれを明確に示さないと、誤解を招きかねません」
ましてや相手が外国人となれば、あいまいな日本語表現は通じない。
というか、アナタが責任ある立場なら、逃げ口上は通じない。
政治家じゃないんだから。
(日刊ゲンダイ)
野田首相はそれで支持率を下げているが、サラリーマンこそ玉虫色発言でうまく逃げなきゃいけない場面に、まま出くわす。
逃げ口上を知らなきゃ、自滅する。
「この件は一度持ち帰って上司と検討し、追って回答します」
中年サラリーマンだったら100回以上は言った、言われたことがあるはずだ。
イエスでもノーでもない。
なかなかさせてくれない女の「真剣に考えたいから、ちょっと待ってほしいの」と同じだろう。
もっとも、野田首相は玉虫色発言ばかりだ。
「~の方向で」「参加表明ではなく、参加方針」「それ以上でもそれ以下でもない」……。
だから、TPPをめぐる日米首脳会談の両政府の発表に食い違いが生じたりする。
言った、言わないの夫婦ゲンカみたいなことになる。
最高責任者の逃げ口上はみっともないが、大した権限もないのに責任ばかり押しつけられるサラリーマンは逃げていい。
政治家や官僚お得意の、責任逃れ発言をどんどんまねても許される。
元経産官僚で政策工房社長の原英史氏が言う。
「国会答弁や総理演説が分かりにくいのは、言質を取られて、身動きが取れなくなることを回避するための防御策です。
財務、国交、総務、経産、農水といった、比較的ドメスティックな省庁が長(た)けている傾向があるものの、いずれも“職場内訓練”で培われます」
例えば、「前向きに検討します」なんて、政治家や官僚発言の典型だ。
「やります」とも、「やりません」とも言っていない。
これは誰でも知っているだろう。
しかし、だ。この次の逃げ口上を知らなきゃ、二流のサラリーマンで終わる。
しばらく時間が経って、先方から「どうなった?」と聞かれたら?
官僚なら、たぶんこう答える。
「審議会を設け、鋭意検討を進めております」
ものすご~く前向きな印象を受けるが、検討を進めているだけで、やるのかやらないのか分からない。
ここで要注意なのが、明確な目標設定を回避すること。
「徹底的にやります」
「最大限やります」
「あらゆる手を尽くします」
すばらしい! 誰でもすごいことをやってくれそうな気になる。
「予算削減など、具体的な数字を示せない時に、そう言うことが多い。
結果として〈鋭意検討しましたし、徹底的にやりましたが、1円でした〉でも、うそにはなりませんからね」(原氏=前出)
そういえば、野田首相も所信表明演説で「あらゆる政策手段を講じる」「あらん限りの税外収入をかき集める」とか言っていた。
でも、まだ足りない。完璧を期すためには、例外の存在をにおわす。
前出の「~の方向で」に加え、「基本的には」と「原則」を使いこなせるようになったら、もう一流だ。
万が一、アテが外れても、うそにはならない。
◆水かけ論になったら逆ギレだ
クレーマーには、ルールを盾にできる。
「弊社は多数の株主さまのいる上場企業で、経営責任もあります。
根拠のないお支払いはできませんね」なんて感じだ。
「顧問弁護士が、法的に問題だと言っているんですよ」と、専門家に責任転嫁する手もある。
ある大手メーカーの顧問弁護士が言う。
「話をすり替えて逃げるように勧めることもあります。
〈今おっしゃったのは○○の話ですよね。私が申し上げているのは△△の場合の話です〉という具合。
それでも水かけ論になったら、〈その言い方は失礼でしょう〉と逆ギレしてみせたり、〈何を根拠におっしゃってるんですか。証明してください〉と逆質問するのも、矛先を鈍らせる効果があります」
面倒な相手に誘われた時、「嫁が最近帰りが遅いと怒っているので、今日は失礼します」と言ったとしても、今は許される。
ライフ・ワーク・バランスの時代だもの。
このように逃げ口上にもいろいろあるが、危機管理コンサルタントの田中辰巳氏(リスク・ヘッジ代表)は、「企業の経営陣が謝罪する際によくある間違いがあります」とこう言う。
「〈世間をお騒がせし、誠に遺憾〉〈私は知らなかった〉などとあいまいに済ませるケースです。
これは逆に尾を引き、相手を怒らせるだけ。
謝罪の場はまさに千載一遇のチャンス。
感知、解析、解毒、再生の4つの心得が肝要で、それぞれを明確に示さないと、誤解を招きかねません」
ましてや相手が外国人となれば、あいまいな日本語表現は通じない。
というか、アナタが責任ある立場なら、逃げ口上は通じない。
政治家じゃないんだから。