現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

植村直己「極北に駆ける」

2021-06-04 09:00:11 | 参考文献

 冒険家の著者が、南極大陸単独横断を目指していた時に、その訓練の一環(犬橇技術の習得、アザラシなどの狩猟技術の習得、極地順化など)としてデンマーク領グリーンランドの北極圏にあるエスキモーの村に住み込んだ時(1972年から1973年にかけての一年間)の記録です。
 生活習慣のまったく違うエスキモーの村に、なんとか溶け込もうとする著者の必死の努力が伝わってきて、著者の本の中ではもっとも共感して読むことができます。
 食習慣(生肉(アザラシ、セイウチ、鯨など)を食べて、野菜はほとんど食べない)、男女関係(老若を問わないフリーセックス)、清潔感(風呂に入らない、一部屋しかない家の室内で大小便をするなど)、犬に対する考え方(そりを引かせる道具、使えなくなったら食料)などは、日本人とは大きなギャップがあって大変な苦労をしますが、彼らの見かけはほとんど当時の日本の田舎の人たち(著者も地方出身です)と変わらないこともあって、著者に白人には見せない親近感を抱いて、ほとんど全員がとても親切に彼を受け入れてくれ、読んでいる方も知らず知らずのうちに彼らに親近感を抱きます。
 その後、著者の極地探検は、だんだん習熟度が上がって準備も大がかりになっていきますが、この当時の探検は手作り感満載で一番共感を覚えます(といっても、この時も命の危険に何度も直面しているのですが)。

 

 

 


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