メモ。雑感。感想なし。
この件について否定も肯定もしないが、しかし考察材料として取っておく。
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月100時間残業、休日なしでも社員はイキイキ!なぜあんな企業がハピネス? | ビジネスジャーナル
http://biz-journal.jp/2015/05/post_10110.html
「ブラック企業」は、多くの人にとって身近な問題のようだ。
2月24日付本連載記事『超ハピネス企業、なぜ突然ブラック企業に転落…仕事の効率向上施策が業績悪化を招く理由』では、「ブラック企業」と「ハピネス企業」について言及したが、その反響は今でも続いている。
記事はTwitterやFacebookでも拡散し、あるメディアのFacebookページに取り上げられた時には数時間で「いいね!」が1000件を超えるほどだった。
筆者なりに分析してみたが、読者が勤めている企業に、筆者が示したブラック企業の特徴に当てはまることが多くあったのだと思われる。
5月18日、塩崎恭久厚生労働相は、違法な長時間労働を繰り返すブラック企業の名を行政指導の段階で公表するよう、全国の労働局長に指示した。公表対象は労働時間や賃金に関する違反があり、時間外労働が月100時間超となる企業ということだ。ブラック企業にとっては、存続することが厳しい時代となってきた。
ここで、ふと思うところがある。筆者自身、かつて小さなベンチャー企業に勤めていたことがあり、時間外労働が月100時間を超えることは当たり前だった。しかし、ブラック企業に勤めているという意識はなかった。
社員の多くが「夢」を共有していて、その夢に向かって誰もがガムシャラに働いていた。そんな雰囲気についていけない人は脱落していったが、夢を共有する人は寝る間も惜しんで生き生きと働いていた。給料は高くなかったが、筆者も毎日夢中で仕事に打ち込んでいた。
現在の基準でいえば明らかにブラック企業だが、好きで働いている人にとってはブラック企業とは正反対のハピネス企業だった。労働時間や賃金という定量的なモノサシでブラックかハピネスかを判断するのは間違っているのではないかと、筆者は常々考えている。
ブラック企業とは
今回、「ブラック企業とハピネス企業の違いとは何か」というテーマで、戦略的PRコンサルタントで放送作家の野呂エイシロウ氏と対談を行った。
野呂氏は、『ネクタイを毎月3本買う人はなぜスゴイ仕事ができるのか』(祥伝社)など、多くのビジネス書を執筆し、『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』(日本テレビ系)や『奇跡体験!アンビリバボー』(フジテレビ系)など、多数の人気番組を手がけてきた売れっ子放送作家である。
PRコンサルティングとしては、売り上げ数兆円を超える大企業をはじめ、有名外資系企業や大手IT企業も請け負っている。
今回は、ブラック企業とハピネス企業の紙一重の違いを明らかにする、深くて楽しい対談となった。
また、今回の対談では、参考図書として『実践ワーク・ライフ・ハピネス2』(著:阿部重利、榎本恵一、監修:藤原直哉/万来舎)を用いている。対談で出てくるハピネス企業の事例は本書に登場している。
筆者(以下、鈴木) 今日はお忙しいところ、ありがとうございます。野呂さんは、これまで数多くの企業を間近で見ていらっしゃいます。最近、話題になっているブラック企業にも出会ったことがあるのではないかと思いますが、いかがですか?
野呂エイシロウ氏(以下、野呂) 僕は基本的にブラック企業とは仕事をしません。僕にとってブラック企業とは、社長に目標やビジョンがなく、社員も社長を馬鹿にしているような会社です。よくいるじゃないですか、社員やタクシーの運転手には怒鳴り散らすのに有名人の前では態度を変える社長。それから陰で社長の悪口ばかり言う社員。そんな会社は僕から契約を打ち切ります。給料が良く労働時間が短くても、全体が“ゆるい”会社は好きじゃないですね。
鈴木 野呂さんにとっては、労働時間が長いことがブラック企業の定義ではないのですね。
野呂 そうです。僕自身、経営者でもあるけれど、1年で10日も休みを取らないです。僕が付き合っている企業は、売り上げ20億円から数兆円の会社までありますが、売上高に関係なく、伸びていて勢いがある会社は、社長をはじめ社員が猛烈に働いています。
ある大企業の社長は猛烈に働くことで有名で、役員が社長をつかまえて打ち合わせできるのがタクシーの中だったりします。そういう会社は、現場の社員から経営陣まで本当に猛烈に働いています。社員は15分の時間も惜しんで、早歩きをし、昼食を取ることも少なく、トイレに行く時間も惜しむほど働いているけれど、実に楽しそうです。社長のことが好きで、役員のことが好きで、上司が好き、という雰囲気に満ちています。
若い社員が多い某IT企業も、猛烈に働いています。ビジネスは、どんなにがんばっても9割は失敗します。しかし彼らは希望を抱いて、「自分たちで会社を変える」という意欲を持ってチャレンジしています。だから、長時間労働していても楽しそうなのです。
厳しさがあってこそプロ
鈴木 長時間労働だからブラック企業という、単純な見方ではいけないということですね。先ほど“ゆるい”会社とは付き合いたくない、というお話がありましたが、“ゆるい”会社とはどんな会社でしょうか?
野呂 登山でたとえてみましょう。登山コースが整備されている高尾山に登るのは誰でもでき、そこそこ楽しいでしょう。しかし、誰でも登れる山に登ったところで、大した喜びはないですよね。高尾山はアマチュアの登山家が楽しむ山だとしたら、プロはエベレストを目指すはずです。エベレストを目指すレベルになると、楽しいという要素が少なくなって、厳しさが増してきます。それでも登頂できれば最高の達成感が得られ、歴史にも名を残すことができます。
ビジネスでも同じです。社長の目的がはっきりせず、理念もミッションもないままだと会社は“ゆるく”なってきます。漠然と仕事をして、そこそこ楽しいかもしれませんが、達成感は得られません。歴史に名を残すような仕事もしないでしょう。そんな会社は、結局ダメになっていくのです。
僕も多くの会社と付き合ってきましたが、“ゆるい”会社は一緒に仕事をしていても楽しくありません。もっと売り上げを伸ばそう、もっと楽しい仕事をしよう、もっと給料を上げていこう、という欲がないのです。つまり、欲がない会社は“ゆるく”なるのだと思います。そういう会社が、本当のブラック企業といえるでしょう。逆に、ハピネス企業はプロの集まりであり、厳しさがあります。だからこそ、自分たちが会社を維持しているという誇りを社員が感じていると思います。
鈴木 なるほど。野呂さん自身は、仕事に対してどんな姿勢で取り組んでいますか?
野呂 楽しさは人が与えてくれないので、自分で見いださなくてはならない、と考えています。そもそも、プロは大変という前提で仕事に取り組んでいます。エベレストに登るのと同じで、プロセスは決して楽しくありません。
コンサルティングの仕事では、常に億単位の仕事をしているので、そのプレッシャーは相当なものです。仕事は失敗することのほうが多いわけですから、楽しいと感じることはわずかしかありません。しかし、大きな仕事が達成できた時の達成感は、何にも代えがたいですね。
僕はテレビの仕事もしていますが、テレビの仕事は全然楽しくありません。なぜなら、視聴率という大変なプレッシャーの中で戦っているからです。視聴率は、わずかなことで変化しますから、映像のフレーム単位で真剣勝負しています。楽しみといえば、誰よりも早く、その番組を観られるということでしょうか。そんなわずかなことに楽しみを見つけていくのも、重要な能力のひとつだと思います。子供をビデオで撮影しているお父さんは楽しいかもしれませんが、プロのカメラマンは厳しく大変なのです。それが嫌なら、アマチュアのままでいればいいでしょう。
僕は超一流の野球選手とも仕事をしていますが、やはり彼らも野球を楽しんでいるわけではありません。野球が楽しいのは草野球までです。大リーグクラスになれば、楽しさよりも厳しさのほうが圧倒的に多く、楽しみといえばバッターボックスに入って投手をにらんだら、投手がビビった表情をしたとか、そんなものです。圧倒的な厳しさの中から楽しみを見つけていき、その先にある大きな成果によって達成感を得る。それがプロだと思います。
ハピネス企業とは
鈴木 野呂さんとは10年近くのお付き合いになりますが、常に上を目指して走り続けているように思います。自分を動かす原動力は何だと思いますか?
野呂 僕はビリが好きです。自分のレベルが上がるごとに、付き合うコミュニティ(人脈)を変えています。自分がビリになるコミュニティを選んでいます。今つながっているコミュニティの中には、50万円のスーツをぱっと買う人や、京都の祇園で100万円使って遊ぶ人もいます。そんな人たちの中では僕がビリにいますが、その中にいるからこそ、僕もそのレベルを目指そうという気になるのです。常に尊敬する人がいて、その人から言われたことは絶対にその通りにするようにしています。そうやって自分を向上させてきました。
いつも自分と同じレベルの人としか付き合わなければ、上を目指すこともなく、自分がダメになっていきます。上を見ることができる人と積極的に付き合っていくことが、向上のコツです。
それから僕は「欲望ノート」というものをつけています。やってみたい仕事、行ってみたい場所、一緒に仕事をしたい人など、やりたいことをノートに書いて忘れないようにしています。もう200以上たまっていて、さらに毎日10個ずつ増えています。欲があるからこそ、がんばれるのです。
鈴木 最後に、野呂さんから見て、ハピネス企業になるために必要なことは何だと思いますか?
野呂 カンパニーとは「一緒にパンを食べる」という意味だと聞いたことがあります。社長一人が号令を出して、社員がそれに従うというのではなく、社員全員が自主性を持ってプロとして働き、喜びを共有するコミュニティが形成されている。それがハピネス企業だと思います。社長一人のエンジンよりも、社員が10人いるならば10個のエンジンとなるほうが強いのです。
『実践ワーク・ライフ・ハピネス2』に登場するハピネス企業は、楽しいサークルの延長にあるのではなく、社長から社員までプロであり、厳しさがある。仕事を通して喜びを共有するため、社長がさまざまな仕掛けをしている。社員を金儲けの道具とは考えていません。深海探査艇を作ってテレビでも話題になった浜野製作所や、世界コマ大戦を企画して世界的なムーブメントを起こしたミナロなど、会社が一体となることを社長自ら考えています。そういう会社の社員が、社長を嫌いになるわけがありません。
社長が社員をプロとして育て、成長した社員は自分たちが会社を支えているという実感を持つようになれば、自然に給料も増えていくものです。
それを実現した企業が、社長も社員も、そして社員の家族も幸せになるというハピネス企業でしょう。
鈴木 ありがとうございます。大変参考になりました。
(構成=鈴木領一/ビジネス・コーチ、ビジネス・プロデューサー)
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この件について否定も肯定もしないが、しかし考察材料として取っておく。
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月100時間残業、休日なしでも社員はイキイキ!なぜあんな企業がハピネス? | ビジネスジャーナル
http://biz-journal.jp/2015/05/post_10110.html
「ブラック企業」は、多くの人にとって身近な問題のようだ。
2月24日付本連載記事『超ハピネス企業、なぜ突然ブラック企業に転落…仕事の効率向上施策が業績悪化を招く理由』では、「ブラック企業」と「ハピネス企業」について言及したが、その反響は今でも続いている。
記事はTwitterやFacebookでも拡散し、あるメディアのFacebookページに取り上げられた時には数時間で「いいね!」が1000件を超えるほどだった。
筆者なりに分析してみたが、読者が勤めている企業に、筆者が示したブラック企業の特徴に当てはまることが多くあったのだと思われる。
5月18日、塩崎恭久厚生労働相は、違法な長時間労働を繰り返すブラック企業の名を行政指導の段階で公表するよう、全国の労働局長に指示した。公表対象は労働時間や賃金に関する違反があり、時間外労働が月100時間超となる企業ということだ。ブラック企業にとっては、存続することが厳しい時代となってきた。
ここで、ふと思うところがある。筆者自身、かつて小さなベンチャー企業に勤めていたことがあり、時間外労働が月100時間を超えることは当たり前だった。しかし、ブラック企業に勤めているという意識はなかった。
社員の多くが「夢」を共有していて、その夢に向かって誰もがガムシャラに働いていた。そんな雰囲気についていけない人は脱落していったが、夢を共有する人は寝る間も惜しんで生き生きと働いていた。給料は高くなかったが、筆者も毎日夢中で仕事に打ち込んでいた。
現在の基準でいえば明らかにブラック企業だが、好きで働いている人にとってはブラック企業とは正反対のハピネス企業だった。労働時間や賃金という定量的なモノサシでブラックかハピネスかを判断するのは間違っているのではないかと、筆者は常々考えている。
ブラック企業とは
今回、「ブラック企業とハピネス企業の違いとは何か」というテーマで、戦略的PRコンサルタントで放送作家の野呂エイシロウ氏と対談を行った。
野呂氏は、『ネクタイを毎月3本買う人はなぜスゴイ仕事ができるのか』(祥伝社)など、多くのビジネス書を執筆し、『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』(日本テレビ系)や『奇跡体験!アンビリバボー』(フジテレビ系)など、多数の人気番組を手がけてきた売れっ子放送作家である。
PRコンサルティングとしては、売り上げ数兆円を超える大企業をはじめ、有名外資系企業や大手IT企業も請け負っている。
今回は、ブラック企業とハピネス企業の紙一重の違いを明らかにする、深くて楽しい対談となった。
また、今回の対談では、参考図書として『実践ワーク・ライフ・ハピネス2』(著:阿部重利、榎本恵一、監修:藤原直哉/万来舎)を用いている。対談で出てくるハピネス企業の事例は本書に登場している。
筆者(以下、鈴木) 今日はお忙しいところ、ありがとうございます。野呂さんは、これまで数多くの企業を間近で見ていらっしゃいます。最近、話題になっているブラック企業にも出会ったことがあるのではないかと思いますが、いかがですか?
野呂エイシロウ氏(以下、野呂) 僕は基本的にブラック企業とは仕事をしません。僕にとってブラック企業とは、社長に目標やビジョンがなく、社員も社長を馬鹿にしているような会社です。よくいるじゃないですか、社員やタクシーの運転手には怒鳴り散らすのに有名人の前では態度を変える社長。それから陰で社長の悪口ばかり言う社員。そんな会社は僕から契約を打ち切ります。給料が良く労働時間が短くても、全体が“ゆるい”会社は好きじゃないですね。
鈴木 野呂さんにとっては、労働時間が長いことがブラック企業の定義ではないのですね。
野呂 そうです。僕自身、経営者でもあるけれど、1年で10日も休みを取らないです。僕が付き合っている企業は、売り上げ20億円から数兆円の会社までありますが、売上高に関係なく、伸びていて勢いがある会社は、社長をはじめ社員が猛烈に働いています。
ある大企業の社長は猛烈に働くことで有名で、役員が社長をつかまえて打ち合わせできるのがタクシーの中だったりします。そういう会社は、現場の社員から経営陣まで本当に猛烈に働いています。社員は15分の時間も惜しんで、早歩きをし、昼食を取ることも少なく、トイレに行く時間も惜しむほど働いているけれど、実に楽しそうです。社長のことが好きで、役員のことが好きで、上司が好き、という雰囲気に満ちています。
若い社員が多い某IT企業も、猛烈に働いています。ビジネスは、どんなにがんばっても9割は失敗します。しかし彼らは希望を抱いて、「自分たちで会社を変える」という意欲を持ってチャレンジしています。だから、長時間労働していても楽しそうなのです。
厳しさがあってこそプロ
鈴木 長時間労働だからブラック企業という、単純な見方ではいけないということですね。先ほど“ゆるい”会社とは付き合いたくない、というお話がありましたが、“ゆるい”会社とはどんな会社でしょうか?
野呂 登山でたとえてみましょう。登山コースが整備されている高尾山に登るのは誰でもでき、そこそこ楽しいでしょう。しかし、誰でも登れる山に登ったところで、大した喜びはないですよね。高尾山はアマチュアの登山家が楽しむ山だとしたら、プロはエベレストを目指すはずです。エベレストを目指すレベルになると、楽しいという要素が少なくなって、厳しさが増してきます。それでも登頂できれば最高の達成感が得られ、歴史にも名を残すことができます。
ビジネスでも同じです。社長の目的がはっきりせず、理念もミッションもないままだと会社は“ゆるく”なってきます。漠然と仕事をして、そこそこ楽しいかもしれませんが、達成感は得られません。歴史に名を残すような仕事もしないでしょう。そんな会社は、結局ダメになっていくのです。
僕も多くの会社と付き合ってきましたが、“ゆるい”会社は一緒に仕事をしていても楽しくありません。もっと売り上げを伸ばそう、もっと楽しい仕事をしよう、もっと給料を上げていこう、という欲がないのです。つまり、欲がない会社は“ゆるく”なるのだと思います。そういう会社が、本当のブラック企業といえるでしょう。逆に、ハピネス企業はプロの集まりであり、厳しさがあります。だからこそ、自分たちが会社を維持しているという誇りを社員が感じていると思います。
鈴木 なるほど。野呂さん自身は、仕事に対してどんな姿勢で取り組んでいますか?
野呂 楽しさは人が与えてくれないので、自分で見いださなくてはならない、と考えています。そもそも、プロは大変という前提で仕事に取り組んでいます。エベレストに登るのと同じで、プロセスは決して楽しくありません。
コンサルティングの仕事では、常に億単位の仕事をしているので、そのプレッシャーは相当なものです。仕事は失敗することのほうが多いわけですから、楽しいと感じることはわずかしかありません。しかし、大きな仕事が達成できた時の達成感は、何にも代えがたいですね。
僕はテレビの仕事もしていますが、テレビの仕事は全然楽しくありません。なぜなら、視聴率という大変なプレッシャーの中で戦っているからです。視聴率は、わずかなことで変化しますから、映像のフレーム単位で真剣勝負しています。楽しみといえば、誰よりも早く、その番組を観られるということでしょうか。そんなわずかなことに楽しみを見つけていくのも、重要な能力のひとつだと思います。子供をビデオで撮影しているお父さんは楽しいかもしれませんが、プロのカメラマンは厳しく大変なのです。それが嫌なら、アマチュアのままでいればいいでしょう。
僕は超一流の野球選手とも仕事をしていますが、やはり彼らも野球を楽しんでいるわけではありません。野球が楽しいのは草野球までです。大リーグクラスになれば、楽しさよりも厳しさのほうが圧倒的に多く、楽しみといえばバッターボックスに入って投手をにらんだら、投手がビビった表情をしたとか、そんなものです。圧倒的な厳しさの中から楽しみを見つけていき、その先にある大きな成果によって達成感を得る。それがプロだと思います。
ハピネス企業とは
鈴木 野呂さんとは10年近くのお付き合いになりますが、常に上を目指して走り続けているように思います。自分を動かす原動力は何だと思いますか?
野呂 僕はビリが好きです。自分のレベルが上がるごとに、付き合うコミュニティ(人脈)を変えています。自分がビリになるコミュニティを選んでいます。今つながっているコミュニティの中には、50万円のスーツをぱっと買う人や、京都の祇園で100万円使って遊ぶ人もいます。そんな人たちの中では僕がビリにいますが、その中にいるからこそ、僕もそのレベルを目指そうという気になるのです。常に尊敬する人がいて、その人から言われたことは絶対にその通りにするようにしています。そうやって自分を向上させてきました。
いつも自分と同じレベルの人としか付き合わなければ、上を目指すこともなく、自分がダメになっていきます。上を見ることができる人と積極的に付き合っていくことが、向上のコツです。
それから僕は「欲望ノート」というものをつけています。やってみたい仕事、行ってみたい場所、一緒に仕事をしたい人など、やりたいことをノートに書いて忘れないようにしています。もう200以上たまっていて、さらに毎日10個ずつ増えています。欲があるからこそ、がんばれるのです。
鈴木 最後に、野呂さんから見て、ハピネス企業になるために必要なことは何だと思いますか?
野呂 カンパニーとは「一緒にパンを食べる」という意味だと聞いたことがあります。社長一人が号令を出して、社員がそれに従うというのではなく、社員全員が自主性を持ってプロとして働き、喜びを共有するコミュニティが形成されている。それがハピネス企業だと思います。社長一人のエンジンよりも、社員が10人いるならば10個のエンジンとなるほうが強いのです。
『実践ワーク・ライフ・ハピネス2』に登場するハピネス企業は、楽しいサークルの延長にあるのではなく、社長から社員までプロであり、厳しさがある。仕事を通して喜びを共有するため、社長がさまざまな仕掛けをしている。社員を金儲けの道具とは考えていません。深海探査艇を作ってテレビでも話題になった浜野製作所や、世界コマ大戦を企画して世界的なムーブメントを起こしたミナロなど、会社が一体となることを社長自ら考えています。そういう会社の社員が、社長を嫌いになるわけがありません。
社長が社員をプロとして育て、成長した社員は自分たちが会社を支えているという実感を持つようになれば、自然に給料も増えていくものです。
それを実現した企業が、社長も社員も、そして社員の家族も幸せになるというハピネス企業でしょう。
鈴木 ありがとうございます。大変参考になりました。
(構成=鈴木領一/ビジネス・コーチ、ビジネス・プロデューサー)
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