引き続き、清川理一郎氏の同書のご紹介を続けます。
まだ、 「黒いマリア」の解明にまでは至りませんが、古代バビロニアの女神たちが席巻する世界については、資料が少ないので、貴重だと思います。
それにしても、何度も読み返すと、恐ろしい気分になってきます。
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(引用ここから)
「旧約聖書」の「列王記2」には、アラム王=バビロニア王が持病を治すためにヨルダン川に身を浸したことが記されている。
その時代は紀元前9,8世紀頃と考えられる。
また「マンダ教」の聖典「ギンザー」に登場する「黒い女神・ルーアッハ」は、「マンダ教」の闇の世界の女王である。
「ルーアッハ」は「黒い女神・リリト」と同一視される。
「リリト」の語源の一つに「暗黒」がある。
「マンダ教」に現れる「ルーアッハ」は、「リリト」と同じように、紀元前をはるかに遡る古い時代のバビロニアの大地母神だったと考えられる。
「列王記」の時代、バビロニアでは川に何度も身を浸して、不浄なものを取り去り、心身を再生するという、「原・マンダ教」の宗教儀礼が存在し、それが「列王記」の記述として示されている。
つまりその時代に、「マンダ教」はたしかに存在したのだ。
その後時代が下がり、今の「マンダ教」の葬送儀礼へと形を変えて受け継がれたのである。
(引用ここまで)
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ここで、「黒い女神」と呼ばれる「マンダ教」の女神「ルーアッハ」と同質の〝古代の女神″とされる「リリト」について、「wikipedia」を見てみたいと思います。
・・・
「Wikipwdia「リリス(リリト)」より
リリス(リリト)は、ユダヤの伝承において男児を害すると信じられていた女性の悪霊である。
通俗語源説では「夜」を意味するヘブライ語のライラー(Lailah)と結びつけられるが、古代バビロニアのリリトゥが語源とも言われる。
「旧約聖書」では『イザヤ書』34:14に言及があるのみで、そこではリリスは、夜の妖怪か動物の一種であった。
古代メソポタミアの女性の悪霊リリトゥが、その祖型であるとも考えられている。
ユダヤ教の宗教文書「タルムード」および「ミドラーシュ」においては、リリスは夜の妖怪である。
しばしば「この世の最初の女」とされるが、この伝説は中世に誕生した。
アダムの最初の妻とされ、アダムとリリスの交わりから悪霊たちが生まれたと言われる。
アダムと別れてからも、リリスは無数の悪霊たちを生み出したとされ、13世紀のカバラ文献では悪霊の君主であるサマエルの伴侶とされた。
サタンの妻になったという俗説もある。
紀元前9世紀ごろのバビロニア悪魔学では、リルと呼ばれる吸血鬼のような精霊が知られている。
こうした妖怪は闇の時間帯にさまよい歩き、新生児や妊婦を狩り、殺す。
おそらくこれらの存在は嵐の精霊であり(シュメール語のリル 、「大気」「風」に由来する)、「夜」との関連はセム語の民間語源説なのだろう。
初期シュメールの神話には、アダパが、南風の翼を破壊したという物語があるが、それ以来彼女(南風)は人類に敵意を抱くようになったらしい。
・・・
「リリト」という女神も、大変力のある古い女神で、悪霊とみなされていた、ということだと思います。
引き続き、同書のご紹介を続けます。
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(引用ここから)
「マンダ教」の教典「ギンザー」には、「闇の世界」の描写がある。
「闇の世界」は「光の世界」と対立するものではなく、原初から「光の世界」とは別々に独立して存在した。
「闇の世界」の「女王」は「黒い女神ルーアッハ」で、「黒い女神リリト」と同一視される。
「闇の世界の母体」は「黒い水」である。
そして「ルーアッハ」・「リリト」が「黒い水」を支配した。
「リリト」には、
「深い水底から生まれたアダムの前妻で、闇の世界の女王」という伝えがある。
また「リリト」の語源の一つは「暗黒」である。
「旧約聖書」の「創世記」1・12には、
・・・
はじめに神が 天と地を創造した
地は形がなく なにもなかった。
闇が 大いなる水 の上にあり
神の霊は 水の上を 動いていた
・・・
とある。
この「旧約聖書」の記述は、シュメール・バビロニア系資料によるものだ。
聖句の内容と、「マンダ教」の聖典「ギンザー」の「闇の世界」を比べてみると、聖句が言う「闇におおわれた水」は、「ギンザー」の「闇の世界」の「黒い水」にあたる。
また聖句の「神」は、「ギンザー」の両性具有の神「ルーアッハ」・「リリト」なのである。
つまり聖句と「ギンザー」の「闇の世界」の描写は、その本質において極めて似ているのである。
「ギンザー」の「闇の世界」の「黒い水」は、人間をつくることができるという。
「ギンザー」の一節に、こう書かれている。
・・・
彼はそこで
自分の顔を
黒い水の中に
映してみる
すると その黒い水の中から
彼の像が生み出されて
彼の息子となる
・・・
「ギンザー」の「黒い水」は、「光の世界」と対等に存在し、闇の世界の王や人間を作ることができる。
「闇の世界の神聖な神の水」を意味するのだ。
それは古代にさかのぼるシュメール・バビロニア系のおだやかな二元論に基づく聖なるコンセプトであり、
「グノーシス派」の、女性原理を象徴する子宮と一体化した〝邪悪な水″のコンセプトとは全く違うのである。
「マンダ教」の「黒い水」のコンセプトが生まれた時代は、「グノーシス派」の暗黒の水よりも、はるかに古いバビロニア時代にまで遡るものである。
(引用ここまで)
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