飛行中年

空を飛ぶことに薪ストーブ、そして、旅をこよなく愛する一人の中年のブログです。

T2C試乗記 3

2013-07-11 09:09:27 | ハング(hangglider)

T2Cは、癖のない扱いやすいサーマリング特性を持っていましたが、それでは、グライドについてはどうか?

今回はその辺をレポートしてみます。

002 サーマルをトップアウトした後、VGを引き締めグライドに入ってみます。

VGは最近のどのグライダーも軽く引けますが、T2CもやはりVGは軽い!

いきなり100パーセント引き込んでグライドをかけてみます。

これだけVGを引いても意外にコントロールは効きます。

もちろん若干のアドバースヨーは出ますが、私の技術でもなんとかコントロールできるレベル‥。

これならグライド中不意にサーマルを見つけても、なんとかなりそうに思えます。

VG100パーセントでのピッチのバープレッシャーは、鋭利な刃物のごとく鋭さを感じる、とても軽いものです。

そのバープレッシャーに無駄な余裕はあまり感じられず、さすがはレーサー機らしい味付けです。

私だったらウデもないので、もうこれ以上ダイブスティックやリミッターを落とそうとは思いませんでした。

VG100パーセントでのグライドの安定性ですが、さすがはウイルス!。

かつてウイルスのグライダーで、直進安定性に不満を感じたものはありませんでしたが、やはり、T2Cもその例外ではありませんでした。

気持ちよく、まっすぐに飛んで行ってくれます。

意地悪にわざとヨーイングのきっかけを作ってみても、普通に飛ばしていれば収まってしまいます。

ハンググライダーの技術革新は、実は10年ほど前から進んでいません。

しかし、競技などで飛び比べてみると、最近のグライダーは少し前の機体に対して、滑空比は同じものの、明らかに巡航速度が速くなっています。

3~5Km/hほどは速いでしょうか?

これは、私は各メーカーの細かなチューニングの煮詰め、とりわけ、リブの寸法の煮詰めがうまくいっているからかと考えています。

リブが理想的に設定されていれば、それだけピッチも安定し、ウォッシュアウト(ねじり下げ)も減らせるため、理論的に高速グライド性能が良くなる筈です。

リブについては、私はまだまだ改良の余地は残されているように思えます。

(私がメーカーにいたら、いろいろと試してみたいことがあるんですが‥。)

さて、今度はT2Cの低速性能を試してみます。

VGオフでゆっくりベースバーを押して行ってみます。

マッシングの後、一気に風の音が小さくなり、ベースバーのバープレッシャーが急に大きくなって、通常のグライド速度にグライダーが戻りたがろうとします。

それでも更にベースバーを押し出してやると、T2Cはハンマーヘッドストール(頭をストンっと落とす失速)には入らず、沈下速度を増すだけでそのままの姿勢を保ちます。

とても安全性の高いものです。

これはハンググライダーで理想的な失速特性と言え、実は、ウイルスが昔からかたくなに守っているポリシーでもあります。

T2Cはすべての面において、高性能ながら、ウイルスらしくすべてがまとめあげられたグライダーでした。

是非次の自分のグライダーの候補に加えたい‥。そんな気持ちにさせてくれました。

コメント
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