たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

高齢者の医療のあり方 <高齢者の多剤服用、防ぐには>などを読みながら

2018-01-24 | 医療・医薬・医師のあり方

180124 高齢者の医療のあり方 <高齢者の多剤服用、防ぐには>などを読みながら

 

さきほど、私が成年後見人となっている被後見人が入所している施設を訪問して帰ってきました。残念ながら昨日被後見人が入所している階の方でインフルエンザが発生し、今日から面会禁止措置をとったということで、お会いできませんでした。一ヶ月分の施設利用料を支払うという最低限の責任を果たしたものの、被後見人の様子を直接うかがえないのは残念でした。

 

ただ、私自身、関東にいるときも、あまり女性の被後見人の後見人となったことがないため、どうも苦手意識が抜けません。多少会話ができるので、なにかを話そうとしても話題が見つかりません。視覚障害のある方について成年後見人の申立人になったことがありますが、眼は不自由でしたが割合きさくに話すことができました。それでも判断能力なしとの診断でしたから、不思議に思いました。

 

今回の方は、脳血管障害(脳梗塞)で麻痺や言語中枢の機能障害があるなど、かなり重症であるかのような診断内容でしたので、ほとんど意思疎通が無理かなと思いながら、面接したら、意外とこちらの言うこともよく理解されていて、わずかながら話しもでき、意思もしっかりしている様子です。まだ後期高齢者でもないですし、一時的に悪化していたのかなという印象を受けています。

 

このことと直接関係しないとは思いますが、今朝の毎日記事は気になっています。<くらしナビ・ライフスタイル高齢者の多剤服用、防ぐには>は今後の医療のあり方として、真剣に取り組んで欲しいと思うのです。

 

問題はたくさんの薬剤服用が常態化して、副作用でより症状が悪化して、認知症など脳機能にも悪い影響を与えているような場合です。

 

記事は次のように問題点の概要を指摘します。

<1度に5~6種類以上の薬を服用する高齢者は多い。どれも必要な薬剤ならよいが、中には不要な薬を漫然と飲み続け、副作用が生じるケースもある。高齢者の多剤服用の解消にどう取り組めばよいのか。>

 

この問題は昔から指摘されてきましたが、すでに取り組み強化を図っている病院が紹介されています。

<高齢者の多剤服用問題に取り組む病院がある。国立病院機構栃木医療センター(宇都宮市)のポリファーマシー外来だ。簡単に言えば、高齢者が服用している薬剤をチェックして、必要性を再検討する外来だ。ポリファーマシー(ポリは「多い」の意味)は一般に多剤服用または多剤併用と訳されている。何剤から多剤と言うかの定義はないが、一般には5~6剤以上を指す。>

 

そのきっかけとなった患者の例が紹介されていますが、とんでもない状況です。

<きっかけは4年前に入院した80代の女性患者だった。心臓や腎臓に疾患をもち、すでに10種類近い薬を飲んでいたが、病院でさらに薬が処方され、最終的には14種類の薬を服用し、意識障害や不整脈など重い副作用が生じてしまった。よく調べてみると、同じような種類の薬が重複し、不適切な組み合わせの薬を服用していた。>

 

私が担当している被後見人がそういう状態だったかはわかりませんが、上記に上げた高齢者の例は少なくないように思うのです。

 

その取り組みの方法・成果が紹介されていますが、やればできますし、ある意味医療側と患者家族側のコミュニケーションの問題、あるいは意識の問題ではないかと思うのです。そして病院側が制度化すればよりスムーズに進むと思うのです。

 

<これを受けて2015年1月、医師、薬剤師、看護師らの多職種連携チームをつくり、患者の服用歴を聞いて、薬の必要性をチェックし始めた。対象者は、5剤以上の薬を服用し、1週間以上入院する65歳以上の患者。希望を募り、本人と家族の同意を得た患者で行う。

 17年6月までの集計結果では、104人がチェックを受け、1人あたりの平均服薬数は当初の8・9種類から4・3種類へと半減した。患者全体が服用していた薬剤の種類総数は、延べ936種類から約6割も減って、延べ387種類になった。全員の平均的な薬の服用量も減った。>

 

問題が多い薬剤は絞り込みができています。

<日本老年医学会は「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン」(15年)をまとめ、その中で抗精神病薬や睡眠薬、抗血栓薬、糖尿病薬など19分類の「特に慎重な投与を要する薬物のリスト」を作った。>

 

<このリストの中に睡眠薬のベンゾジアゼピン系薬物(抗不安薬にも使用)がある。長期にわたってベンゾジアゼピン系薬物を服用すると認知機能の低下、転倒や骨折の増加、昼間の倦怠(けんたい)感などを起こすリスクがあるからだ。厚生労働省の薬事・食品衛生審議会薬事分科会も17年3月、ベンゾジアゼピン系薬物を「長期の服用で依存を生じやすい」と使用に注意を促した。>

 

このことは最近のブログでも触れた記憶がありますが?、継続的に取り組む必要があるように思います。

 

< 医薬品のリスクコミュニケーション問題に詳しい山本美智子・昭和薬科大医薬品情報部門教授>の話しと提案する10箇条は多くの関係者が常に意識しておいて良いのではないかと思うのです。

 

<「医師と患者はパートナーシップに基づいて治療するという共通認識をもち、正直に気持ちを伝えることが大事だ」>

 

<多剤服用を防ぐ10カ条

 (1)患者と医師は治療の協働パートナーだという意識をもつ

 (2)使っている薬は必ず医師に伝える

 (3)いつでも気軽に相談できるかかりつけ薬剤師をもつ

 (4)薬が多いと思ったら、正直に医師に伝える勇気をもつ

 (5)ある薬をやめるか変更した場合、どんな不都合が生じるかを医師や薬剤師に聞く

 (6)自己判断で薬の使用を中断しない(勝手にやめると効き目が悪いと判断され、処方薬が増える場合がある)

 (7)「薬の使用は最小限に」との意識をもち、どうしても必要な薬なのか、お薬手帳を活用しチェックする

 (8)患者自身も安易に薬を欲しがらない

 (9)高齢者は若いころと同じだと思わず、薬の数が増えると副作用が出やすいことを自覚する

(10)医薬品医療機器総合機構(PMDA)のホームページにある「患者向医薬品ガイド」や「くすりのしおり」を活用する

 (日本老年医学会のパンフレットも参考に作成)>

 

ところで、上記の話しとは少し脱線しますが、興味深い記事が毎日和歌山版に掲載されていました。残念ながらウェブ上にはまだアップされていません。

 

内容は和歌山県立医大教授の金桶吉起氏の研究発表したもので、脳内神経回路網に性差があるというものです。MRI撮影装置を使って脳の動きを調査したところ、刺激を受けて活発な動きが見られたのは男性が前頭葉、女性が後頭葉ということだったというのです。

 

金桶教授は「睡眠剤や抗不安薬など薬の処方時にも考慮するケースもでてくるかもしれないとのこと。」多剤服用の副作用に加えて、性差がどのような影響が加わるのか、今後の研究の深まりに期待したいところです。

 

ここまで書いている中で、突然、電話で依頼者から相談があり、一時間近く感情的になっているのを納めながら、話しをして、いま終わりました。なにを書こうとしていたか、すこしあいまいになりましたが、この程度でこの話題はおしまいとします。


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