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豊後ピートのブログ

元北アルプス槍ヶ岳の小屋番&白馬岳周辺の夏山パトロールを13シーズン。今はただのおっさん

2006年春に発生した奥多摩での落雷事故について

2010年01月03日 | 山岳遭難
フラフラと検索しているうちに偶然見つけたのですが、2006年春に発生した奥多摩・本仁田山での落雷死亡事故について、遭難者が所属していた山岳会から詳しい報告書が出ていました。

この事故については新聞等でも報道されましたし、遭難者がヒマラヤ経験者ということもあって良く覚えています。


ウチのブログで書いたかな、と思っていたのですが、なぜか書いていませんでした。



奥多摩本仁田山事故(2006年4月25日)報告書/東京雲稜会(PDFファイル注意)




助かったメンバーによると、事故発生まで雷鳴はまったく聞こえなかったようです。いきなりズドン!というわけですね。

北アルプスで小屋番やっていた時に一度だけ、20mぐらいの至近距離に突然落雷があって、非常にビビったことがあります。あまりにもビビったもんで立ち上がることができず、四つんばいのまま逃げたもんです。

山では通常、遠くから雷鳴が聞こえてきて、「お、ヤバい」てな感じで逃げるわけですけど、そういうのが通じないケースがあるのを覚えていて欲しいものです。






ところで事故現場の画像が掲載されているのですが、奥多摩の山ならどこにでもありそうな、樹林帯の稜線です。場所は登山道を2/3ほど登ったあたりとのことですが、確かに生えている木も山麓に比べたらやや低い感じです。

現場を訪れた山岳会のメンバーによる印象も、「こんなところで?」というものであり、私も同じ印象です。しかも1発目の落雷がここに落ちたというのは、驚きですね。

ただ、長年、山での落雷について見聞していると、雷様ってのはかなり気まぐれだと思います。例えば槍ヶ岳のように尖った山頂は落雷の危険性が高いわけですけど、常に山頂に落ちるわけではありません。槍の穂先の途中に落ちたり、肩に落ちたりと、けっこう気まぐれです。


まあ山にいる限り、落雷の危険から逃れられる場所ってほとんど無いのでしょうね。私も当ブログにおいて対処法とか書いていたりしていますけど、結局、



確率的に多少、危険が少ない



というだけのことです。


この報告書では一般的知識と前置きした上で落雷への対処法を紹介していますが、これもカンペキな方法ではありません。樹木の先端から45度以内の斜線に入り、しかも4m間隔を空けるというのはよく紹介されていますけど、山では無理なことが多いです。






山の中で雷雲が接近してきたら結局、やることやって後は神に祈れ!としか言いようが無いですね。

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
落雷 (たぬたぬ)
2010-01-04 08:51:31
数年前に八方尾根で落雷された経験があります。(同行者の髪の毛が燃えた程度ですが・・・)

昔、なにかの本で、落雷は50mプール一杯分の水を空から落として、その最初の1滴に当たるか当らないかぐらいの確率だと言ってました。

樹林帯でも石のかげでも、当たるか当らぬかは運次第だそうです。とくに側雷の可能性がある尾根、稜線は小屋や穴倉の中以外は「運次第」だそうです。

まあ、かといってゴロゴロしている中を歩く勇気はありませんが・・・
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Unknown (bongo-pete)
2010-01-06 11:07:35
たぬたぬ様

>(同行者の髪の毛が燃えた程度ですが・・・)


こ、怖い・・・・・・


八方尾根でも丸山ケルンあたりはもろに危険そうなのですが、最近ではあそこの下にある窪地に落ちたという話を聞いたことがあります。
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Unknown (サニー)
2010-01-09 04:18:23
槍の長老はよく
「雷さんはへそを狙うから、へそ隠しときゃいいづら~」
なんて言ってたけど、結構そうなのかもですね。
槍のあのテント場に落ちたことないのかな?
私からしたらあんな所でテント張ってたら雷来てくれって言ってる感じがしますが。
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Unknown (bongo-pete)
2010-01-09 13:30:14
>サニー

あそこは落ちると思うよ。見たこと無いけど、焼却炉の付近に落ちたことはあるからね。


北アルプスのテント場での落雷は、いくつか聞いたことあるし。
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