現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

男の子向けの児童文学

2018-12-02 09:41:53 | 考察
 児童文学がL文学化(女性作家が女性を主人公にして女性読者のために書く文学)して久しい(さらに女性編集者と女性評論家と女性研究者が加わって、今では完全に女性だけで閉じた世界になっています)ですが、その弊害は年々ひどくなっています。
 例えば、男の子の代表的な遊びは、昔も今もゲーム(現在はスマホゲームと携帯ゲーム機とトレーディングカードが主流でしょう)とスポーツ(昔は草サッカーや草野球ができましたが、現在では正式にチームに入らないと難しいでしょう)ですが、大半の女性作家はそれらの経験に乏しく、さらに女性編集者も間違いをチェックする能力はありません。
 そのため、たまに男の子を主人公にした作品が出版されても、トンチンカンな内容なものが多いです。
 もっとも、それら本の読者も女性(女の子だけでなく大人の女性も含めて)が大半なのですから、大きな問題はないのかもしれません。
 こうして、男の子が読んで楽しい児童文学作品はますます少なくなり、男の子たちはますます図鑑や伝記(戦国武将など)を除いては本を読まなくなっていきます。
 それが、さらに男の子向けの児童文学が出版されなくなるという、負のスパイラルを生み出していきます。
 ある飲み会で、「本を読まない男の子のためにわざわざ出版したりしない」と豪語していたベテラン女性編集者の言葉に驚愕したのはもう十年以上前のことですが、今では状況はさらに悪化しています。
 私の職業的な専門分野であったマーケティングの考え方では、「本を読まない男の子たち」こそ、児童文学に残された数少ないフロンティアであり、新しいビジネスチャンスのはずなのですが、あいにく児童文学業界にはマーケティングセンスのある人材は皆無のようです。

エーミールと探偵たち (岩波少年文庫 (018))
クリエーター情報なし
岩波書店
 

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