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読書日記☆こんな本読んでます

2004年1月からの記録です。
この頃積ん読が多くっていけません....

暁の密使

2006-08-10 |  北森鴻
暁の密使

北森鴻

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『チベット潜入行に隠された策謀を描く歴史ミステリー
"不惜身命"仏道のために命を賭して西蔵(チベット)の聖地・拉薩(ラッサ)を目指した仏教者がいた。その名は能海寛(のうみゆたか)。時は明治、近代国家形成に向け必死に背伸びする日本を取り巻く情勢は、その苛烈さを増していた。そんな歴史のうねりの中、仏教の原典「チベット大蔵経」を求めて中国大陸に渡った東本願寺派僧侶・能海寛を主人公に、鎖国下のチベットへの難渋を極める潜入行を描く秘史発掘ミステリーである。チベット潜入で歴史上有名な河口慧海の名にかくれて、能海寛の"日本人として初めてチベットの地を踏んだ"という壮挙は歴史の闇に埋れていた。近年、その潜入行が明らかにされている能海の足跡を辿りながら"歴史のif"に挑む著者会心の歴史ミステリー長編。』

河口慧海は有名なのだが、能海寛は知られていない。最近多くの資料が発見されて脚光を浴びているようである。
明治から大正、そして太平洋戦争の前後にかけて、鎖国状態のチベットに10人の日本人が潜入したがただひとり能海寛だけが帰らなかった。
その苦難に満ちたチベット行き。それが単に三蔵法師のようにただ経典を求めてだけのことはないだろうという発想で出来上がったのが本書。(今、気付いたけれど、三蔵法師もただ経典を求めてではなかったのかもしれない)
当時の世界情勢、国内情勢も絡めて、サスペンスたっぷりで一気に読ませる。
本人はついに帰って来ることはなかったけれど、彼が送った経典や手紙などは日本に届いている。明治に中国大陸の奥深くから荷物が届く・・・そのことだけでも驚異である。

北村鴻はどうもこの時代に強い関心と不審を持っているらしい。(「蜻蛉始末」「狂乱廿四孝」)
今後も期待したい。


能海寛遺稿  
仏教の源流を訪ねてチベット(西蔵)を目指した学僧 能海寛 島根県のページ


↓こちらはノンフィクション(未読)
能海寛チベットに消えた旅人

求龍堂

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【追記】文庫になりました(2008/9/5)
暁の密使 (小学館文庫 (き5-1))
北森 鴻
小学館

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深淵のガランス

2006-08-08 |  北森鴻
深淵のガランス

北森鴻

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『大正末に活躍した洋画家の傑作を修復することになった佐月恭壱は、パリの町並の下に隠された別の絵に気が付くが…。花師と絵画修復師、2つの顔を持つ男が絵画の謎に迫る表題作と、その続編「血色夢」を収録。』

北森鴻には珍しくちょいと強面の男が主人公。
プロトタイプな登場人物ばかりで気になるけど、エンタテインメントだもの、ま、いいか~。
なかなかハードで面白い。
冬狐堂とつながる感じなのだけど、ここに出てくる"女狐"は誰? ちょっと陶子さんとは感じが違うんだけど。
これもシリーズ化されるとうれしい。
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屋上物語

2006-08-06 |  北森鴻
屋上物語

北森鴻

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『老若男女が憩う空中の楽園―デパートの屋上では、毎日のように不思議な事件が起こる。自殺、殺人、失踪、そして奇妙な落とし物…。しかしここには、何があっても動じない傑物がいた。うどん店の主、人呼んでさくら婆ァだ。今日もまた右往左往する客や警備員を濁声で一喝するや、彼女は事件の核心へと斬り込んでいく。それにしても何故こんなに怪事件が頻発するのか。さくら婆ァとは何者なのか…。推理界の奇才が“屋上”を舞台に紡ぐ、空前の長編連鎖ミステリーの快作。』

北森鴻は人物造形がうまいんだなぁと思う。こういう人いるなぁというよりこういう人いたらいいなぁという感覚。
さくら婆ァもそのひとりであることは間違いない。
短編連作で、いちおう長編としての解決も見たわけだけど、どこかでさくら婆ぁに再会できるかなと思っている。
待ってますよ♪>北森鴻さん

この実に美味しそうなデパートの屋上のうどんやさん!モデルがちゃんとあるそうですが~・・・さて、どこでしょうか~
買って読んでのお楽しみ~ヾ(--;)ぉぃぉぃ

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メビウス・レター

2006-08-05 |  北森鴻
メビウス・レター

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『男子高校生が謎の焼身自殺を遂げた。数年後、作家・阿坂龍一郎宛てに事件の真相を追跡した手紙が、次々と送りつけられる。なぜ阿坂のもとに?そして差出人の正体は?阿坂は人妻のストーカーに付け狙われ、担当編集者は何者かに殺害された。すべてがひっくり返る驚愕の結末とは!?傑作長編ミステリー。』

鮎川哲也賞受賞後第1作になるはずが編集者にお蔵入りさせられたという因縁つきの本書。
ふーん、そうくるか~とは思ったが、そのトリックの必然性が薄い。(詳しくは書けないが)
初期の作品に共通することだけど、あれもこれも盛り込んで、ひきずり回されている感じ。
いいように抜いていけてホンモノになるのだろうなぁ。(抜きすぎる馬鹿or初めから入れるもののない馬鹿はおいといて~)
惹句にあるように「すべてがひっくり返る驚愕」とか「傑作」とまでは思わないけど、一気に読ませるだけの水準はある。



最近とみに読書に熱心なのは、暑さのせい。ついクーラーつけて引きこもり(笑)
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闇色のソプラノ

2006-08-04 |  北森鴻
闇色のソプラノ

北森鴻

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『その詩に魅せられた者は、不幸になる
夭折した童話詩人・樹来たか子の「秋ノ聲」に書かれた「しゃぼろん、しゃぼろん」という不思議な擬音の正体は?たか子の詩に魅せられた女子大生、郷土史家、刑事、末期癌に冒された男、医師、そしてたか子の遺児・静弥が神無き地・遠誉野に集まり、戦慄の事件が幕を開ける。驚愕の長篇本格ミステリー。』

積読の山の中から発掘。2002年に買っていたらしい。
これをその時点で読んでいたら北森鴻ファンにはならなかったかもしれない。
プロットはいい。しかし"偶然"の重なりが過ぎる。偶然の重なりを描きたかったら終章で大団円に持ち込まないとしんどい。
ま、初期の頃、力が入りすぎていたのかなぁ。あれもこれも持ち込もうとするとあれもこれも倒れてしまう。
場所を遠誉野にしないで東京にしただけでもすっきりしただろう。

北森鴻ファンは読んでみてください。今の進化の元が見られるのが一興。
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ぶぶ漬け伝説の謎 裏京都ミステリー

2006-07-30 |  北森鴻
ぶぶ漬け伝説の謎 裏京都ミステリー

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『知る人ぞ知る裏(マイナー)な名刹・大悲閣千光寺に、今日も珍妙な事件が持ち込まれる。元裏世界の住人にして寺男の有馬次郎とマイナー新聞の自称「エース記者」折原けい、自称「裏京都案内人」のスチャラカ作家・ムンちゃんが、難事件の謎を追う!?誰も知らないミステリアス京都と、古都ならではの謎解きの妙味、たっぷりとご堪能ください。』

支那そば館の謎」に続く裏京都シリーズ2冊目。
京都人というより大阪人のノリのはちゃめちゃぶりだけど、楽しい。
自作の宣伝などもしちゃうあたり・・・

ぶぶ漬け伝説はなぜ生まれたのか、なんて蓮丈那智に取り上げさせるにはあまりにメジャーな話題をこっちで面白おかしく持ち出すのがすごいところ。
うそか真か、読んでみてくださいなぁ。
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瑠璃の契り―旗師・冬狐堂

2006-07-28 |  北森鴻
瑠璃の契り―旗師・冬狐堂

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『"冬狐堂"こと宇佐見陶子の元に匿名で送られてきた美大時代の同級生の追悼画集。かつて彼女の才能に嫉妬し、絵の道に進むことを諦めた陶子。誰が、何の目的で20年前に死んだ彼女の画集を作り、自分に送りつけたのか?  陶子のほろ苦い青春の1頁を垣間見る「苦い狐」や、旗師としては致命的な眼病に襲われた陶子に付け入ろうとする同業者との駆け引きを描く「倣雛心中」など、魑魅魍魎の骨董業界を生き抜く女旗師が活躍する待望の連作シリーズ第2弾の古美術ミステリー。』

楽しみにしているシリーズのひとつ。文庫化を待ちかねて買ってしまった。
骨董業界がほんとうにこんなにも騙しあいと駆けひきの世界なのかなとは思わなくもないが、サスペンス性は十分。
冬狐堂シリーズも短編集になっていくのかなぁ。
たまには長編も読みたいけど

北森鴻のすごいところはいろいろなキャラクターのシリーズを並行して書き続けて成功しているところだと思う。そしてそれぞれのキャラクターがどれもいい!
合間に時代小説や単発の小説なども書き、言われなければ同じ作家と気付かないかもしれない。


自著を語る by北森鴻
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顔のない男

2006-07-17 |  北森鴻
顔のない男

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『多摩川沿いの公園で、全身を骨折した惨殺死体が発見された。空木精作―彼は周辺の住民との接点も交友関係もない男だった。原口と又吉、二人の刑事は空木の自宅で、一冊の大学ノートを発見する。ノートを調べるうちに二人は次々に新たな事件に遭遇する。空木とは一体何者だったのか?本格長篇ミステリー。』

ミステリとしてはすぐにネタは割れてしまうのだけど(すれっからしのミステリ読者でスミマセン)そんなことを気にさせなくて一気に読ませるのが北森鴻の面白さ。
人間を描くのが上手なんですよね。
「共犯マジック」に近い味わい。

原口と又吉の二人の刑事の性格付けがはっきりしたところで連作にしてみるというのはいかがでしょう?
性格付けがはっきりしちゃって書きにくいかなぁ

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蜻蛉始末

2006-07-16 |  北森鴻
蜻蛉始末

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『明治十二年、政商・藤田伝三郎は贋札事件の容疑者として捕縛された。その十七年前、高杉晋作の元に集まる志士たちの中に伝三郎がいた。幼馴染みの“とんぼ”宇三郎が影のように寄り添う。奇兵隊結成、禁門の変…幕末から明治にかけての激動の世の中で「光」と「影」の宿命を負った二人の友情と別離、対決を描く傑作歴史長篇。』

軽妙洒脱ないつもとは違う北森鴻である。
幕末~明治初期は激動の時代にもかかわらず教科書の記述以上の知識が少ないので、とても面白く一気に読んだ。
偽札事件の真実はともかく、背景はこのような状況だったのだろう。
確かに胡散臭い時代である(笑)

物語の展開に読心術(?)を使うというちょっとアンフェアな要素はあるけれど、ぐずぐず冗長な説明を聞いているよりすんなり進んでいく方が私は好き。
北森鴻ファンにぜひに、とは言わないけれど、読んでみていいと思う。
読み応えは充分。
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写楽・考―蓮丈那智フィールドファイル〈3〉

2006-05-20 |  北森鴻
写楽・考―蓮丈那智フィールドファイル〈3〉

北森鴻

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『表層に囚われては、未知を射抜くことはできない。理性に拘泥しては、あり得べき真実に至ることはできない。想像を放棄しては、歴史を覆すことはできない。まったく新しい切り口で「あの絵師」の謎に迫る、民俗学ミステリ、シリーズ最新刊。またしても暴かれる歴史の闇。異端の民俗学者が、日本美術史上最大の謎、「あの絵師」に挑む。憑代忌、湖底祀、棄神祭、写楽・考の4編』

文庫化を待ちきれずに・・・

相変わらずの切れ味の“異端の民俗学者”蓮丈那智。
やはり表題作の「写楽・考」が面白い。(中篇の長さ)
あのデフォルメされた大首絵の説明としてのひとつの仮説。北森鴻自身のものなのか、他に先駆者が居るのであろうか。(ここでの考は絵師の謎を解こうとするものではない)

登場人物も徐々に増えて、ワトソン君の苦難は続く・・・

"民俗学"に対するある意味醒めた見方。北森鴻自身も民俗学を志していたことがあったのだろうか。


北森鴻公式サイト 酔鴻思考


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