現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

関川夏央「中年シングル生活」

2020-12-29 15:16:34 | 参考文献

 1993年から1996年にかけて、新聞や雑誌に連載していたエッセイをまとめて、1997年に表題で出版されました。

 当時、作者は43才から47才だったのですが、そのころではまだ四十代の独身者は少数派でした(ただし、作者は、25才ごろに短期間結婚していました)が、今ではありふれた存在になっています。

 それに、作者やその友人達はいわゆる知識層で、そのころの中年独身者の多くはそうだったかも知れませんが、今ではあらゆる階層にまで広がっています。

 そのため、作品に漂う教養主義は、今の読者には鼻につくことでしょう。

 また、作者が好んで取り上げている近代文学者たちは、それぞれ時代を切り取った作品(例えば、永井荷風の「濹東綺譚」など)を残していますが、作者の作品は言ってみれば二次創作のようなもので、九十年代の空気さえ描けていません。

 

 

 

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