べそかきアルルカンの詩的日常“手のひらの物語”

過ぎゆく日々の中で、ふと心に浮かんだよしなしごとを、
詩や小さな物語にかえて残したいと思います。

お月さまの涙

2008年02月02日 09時52分08秒 | メルヘン

百万年に一度
お月さまが涙を流す夜があります
悲しいからではありません
寂しいからでもありません
むしろ
そのような感情の起伏とは無関係に
ただ定められたこととして
ごくごく自然に零れ落ちる
とても清らかな涙なのです

お月さまが流す涙はたったひと粒
その美しく澄んだ雫を蓮の葉に受けて
そっと唇をひたすと
どのような恋も叶うといいます
けれどいまだかつて
お月さまの涙をすくいとったひとは
この世にただひとりとしていないのです
なにしろお月さまが涙を流すのは
百万年に一度のことなのですから

だからひとは恋をすると
だれもが胸を焦がすほど
苦しい思いをするのでしょうね
くよくよしたり そわそわしたり
めそめそしたり
心の置きどころをなくして
わが身を恨んでみたり
なにかにすがって祈ってみたり
なげいたり 悲しんだり 
ふっと ため息ついてみたりして








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