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ILOの専門家会議でアスベストの職業がんの発生が指摘され、WHOの国際がん研究機関の専門家会議でアスベストの発がん性が指摘されたのがともに1972年で、ILO条約で青石綿の使用禁止が勧告されたのが86年、WHOが青石綿と茶石綿の使用禁止を勧告したのが89年ですから、76年に「青石綿」を法的に全面禁止したスウェーデンの行政的決定は、特筆に値します。
規制の効果を反映して、アスベストによる健康被害の発生は80年代半ば頃までにピークに達し、現在ではほとんど報告されていません。ただし、アスベストが原因とされる中皮腫の潜伏期間は30年以上とされていますので、中皮腫の報告例が年々増える傾向にあるようです。
日本では、1975年に青石綿と白石綿の吹きつけが原則禁止されましたが、青石綿と茶石綿の使用が禁止されたのは95年で、白石綿も含めたアスベストの原則禁止は2004年10月でした。アスベストの全面禁止は2008年の予定だそうです。ここでも、行政の縦割りの弊害が問われます。
アスベストにかかわる日本とスウェーデンの行政対応の20年の落差は、大きな社会コストの差となって、21世紀前半の日本社会を直撃することになるでしょう。アスベスト問題は、私の環境論の考え方である「今日の決断が原則的に明日の状況を決めるという経験則」と「環境問題は蓄積性の問題」であることを理解する好例といってもよいでしょう。
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