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『チベット潜入行に隠された策謀を描く歴史ミステリー
"不惜身命"仏道のために命を賭して西蔵(チベット)の聖地・拉薩(ラッサ)を目指した仏教者がいた。その名は能海寛(のうみゆたか)。時は明治、近代国家形成に向け必死に背伸びする日本を取り巻く情勢は、その苛烈さを増していた。そんな歴史のうねりの中、仏教の原典「チベット大蔵経」を求めて中国大陸に渡った東本願寺派僧侶・能海寛を主人公に、鎖国下のチベットへの難渋を極める潜入行を描く秘史発掘ミステリーである。チベット潜入で歴史上有名な河口慧海の名にかくれて、能海寛の"日本人として初めてチベットの地を踏んだ"という壮挙は歴史の闇に埋れていた。近年、その潜入行が明らかにされている能海の足跡を辿りながら"歴史のif"に挑む著者会心の歴史ミステリー長編。』
河口慧海は有名なのだが、能海寛は知られていない。最近多くの資料が発見されて脚光を浴びているようである。
明治から大正、そして太平洋戦争の前後にかけて、鎖国状態のチベットに10人の日本人が潜入したがただひとり能海寛だけが帰らなかった。
その苦難に満ちたチベット行き。それが単に三蔵法師のようにただ経典を求めてだけのことはないだろうという発想で出来上がったのが本書。(今、気付いたけれど、三蔵法師もただ経典を求めてではなかったのかもしれない)
当時の世界情勢、国内情勢も絡めて、サスペンスたっぷりで一気に読ませる。
本人はついに帰って来ることはなかったけれど、彼が送った経典や手紙などは日本に届いている。明治に中国大陸の奥深くから荷物が届く・・・そのことだけでも驚異である。
北村鴻はどうもこの時代に強い関心と不審を持っているらしい。(「蜻蛉始末」「狂乱廿四孝」)
今後も期待したい。
・能海寛遺稿
・仏教の源流を訪ねてチベット(西蔵)を目指した学僧 能海寛 島根県のページ
↓こちらはノンフィクション(未読)
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【追記】文庫になりました(2008/9/5)
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