天国の箸と人間界のマスク

基本的に、欧米ではマスクをしない。伝染病患者か、強盗の類とみなされる。
私もあまりマスクをした人の姿が見栄えがいいとは思えない。
白い布が顔の部分にあると何やら下着か何かを顔面につけているのではないかという錯覚で一瞬だけぎょっとする。

だがマスクをしても良いのではないか、と言う話しである。

＜
天国と地獄の長いはし
https://www.rengyouji.com/%E8%93%AE%E8%A1%8C%E5%AF%BA/%E3%82%A4%E3%83%A9%E3%82%B9%E3%83%88%E7%89%88/%E5%A4%A9%E5%9B%BD%E3%81%A8%E5%9C%B0%E7%8D%84%E3%81%AE%E9%95%B7%E3%81%84%E3%81%AF%E3%81%97/

　むかし、ある男がえんま大王様に会いに行き、天国（てんごく）と地獄（じごく）というのは、どういう世界（せかい）なのかを聞きました。
すると、えんま大王様は、男に、天国のようすと地獄のようすを　それぞれ見せてくれました。
　まず地獄では、ちょうど食事の時間だったので、人々が、ながーいはしを持って大きいなべの前に　あつまっていました。
この地獄では、ながーいはしで　食事をしなければならない決まりなのです。
人々は　ながーいはしで、なべの中のごちそうをとって食べようとするのですが、あまりにながーいので、どうしても自分の口にごちそうがとどきません。
それでみんな、何も食べられずおなかをすかせ、やせこけて、他の人の食べ物を横取（よこど）りしようとして　けんかばかりしていました。
えんま様は、次に天国を見せてくれました。
天国も食事の時間でしたので、人々は、地獄のと同じ、ながーいはしをもって、地獄のと同じ、大きいなべの前に　あつまっていました。
天国でも、ながーいはしで食事をしなければならない決まりなのです。
天国の人々は、おだやかな顔をして楽しそうにごちそうを食べていました。
ながーいはしで、おたがいに仲良く　他の人とごちそうを分けあっているのです。
こうして地獄にいる人々は　自分のことばかり考えているために、いつまでもけんかをして何も食べられず、天国の人々は　おたがいを思いやっているので　仲良くくらせるのだ、とえんま大王様が教えてくれました。
＞

マスクの場合はこの逆バージョンである。
天国の箸では距離の離れた相手にプラスのものを与えるということであるが、現代のマスクは、距離の離れた相手にマイナスのものを与えないと言う意味、あるいは、マイナスを他者から与えられないと言う意味での、他者への恩恵と自己防衛の姿である。自分が健康であるならばまた、他者への感染もさせることもないのであるし、功利的に言ってしまえば、他者が感染していなければ自己も感染することはない。