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白夜の炎

原発の問題・世界の出来事・本・映画

米軍と中国軍、突発的な衝突回避へ関係強化が重要=米陸軍参謀総長

2014-02-24 16:57:38 | 軍事
「[北京 22日 ロイター] -米陸軍のトップ、オディエルノ陸軍参謀総長は22日、米中両国の軍の間に適切な意思伝達経路がないことで突発的な衝突が起きるリスクを減らすため両軍の関係強化を望むと発言し、軍事交流に前向きな姿勢を示した。

両国は、南シナ海と東シナ海の領有権問題や米国と台湾の協力関係をめぐり、外交関係がぎくしゃくしている。昨年12月には、南シナ海の公海上で米海軍のミサイル巡洋艦が中国の軍艦と異常接近したため、衝突回避措置を取る事態が起きている。

オディエルノ陸軍参謀総長は北京で記者団に対し、米中両国軍の対話を深めることについて中国軍のトップと「率直で重要な」話し合いを行ったとし、「米国は中国政府だけでなく、中国軍とも多くの共通点があると私は考える。双方が約束、対話、合意を重視し、両軍間の信頼を構築することが重要だ」と語った。

同参謀総長は「すぐに相手に電話できる関係を築き、何度かのやり取りを通じて互いに信頼できるようになることが、判断ミスや問題が起きる可能性の軽減に役立つ」と語った。

また、ヘーゲル米国防長官の4月の訪中で、米中の軍事交流の強化について一段の進展が見込まれると述べた。

米太平洋艦隊の情報幹部であるファネル大佐が、中国が沖縄県・尖閣諸島(中国名:釣魚島)の制圧を想定した軍事演習を行ったと発言したことについて、オディエルノ米陸軍参謀総長は「その兆候は全くない」と述べ、同大佐は「この問題をめぐる日中間の対話と協議の重要性を強調した」と説明した。

米国防総省は20日、ファネル大佐の発言について「個人の見解」として重視せず、国防総省としては中国軍とのより緊密な連携を望むと述べた。」

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYEA1N03I20140224

好きな航空機/アドラ196

2013-07-24 16:48:59 | 軍事
アドラ196。第二次大戦中のドイツの艦上水上機。

空母をもたなかったドイツでは、日本やアメリカのような本格的な艦上戦闘機・爆撃機の開発はなかった。軍用艦船からカタパルトで射出され、フロートで着水・帰還。クレーンで引き揚げられるという、偵察などに使用するタイプである。

なおウィキペディアによれば以下のような線歴がある。

「採用後はカタパルトを装備した海軍の主要な艦船に搭載され、偵察、観測任務に就いた。特にドイツ戦艦グラーフ・シュペーやアドミラル・シェーアの搭載機としての南大西洋での活躍が有名である。また、沿岸基地からの対潜水艦攻撃や哨戒任務にも多数使用された。

本機の戦果の中で特筆すべきは、1942年デンマーク沖でイギリスの潜水艦を捕獲したことがあげられる。哨戒中の2機のアラド Ar-196は眼下にイギリス潜水艦が浮上したのを発見し直ちに爆雷を投下した。至近距離の爆雷攻撃により損傷を受けた英艦(潜水艦シール)は潜航不能となり、やむなく水上離脱を図ったが機関砲攻撃でさらに破損した。遂に潜水艦乗組員により2機に対して白旗が振られ、連絡を受けて急行したドイツ軍の掃海艇に引き渡された。航空機が潜水艦を鹵獲する稀有な事例であった。」(http://ja.wikipedia.org/wiki/Ar_196_(%E8%88%AA%E7%A9%BA%E6%A9%9F))


ホーカーハリケーン

2013-07-17 11:03:24 | 軍事
 ホーカーハリケーン。第二次大戦初期にはスピットファイア以上の機数で、バトル・オブ・ブリテンを戦った。

 木金混合で機体後半に帆布を張った構造は軽量で扱いやすかった。

 さらに被弾しても銃弾が機体を貫通してしまうことが多く、生存性にも優れていたといわれる。

 エンジンを強化したり、主翼形状の近代化を図りつつ戦争終結まで戦い抜いた名機である。

米軍による無人機攻撃はなにを「壊しているのか」/ハフィントンポストより

2013-07-12 17:42:56 | 軍事
「2011年3月17日、4機の短距離空対地ミサイルがアメリカの無人航空機から発射され、パキスタンのワジリスタン境界地域にあるダッタケールの街のバスターミナルに落とされ、およそ42人の死者がでました。これは、いわゆるアメリカの対テロ戦争のありふれた一日に過ぎませんでした。多くのアメリカ人にとってこの攻撃は、聞いたことがあったとしても、夕方のニュースの一コマに過ぎません。

しかし、その日実際に何が起こったのでしょう? 殺された42人は誰で、何をしていたのでしょう? そして、その攻撃はどんな効果があったのでしょう? それは、私たちをより安全にしたでしょうか? これらの疑問に対し、ロバート・グリーンウォルドのBrave New Foundationがリリースした新しい必見のビデオが答えています(http://www.bravenewfoundation.org/)。

この攻撃は、いわゆるシグネチャーストライク(識別特性爆撃)"と呼ばれるものです。これはCIAまたは軍隊が、標的が誰かでなく、(無人機に映る)人々が、テロリストの特徴(シグネチャー)となる不審な行動や振る舞いをとっているかに基づいて攻撃の決断を出すことです。CIAが識別せず行動に基づいて人々を殺しているということは、ある特定の酷烈な行為が、人が殺され得る行動の基準を定義してしまったと仮定されます。

それでは、テロリストの特徴的な振る舞いとはどんなものでしょうか?前在パキスタン・アメリカ大使のキャメロン・マンターがDaily Beastのタラ・マッケブリーに話したところよると、「20代から40代の男性であることが定義である」とのこと。「わたしの感じるところでは、ある男の戦闘員は、ある男の――まあ、f集会に行った愚か者、といったところでしょう。」ニューヨークタイムズが政府高官の話を引用したところによると、CIAが"3人の男たちが挙手跳躍運動をしている"ところを発見すると、それはテロリストの訓練キャンプと認識するとのこと。

ダッタケールではその日、テロリストの特徴的な振る舞いは集会(またはジルガ)であり、部族の長老たちが地元の紛争を解決するために集まるものでした。この場合では、クロム鉱山をめぐる紛争についてが解決されました。そして、実際長老たちは、10日前にパキスタン軍に集会がある事を伝えていました。「なのでこれはコミュニティと周辺地域のほとんど誰もが知っていた、オープンな公的集会であった」と、スタンフォード大学法学部教授ジェームス・キャバレロがビデオの中で話しています。

コミュニティと周辺地域のほとんど誰もが知っていた。しかし、アメリカの諜報機関は知らなかった。CIAのリーダーも。大統領も。もしくはバージニアかネバダの匿名の基地で無人機のボタンを押した人も、知らなかった。

そしてそれによって、その地域のほとんどの長老たちは、無人機ミサイルによって殺されました。前英パキスタン大使であり、現在アメリカの大学教授であるアクバル・アーメドによると、「これは。誰もが安全でなく、どこも安全でなく、何も安全でないという状況に繰り入れるもの」と、ビデオの中で話しています。「ジルガは、最も大切にされている、地域の部族にとって最も貴重な機関です。私たちが座って問題を解決する事もできないのなら、それはもはや安全ではありません。」キャバレロ教授が言った通り、「コミュニティにとって40ものリーダーを1日で失うという事は、壊滅的な状況です。」

そして政権がよく口にするパキスタンでの安定性の構築に至っては、実際このミサイルの一撃が、現地の最も安定的な勢力を除去したのです。

その日ジャラル・マンザー・カイールは、彼の4人の親戚を犠牲にした攻撃を自宅近くにて目撃した事を覚えています。カイールの6歳の息子は(当たり前ながら)その後自宅で眠るのを怖がりました。「家に帰れない、木の上で夜を過ごさなきゃいけない」と息子が言っていた事を、カイールは話します。またカイールは、「アメリカ人に私のメッセージを伝えてください。CIAとアメリカはこれを止めなきゃいけない...これは単により多くの敵を生み出しており、何百年も続く事になります。」と語っています。

カイールのメッセージは珍しい事ではありません。グリーンウォルドによると、「私が行ったインタビューの最後には毎回、人々はこう言います、"オバマ大統領に、私はテロリストではないので私の家族を殺すのは止めてくださいと伝えてください。」

オバマ大統領がそのメッセージを受け入れようとしていたかもしれない時はありました。ダニエル・クレイドマンによる Kill or Capture: The War on Terror and the Soul of the Obama Presidencyという本の中で、著者はオバマ大統領が正式に就任したすぐ数日後に、また別の無人機ミサイルの攻撃があったことを話しています。殺された人々の中には、親政府部族の長老とその二人の子供が含まれており、関係者はクレイドマンにオバマは「幸せな男でなかった」と話しました。

シグネチャーストライクの概念がその後、彼に説明されました。CIA副長官のスティーブ・カップスが、「大統領、現地ではテロ活動に関連づけられている軍隊の年齢層の男性が多数いるのが見えますが、それを常に誰か識別することはできません。」と言ったところ、オバマは「私にとってそれは十分じゃない」と答えました。

それ以降、そのコンセプトは彼に募って行ったと思われます。シグネチャーストライクで戦闘員や民間人を含め何人の命が奪われたかは、明らかになっていません。なぜなら政権はその事実を認めようとしないからです。2月にロバート・ギブズがMSNBCのクリス・ヘイズに語ったところ、彼がオバマの報道官になった際、無人機のプログラムについて全く認識しないようにと言われたとのことです。「その存在すら話に出すな」と言われたことを覚えていると、ギブズは語っています。

勿論その後、国にとってもますます滑稽で屈辱的なこのスタンスが示されてから、政権は無人機ミサイルの存在を認めました、といっても認めた程度ですが。しかしおおよその数値は他のソースによって作られています。クレイドマンが指摘するとおり、オバマが大統領に就任してから11ヶ月でノーベル平和賞を受賞するまでに、彼はジョージ・W・ブッシュの任期全体を通して合計したものより多くの無人機ミサイルの攻撃を命令しています。2012年末までには、彼はブッシュの6倍パキスタンを攻撃しています。ニューヨーク大学とスタンフォード大学の教授陣(キャバレロほか)が実施した調査によると、2004年から2012年の間で、474人から881人の民間人がパキスタンの無人機攻撃により殺害されています。これは176人の子供たちを含み、別のグリーンウォルドのビデオにてテーマにされているので、見る事をお勧めします。2013年度については、私たちが認識しているだけで、政権は約261億ドルの予算を無人機プログラムに要請しています。

5月の国防総合大学でのスピーチで、オバマ大統領は無人機と、偵察、そしてグアンタナモに関する彼の方針を明確化するのが主な目的の国家安全演説をしました。彼のアプローチの変化が目立ったように思えました。彼は1時間にも及ぶ演説の中で、「10年もの経験をもとに、今、私たちは厳しい質問を自分たちに問いかけるときです。今日の脅威の中で、私たちはどう立ち向かうべきでしょうか。」スピーチの一部で彼は、無人機の使用に反対するという良いケースさえ持ち出しました:

...軍隊だけでは私たちを安全にできません。過激なイデオロギーが根付く場所で、どこでも軍隊を使う事はできません。過激思想の源を縮小させる戦略が無い中で、果てしない戦争――無人機または特殊部隊、軍隊の派遣による――は自滅的であり、私たちの国を厄介な方法で変えてしまうでしょう。
彼はさらに「アメリカの攻撃は民間人に犠牲者を出す結果となった」と認めています。これは2011年に大統領の反テロリズムアドバイザーのチーフであったジョン・ブレナンが「巻き添え死は一度も無かった」と主張したものとは大違いです。彼は後に「確かな証拠のある巻き添え死は無かった」と訂正しました。この馬鹿げた主張はマイカ・ゼンコーによるForeign Policyの記事により覆され、ブレナンは他の役人たちと同じ報告を受けていないか、もしくはインターネットにアクセスがない、という結論を書かれました。もしくは、「彼は嘘をついていた」と。どちらにしても、それは彼をCIAのディレクターに認定することにストップをかけませんでした。

オバマ大統領は彼のスピーチの中で、「アメリカは私たちが選ぶ場所どこであろうと攻撃できません――私たちの行動はパートナーとの協議に制約され、国家の主権を尊重します。」と言いました。これについてパキスタンは異議を唱えるかもしれません。ダッタケールの攻撃後、犠牲者の家族の一部は訴訟を起こし、パキスタンの裁判所によりこの攻撃は違法だと判決が出されています。

実際に、大統領は「私たちの同盟は強く、世界における私たちの立場も同様です」と明白に示すことからスピーチを始めました。さて、世界は大きなところです。そこには他よりも私たちの立場が国家保全の大きな意味合いを持つ場所があります。例えば、ピュー慈善財団の世論調査によると、パキスタンでは、74%の国民がアメリカを敵と見なしているそうです。ブッシュ政権の最後の年には、19%のパキスタン人はアメリカを好意的に見なしていました。2012年までにそれは12%まで低下しました。現在ブルッキングス研究所で学者をしている前CIAのブルース・リーデルによると、攻撃は「下向きに滑り続けている世界で最も急速的に成長している核兵器保有国との関係を改善するには致命的である」と話しています。

大統領はまた、「従来型の航空機やミサイルは無人機より遥かに精密さに乏しく、民間人の犠牲や現地の怒りを引き起こす可能性があります」と主張しています。また間違っています。先週のThe Guardianでスペンサー・アッカーマン は、海軍分析センターのラリー・ルイスの調査をレポートしており、それによるとアフガニスタンでの無人機攻撃は有人戦闘機からの攻撃の10倍民間人の死傷者を出す可能性があると判明したそうです。「無人機は戦闘機よりも魔法のように民間人を避けるのに優れている訳ではありません。戦闘機のパイロットが民間人を守る明確な命令と訓練を受けていれば、民間人の犠牲者数を下げる事ができます」と、共著者のサラ・ホレウィンスキーは言います。

このスピーチで、オバマ大統領はまた、「私たちは恐怖に基づいた決断でなく、苦労の末に獲得した知恵から意思決定をするべきです」と語っています。その知恵に基づいた無人機の研究は――アフガニスタンの2010年から2011年のデータ――政権にとっておそらく利用可能でした。ホワイトハウスは安全な方法を探す事に興味を持っていたのでしょうか、そうかもしれません。しかし彼らはそれをしないことを選び、その代わり利己的な従来の、明らかに間違った"知恵"を繰り返しました。このような意思決定では実際の知恵のマントルを与えるのは難しいです。

しかし大統領はまた"監視増加の他のオプション"を調査するつもりだとも語りました。そして彼はつい前日に"監視と説明責任"に対する"明確なガイドライン"にサインしたとのこと。「あらゆる攻撃の前に、民間人の死傷者が出ないことがほぼ確実でなければいけない、という最高水準を定める」と宣言しています。

シグネチャーストライクについては語られませんでしたが、一部は"ほぼ確実"や"最高水準"という言葉により、もう使われる事はないだろうと見なしました。その思い込みはすぐ数日後に間違いだったと証明され、政権の職員はニューヨークタイムズに、パキスタンへのシグネチャーストライクは続くと話し、同紙のアンドリュー・ローゼンタールは"オバマ氏の演説の全体の趣旨と矛盾する"と書きました。

2週間後、6月9日に、無人機はイエメンの車両を遅い、過激派と見られた何人もの人たちを殺しただけでなく、アブドゥラジズという少年の命も奪いました。彼は10歳でした。あの"ほぼ確実"さと、新しい"明確なガイドライン"は、どうやらアブドゥラジズには十分ではありませんでした。政権はこの攻撃またはこの少年の死に対するコメントを拒みました。説明責任と透明性はこんなものでしょうか。そしてつい先週、ワジリスタンへの攻撃は16名の死者と、他5名の負傷者を出しました。

対テロ戦争に対する「厳しい質問」をいくつか尋ねるのに加え、これらの疑いの無い明らかに厳しい真実を認め始める時です。そしてその中の一つは無人機の攻撃が私たちを安全にするという思い込み――たとえそれがターゲットに向けられていて絶対確実であるという値で使用する場合でも――それは本当ではありません。ですから、政権が私たちに信じ込ませるような、安全性と思いやりの間の選択肢はありません。「最高司令官として、私はこのような悲痛な悲劇と、その選択肢を天秤にかけなければなりません」とオバマはスピーチで語りました。「テロリストネットワークに対して何もしなければ、はるかに多くの民間人の犠牲者を招くことになります。」あたかもこれが私たちの唯一の選択肢であるかのように――アブドゥラジズのような少年を殺すか、何もしないか。

「私たちの標的であるテロリストは、一般市民を標的にしており、イスラム教徒に対するテロ行為による死者数は、無人機攻撃の民間人犠牲者の推定数を小さくすることを、覚えていようではありませんか。」と大統領は続けました。

しかし彼はその"テロリスト"たちが決まった人々で、私たちはただそれを探して殺すだけかのように話します。テロリストが民間人を標的にするということを考えてみると、さらにテロリストを生み出さないという根本の方針はどうなのでしょうか? ダッタケールの攻撃後、そのコミュニティの穏健派や親米派、民主化指導者の支援に何が起こったと思いますか?(もちろん、殺されなかった人々のことを話しています。)彼らのスタンスは強化されましたか?攻撃は彼らのケースに役立ちましたか?

確かに、私たちは何人かの人々を殺しました。その一部は、疑いも無く"悪人"でした――しかし、それで私たちはより安全になりましたか? ビデオの中で、パウエル国務長官の前チーフスタッフであったローレンス・ウィルカーソンが、これは犠牲者の数の問題ではないと話しています。「ベトナム戦争の死者数測定基準には欠陥がありました。無人機攻撃も同様です...私たちが1人殺すたびに10作るとしたら、どうして勝っていると言えるのでしょうか?それは勝利を見分ける基準ではありません。勝利はイスラム教徒が過激派のサポートをやめると決めた時です。」デイビッド・ペトレイアス将軍の前シニアアドバイザーであるデイビッド・キルカレンは、これに同意します:"ブローバックと政治的不安定化の面が、最終的に私たちを安全でなくさせます。」

ホワイトハウスがこの件に関して、スノーデンの暴露後にNSAの監視プログラムについて大統領が主張したときと同じように、議論を望んでいないのは明らかです。

政権が要するものは、善意、高基準、そして透明性への約束を主張するスピーチを作成すること――そしてその他全てを極秘で立ち入り禁止だと宣言すること。

だからグリーンウォルドの新しいビデオは価値があるのです。ホワイトハウスがせずとも、私たちの名の下で何が起こっているか垣間見ることができます。グリーンウォルドは言いました、「私たちは議会がシグネチャーストライクを禁止する法律を導入するよう、ビデオを使って働きかけています。」ですから見てください、そして大統領が欲しいと主張する討論を始めてください。無人機ミサイルがパキスタンやアフガニスタンやイエメンで爆発しているかもしれません、しかしその副産物は、ここ私たちの故国にて今後何年間も影響を及ぼすでしょう。」

http://www.huffingtonpost.jp/arianna-huffington/post_5187_b_3590230.html?utm_hp_ref=japan

慰安所を利用した兵士の証言

2013-07-02 18:47:15 | 軍事
「慰安所行った、でも話せない 元兵士「妻や子にも迷惑」

慰安所の行列に並んだ体験を語る男性。日本に残した恋人の存在が胸をよぎり、逃げ出したという=大阪府内

 【武田肇】旧日本軍の慰安婦問題に関心が集まっているが、元兵士たちはその体験を胸に秘したままだ。敗戦から68年、葛藤に悩みながら亡くなった人も多い。語れない理由とは――。

 「家族にも一切明かしたことのない話だ」。関西地方の90代の男性は6月中旬、喫茶店で記者にそう切り出した。

 太平洋戦争が開戦した1941年、旧満州(中国・東北部)の国境守備隊に配属された。兵士は約1万人。ソビエト連邦(当時)と川一つ隔てた小さな町に慰安所が4軒あった。うち1軒が下級兵士が利用できる軍指定の施設だったという。「内地には公娼(こうしょう)制度があったから不思議には思わなかった」

 月1回、外出が許可されると慰安所に通った。建物の特徴から「白壁の家」と呼ばれ、いつも順番を待つ若い兵士の行列ができていた。相手にする女性は朝鮮人だった。時間は10分程度。心の安らぎもないまま事務的に済ませて、外に出たという。

 慰安婦と日本語で会話を交わすこともあった。でも、「なぜ、そこで働いていたかは聞かなかった」。男性自身、死を覚悟する毎日だった。彼女らがかわいそうという感覚はなかった。「ぼくらも消耗品。自由を奪われたかごの鳥同士、同類相哀れむような感覚だった」

 心に閉じ込めていた記憶がよみがえったのは、5月中旬、日本維新の会共同代表の橋下徹・大阪市長の発言をきっかけに、「慰安婦」問題が連日報じられるようになってからだ。慰安婦を思い、「残酷な人生や」と胸が痛んだ。
 「(当時)慰安婦は必要なのは誰だってわかる」と語った橋下氏に憤りが募った。「戦場を見てきたかのように軽々しく言ってほしくない」。だが、そんな葛藤も人前では語れない。「ぼくらが何を言っても世間にたたかれるだけ。それに話せば妻や子、孫にも迷惑がかかる」

 大阪府の元兵士の男性(93)も、橋下発言をきっかけに、慰安所の記憶を細部まで思い出した。日中戦争が始まって3年後の召集で砲兵になった。

 初年兵のとき先輩に慰安所に連れて行かれ、行列に並んだ。自分の順番が来る直前、小屋を覆うアンペラ(むしろ)から、慰安婦の女性が力なく兵士に組み敷かれる姿が見えた。ショックで逃げ出した。

 「故郷で待つ恋人を思い出して我に返り、純潔を守らんとと思った。それがなかったら、行っていた」
 兵士の強姦(ごうかん)を防ぐために慰安婦や風俗の利用が必要――。そう主張する人もいるが、経験から照らして疑問だと思う。「若い兵士の中には、慰安所で女性を知るとしんぼうたまらなくなり、強姦に走る者もいた」

     ◇
■聞き手に責任も
 「女たちの戦争と平和資料館」(東京都新宿区)館長で、元NHKディレクターの池田恵理子さんは長年、元慰安婦や元兵士の証言を集めてきた。被害女性たちは1990年代になって支援者に支えられ名乗り出るケースが相次いだが、元兵士の圧倒的多数は「戦場の性」について正面から語らないままという。

 「加害責任の希薄さに加え、性的な問題を語るのは恥という意識も妨げになった。慰安婦問題が南京大虐殺と並んで政治対立の争点になると、タブー視する空気が一層広がった」

 元日本兵の体験を聞き取り、「戦争と罪責」(岩波書店)を書いた精神科医の野田正彰さんは、兵士らの沈黙には「聞き手」にも責任があると指摘する。「良心の痛みを伴う戦場体験を、戦後世代はどれだけ真剣に聞いてきただろうか。少数ながら、自分のおかした行為を証言してきた元兵士もいる。その勇気ある証言を社会がどう受け止めてきたかも問われている」」

http://digital.asahi.com/articles/OSK201306300117.html?ref=comkiji_txt_end_kjid_OSK201306300117

アメリカの敵-スノーデン 2

2013-06-13 15:54:13 | 軍事
 日本国内の通信も筒抜け。

 スノーデンは長年にわたるNSAに対する観察からリークを決断したという。



「コンピューター・セキュリティ会社は毎年の年次報告で、組織にとっては外部のハッカーよりも、組織の情報にアクセスできる内部の人間のほうがはるかに大きな脅威になる、と繰り返し述べてきた。

米軍のサーヴァーにあった秘密文書を大量にリークした米陸軍の情報分析員ブラッドリー・マニング(日本語版記事)は、その明白な例だ。しかし、マニング容疑者は下級の分析員だったので、そのアクセス権は、ほかの人がつくったデータと書類までに制限されており、監視システムとインフラ自体には及んでいなかった。

その意味で、エドワード・スノーデン(29歳)が米国家安全保障局(NSA)の機密情報をリークした件は、NSAからするとはるかに決定的で憂慮すべきものだ。システム管理者の同氏は、NSAという王国自体へのカギ、組織の秘密と脆弱性のすべてに関する知識、そしてインフラの運用そのものをコントロールする力をもっており、同組織の誰よりもはるかに大きな脅威だった。

スノーデン氏はNSAの「インフラストラクチャー・アナリスト」として、「席に座っているだけで誰の情報をも盗み見ることができた。個人の電子メールがひとつあれば、その人物やその会計士、あるいは連邦判事、さらには(米国の)大統領に対しても可能だった」と話している。

スノーデン氏はさらに「NSAやインテリジェンス・コミュニティー(情報機関によって組織されている機関)で働く全員の連絡先、世界中にいる秘密の情報提供者のすべて、各拠点の位置、ミッションの内容など」へアクセスすることもできた。

「もし米国に損失を与えたいと思えば、ある日の午後にでも監視システムを落とすことが可能だった。わたしにはその気がなかったが」とスノーデン氏は言う。

彼が今回のリークで意図したのは、あるいは少なくとも希望したのは、彼が問題だと感じる情報システムを別の形で引きずりおろすことだった。一般に公開することによって、その方針を変更させるという形で。その意図が成功するかどうかは時が経たないとわからないが、彼のリークは少なくとも、政府による監視がどれだけの範囲に渡っているかについて、一般の人々の理解を広げた。

情報をリークした記者との連絡では「Verax」(ラテン語で「真実を述べる者」)というコード名を使っていたというスノーデン氏は、機密を扱うコンピューター・インフラでの職を、長年にわたって複数兼ねていた。スノーデン氏はリーク時、防衛企業のBooz Allen Hamilton社を通じて、NSAの仕事をしていた(同社の声明によると、スノーデン氏の同社勤務期間は3カ月以下だったという)。

『Guardian』紙のインタヴューによると、スノーデン氏は情報をリークした際、仕事も生活もハワイが拠点で、インフラ・アナリストとして年間200,000ドルの稼ぎがあった。さまざまな契約会社の所属として、NSAで4年間働いていたという。

スノーデン氏は2003年に陸軍の訓練から外れたあと、メリーランド大学にあるNSAの秘密施設のひとつで警備員を始め、その後CIAでITセキュリティ担当として働いた。2007年、CIAは同氏をコンピューター・セキュリティの職でジュネーヴに配属した。スノーデン氏はこれにより、広範囲の機密書類に関する取り扱い許可とアクセス権を得た。

彼はその時、「自分が良いことより悪いことのほうをはるかに多く行っている何かの一部になっていることに気がついた」という。

スノーデン氏は自分が知ったいくつかの情報についてリークすることを考えたが、秘密をリークすると人々を危険に晒す恐れがあることから実行しなかった。彼はまた、2008年のバラク・オバマの大統領就任で事態が変わるかもしれないと考え、リークを控えた。

2009年、スノーデン氏はCIAを離れて民間業者と契約し、その会社によって日本の軍事基地にあるNSAの施設に配属された。

それから3年間、スノーデン氏はNSAの監視組織をさらに幅広く見るようになった。そのプロセスで幻滅と不満が募り、ついには情報のリークを決断した。NSAが毎月大量の米国人の通話記録を電話会社から入手していること(日本語版記事)を示す裁判所の命令や、インターネット企業から外国のターゲットに関するデータを入手する監視システム(日本語版記事)を説明した書類などだ。

スノーデン氏がリークを決意したのは、単一の出来事が原因ではなく、NSAのあり方を何年にもわたって見聞きした結果だった。同氏はGuardian紙に対し、「彼ら(NSA)は世界のすべての会話とあらゆる形式の行動が自分たちにわかるようにする、という意図をもっている」と語っている。同氏によるとNSAは「民主主義への本質的な脅威」だという。

リークを行った現在、NSAはスノーデン氏自身にとっての脅威となった。

スノーデン氏は5月初め、『Washington Post』紙の記者バートン・ゲルマンにあてて、「自分が行動の結果としてどういう犠牲を払わなければならないかは理解しているし、この情報が世間に公開されると自分自身が終わりになることもわかっている」と書いた。ゲルマン記者はスノーデン氏のリークをスクープした記者のひとりだ。

米国のインテリジェンス・コミュニティーは、「ひとりの人間が単一障害点(Single Point of Failure)であり、このリークを止めて情報を自分たちだけのものにすることが可能だとなれば、まず確実にその人物を殺す」ところだとスノーデン氏は言う。

そのような危険があっても「勝てる」ということを示すことで、「行動に出る勇気をほかの人たちに与えたかった」とスノーデン氏は述べている。

※米国は、世界規模の通信傍受システム「エシュロン(Echelon)」(日本語版記事)を構築しており、その運営主体はNSAと言われている。日本でもエシュロン傍受施設が青森県の三沢基地に置かれており、日本政府や日本企業等の情報も含め、無線や携帯電話、インターネット回線など、日本国内の通信が常に傍受可能とされている。」

http://wired.jp/2013/06/11/nsa-leaker-ultimate-insider/

レーダー照射問題・技術解説

2013-04-24 13:54:59 | 軍事
「射撃管制用レーダーを「照射してない」とシラを切れるのか?

防衛省技術研究本部 元・射撃管制研究室長の外園博一総務部長に聞く

酒井 康治

今年1月30日、中国の艦船が日本の護衛艦に向け「照射した」ことによって、にわかに注目を浴びることとなったキーワード、「射撃管制用レーダー」。その目的は、読んで字のごとく相手に狙いを定め、攻撃を加える態勢を整えること。しかし中国側は、いまだそのレーダーの照射自体を認めていない。テクノロジー勝負の高度な“電子戦”が日々繰り広げられている時代、3キロといわれる至近距離での照射について、“シラ”を切ることはできるのか。防衛省技術研究本部の元・射撃管制研究室長で、現・総務部長の外園博一氏に、射撃管制用レーダーの“正体”について聞いた。
(聞き手は森永輔、酒井康治)

(外園博一(ほかぞの・ひろかず)
防衛省技術研究本部総務部長(工学博士・電気工学専攻)。1957年生まれ。80年慶応大学工学部電気工学科卒業、83年同大大学院理工学研究科電気工学専攻修士過程修了、92年同大大学院理工学研究科電気工学博士課程修了。81年4月防衛庁技術研究本部入省、同年8月同本部第3研究所、94年装備局開発計画課、96年同局航空機課誘導武器室等を経て、98年4月技術研究本部第3研究所射撃管制研究室長。その後、技術研究本部第2研究所センシングシステム研究室長、防衛省技術研究本部企画部企画課長、同省経理装備局システム装備課長、同局技術計画官、同省技術研究本部航空装備研究所システム研究部長等を経て、2011年8月現職)

中国の艦船から海上自衛隊の護衛艦「ゆうだち」に向けて「射撃管制用レーダー」が照射されたという報道があり、緊張が走りました。中国側の主張は「照射していない」ということですが、その真偽を判断するには、「射撃管制用レーダー」がいかなるものなのか、その“正体”をもう少し詳しく知る必要があると思います。

外園博一部長(以下、外園):それではまず、「レーダー」がどういうものかについて説明しましょう。簡単に言うとレーダーというのは、指向性を持ったアンテナから電波を放射し、その方向にある物体から反射された電波をアンテナで受信することで、その物体までの方位と距離を測定する装置です。「Radio Detection and Ranging」を略して「Radar」と呼んでいます。測定できるのは方位と距離ですが、3次元で見るので高さも測れます。電波は光速で進みますから、行って返ってくる時間に光の速度をかけて2で割れば、目標物までの距離が分かります。方向は機械式の回転するアンテナであればその向きで、電子式のアンテナであれば電波を出した向きによって電気的に分かります。


軍用レーダーで使うのは「光波」と「電波」

いわば電波のキャッチボールみたいなものですね。そうなると、どんな「球」を投げるのか、つまり電波の種類がポイントとなってきます。

外園:ええ、その通りです。我々が軍用として扱うのは電波と光波の2種類です。どちらも電磁波ですが、それぞれ「波長」という波の長さによって分類されます。名前から分かるとおり、波長には長いものから短いものがあり、短い方は例えば赤外線や可視光のような光の領域になります。その電磁波を出す方式と受ける方式が、電波と光波では大きく違います。光の場合は蛍光灯やランプ、あるいはレーザーのような方式で発光させ、基本的に鏡やレンズで入ってくる光を集めます。一方、電波は送信装置を使って放射し、アンテナで受けます。このようにエンジニアリング的に構成が異なるので、我々は光波と電波を大別して考えています。

 そこで波長ですが、長いものは主に通信、そしてラジオ放送やテレビ放送といった用途に使われます。そして比較的波長が短くなってくると、レーダーのような用途にも使われるようになります。さらに電波を軍用に絞って見ていくと、一般的に使われるIEEE(米国電気電子学会)の呼称で、周波数ごとに「L帯(1G~2GHz)」「S帯(2G~4GHz)」「C帯(4G~8GHz)」「X帯(8G~12.5GHz)」「Ku帯(12.5G~18GHz)」「K帯(18G~26.5GHz)」「Ka帯(26.5G~40GHz)」というふうに分類されます。その中で、レーダーは主に「L」から「Ku」辺りの帯域を使用しています。


目的は「目標の方向と距離を正確に捉えること」

なぜ、レーダーはそうした帯域を使うのですか。

外園:電波の性質から判断して、この辺りの波長が小さな目標の方向と距離を正確に捉えられるというのが一番の理由です。通信を行うだけなら目標に届けばいいのですが、レーダーの場合は物体からの反射を捉えないといけません。また、距離と方位と高さを探るには、比較的波長が短い方が捉えやすいのです。

波長が10メートルとか長くなると、目標物を通り越してしまうとか……。

外園:「回折」といって電波が回り込むような現象が起こります。例えば、東京タワーから送信されたテレビ電波は、東京タワーが見えなくても届きますよね。あの電波も反射はあるのですが、テレビ電波は障害物を回り込むので遠くの家でもテレビが映るのです。また短波を使えば地球の裏側と通信できるのですが、それは上層部にある電離層に反射するくらいの長さの波長だから可能なのです。この回折や電離層での反射という現象は通信にとってはいいのですが、レーダーで使用すると「これはどこから返ってきた電波なんだ?」ということになってしまいます。

 さらに波長は届く距離にも関係してきます。長くなれば遠くまで届きますし、短いと届く距離が短くなります。大気中には様々なチリや雨滴、雲、霧などが存在し、ちょうどそれらの粒子のサイズと同じくらいの波長の電波がぶつかると、そこで「散乱」という現象が起こります。その結果、電波があちこちに飛んでいってしまうので、短い波長の電波は遠くまで届かなくなるのです。逆に10メートルのような長い波長の電波では、そんな大きなチリなどは浮かんでいませんからね。雲の粒子も結構大きいのですが、長い波長だと通り抜けます。しかし、短い波長だと粒子にぶつかって通り抜けにくくなります。ほかにも電波や光波には「吸収」という現象もあるので、大気中の粒子だけですべてが決まるわけではないのですが、ごく大まかな考え方として、このように捉えていただければと思います。

届く距離や直進性などを考慮して、目標物を正確に捉えるのに最適な波長の電波をレーダー用として選んでいるわけですね。

外園:はい。全般的に比較的短い波長のものがレーダー用として使われます。さらにレーダーの中でも、目的に応じて周波数帯が変わってきます。民間利用だと航空路を監視するものや、船舶レーダー、おなじみの気象レーダーなどがあります。最近では波長の短いミリ波を使った、自動車の衝突防止用レーダーなどもあります。これは「V帯」辺りの電波を使っています。前方車両との衝突防止なので、それほど遠くまで届かせる必要はありませんから。

「X帯」と「Ku帯」「Ka帯」のところに、「ミサイルシーカー」というのが出てきますが。

外園:ミサイルシーカーというのは射撃管制用レーダーとは違って、ミサイルに搭載した光波もしくは電波のレーダーのことで、「ミサイル誘導装置」とも呼んでいます。これで目標までの距離と方向を把握し、ミサイル自身で目標を追いかけることができます。シーカーも含めて、我々が研究開発の対象としているのは、主に「L帯」から「Ka帯」になります。


射撃管制用レーダーで使用する電波の周波数

電波とレーダーの概要が分かったところで、いよいよ射撃管制用レーダーとはいかなるものなのか、説明していただけますか。

外園:ご承知の通り、その目的は射撃を行うため、正確に目標を捉えることです。電波としては、比較的波長の短い「S帯」「C帯」「X帯」辺りを使います。弾やミサイルを撃つための情報を得るレーダーですから、捉えなければならない距離がある程度長くなるので、ミサイルシーカーよりも電波の波長は長めになります。

射撃管制用レーダーの中で、「L帯」や「S帯」「X帯」といった周波数の使い分けはどうなっているのですか。

外園:一般論ですが、「L帯」や「S帯」は比較的遠くまで見渡すことができますが、我々が「分解能」と呼ぶ方位や距離を正確に捉える能力は、「X帯」に比べて悪くなります。これらは目的に応じて、どれを搭載するか変わってきます。

 もう1つ大きなポイントが、アンテナのサイズです。同じ利得(アンテナから得られる電波の強度)を得ようとした場合、波長の長い方がアンテナが大きくなります。ですからミサイルシーカーなどは、より正確に目標を捉えるという目的もありますが、小さなアンテナで済む短い波長の電波を利用します。仮に「S帯」のアンテナをミサイルに積もうとしても、ミサイル自体を大きくしなければならず、現実的ではありませんね。

1つの艦船は、波長の異なる射撃管制用レーダーをいくつも搭載しているものなのですか。

外園:射撃管制用レーダーの場合、艦によって種類が異なるのが一般的です。1つの艦がやみくもに「S」「C」「X」の3種類のレーダーを全部搭載していることはないと思います。レーダーのためだけに艦が存在するわけではありませんから、管制対象の武器システムに応じて最適なものを搭載するという考え方が基本です。しかし、射撃管制用レーダーも進化しています。新しいものだと遠距離は「C」で見て、近くや低空などを「X」で見るといった使い分けをしています。ただしこれだけ帯域が異なると、1つのアンテナや送信装置ですべてをカバーするというわけにはいきませんから、アンテナなどは周波数ごとに別のものを搭載することになります。

 アンテナや電波の送受信装置は別ですが、入ってきた信号の処理は同じ装置で行うケースが増えてきています。あくまで射撃管制“用”レーダーですから、それだけでは射撃管制はできません。レーダーで得られるのは目標の位置情報だけなので、そのデータを後ろの「コンバット・ディレクション・システム(戦闘指揮統制システム)」に入力し、そこが最適な射撃管制を実施する、という流れになります。

 これで対艦も対空も両方対応しています。ちょうど海上から空に向けた半球の空間を探索するような格好ですね。またミサイルだけでなく、シーカーを搭載していないロケット弾についても射撃管制は行います。

これで、どれくらいのエリアを監視することができるのですか。

外園:艦船が搭載する艦対空ミサイル場合、例えば「エリアディフェンスSAM(Ship-to-Air Missile。地対空ミサイルの場合はSurface-to-Air Missile=艦隊防空ミサイル。広範囲に展開する艦隊全体を守るため、射程距離が長い)」とか「ポイントディフェンスSAM=個艦防空ミサイル(各艦が個別に自衛のために使用するので、比較的射程距離は短い)」などで違ってきますが、射程距離が長いものだと数十キロメートルから約百キロメートルあります。ですから、それ以上の範囲を射撃管制用レーダーもカバーしています。

レーダーを照射されれば「それは分かります」

さて、いよいよ核心に迫っていきたいと思いますが、この射撃管制用レーダーで使用している周波数帯、波長というのは、世界の軍隊で共通なんですか。

外園:技術的合理性という面で考えれば、自ずとこの辺りの帯域に決まってくると思います。米国だけ違う、あるいは中国だけは別、ということはありません。仮に違いがあったとしても隣合う帯域で異なる、例えば日本が「C帯」で見ているところを、他国が「X帯」で見ているといった程度でしょう。その程度のズレはあるかもしれませんが、いずれにしても、何か別の目的でこの帯域の電波を使用するということはあまり考えられません。

ということは、射撃管制用レーダーを照射されたとしたら、技術的には明らかに「分かる」と考えていいですね。

外園:ええ、一般論で言えば分かります。

どんな周波数で照射されたかも分かると思うのですが、例えば「C帯」で照射されたとして、それが船舶用のレーダーかもしれませんよね。

外園:あくまで一般論ですが、射撃管制用レーダーかどうかを認識するポイントとしては、まず「波長」があります。そして電波の「当て方」です。射撃管制用レーダーはミサイルを正確に予想会合点(ミサイルと目標物が将来ぶつかる場所)に導くため、照射に「常続性」があります。つまり短い間隔で繰り返し電波を当て続けるわけです。船舶用レーダーの場合、頻繁に照射を繰り返さなくてもある程度の間隔で海上をざっと調べればいいので、常続性が大きく問われることはありません。あとは射撃管制用レーダーの信号処理が何種類かあるのですが、もう少し微細なパルスの当て方などを調べれば分かります。

 さらに各国の軍隊は相手がどういった電波を使っているのかデータを収集・分析していると考えられます。我々も電波に関して、そうした様々なデータを集めています。

そこまで調べ上げているのなら、「照射してないよ」とシラを切られれば、「何言ってんだ?」といった感覚でしょうね。


「射撃管制用レーダーを判別するポイントは、波長と電波の当て方。電波に関するデータ収集などの日頃の活動も重要です」と外園部長

外園:我々はその部署にいないので、そこはなんとも……。あくまで技術的な一般論という見地に立てば、「射撃管制用レーダーを照射されれば、分かります」ということです。当然、技術とは別に、オペレーション上、どのように判断するかということはあります。

撃たれるかもしれないという緊迫した状態、高度な判断を問われる状況下において、「この電波は何だろう?」というのはまず考えにくいですよね。

外園:繰り返しになりますが、技術的な一般論からいえば、射撃管制用レーダーを照射されれば、わかると思います。


「ロックオン」された状態だったのか?

よく「ロックオン」と言われますが、射撃管制用レーダーを照射されたことは、すなわちロックオンになるのですか。

外園:いいえ、それは違います。射撃管制用レーダーにはモードがいくつかあって、照射したからといって、即ロックオンというわけではありません。射撃管制用レーダーも最初は目標がいるのかどうか、「捜索」しなければなりません。その段階では先ほどの常続性はあまりなく、間欠的に広い範囲に電波のビームを振りながらスキャンします。そして目標を発見したら、それを精密に追尾しなくてはなりませんから、目標に対して集中的にビームを向けます。その結果、しっかりと目標の航跡を捉えられるようになった状態に移行したことを「ロックオン」と言うのです。

 現在のデジタル化された射撃管制用レーダーだと、捜索ビームを出しながら目標を追尾できます。捜索中に目標が発見されればレーダースコープに目印が示されますが、それは単に“いる”というだけです。その際、自動モードにしておけば、目標を発見した時点でそこにビームを集中し、追尾モードに切り替わります。目標を発見した場合、ロックオンするかどうかの勧告を出して、オペレーターが操作することもある(半自動モード)でしょうし、レーダースコープを見ている人が手動で目標にビームを集中させる(手動モード)といったこともあるでしょう。

 いずれにせよロックオンされたらシステムがどんどん動きますから、その先はすぐわずかです。発射勧告が上がり、受諾すれば弾が発射されます。

 逆に自分の艦が追尾ビームを当てられてロックオン状態になっていれば、そこに集中的に電波を浴びていますから、警告が出て、対抗手段を取れるような仕組みが出来上がっています。これはあくまでシステム上の話で、そこからの行動については、go‐no‐goの判断ということになります。

ロックオン状態ではなく、捜査用のビームでも照射されると「あっ、射撃管制用レーダーを出してるな」というのは分かりますか。

外園:それは分かります。こちらが照射する場合、電波は行って返っての2倍の距離なのでパワーも必要ですが、照射される場合は半分の距離で済みます。行って返っての電波を検知できるくらいの能力があって、それが半分でいいのですから、照射される方が分かりやすいのです。

今回、中国に照射されたというのは、ロックオンされたということでしょうか。

外園:状況からすると、そういうことなのでしょう。ただ、今回は距離が3キロメートルほどといいますから、相手を目視できるほどの距離ですよね。また、一般的に自分たちの電波も秘匿しないといけないので、“秘蔵っ子”のレーダーの電波の種類を探知されるように、そのような至近距離で出し続けるというのは、あまり考えられません……。そこはオペレーションの問題になりますが。

海上自衛隊が自動モードに設定しておけば、逆にこちらが中国の艦船に対してロックオンするということもあり得ますよね。

外園:実際にどういうモードがあり、どういう設定になっていたかは分かりませんが、自動ということであれば原理的にあり得ます。ただ、通常オーバーライト機能もありますから、違うと判断したらすぐに取り消せます。


大切なのは「レーダーリソース」の振り分け方


(インタビューは、防衛省技術研究本部 電子装備研究所 センサ技術研究部 レーダ研究室の平野誠室長も同席して行われた)

1つのレーダーでいくつのターゲットに同時にロックオンできるかというのは、その射撃管制システムの能力によるわけですよね。

外園:それについては秘中の秘です。現在のアンテナは機械式でぐるぐる回すのではなく、平面上にたくさんのアンテナを並べて電波のビームを出す方式なので、基本的には多目標捜索、多目標追尾となっています。

電波のビームの形状と言いますか、出し方はどうなっていますか。

外園:それはもう色々です。ビームの形は電子的に任意に作り出せますから。捜索の繰り返しをどれくらいの速さで行うかとか、目標をいくつ捉えたいかなど、状況によって様々に変わるのです。我々は「レーダーリソース」と呼んでいるのですが、これはレーダーの出力にレーダーの送信時間を掛けた数値で、ハードウエアの性能の最大値で決まります。このレーダーリソースをどう振り分けるか、どういうふうにビームを振って捜索するかがポイントとなります。例えばあるターゲットにこれくらいの時間照射して、こちらにはこの程度当てて……とやっていった総和がレーダーリソースです。これをどう割り振って捜索するかというのも、各国ノウハウがあります。

平野誠室長:レーダーリソースはレーダーの設計によります。前提として目標を捉えるには、十分な電波を照射しなくてはなりません。非常に遠くの目標を見るのに、短時間ピュッと電波を出しただけでは、弱い電波を少ししか受信できません。その場合はしばらく照射し続けて受信信号をかせがなければなりませんし、目標によっては短い間隔で集中的に当てないといけないケースもあるでしょう。

外園:レーダーリソースの割り振りについては相手の脅威目標、目標の距離や、動き、速さ、どれくらいの精度で予測するかなどを検討しながら設計します。最近はどれくらいの電波が返ってくるのか、つまりターゲットがステルスなのか非ステルスなのかについても考慮しなくてはいけません。ステルス機に対しては電波をたくさん照射しないと、返ってきませんから。この辺りをどう設計するかは、各国ともシステム開発者の腕の見せ所ですね。

 その一方で、レーダーリソースそのものを上げる研究も重要です。より強いパワーで、より連続的に照射できる送信器を作る技術についても、各国しのぎを削っています。さらに、「デジタルビームフォーミング」というのですが、どういう電波のビームの形状を作るかが大切です。民間の飛行機だと決められたルートを飛びますが、戦闘機の場合は突然現れて、次の瞬間、どこかへ行ってしまうこともあり得ます。そういった目標にきちっと電波を当てるために、デジタル処理で最適なビームを形成する必要があるのです。

日本ではレーダーはどのような企業が手がけているのですか。

外園:防衛の分野では東芝、NEC、三菱電機、富士通です。技術的には世界に冠たるものだと思います。


ステルス性能はどこまで上げれば完璧か?

先ほどのステルスですが、技術的にはどこまで進んでいるのでしょうか。

外園:防衛省技術研究本部では、戦闘機ではないのですが「先進技術実証機」という日本独自のステルス機を2009年から開発を始め、2014年の飛行実証を目指している段階です。

 一口にステルスと言っても、様々な技術の複合で難しいものがあります。まず、「電波吸収体」という、使用する素材や塗料などで電波を吸収してしまう技術があります。そして「形状ステルス」というのがあります。これは電波の反射を減らしたり、あらぬ方向へ反射させたりしてレーダーで捉えにくくするのです。そうは言っても航空機の場合、ただ電波の反射だけを考えて形状を決めては飛ばなくなります。空力性能を保ちながら、ステルス性のある形状にするのが難しいところです。航空機は外板の境目にリベットというびょうを打って留めるのですが、それだけでも電波を反射してしまいますから、製造段階から外板形状を含めて考える必要があります。

リベットみたいな小さなものでもマズいのですか……。

外園:局所的にはエンジンに空気を取り込むインテークなどは反射体です。内部でエンジンのファンが回っているので、電波をものすごく跳ね返します。その場合は「ステルスインテークダクト」と言って、ファンが見えないようにダクトを曲げて作る方法があります。そこに電波が入っても、反射した電波が外へ出ていけないようにするわけです。コックピットも、中は雑然としていますから、それらが電波を跳ね返してしまいます。ですから、風防にコックピット内部に電波を通さないような特殊な反射体をコーティングして、別な方向に反射させてしまうのです。このようにステルスは様々な技術をどう複合させるかがカギを握ります。

完全なステルス性というのは実現できないのですか。

外園:何をもって完全なステルスというのかにもよりますが、「ステルス性をどこまで高めればいいのか」ということが重要になると思います。

 まずステルス性が高いというのは、目標に近づかないと見つけられない、すなわちレーダーで探知できる距離が短いということですよね。その際、ステルス性を示す値としてRCS(Radar Cross Section=レーダー反射断面積。この値が小さいほどステルス性が高い)というのがあって、さらにレーダーの探知距離をはじき出す数式があるのですが、仮にRCSを10分の1に下げたとしても探知距離が10分の1になるわけではありません。探知距離はRCSの4乗根に比例するので、約6割弱程度にしかなりません。かなりがんばってステルス性を上げても、レーダーが探知できる距離はそれほど詰まりませんから、どの程度までステルス性を高めるかの見極めが大切ですね。

どこまで高めればいいのですか。

外園:どこまでいけばステルスは完璧かというのは難しいのですが、どの程度までレーダーで探知されるレンジを下げたいかということですよね。これがまた設計の妙ということになります。射撃管制用レーダーを相手に考えれば、ステルスによって「撃つ機会」が無くなればいいのです。要するに、もし発見されたとしても、発射までにかかる時間と、ミサイルが飛んでいく時間がありますが、その2つの時間までに射撃管制の網を抜けられればいいわけです。とは言え、相手の射撃管制用レーダーの能力と、射撃管制のやり方、ミサイルの性能などが複雑に絡み合ってくるので、最適な答えを導き出すのは一筋縄ではいきません。


“直径10センチの金属球”に匹敵する最新鋭ステルス戦闘機

ちなみに、ステルス機の性能はどこまできているのですか。


「ステルスに対して最適な答えを導き出すのは、本当に一筋縄ではいかないのです」
平野:米国の第5世代戦闘機「F-22」のレーダー反射断面積が、0.01平方メートルとか0.001平方メートルとか言われています。昔は1平方メートルを切るだけでも「ステルス機」と呼ばれていました。

それは、どれくらいすごいのですか。

外園:照射した電波が、見た目が0.01平方メートルの金属球から返ってくるのと同じくらいです。F-22は13~14メートルの翼があって、全長も20メートル近くありますが、それが直径10センチくらいの金属球が浮いているのと同程度だということになります。そんなのが遠くを飛んでいるのですから、優れたレーダーであってもいかに見つけにくいかということです。

それでは、まず見つかりませんよね。捉えるにはどうすればいいのでしょうか。

平野:電波の出力を上げて、ビームを目標方向に絞って集中させてしっかり見る。そうすると、見つかると言われていますが……。

外園:レーダーの送信パワーを上げるのはそう簡単ではありません。パワーはレーダーの素子に直結していますから、2倍にすれば値段も2倍になります。アンテナモジュールはかなり高価なもので、発熱もしますからなかなか大変です。

ステルス対策に何か決め手のようなものはあるのでしょうか。

外園:1つの考え方として、「バイスタティック・レーダー」というのがあります。これは、ステルス機に当たった電波は別の方向に跳ね返されるので、それを別の所にあるアンテナで拾うという発想です。つまり、電波を出す側と受ける側が異なるのです。通常は電波を出す側も受ける側も同じですから、「モノスタティック・レーダー」と言います。ステルス形状と言っても、正面からだと捉えにくくても、横から見ればもっと電波が返ってくるということもあります。バイスタティックなら、これを捉えることができると考えられています。ただ、我々も研究段階で実用化には至っていません。

バイスタティック・レーダーは何が難しいのですか。

外園:電波の信号処理は、ただ受信するだけではなく、ものすごく高い精度で時間や距離、自分の位置をつかんでおかないといけません。その上で、別のレーダーとの同期を取るのが難しいのです。互いのレーダーがばらばらな動きをしていたのでは、返ってきた電波を拾うことができません。遠くにいながら、送信側も受信側も同じ目標を見るような連携動作が重要です。さらに、通信量も膨大になりますからその処理もあります。

平野:「レーダーのネットワーク化」と言われていますが、考え方としてはあっても、世界で実現しているところはまだないと思います。それくらい難しいのです。

「矛盾」の例えではありませんが、現状、レーダー技術とステルス技術のどちらが進んでいるのですか。

外園:航空機のステルス技術のレベルは、レーダー技術とかなり拮抗していると思います。対抗手段をとらないと、従来のままでは対空戦闘は厳しくなるかもしれませんね。


軍用レーダーが目指す、3つの進化の方向性

今後、軍用のレーダー技術はどのように進化していくのでしょうか。

外園:まず1つ目が、アンテナの送信素子の高性能化です。ハイパワーで耐久性があり、高効率といった素子を目指しています。効率が悪いと発熱がすごく、どんどん冷却しなくてはなりません。空冷ならまだいいのですが、水冷式にするとかなり重くなります。素材としては、従来は主にガリウムヒ素(GaAs)系の半導体を素子に使用していたのですが、これがガリウムナイトライドという窒化ガリウム(GaN)を使った素子によって、高効率化が図れるようになってきました。この素子をレーダーに搭載できるようになると、電力負荷が下がるので、今のままで出力を上げることができます。つまり、一種のステルス対策にもなり得るということです。

そのレーダー素子はもう実用化されているのでしょうか。

平野:まだ開発中です。出力はあっても、安定的に出し続けることができるのかなど、半導体の技術者たちが熱心に研究している段階です。ガリウムヒ素は技術が確立されていて、数ワットから数十ワットの出力で大丈夫です。一方、ガリウムナイトライドだと数百ワットというレベルの強力な電波が出ていくので、それをいかにコントロールするかが難しいところです。

外園:2つ目が、信号処理です。先ほどのデジタルビームフォーミングに加え、レーダーの反射波に含まれた背景雑音をいかに除去するかという問題があります。さらに軍用レーダーだと、相手から妨害をかけられる恐れがあります。妨害には相手からフェイクの電波を出されるというのもありますが、直接妨害で、強力な電波を浴びせて飽和させるという方法で攻めてくるケースもあります。それらを除去するアルゴリズムの開発も、信号処理の技術が力を発揮する分野です。

 そして3つ目が、やはりレーダーのネットワーク化ですね。1つのレーダーだけでは、どうしても能力が限られてしまいます。複数のレーダーでネットワークを構築して、高いアンテナの利得を得る「MIMO (Multi-Input Multi-Output)」の技術を確立することが今後の課題と言えます。

 従来はここにデジタル技術という4つ目のテーマがありました。射撃管制用レーダーは射撃する前、そして射撃中もどんどん計算を終わらせていかないといけません。ですから、高負荷なリアルタイム信号処理に耐え得るCPU(中央演算処理装置)やDSP(デジタル信号処理)ボード、A/D(アナログ-デジタル)変換器などが不可欠で、その部分がネックでした。しかし、現在は民生技術が上がってきているので、防衛技術でリードしなくても済むようになりました。

レーダー技術に関して、先進国と呼ぶならどこの国でしょうか。

外園:米国、日本、英国、仏国……辺りでしょうか。送信モジュールのパワーや信号処理のアルゴリズムが優れています。ただ、日本もそうした国々と比肩していると思います。だいぶ前になりますが、航空自衛隊の「F-2」という戦闘機で国産のレーダーを積んだのですが、そのレーダー技術は米国から随分と欲しがられましたね。

それでも「照射していない」とシラをきれますか?

最後にもう一度確認ですが、射撃管制用レーダーで「ロックオン」するというのは、常続性という電波の照射方法がポイントになってきますよね。その際、ここからがロックオン、そうじゃなければロックオンされていない、という明確な境界線のようなものはあるのでしょうか。


「相手はロックオンしたとは言わないが、データが取れれば技術的合理性に基づいて判断することは可能」
外園:まず、射撃管制用レーダーを照射する側から言うと、システム的にロックオンというステータスがきっちり確立しますから、明確な境界線はあります。常続的に電波を照射して追尾を始めており、後は武器システムの方に信号を送るだけという状態になります。射撃管制用レーダーは、ロックオンのステータスを維持するためのビームを当て続けます。

 逆に射撃管制用レーダーを照射されている側からすると、捜索用として浴びている電波が急に常続的になったとします。では、それがロックオンの境界線を越えたかどうかという点については、日々のデータ収集・分析活動を通じて判断することになります。

それだと、照射した側はロックオンしたのに、当てられている側がロックオンされていないと判断することもあり得ますし、またその逆もあり得る……。

外園:そこは判断するシステムをどう設計するかにかかっています。国によっては、ロックオンの境界線を下げるところもあるでしょうし、慎重な国は境界線を上げるということもあるでしょう。

そうなると、“状況証拠”としてはロックオンだけど、照射した相手が「ロックオンしてない」とシラを切り通す“余地”も残されていると。

外園:相手は「ロックオンしたよ」とは教えてくれないので、やはり日々の活動からこちらがどれだけの情報を持っていて、それをどれくらいのクオリティーで判断できるかというのが問われます。もし詳細なデータが取れたなら、それを持ち帰って詳しく調べることで、技術的合理性に基づいてロックオンされたかどうか詰めていくことが可能です。そういう意味では、今回の「照射」は、貴重なデータを手に入れたことにもなると思います。

どうもありがとうございました。」

http://business.nikkeibp.co.jp/article/interview/20130411/246499/?P=1

「海自艦へのレーダー照射、中国共産党が指示」/産経新聞より

2013-04-24 11:45:40 | 軍事
「海自艦へのレーダー照射、中国共産党が指示 「砲身向け威嚇」も許可

産経新聞 4月24日(水)7時55分配信

領海侵犯した中国公船の23日の動き(写真:産経新聞)

 尖閣諸島(沖縄県石垣市)北方海域における中国海軍艦艇による海上自衛隊護衛艦へのレーダー照射が、中国共産党中央の指示によるものだったことが23日、分かった。複数の日中関係筋が明らかにした。党中央から威嚇手段の検討を指示された中央軍事委員会が、レーダー照射に加え、「火砲指向」も提示。党中央はいずれも実施を許可していた。海自側は、レーダーに続き火砲も向けられれば中国側の攻撃意図を認定せざるを得ず、一触即発の事態となる恐れもあった。

 関係筋によると、党中央が軍事委に対し、海自への威嚇について検討するよう指示したのは1月14日。

 これに先立つ1月5日、安倍晋三首相が尖閣諸島周辺での領域警備で対抗措置を強化するよう指示。具体的には、領空侵犯機が無線警告に従わない場合、空自戦闘機が曳光(えいこう)弾で警告射撃を行い、海軍艦艇が領海付近に進出してくれば、それまで28キロの距離を置いていた海自艦艇が3キロまで接近することに改めた。

 こうした日本政府の対応に中国側は強く反発。党中央が威嚇の検討を指示した14日には、人民解放軍の機関紙「解放軍報」が、作戦立案を担う総参謀部が全軍に「戦争の準備をせよ」との指示を出していたと報じた。

 党中央による軍事委への指示は、「日本を威嚇する方法はないか」という内容。加えて、「日本の出方を試す必要もある」との意図も伝えた。

 これに対し、軍事委は「海上であれば艦艇が日本の艦艇に射撃管制用レーダーを照射するか、火砲の砲身を向けることが考えられる」と回答した。

 党中央はこれを認め、実施時期と場所、手順については艦艇の「艦長判断」に委ねる方針も示した。

 中国の国防方針は党中央→軍事委→軍四総部-の流れで決まり、関係筋は「照射も通常の指揮系統で決定された」と指摘する。

 海軍艦艇が1回目のレーダー照射とみられる挑発に出たのは、党中央の指示から5日が経過した1月19日。このとき中国フリゲート艦と海自ヘリの距離は数キロ。2度目はフリゲート艦と海自艦艇の距離が約3キロで、フリゲート艦の艦長は接近してきた護衛艦に威嚇で応じたとみられる。

【用語解説】レーダー照射事件

 1月30日に中国海軍のジャンウェイII級フリゲート艦が海自護衛艦「ゆうだち」に射撃管制用レーダーを照射。日本政府は、1月19日にもジャンカイI級フリゲート艦が護衛艦「おおなみ」搭載のヘリコプターに照射した疑いが強いとみている。中国外務省は「日本の捏造(ねつぞう)」と否定したが、安倍晋三首相は「認めて謝罪し、再発防止に努めてほしい」との認識を示した。」

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130424-00000088-san-pol

中国の核戦力

2013-04-19 17:14:34 | 軍事
「国連軍縮研究所(UNIDIR)が、大変参考になる資料を発表しています。

[PDF] Tamara Patton, Pavel Podvig, and Phillip Schell, A New START Model for Transparency in Nuclear Disarmament Individual Country Reports, United Nations Institute for Disarmament Research, New York and Geneva, 2013.

2011年に米ロ間で発効した第四次戦略兵器削減条約(新START)の透明性向上のために、アメリカ、ロシア、フランス、イギリス、そして中国の核戦力の現状を端的にまとめた報告書です。

この中から、本稿では中国の核ミサイルについての章を紹介したいと思います。

当ブログではこれまでに何度も中国の核戦力について取り上げてきましたが、その材料はアメリカの公的機関やシンクタンクが発表した資料に依拠していました。今回の国連報告では独自に集めたデータが採用されているものの、やはり米国防総省や米中経済安全調査委員会などの資料を引用した部分も多く、目新しさはありません。

しかしこれは、米機関発表のデータが引用するに足るとUNIDIRが認めたために、結果として同じ数字を掲載することなったわけです。アメリカ発の資料を使うと何かと文句を言われがちですが、国連のクロスチェックが入った報告書に関しては、今後はより信憑性の高い数字として扱うことができるのではないかと思います。


中国は約240発の核弾頭を保有(備蓄も含めて)し、そのうち約180発が配備中(operational)。
運搬手段は、陸上発射型弾道ミサイルと爆撃機。
全核弾頭は、通常は保管庫にてミサイルと分けられて保存されるため、即応発射態勢にある核ミサイルはない。

新STARTでICBMと分類されるものは射程5,500km以上のもの。この定義に従うと中国が保有しているのは以下の3種類のICBM;

DF-5A:射程13,000km。固定サイロ発射型。
DF-31:射程7,400km。移動発射型。
DF-31A:射程11,200km。移動発射型。

各ミサイルの配備数、発射基数は以下の通り;

DF-5A×20(発射基×20、未配備発射基×5)
DF-31×20(発射基×20、未配備発射基×5)
DF-31A×20(発射基×20、未配備発射基×?)

潜水艦発射型弾道ミサイル(SLBM)を開発中だが、現在未配備。
ICBMは計60発(発射基も60基)配備中。空いているICBM発射基(サイロ、TEL)はない。

戦略ミサイルの運用は第二砲兵が担っており、6つの基地のうち4つ(第53、第54、第55、第56)がICBMを配備。
サイロ型と移動発射型の両方を運用するのは第54基地と第55基地。
第53と第56は移動発射型のみ。


固定サイロ発射型ICBM

洛陽(河南省):DF-5A×10
第54基地。6個旅団で構成される。
DF-5A、DF-31、DF-4(新STARTではカウントされない)を運用している。
DF-5Aを配備したサイロが10基。
基地は2つの地域にあり、盧氏県に801旅団、洛寧県に804旅団。もう1カ所あるとみられるが未確認。
サイロ発射訓練施設もある。
核弾頭搭載中のICBMはない。


懐化(湖南省):DF-5A×10
第55基地。4個旅団で構成される(新STARTに関わるのはこのうち3つ)。
DF-5AとDF-31Aを運用している。
DF-5Aを運用するのは803旅団(靖州)と814旅団(会同)。両旅団の基地は近く、駐屯地や支援基地を共有している。
サイロ発射基地は803旅団に3カ所、814旅団に1カ所。
両旅団あわせたICBM発射サイロは10基。サイロ型発射訓練施設が1つあるため、それを含めれば11基。
核弾頭搭載中のICBMはない。


移動発射型ICBM

昆明(雲南省)
第53基地。6個旅団で構成される。
ICBM運用は玉渓市近くの1つの旅団のみ(建設中)。運用状況詳細は不明。
DF-31とDF-31Aを運用している。
2012年9月時点で配備中のICBMはないという分析。

洛陽(河南省):DF-31/31A×10
第54基地。
サイロ発射型と移動発射型の両方を扱うため、ひとつの部隊(813旅団)が2カ所のICBM基地に分かれて配属されている。
移動発射型ICBMの基地は2つあり、南陽と西峡。
南陽の813旅団はDF-31が初めて配備された部隊である。
配備中のDF-31と発射車両の正確な数は不明。少なくとも2両の発射基が確認されている。
西峡の詳細は不明。移動発射車両のための整備がされており、DF-31またはDF-31Aが配備されていると見られる。
洛陽に配備されたDF-31/31Aの移動発射車両は10基。
核弾頭搭載中のICBMはない。

懐化(湖南省):DF-31/31A×10
第55基地。 第54基地と同じく、固定サイロと移動発射車両のふたつのタイプのICBMを運用する。
移動発射型ICBMを運用する805旅団の基地は邵陽市近く。
805旅団はDF-4運用部隊として配備された経緯がある。
DF-4からDF-31Aへの更新に伴い、805旅団の駐屯基地も通道トン族自治県から邵陽へと移った。
DF-31Aの正確な配備数は不明。ミサイルと同数の発射車両×10基があると見られる。
核弾頭搭載中のICBMはない。

西寧(青海省):DF-31/31A×20
第56基地。正確な場所は不明。8個旅団で構成される。
ICBM運用部隊は3つ;809旅団(大通県)、812旅団(天水市 筆者注:甘粛省)、もうひとつはデリンハ市にある模様。
2011年6月6日の衛星画像情報によると、大通県で6基のDF-31/31Aを809旅団が運んでいるのを確認。
移動発射車両が大通に常時配備されているのか、500km南東の812旅団のものが一時的に配備されたのかは不明。固定された発射車両が4基確認。
天水の812旅団はDF-31Aを運用。3基の固定された発射車両を確認。
デリンハには大規模な発射施設があり、かつては812旅団がDF-4部隊として使用していた。
812旅団はDF-4からDF-31Aへの更新にともない天水へ移動。現在デリンハの施設は訓練施設として使用されているとの情報もあるが、詳細は不明。どの弾道ミサイルが配備されているのか(いないのか)も不明だが、DF-31/31Aがあると指摘されている。
西寧には20基の移動発射車両があると見られる。
核弾頭搭載中のICBMはない。


潜水艦発射型弾道ミサイル(SLBM)

中国の潜水艦発射型弾道ミサイル(SLBM)は2種類;JL-1とJL-2。
092型夏級原子力潜水艦(SSBN)と094型晋級原子力潜水艦(SSBN)が発射プラットフォームとなる。
新STARTは「配備中のSLBM」の定義として「SLBM発射プラットフォーム(潜水艦)が配備されていること」が含まれているので、中国はSLBM未配備という扱いとなる。

夏級は12発のJL-1(射程1,770km)を搭載するが、1981年の就役以来パトロールに従事したことはなく、十分な稼働状態にない。
JL-1は就役後、訓練のために夏級に搭載されたことはあるが、現在SSBNに搭載されているかどうかは不明。

夏級の後継である晋級の詳細は不明。
米国防総省によると、2隻が就役中。1隻は北海艦隊に所属し、青島に近い姜哥庄を母港としている。もう1隻は南海艦隊に所属し、海南島の楡林を母港としている。
3隻目も建設中とされるが、進捗状況は不明。

晋級はJL-2(射程は7,400km)の発射プラットフォームとなる。
JL-2の開発は技術的な障害などを理由にはかばかしくなく、現在もステイタスは「開発中」のままである。
2012年1月と8月に晋級がJL-2の発射試験を行ったという報告がある。
米中経済安全調査委員会報告書(2012)によると、晋級とJL-2は2年以内に実戦配備されると見込まれている。
その予想とは裏腹に、JL-2はまだ大量生産状態になく、晋級の発射管は空のままだと見られる。

重爆撃機
中国空軍は少数のH-6中距離爆撃機に自由落下爆弾を搭載している。
H-6は戦闘行動半径が3,100km。新STARTでは重爆撃機には分類されない。(新STARTの定義における重爆撃機は、“行動半径8,000km以上あり、空中発射型長距離核巡航ミサイル(ALCM)発射能力があること” とされる)
射程1,500kmのDH-10巡航ミサイルを発展させ、H-6改修型に搭載する可能性も指摘されるが、DH-10に核搭載能力があるかどうかの評価が定まっていない。
2013年現在、長距離核ALCMを搭載した航空機は中国にはない。

◇ ◇ ◇

これまでも指摘してきたことですが、中国の核抑止の主役である戦略級弾道ミサイルに関しては量産されることもなく、数量的にはここ20年ほど抑制的に推移しています(短距離~準中距離級の弾道ミサイル増強は著しいですが)。なにより、普段は核弾頭をミサイルから外して保管しており、核兵器管理を厳にしていることがうかがえます。

国防総省をはじめとした米政府機関の報告書やFASなどのシンクタンクの資料でも従来から指摘されていた通り、中国によるアメリカの大都市に対する核報復攻撃能力は十分なものとは言えず、「最小限抑止」の範囲内にとどまっていますね。」

 写真はDF31A。移動式ICBMです。

http://blogos.com/article/60551/

核武装しよう

2013-04-14 21:04:48 | 軍事
 北は核を放棄しない。

 そのうちイランも開発する。

 どうするのか。

 ということで大騒ぎしているが…。

 でもインドとパキスタンの核も世界は心配していない。

 バランスているからだ。

 イランが核を持てばイスラエルの核とバランスする。

 イスラエルも無茶が出来なくなって、中東和平が進むかもしれない。

 北が核をもったのだから、今度は韓国と日本も核武装しよう。

 そうすれば東北アジア全体が核でバランスする。

 落ち着いて話が出来るだろう。

 いかがでしょうか。

沖縄の基地返還計画

2013-04-05 16:29:25 | 軍事
 安倍政権になったら急にまとまった沖縄の施設返還計画。

 官僚たちが民主党打倒のためサボタージュしていたことの証明みたいなものだ。

「仲井真知事 返還計画合意「評価しにくい」            2013年4月5日

定例会見で記者の質問に答える仲井真弘多知事=5日午前10時すぎ、県庁6階

 仲井真弘多知事は5日午前の定例会見で、同日夕に発表される米軍嘉手納基地より南の米軍5施設・区域の返還計画について「具体的に政府が基地の返還に腰を据えて取り組んでもらえるのは非常に結構だ」と述べた。その上で「所在市町村と意見交換しないと評価できにくい。すぐ(基地を抱える市町村とつくる)軍転協と詰め、必要な要請をしたい」と計画内容を見極めたいとの考えを示した。

 政府が28日に開く「主権回復の日」式典への出席については「10日までの返事を求められているが、もうしばらくして答えを出そうと思う」と述べた。同日の開催が浮上している式典抗議の県民大会には「内容の趣旨を聞かないと判断できない」と述べるにとどめた。

 12日で合意から17年を迎える普天間飛行場の返還がいまだに実現していないことには「日米両政府間で決める前に地元の理解を得るようにしないと進めにくい」と、移設条件付きの返還手法の限界を指摘した。
【琉球新報電子版】」

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-204920-storytopic-53.html

「日本の「軍事解決」に警戒=「戦争準備」は任務-中国軍幹部」

2013-03-03 20:17:14 | 軍事
「日本の「軍事解決」に警戒=「戦争準備」は任務-中国軍幹部

 【北京時事】3日開幕した中国の全国政治協商会議(政協)には、委員として人民解放軍関係者も多数出席した。海軍情報化専門家諮問委員会主任の尹卓少将は記者団の取材に対し、沖縄県・尖閣諸島(中国名・釣魚島)をめぐり対立する日本について、「日本は米国と協力し台湾問題に干渉する可能性があり、釣魚島問題の軍事的解決を図るかもしれない」との主張を展開した。

 尹氏は日本の動きに「警戒しなければならない」としながらも、「戦争は誰の利益にもならない」と述べ、話し合いによる解決を訴えた。

 空軍指揮学院副院長の朱和平少将は日中が軍事衝突する可能性について問われ、対話解決を主張する一方、「領土主権と国家の核心的利益では絶対に譲歩することはない」と強調した。
 朱氏は、中国空母の山東省青島への配備が日韓を念頭に置いたものかとの質問に「もちろんだ」と答えた。人民解放軍が「戦争への準備」を強化していることには「軍は絶えず戦闘力の向上に向けて準備をしなければならない。戦争への準備が軍隊の任務だ」と話した。 (2013/03/03-20:03)」

http://www.jiji.com/jc/c?g=int

希少植物の枯死/沖縄タイムスより

2013-02-20 15:55:35 | 軍事
「 米軍北部訓練場へのオスプレイ着陸帯建設に伴い、沖縄防衛局が絶滅危惧種を含む希少植物を別の場所に植え替えたところ、6割以上が枯死していた。共同通信が情報公開を請求し、明らかになった。

 希少植物は繁殖力が弱く、生息地は競合が少ない場所が適しているとされる。希少植物といわれるゆえんであり、簡単に別の場所に移植することが困難であるとの指摘は早くから出ていた。

 着陸帯の建設は、1996年12月の日米特別行動委員会(SACO)の合意に基づく。北部訓練場の過半(約4000ヘクタール)を返還する条件として、6カ所の着陸帯を新たに建設する予定である。

 現在、東村高江の1カ所で建設が進んでいる。枯死したのはこの場所から2007年7月に移した希少植物計11株のうち7株である。

 新設される着陸帯は高江地区を取り囲むように計画され、最も近い住宅からは約400メートルしか離れていない。すでにオスプレイの訓練が行われており、住民の座り込みの反対運動が続いている。

 オスプレイの訓練は、小さな集落の静かな暮らしを破るばかりか、着陸帯の建設によってやんばるの生物多様性を損なう結果にもなっている。残り5カ所も同じ手法をとるつもりなのだろうか。

 着陸帯の建設と豊かな自然環境の保護は両立しない。自然はいったん壊されたら、復元は容易ではない。SACOの眼目である「負担軽減」とも逆行しており、政府は着陸帯建設を見直すべきだ。

    ■    ■

 防衛局は02年6月から「自主アセス」を実施してきた。着陸帯工事は、アセス法や県条例の対象とならず、法的にはアセスは求められていないというのが防衛局の見解だ。「自然環境の保全に最大限配慮する」として県条例に準ずる形で、自主アセスを進めてきた。

 ただ、自主アセスはオスプレイの配備をひた隠しにしたまま、ヘリの種類、機数、飛行ルートについて記述されておらず、環境アセスとはとても呼べない。高江区民への情報開示が決定的に欠け、真摯(しんし)さが感じられない。県が昨年10月時点でアセスのやり直しを求めたのは当然である。

 米軍も12年6月に独自の環境レビューを公表しているが、住民意見を聞いたりすることのない一方的なものだ。

 米軍はハワイでは、空港から1・6キロ離れたカメハメハ大王の遺跡がオスプレイの影響を受けると心配する住民らの反対で訓練を断念している。明らかな二重基準だ。

    ■    ■

 沖縄、鹿児島両県にまたがる「奄美・琉球」を国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界自然遺産「暫定リスト」に載せることが決まったばかりである。

 絞り込みはこれからだが、やんばるは世界的にも生物多様性に富んだ地域である。オスプレイは下降気流が激しく排気は高温になる。貴重な動植物への影響が懸念される。

 オスプレイ配備に反対しながら、着陸帯建設は容認する県と東村の姿勢もわかりにくい。日米両政府に着陸帯建設の見直しを求めるべきだ。」

http://article.okinawatimes.co.jp/article/2013-02-19_45495

北の核兵器はどのようなものか-いくつかの推測

2013-02-12 19:43:55 | 軍事
「◎ニュースワード「ブースト型核分裂弾」

※記事などの内容は2013年2月8日掲載時のものです

 重水素と三重水素を中心部に詰め、爆縮によって小規模な核融合を起こして中性子を発生させ、効率的な核分裂を起こさせる構造の原子爆弾。同量の核物質で、より大きな威力を得られ、核弾頭の小型化を進められる。

 核融合技術を使った水素爆弾製造のための前段階といわれ、プルトニウム型、ウラン型の双方で開発可能とされる。1950年代に米国などで核実験が行われた。(ソウル時事)

◎ウラン型か、強化原爆か=「高いレベル」に臆測-北朝鮮核実験

※記事などの内容は2013年2月8日掲載時のものです

 【ソウル時事】北朝鮮が「予告」した3回目の核実験の種類をめぐり、「ウラン型」との見方に加え、威力の強い「ブースト型核分裂弾(強化原爆)」を試すとの予測が浮上した。北朝鮮が先に言明した「高いレベルの核実験」が何を指すのか、臆測が広がっている。

 北朝鮮は過去2回、プルトニウム型の実験を行っており、今回は初めてのウラン型実験に踏み切るとの見方が強い。

 こうした中、韓国軍の鄭承兆・合同参謀本部議長は6日の国会答弁で、「ブースト型核分裂弾を試す可能性も排除できない」と発言。7日には国防省報道官が、同型を試す可能性は「相当ある」とし、「広島、長崎に投下された原子爆弾の数倍に達するのではないか。都市一つがほとんど廃虚になるレベルだ」と述べた。

 同型は、小規模な核融合で発生させた中性子で、効率よく核分裂を起こす仕組み。コンパクトで強力な爆発力を持ち、1950年代に米国などで核実験が行われた。

 核爆弾に詳しい東京工業大の澤田哲生助教によると、米国は重量300~400キロの爆弾で、広島型の約6倍、長崎型の5倍に当たる100キロトン以上の爆発に成功した。この程度の重量なら、昨年12月の発射実験に成功し、米本土に届くと推定される長距離弾道ミサイルに搭載可能となる。

 北朝鮮は2010年5月に「核融合反応に成功した」と表明しており、澤田助教は「北朝鮮はブースト型の技術があると考えた方がいい。この型の実験に成功したら、米国への有効な核抑止力を持つことになる」と強調する。
 一方、韓国漢陽大の金慶敏教授は「北朝鮮はまだブースト型の技術を持っていない。実験に踏み切るのならウラン型の可能性が高い」との見方を示した。」

 なお以下のサイトにブースト型の図があります。

http://www.jiji.com/jc/graphics?p=ve_int_northkorea20130208j-03-w310