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「九条の会」の立ち位置(2)・2014年・・澤地久枝さん「品位ある政治を」

2016-09-17 | 野生の思考・社会・脱原発


2014年の「九条の会」の講演会の記録の中から、会の発起人のお一人である、

澤地久枝さんの講演のご紹介を続けます。

リンクは張っておりませんが、アマゾンなどでご購入になれます。


             *****

         (引用ここから)


「市民の希望を蹂躙する政治」


私たちは今、「憲法を忘れよ」と迫られています。

「忘れよ」と言われ、次々に新しい草案を見せられて反対をしました。

次に安倍内閣は憲法改正条項である「96条」を変えて、改正をしやすくしようとしました。

これにも私たちは猛反対しました。

日本は「憲法9条」があるために、戦後今日まで一人の戦死者も出さずにきたわけです。

どの国の人も、一人も殺していません。

その「9条」を変えるとなれば、国民の大反撃に会うのだということを、安倍さんという人は想像もしていない。


私たちはなめられています。

「9条」を、あの人にちゃんと読んでやりたいと思います。

「9条」の1項「国権の発動たる戦争と武力による威嚇または武力の行使は国際紛争を解決する手段としては永久にこれを放棄する」。

そして2項は「前項の目的を達するため陸海空軍その他の戦力はこれを保持しない。国の交戦権はこれを認めない」。

ここのどこに「集団的自衛権」などというものが生まれる解釈の余地がありますか?

それなのに今、新聞やテレビは「集団的自衛権」という言葉が勝手に一人歩きをしています。


地球全体で見れば、世界はもう戦争とか戦力といったものから抜け出そうという気運になっています。

戦争よりもたとえば、汚い水を飲んで子供が死んでいくとか、学校へ行くことができない、あるいは子供が拉致されて政治のテコにされるというような、平和でない状態から抜け出したい。

そういう気持ちが一般市民の気持ちとして、とても強くあると思います。

でも、そういう世界において占める日本の位置、希望を蹂躙しているのが、今の安倍内閣だと私は思います。


「恥じ知らずの政治家たち」


こんなにひどい政治に日本が陥ったことは、昔の明治憲法の時代を振り返ってみても、かつてないと私は思います。

こんなにも人々の意思が踏みにじられたことが、かつてあったでしょうか?

もっと平和で安らかでそれぞれに豊かに暮らしていきたいと思う私たちの気持ち、世界中の人たちと仲良くしたい、戦争も紛争もいらないと心の底から思ったその日から、まだ満70年にならないという時に、政治家たちはそんな出発点をもう振り向きもしません。

高級官僚たちもそうです。


それに3年前の福島の原発事故はまだ何も問題は解決されていませんね?

原発の事故なんか忘れたような顔をしている政治家たちは、なんと恥知らずなのだろうと思います。

2020年のオリンピック開催地が、東京に決まりました。

決めた国際オリンピック委員会もひどいですが、この招致のために安倍さんは何と言いましたか?

「福島第一原発事故を巡る状況はコントロールされている」と言いました。

コントロールなんかできていますか?

放射能で汚染された水を海に流して、海はどうなるんですか?

海は命の源ですね?

海の水は世界を回遊しています。

日本だけの問題ではなくて、世界の海で魚資源を中心とした海からの恩沢が放射能で汚染される日が来ようとしているのです。

放射能で汚染された水がどれだけ海に流されたか、今も流されているか、考えてみてください。

そんな状況であるのに「コントロールされている」とは、よくも言ったものだと私は思います。

安倍さんは本当にセールスマンになったと思いますが、財界の代表を引き連れて世界中に行っています。

トルコとも約束をした。

インドとも約束をした。

何をやろうとしているかというと、あの原発のノウハウを輸出するということです。

自分の国で事故を起こしてどうにもできないでいるものを、外国に輸出して金儲けをしていいのですか?

そんなことが許されますか?

それがアベノミクスです。

こういう国であることを、私は恥じます。

非常に残念だと思う。

おかしいことはおかしいと、言わなければならないのです。


「市民運動のうねり、言葉の力」


「九条の会」は今全国に7500もできています。

さらに他にも「平和のための会」とかその土地その土地でユニークな言葉をみつけて市民運動をやっているところが全国に何万とあります。

時には5人、10人しか集まらないかもしれないけれども、定期的に会合をもって「戦争はしたくない、戦争をしないでいるにはどうすればいいか」ということを市民たちは話し合っています。

こういうことは、日本の社会ではかつて考えられないことでした。

日本の市民社会は、確実に変わってきています。

こうした運動を通じて、人々は政治というものは信じられないと考え始めた。

政治家たちは、市民がさらに自覚して動き始めるならば、自分たちの命は絶たれると思っています。

だから安倍さんは一番、市民運動を恐れています。

怖がっていると思います。

怖がる人は何をするかというと、笠に着たように挑発をするんです。

威嚇をします。

今私が目にしているのは、本当に恥ずかし気もなく市民に向かって威嚇を繰り返している政治家なんです。

井上ひさしさんは、

「話し合いによって解決できないことは何もない。

言葉にはそれだけの力がある」

と言っていました。

言葉にその力があるならば、必ずこんな愚かしい政治も変えることができるでしょう。


「小国の幸福を築けばよい」


1988年、もう昭和の時代がいつ終わるかという年の暮れでしたが、大岡昇平さんは、もうすぐ80才という時に亡くなりました。大岡さんの言葉をご紹介したいと思います。

大岡さんは、敗戦の時はフィリピンのレイテ島の捕虜収容所におられて、そこで祖国の敗北を知りました。

「祖国の敗北に人生の道半ばで出会うわが身の不幸に泣いた」。

大岡さんはこの時35才くらいで、妻と二人の子供がありながら、軍隊へ持っていかれていました。

「不幸に泣いたが、絶望はしなかった。
明治の初心、明治のそもそもの心に戻って4つの島の小国の幸福を築けばよいと思っていた」。

大岡さんは本当に先を見通していたと思います。

私は今、日本は小さな国になるといいと思っています。

なんで金儲けをしなくてはならないんでしょう?

なぜこんなに金、金と言う国になってしまったんでしょう?

武器輸出案も、非核三原則も、みんな「なし」にして、武器を作り、武器を買い、武器を輸出する。

核兵器になる原発のノウハウも輸出している。

そんな政治の下に、今私たちはあります。

それはなぜですか?

誰のためですか?

経済界の人たちがもっともっと金儲けをしたいと思っている今の政治は、その彼らの欲望のお先棒を担いでいるのです。

日本は、これ以上大きな国になどならなくていいです。

中国が世界の貿易の額では日本を抜いて、今やアメリカも抜こうという勢いで発展しています。

中華人民共和国という1949年に新しくスタートした国として、大きくなろう、大きくなろうとしている。

その表れの一つが、軍備の強化ですね。

挑発的な行為をすることもあります。

けれどもこうした中国に対して、世界に対して、今こそ、

「私たちは憲法を守る国であります。

私たちは、武力は全部捨てました。

武力を使って解決をしようとは思いません」と言うべき時です。

この言葉が、世界中の人たちに答えをもたらします。


「歴史を伝えていくために」


今、武力がどれだけ大きくあったとしても、武力を使って解決されることなど何もありません。

国境線がどこだというようなことは、武力によって解決してもまた武力によって蒸し返して、結局元の木阿弥になります。

元の木阿弥どころか、よりひどいことになるということは、私たちのこの前の戦争がつぶさに教えてくれています。

この前の戦争、第2次世界大戦の口火を切ったのは、1931年に満州事変を起こした日本です。

日本は日独伊三国同盟を結んで、世界を敵としました。

そして最終的にはただ一国で戦い、最後に無条件降伏をし、初めて世界中が平和になりました。

1944年までしか統計はありませんが、戦争中軍事費は国の予算の85.6パーセントを占めていました。

軍事費が予算の9割近くになって、人々の生活が成り立ちますか?

そういう過去の歴史を今、若い人たちに伝えるのは非常に難しいですけれども、「九条の会」のもとに集まっている皆さんは若い人の肩をたたいて、私たちが体験してきたことを伝えていかなければならないですね。

加藤周一さんは、「老人と若者が同盟を組んでやっていける。老若同盟」とおっしゃっていました。

なぜならば老人と若者には時間があるから、と。

そのとおりですね。


「九条の会」の皆が熱く心に秘めていることは、二度と戦争はしない、ということですね。

今や「わが子を戦場にやらない」「わが家族を戦場にやらない」という言葉が、本当に現実のものになってきています。

この言葉を安倍さんに、政治家たちに投げつけたい。

「憲法」は私たちのものです。

みなさん、元気で長生きしましょう。

私は、日本の政治をしっかり見届けるつもりです。

私たちは私たちの理想とする憲法を、この国の一番大事な宝物として掲げていきます。

政治家や文化人と呼ばれる人たちが何を言おうと、私たちは私たちが持っているこの理想を変えることはないのです。

             (引用ここまで)

               *****

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