先日、小牧空港から飛び立ったT-4練習機が、近くの入鹿池に墜落しました。
とてもショッキングな出来事です。
原因はまだ調査中ではありますが…。
事故の状況から、一つの可能性として「バードストライクはあり得ないか?」
私は今そう考えています。
バードストライク…。
偶然、鳥が飛行機にぶつかってしまう事故です。
そう考えるのには、次のような理由があるからなんです…。
私は偶然ではありますが、若いころ、事故の起こった近くの航空学園で、飛行機の勉強をしていた時期があります。
つまり、飛行機についても、事故の起こった地域についても、その両方を知っているのですが…。
まず、飛行機に何かしらのトラブルが起こり、長時間の飛行が不可能になった場合、一般市民に犠牲を出さずに飛行機を
故意に落とすとしたら、パイロットの頭には、入鹿池は真っ先に思い浮かぶ場所です!
周辺は住宅地が密集している場所です。
山もありますが、そこに飛行機が墜落した場合、火事が発生して、結局一般の方に被害が出てしまう可能性があります。
どう考えても、それなりの大きさがある入鹿池は、最も一般市民に被害を及ぼさないベストな墜落場所なんです。
そのような、被害を最小限に食い止めることが出来る入鹿池に、偶然T-4練習機が墜落する可能性は、極めて低いと言えま
す。
つまり、パイロットは意図して入鹿池にT-4練習機を墜落させたと考えるのが妥当と思います。
そして、その入鹿池に墜落させることが出来たということは…。
飛行機が、それなりには操縦可能な状態であった!
そう考えるべきだと思います。
それでは、エンジンの故障については考えられないか?
今から25年前に、埼玉の入間川に、今回と同じように自衛隊の練習機が墜落した事故がありました。
この時の原因はエンジンの燃料パイプの不具合。
T-33という、大変古い型の練習機を飛ばしていた時に、燃料パイプの劣化により燃料漏れが発生。それに引火したこと、
そして、エンジンに燃料が供給できなくなったことが原因でした。
今回事故に遭ったT-4を見てみると…。
T-4にはエンジンが2基あります!
飛行機のエンジンが二つある場合は、必ず左右のエンジンのシステムは独立しています。
つまり、片方のエンジンに異常が生じても、もう一つのエンジンで飛行は可能です。
例え火災が発生したとしても、エンジンへの燃料供給をストップしてしまうだけで、火災を食い止めることが出来ます。
そして、生きている方のエンジンだけで、飛行場に引き返えすことが出来るのです。
だから、T-4については、エンジンのトラブルによる墜落は、考え難いと思うのです!
そうなってくると、操縦していたパイロットに、身体的な異常が生じて墜落した可能性が浮上してくるのですが…。
これも、ちょっと考え難いのです…。
なぜならば、T-4は練習機で、パイロットが2名搭乗しています。
一人が身体的な異常が生じても、もう一人が操縦すれば良いだけです。
また、意図して入鹿池に墜落させた可能性が高いならば、ちゃんとパイロットは飛行機をコントロール出来ていたわけで
あり、身体的な異常が発生したことも、ちょっと考えられないんです…。
機体は大丈夫。
エンジンも考え難い。
パイロットに何か起こったことも考え難い…。
そうなってくると…。
過去の航空機事故の事例を思い起こし、何か原因となり得るものはないか…。
そこで、真っ先に思い浮かぶのが、バードストライクなんです。
これは、過去の飛行機事故で何度も起こっています。
偶然、鳥が飛行機にぶつかってしまうこの事故…。
中には、今回と同じように軍用の練習機でバードストライクが起こった事例もあります。
この時は、飛行機の風防が吹っ飛んでしまい、パイロットは強烈な風圧にさらされて操縦不能となり、操縦していた二人
とも飛行機を捨てて脱出しました。
普通、ジェット機の場合、風防が取れたら、その強烈な風圧で操縦は不可能となりますが…。
日本の航空自衛隊は世界でもトップレベル。そして、教官は通常後ろの席に乗っていますから、教官ならば強烈な風圧に
耐えながらも、入鹿池に何とか墜落させることは可能かも知れません。
上記のような理由から、私は今回の事故については、バードストライクの可能性も考えてみても良いのでは?そう考えて
います。
上にも述べされてもらいましたが、日本の航空自衛隊は世界でもトップレベルです。
25年前のT-33の事故の時は、一般市民を巻き添えにしないために、最後の最後まで飛行機をコントロールし、河川敷に墜
落させました。
今回の事故も、やはり、一般市民を巻き添えにしないために、最後の最後までパイロットが頑張ったように私には思える
んです…。