現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

山口瞳「続血涙十番勝負」

2020-12-20 13:14:35 | 参考文献

 小説現代に連載されて、昭和四十九年に単行本化された、好評だった作者によるプロの将棋棋士との対戦記(その記事を参照してください)の続編です。

 飛車落ち戦を前回で卒業した作者の、今回の手合いは、角落ちです。

 ここまでくると、アマチュア名人クラスでしか指せないものなので、さすがの作者も苦戦します。

 対戦相手は以下の通りです(肩書は対戦当時のものです)。

第一番 白面紅顔、有吉道夫八段

第二番 神武以来の天才、加藤一二三九段(ヒフミンですね)

第三番 東海の若旦那、板谷進八段

第四番 疾風迅雷、内藤国雄棋聖(九段)(演歌歌手としても有名ですね)

第五番 江戸で振るのは大内延介八段

第六番 泣くなおっ母さん、真部一男四段(段位は低いですが、奨励会を卒業直後の指し盛りです)

第七番 屈伸する名匠、塚田正夫九段

第八番 岡崎の豆戦車(タンク)、石田和雄六段

第九番 振飛車日本一、大野源一八段

第十番 天下無敵、木村義雄十四世名人

 結論を言うと、これは手合い違いで、作者の一勝九敗(それも九連敗後の最後の一勝はお情け臭いです)に終わります。

 また、対戦相手も、前作と重複を避けたため、現役のタイトルホルダーは内藤棋聖だけで小粒な感じは否めません。

 個人的には、最終戦で引用されていた木村名人の文章を読んで、その著書「ある勝負師の生涯」(その記事を参照してください)に出会うきっかけになった事が、望外の収穫でした。

 

 

 


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