ここで著者が述べている勉強方法は、典型的な教養主義時代の勉強方法です。
まず、古典(例としては、岩波文庫に入っているような古今東西の文献)を若いうちから読んで、わからないところには書き込みや印をつけておきます。
そうした本を、時をおいて繰り返し読んでいくと、人生経験を積むにつれてだんだんわかるようになるとしています。
他の文章で書いていたそうした古典の文章を書き写す勉強方法(その記事を参照してください)と合わせて、いわゆる読み書きそろばんを重視した伝統的な勉強方法です。
こうした方法は、「文章を読みといて、書き手の考えを理解する」「自分の考えを正確に文章で書き表す」ために、非常に有効な方法だとは思います。
著者は基本的には文系の人なので触れていませんが、数学の様々な問題を解く「論理的に結論を導き出す」訓練ももうひとつの大事な勉強方法です。
ただし、教養主義が没落し、役所や企業が即戦力を求める時代において、若い世代が資格試験やディジタル(メディア)・リタレシーなどの実学重視になっている現状では、著者のような作家や文系の研究者を目指している人以外にはあまり受け入れられないかもしれません。