今年の年末年始は31日から寒気の流入で大荒れ、という予報でした。だから入山者数は少なく、遭難事故も少ないだろうと勝手に予想していましたが、意外にも南アルプスで多発していますね。
聖岳では夫婦が動けなくなって救出され、さらにそのすぐそばで単独行の男性が遺体で発見、また北岳でも現時点では2名が行方不明になっているようです。
ところで、南アルプス聖岳で救出された夫婦のうち男性の方が「20年冬山をやっているが、あんな風は初めてだ」みたいなことを言っていました。20年登っていれば経験的には相当なものだと思います。が、それでも山のすべてを知るには短いと、つくづく思いますね。
「山は年数ではない。どれだけ経験したかだ」という意見もあって、それは正論なんですけど、どんなに密度の濃い山人生を送ったところで、経験できないことはいくらでもあると思っています。
自分の例で恐縮ですが、私の場合、山小屋で4シーズン、パトロールで9シーズン、夏の北アルプスを経験しています。それも毎年30~60日は山の上にいるわけです。それだけ山の上にいるわけですから、夏山の天候については知り尽くしている、と言いたいところですけど、この13シーズンのうち、数回ほど
「こんなのはじめて~~(泣)」
とビビったことがあります。例えば2004年7月25日に経験した、めちゃ激しくて長時間続いた落雷でしょうか。蓮華温泉で親子が鉄砲水に流されて行方不明になり、不帰や爺ヶ岳などで落雷事故があった時のことです。あの時は午後から落雷があることを充分過ぎるほど予測していたのですが、あれほど大荒れになってハマるとは思いませんでした。
あれほど激しい落雷は経験したことがありませんし、その後もありません。パトロールの先輩に聞いても「あんなのは20年やっていて初めてだな」という答えが返ってきました。
どんなに山の経験を積んでいても、経験の無い天候に対して経験だけで対処することはできません。逆に悪天候を乗り越えた経験が、過剰な自信につながる危険があります。白馬岳で4人が凍死した事故なんかがそうですよね。あれは前年に雨の中でも普通に登れたという経験が災いして、警戒心が薄れてしまったという面が否めないと思います。
ですから、普段から登山のテキストなどを読んで知識を蓄えておくって重要なのです。百聞は一見に如かず、とは言いますけど、山で経験を積むってことは危険と隣り合わせであり、運が悪ければ経験豊富な登山者になる前に死んでしまうのです。
鳴沢岳で無くなったクライマーの伊藤達夫氏も、岳人の連載記事で「他人の山行記録を読め」と勧めています。その理由として「毎年の年末年始と春休みに長期山行を実践し、20歳から50歳まで登り続けるとしても、50~60回しかできないのだ」みたいなことを書いていました。
まあハードなアルパインクライミングをしている人なら記録を読み漁るのは当たり前の世界なんですけど、夏山の一般コース程度しかやらない登山者ともなると、ロクに本を読んでいない人が多すぎですね。せめて入門書だけでも読んでくれ、と言いたいです。
聖岳では夫婦が動けなくなって救出され、さらにそのすぐそばで単独行の男性が遺体で発見、また北岳でも現時点では2名が行方不明になっているようです。
ところで、南アルプス聖岳で救出された夫婦のうち男性の方が「20年冬山をやっているが、あんな風は初めてだ」みたいなことを言っていました。20年登っていれば経験的には相当なものだと思います。が、それでも山のすべてを知るには短いと、つくづく思いますね。
「山は年数ではない。どれだけ経験したかだ」という意見もあって、それは正論なんですけど、どんなに密度の濃い山人生を送ったところで、経験できないことはいくらでもあると思っています。
自分の例で恐縮ですが、私の場合、山小屋で4シーズン、パトロールで9シーズン、夏の北アルプスを経験しています。それも毎年30~60日は山の上にいるわけです。それだけ山の上にいるわけですから、夏山の天候については知り尽くしている、と言いたいところですけど、この13シーズンのうち、数回ほど
「こんなのはじめて~~(泣)」
とビビったことがあります。例えば2004年7月25日に経験した、めちゃ激しくて長時間続いた落雷でしょうか。蓮華温泉で親子が鉄砲水に流されて行方不明になり、不帰や爺ヶ岳などで落雷事故があった時のことです。あの時は午後から落雷があることを充分過ぎるほど予測していたのですが、あれほど大荒れになってハマるとは思いませんでした。
あれほど激しい落雷は経験したことがありませんし、その後もありません。パトロールの先輩に聞いても「あんなのは20年やっていて初めてだな」という答えが返ってきました。
どんなに山の経験を積んでいても、経験の無い天候に対して経験だけで対処することはできません。逆に悪天候を乗り越えた経験が、過剰な自信につながる危険があります。白馬岳で4人が凍死した事故なんかがそうですよね。あれは前年に雨の中でも普通に登れたという経験が災いして、警戒心が薄れてしまったという面が否めないと思います。
ですから、普段から登山のテキストなどを読んで知識を蓄えておくって重要なのです。百聞は一見に如かず、とは言いますけど、山で経験を積むってことは危険と隣り合わせであり、運が悪ければ経験豊富な登山者になる前に死んでしまうのです。
鳴沢岳で無くなったクライマーの伊藤達夫氏も、岳人の連載記事で「他人の山行記録を読め」と勧めています。その理由として「毎年の年末年始と春休みに長期山行を実践し、20歳から50歳まで登り続けるとしても、50~60回しかできないのだ」みたいなことを書いていました。
まあハードなアルパインクライミングをしている人なら記録を読み漁るのは当たり前の世界なんですけど、夏山の一般コース程度しかやらない登山者ともなると、ロクに本を読んでいない人が多すぎですね。せめて入門書だけでも読んでくれ、と言いたいです。
その岳人の連載は、私も学生の頃読んでいました。「目からウロコ」とはこのことか、と毎月楽しみにしていました。
記録や技術書を読むことに対して「頭でっかちになる」と言って否定的にとらえている人います。そんな人が面倒見が良かったりすると、その人に連れて行ってもらう人は「リーダーの言うこと・やることが絶対」になって地図さえ読まなくなる人もいます。
経験にしろ読書にしろ判断の材料としてとらえるべきで、目の前の状況を自分の頭で判断することが、山登りの面白さだ・・・。というのは伊藤さんの記事のにもありましたか?。
これは山登りに限ったことではなくて、経験とか年功を尊ぶ日本文化が逆に作用して、文字情報を尊重しないのかな?とも思います。
個人的にはヘリコプターネタを期待しています。
>個人的にはヘリコプターネタを期待しています。
ヘリコプターに関する話ですと、ここ最近は墜落事故ばっかりになってしまいますね。東邦さんのレスキューフライト完全復活とか、そういう話題を書いてみたいものです。
そういえば「岳 みんなの山」が実写映画化されるそうです。
そこに東邦航空さんのラマが飛び回ってほしいと思っています。妄想ですけど。
そのへんから啓蒙しないと遭難数って根本的に減らない気もします。
具体例あげると長くなるのであげないからわかりにくいかもしれませんが。
そんな感じでしょうね。もっとも、啓蒙となると、難しいですけど。
そして間違い易いのが、そうして生き延びた経験をした時に、実は他の人の良い判断で生き延びたり、幸運で生き延びたのに自分の力で生き延びたと思ってしまうことです。謙虚にいきましょう。
>謙虚にいきましょう。
これが、なかなか難しいのかな?と、常々思います。このエントリーでは伊藤達夫氏について触れましたけど、結局凍死してしまったわけですし。