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飛行中年

空を飛ぶことに薪ストーブ、そして、旅をこよなく愛する一人の中年のブログです。

すごいぞ!コントロールバー!! その2

2019-10-03 20:36:49 | ハング(hangglider)
前回では、ハンググライダーのコントロールバーがいかにスゴイ発明だったかをご紹介いたしました。

コントロールバーの役目は…。

・機体を持ち上げ、姿勢を維持できるとにより、テイクオフを可能とする。

・ワイヤー等を張ることにより、翼の強度を上げる

・着陸時にフレアーの動作を可能とさせ、足だけで降りることが出来る。

・機体の操縦を可能とさせる。

と、いくつもの役割を兼ねていることをご説明いたしました。

実は、もう一つ重要な仕事もコントロールバーはしているので、今回はそれをご説明いたします!



まず、飛行機はもちろん、自動車などの乗り物には、必ず操舵感覚というものがあります。

これはどのようなものかというと…。

舵を切る量や速度に合わせて、操舵の際に舵に重みが生じることです。

分かりやすく言えば、車でハンドルを切ると、その切れ角や速度に応じて、手に重みを感じることが

出来ます。

これが操舵感覚、飛行機などの飛びものでは、「舵感」などと言ったりします。

これって、非常に大事なことなんです!

皆さん、ちょっと想像してみてください。

仮に、ハンドルを切ってもまったく重みを感じない車があったとしましょう。

いくらハンドルを切ってみても、手応えなくスカスカな状態です。

そんな車でカーブを曲がると…。

視界からしか情報が認識できない状態になり、カーブに合わせようとしても、切りすぎたり戻したり…。

ふらふらと安定しない曲がり方になってしまうんです!

実際の車ではそのようなことにならないように、その構造や調整により、ハンドルを切ると上手く重みが生じるようになっています。

飛行機などでは、この舵感がもっと重要になり、舵の形状やその構造などの工夫、更に、ジェット機など高速で飛ぶ飛行機の場合、コンピュ

ータによる制御
までして、それを実現させているのです。

で…。

本題のハンググライダーの場合なのですが…。

実は、「ピッチ」の操縦については、コントロールバーがあるおかげで、理想的な舵感が実現できているのです!

このように書くと、ちょっと難しく感じるかもしれませんが、バープレッシャーというと、「あ

~!」と思う上級者の方は多いと思います。

そう。ここで御説明している「舵感」って、つまりはハンググライダーでいうバープレッシャーのことなんです。

このバープレッシャー。なぜそのような感覚が生まれるのかというと…。

ハンググライダーをはじめ、航空機には自立安定性というものが持たされています。

これは、正常な飛行状態に、飛行機が勝手に戻ろうとするもののことです。

ハンググライダーはこの作用のおかげで、たとえコントロールバーを握らなくても、一定の速度で飛ぼうとしてくれるのですが…。

仮に、いま速度を上げるために、コントロールバーを引いたとしましょう。

そうすると…。

ハンググライダーは自立安定性があるため、元の速度に戻りたがります。それに対し、人はコントロールバーを引くわけですから、

その反力で人は持ち上がってしまうのです。


この人が持ち上がった体重分が、バープレッシャー、つまり、舵感として感じられるわけです。



この感覚は、空を飛ぶものにとって、非常に大事なものです。

このバープレシャーは、初級機などの機体では重くなる設定となっていますが、競技機などでは、必要最小限の軽さに収められています。

競技機など、高性能を狙う機体では、不必要なピッチ安定はその性能を奪ってしまう要素でしかないからです。

つまり、それだけハンググライダーの競技機は、ピッチの安定に余裕がないわけですが…。

熟練したパイロットであれば、このバープレッシャを正確に感じ取り、ぎりぎりのラインでその安全性をキープすることが出来ます。

更には、その他にも最小沈下速度や最良滑空速度、更には失速速度なども、やはり、バープレッシャーが生じるおかげで、パイロットはその感覚だけで

かなり正確にグライダーの翼の気流の状態がどのようになっているのかを判断することが出来るのです。

このような、操縦するものにとってハンググライダー乗りこなしやすくなったことも、コントロールバーがあったおかげであり、飛行機でいうところ

の「舵感」、つまり、「バープレッシャー」を作り出すことが出来たからだと言えます。

ちなみに…。

某、琵琶湖で開催されている自作飛行機の競技会などでも、体重移動と電気的なサーボの制御での操縦が主で、一部(最近ワイヤーリンケージを使

って舵感が感じられる機体が増えてきている。)を除いて「舵感」が感じられない構造になっているため、機体の飛行状況は視界からのみ得られる情報

だけで飛ばせていますが、これが、何とかパイロットが「舵感」が感じられる構造を考案すれば、面白い機体が出来るのではないか?と、私は思ってい

ます。





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すごいぞ!コントロールバー!!

2019-09-27 20:01:44 | ハング(hangglider)
ハンググライダーが世に出て、すでに半世紀近くになろうとしています。

その歴史の中で、ごく初期から現在に至るまで、ずっと存在し続けたパーツにコントロールバーがあります。

大きな空気抵抗がありそうに見え、そのうちなくなるだろう…。なんて言われてきたこのパーツ。

実は、あまりにも素晴らしい発明だったため、現在に至るまで、このコントロールバーを無くすことが出来ませんでした。

そして、おそらくなんですが、この先も、コントロールバーがあまりに素晴らしい発明だったため、フットランチプレーン(人の脚力だけで

離着陸できる航空機)で、これを無くすことはできないだろうと私は考えています。


それではなぜ、コントロールバーはそれほどまでに素晴らしい発明なのか…。

今回はそんなことをお話しいたしましょう!


まずこのコントロールバーはなぜできたのでしょうか?

ハンググライダーが発明された、ごく初期の時代、翼を背負って離陸速度まで走らなければいけなかったため、どうしても、グライダーを持

ち上げる「部品」が必要だったのです。


加えて、当時は「ハーネス」を使っていなかったため、離陸後、下に落ちないように体がしがみつける部品も必要でした。

そこでできたのがコントロールバーだったわけです。



初期のハンググライダーのコントロールバーは、今のような三角形ではなく、人が四角形の枠の中に入り、それを脇で抱えて自分が落ちないように頑張

りながら飛行する…。という、今では考えられない形式をとっていました。

これにより、ハンググライダーは人の足で離陸し飛行できる道具へとなったのですが、この時、同時にコントロールバーの存在は、グライダーの強度を

維持するうえで、とても重要な役割も担わされていたのです。

それが何かというと、翼を壊れないように支えることなのです。

ハンググライダーが、ただの骨組みだけが翼を支える構造ならば、離陸する前にたちどころに翼は折れてしまうでしょう。

しかし、コントロールバーの下部に翼を支えるためのワイヤーなどの部材を取り付ければ、ハンググライダー

の強度を、たちどころに強化することが可能だったのです。




この工夫は、翼を楽に支えることが出来たため、同時に軽量化することも可能となりました。

更に…。

着陸時、フレアーをかけることにより、その速度を一気に落とすこともできるため、人の足でも安全に着陸する

ことも可能となったのです。




これはすごいことが起きました。

コントロールバーは、離陸時機体を支えるための部品、並びに、機体の強度を保つための部品、

更に、着陸時に一気に速度を落としすフレアーもかけられるものとなったのです。




更に加えるならば、このコントロールバーがあったおかげで、操縦に必要な「体重移動」が容易に行えるようになったことも見逃がせません。

コントロールバーがなければ、空中で思い通りにハンググライダーをコントロールすることもできなかったでしょう。



そして、現在…。

コントロールバーは更に進化し、より、安全にハンググライダーを扱ううえで完成されたものとなりました。

テイクオフ時は、機体の姿勢を安定して維持するのに都合の良い形となり…。

機体をかついだ時は、ちょうど肩の上に機体の重心位置が来るようになり…。(スターティックバランスといいます。)

ランディング時も、フレアーがかけやすいように、パイロットとコントロールバーの位置関係も、近すぎず遠すぎず、丁度よい位置にとなりました。

もちろん、翼の強度を支えるという重要な役割も、そのまま持たされています。

更に、ハンググライダーをコントロールするのに必要な体重移動も、もっともやりやすくなるよう、アップライト、ベースバーと、その寸法、角度がベ

ストなものへと進化を遂げました。




ここまで有益なコントロールバーは、もはや、無くすことなんて到底無理だと言わざるを得ません。


しかし…。

しかし…。

多くの方が気が付いていないのですが、コントロールバーにはもう一つ大きな役割があったのです!


次回では、そのことについてお話いたしましょう!




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ハンググライダーの整備方法。

2019-09-08 16:22:02 | ハング(hangglider)
現在、JHF(日本ハング・パラグライディング連盟)の、ハンググライダー整備認定者は、その多くが60歳以上!

これでは、近い将来ハンググライダーの整備が行えなくなってしまいます…。

ということで、今回はハンググライダーの整備の基本をご紹介しておきたいと思います。

もし、ご自分で実際にこの作業にチャレンジしたい方は、まずは上記のハンググライダー整備認定者の指導を受けてください。


まずは翼端のセール留めから外します。



ベルトでとまっている機体もありますが、写真の機体はカーブドチップ機なので、クレビスピンで留まっています。

次はノーズ側のセール留め。



このスクリューを外します。

あとはキールポケットのセール留めを外します。

この機体はリアワイヤーと共に留められているので、このボルトを取ることになります。

同時にリアワイヤーも外せるので、作業が楽ですね!



ハンググライダーのセールは、上記の三か所で留められているんですね!

次は、フレームを取り出すために、まずはワイヤーを外していきます。

今回の機体はウイルスウイング社のもののため、コントロールバーの先端や、キングポストの先端で取り外します。

しかし、他のメーカーの場合、フレーム側、つまり、スパーやあるいはクロスバー側でワイヤーを外す方が効率的になります。




まずはコントロールバー先端部の黒いブラケットを外します。

リア、フロントワイヤーが簡単に取れますね!そして、フライングワイヤーも外します。

次はキングポスト側。



中央のスクリューを外せば、左右のランディングワイヤー、フロント、リア、そして、ピッグテールワイヤー(ラフラインを留めるワイヤーのこと。

これ、ウイルスウイング社での正式名称なんです!)が簡単に外せます。

次は、リアスパーを抜きます。



リアスパーを抜いておくと、フレームをセールから抜き取る時が楽です。

組み立てるときはこの逆で、フレーム本体をセールに入れた後にリアスパーを入れると、作業が楽になります。



フレームを抜き取るときに、キングポストが後ろに倒れていないといけないので、後ろに倒します。

この機体の場合は、そのままではキングポストが後ろに倒れないので、仕方がないので根元のボルトを外してしまいます。

以上の作業を済ませて、ノーズの方からフレームを引っ張ると…。



フレームが抜けてくれます。



後は作業台に乗せて、ゆっくりフレームをチェックすれば良いわけですね!

ちなみに、私の場合、ここまでがだいたい20分くらいです。



各ボルトを抜き取って、すべてのパーツをチェックしていきます。

同時にフレームの異常やボルト穴の周りなどのチェックします。(異種金属同士が当たるため、腐食が起こりやすい)。

また、チェック後ボルトを締める要領なのですが、絶対に強い力で締めてはいけません!

ボルトを強い力で締める理由は、ナットが取れないようにするため…。しかし、ハンググライダーの場合は、

セルフロックナットが使われていますから、強い力で締める必要がないんです!


一つの要領として、上の写真のように、指で締める方法があります。この程度の締め付け力が適正になります。



ウイルスウイング社の場合、ボルトの抜け止めはOリングが使用されていますが、私はこのリングが取れるのを防ぐために、上のようにテープを貼って

います。

いくらかはマシになるようです。

フレームのチェックが終わったら組み立てです。

私の場合は下の写真のようにセールをV字型に広げてフレームを突っ込みますが、人によってはセールを横にした状態で入れたりしますね!

最近の機体は、セール内にベルクロやリブがあるので、私は写真のV字型をお勧めします。



ベルクロやリブの内側をフレームが通らないように、フレームを目いっぱいに広げながらセール内に挿入していきます。

次に、外したキングポストを取り付けます。

くれぐれも、ワイヤーの配置に注意してください!

この辺は複雑なことが多いので、オーバーホール前に写真を撮っておくことをお勧めします。



リアスパーを突っ込みますが、ダイブスティックの配置に注意してください。



先ほどとは逆手順でワイヤー、ボルト、ピンを取り付け、最後はノーズのスクリューセール留めを取り付けますが、これは、機体を広げて行

った方が、楽に取り付けることが出来ます。




組みあがった機体は、隅々までチェックしてください。

出来ればこの時、自分だけでなく、もう一人機体に詳しい方にチェックしてもらうと良いです。

これにより、思い込みなどによる機体の組み立てミスを防ぐことが出来ます。

(昔、私が訪問した、オーストラリアのエアボーン社は、必ず二名でチェックしていました。)


だいたいこのような工程で、ハンググライダーのオーバーホールは進められます。

近い将来、ハンググライダー整備認定者の数が激減するはずなので、何とかこの技術をつなげていきたいものです…。

 

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フックアウト事故防止新アイテム!!

2019-06-28 21:22:33 | ハング(hangglider)
フックアウト事故が完全に撲滅できるかもしれない、新アイテムを開発しました!

今回はその公表です!


少し前に、YOUTUBEで大変な再生回数があった動画がありました。

それは…。

ヨーロッパでのタンデムフライトでのフックアウト事故!

動画の掲載者が、観光でハンググライダーの体験飛行をした際のフックアウトアクシデントを、ランディングまでとらえたもので

す。

フックアウトとは、ハンググライダーで人間とグライダーをつなぐ「カラビナ」をかけ忘れて、人間が落下してしまう事故のこと…。

極めて初歩的なミスですが、ハンググライダーの歴史が始まって以来、この事故は何度も繰り返されてきました。

幸い、問題の動画の事故の時は、フックアウトを起こしたパッセンジャーが、ランディング寸前までインストラクターにしがみついていたため、

最後に落下した際に手首を骨折しただけで済みました。

…。

…。

ネットでフックアウト事故が掲載されてしまい、ハンググライダーの信用もがた落ち…。

そう思っていた矢先…。

今度は国内の有名エリアで、フックアウト事故が発生しました!

このエリアでは、20年前にフックアウトの死亡事故があってから、徹底してフックインチェック

実施されていた場所です。

フックインチェックとは、飛行する前に必ずサポート者にグライダーを支持してもらって、カラビナがかかっているか、パイロットとサポート者の二名

が確認するものです。

常識で考えれば、このようなフックインチェックが行われていたならば、まず、フックアウト事故が発生するわけはありません。

しかし…。

実際に事故は起こってしまいました。

何故厳重なフックインチェックをしていたにも関わらず、フックアウト事故が起こってしまったのか…。

事故当事者は風が悪いからと、一度ランチャー台から降りたところ、すぐに風が良くなって、再び慌ててランチャー台にのぼりテイクオフした際に、

自分がわずかな時間のうちにカラビナを外していたことを忘れていたのです!

周りの人間も、あまりに短い時間だったため、まさかカラビナを外していたとは思わなかったため、再度フックインチェックはしていなかったので

す…。

結局…。

人とグライダーをカラビナでつなぎとめるという現在のシステムが続く以上、フックアウト事故の発生は防げないのか…。

そんな、あきらめに近い心境になっていたのですが…。

これならば、フックアウト事故が無くせる可能性があるのでは?という新アイテムを思いつきました!

それがコレです!



…。

あまりに簡単すぎて拍子抜けしてしまったかもしれませんね!

しかし、単純なんですが、見事にフックアウト事故を防いでくれるものなのです。

まずこれ、どのように使用するかというと…。



カラビナをかける前に、この新アイテムを先にスイングラインに通しておくんです。

たったこれだけなんですが、見事にフックアウトを防止してくれるんです。

まずこの新アイテムは、ショックコードの先にプラスチックリングを付けたものなのですが、

カラビナがかかっていないと、ショックコードが縮んでスイングラインから抜けてしまうのです!



結果…。



再びこのショックコードは前にぶら下がります。

パイロットの目の前には…。



こんな風にショックコードが見えるため、いやでもカラビナがかかっていないことに気が付きます。

この新アイテムは、カラビナがかかることにより、パイロットの視界からこのショックコードが消えるのです。



そして、この新アイテムは作り方も簡単で、しかも、安価!

安全ピンでセールに取り付け、テントのフレームのつなぎ合わせに使用しているショックコードをつなげて、

プラスチックのリングを取り付けただけなのです。





写真のものは、100均で買ったカードリングというものですが、探してみると、カーテンの取り付けに使うリングランナーというも

のの方が良さそうです。

どこでも手に入るものでできてしまい、一つ当たりのコストも50円しないのではないでしょうか?

あらゆる可能性を考えてみたのですが、ほぼ完ぺきにカラビナがかかっていればショックコードはパイロットの視界から消えます。

ただ…。

次の3つのケースでは、パイロットにフックアウトを知らせてくれない可能性があります。

一つは…。

この新アイテムが取れてしまったとき。

これはどうしようもありませんが、取れていればすぐに気が付くので、これは問題ないと思います。

2つ目は…。

スイングラインに手荷物などをぶら下げ、その時、いつもの癖でこの新アイテムをスイングラインに通してしまったとき。

このケースの場合、パイロットはグライダーをかついでテイクオフまで移動する際に、顔や体に手荷物がぶつかるので、いくら何でも途中で気が付くと

思います。

最後の3つ目なんですが…。これがちょっと問題…。

タンデムフライトの際に、インストラクターがパッセンジャーの分のショックコードもまとめて自分のスイングラインに2つ通してしまっ

た場合。


ちょっと考えられないかもしれませんが、人間ボーっとしていると信じられないミスをしでかしますから、可能性はあります。

これが一番厄介なのですが、スイングラインとショックコードを、インストラクターとパッセンジャーで色分けし、それぞれの色を合わせて

おけばかなり効果的と考えました。


例えばインストラクターが赤色で、パッセンジャー分が黄色にしておくとか…。

以上の3つのケースを除けば、完ぺきにフックアウトをパイロットに知らせてくれると思います。


でも、大切なことは、この新アイテムだけを信用するのではなく、今まで行ってきたフックインチェックも必ず併用し

て行うこと
だと思います。


2つの違うチェック方法を同時に行うことにより、初めて事故を無くすことが出来るということなのです。

どちらか片方だけだと今までと同じ…。結局、先日国内で起こったようなフックアウト事故が再び起こってしまいます。



過去、不幸にして日本国内で起こったフックアウト事故について調べてみたのですが、2件を除いて、フックインチェックと今回の新アイテ

ムが使用されていれば、全部事故は防げていました。


防げなかった2件とは…。



昨年ご紹介した、スイングラインをロープやテープなどで結わえてしまい、それにカラビナをかけた場合。

しかし、このケースについては、そもそもそのようなものでスイングラインを結わえることを禁止すればよいのです。

上記にご説明したことをすべて実施すれば、すべてのフックアウト事故は防ぐことが可能になると思っています。



先日国内で起こったフックアウト事故を考えてみると、20年前からフックインチェックが必ず行われるようになってから、ざっくり見積もってこのエ

リアでは10万回程度のテイクオフが繰り返されてきたことになると思います。

つまり、フックインチェックも10万回繰り返されたことになるのですが、10万回ともなると、その中には1回ミスも出てしまうのです。

今回は、そんなミスをも無くすための、私からの提案でした。










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信じられない事故が起きました…。

2018-05-28 22:16:25 | ハング(hangglider)
先日、某エリアで今では信じられないような、基本的なミスが原因のハンググライダーの事故が起こりました。

原因は、カラビナのかけ間違い…。それによりパイロットは飛行中のハンググライダーから脱落…。

幸い、パイロットは脱落時にベースバーを握りしめ、そのまま地面近くまでぶら下がった状態だったため一命はとりとめましたが、落下衝撃により重傷をおいました。

で、その原因なのですが…。



本来は上の写真のようにカラビナをかけるはずだったのですが…。

実は…。



パイロットが間違えてこのようにかけてしまったようなのです…。

つまり…。

スイングラインの長さが合わなかったため、付け焼刃で別のスイングラインを二つ折りで付け足し、その上、そのスイングラインが外れないように紐で束ねていたようなのです。

で、その束ねた紐の方に、誤ってカラビナをかけてしまったようなのです…。

これではひとたまりもありません…。

紐は簡単に切れてしまうでしょう…。



この事故。あまりにミスが多く、問題点がありすぎます。

第一に、なぜこのような付け焼刃的なスイングラインのつけ方をしたのでしょうか?

これではカラビナのかけ間違いが起こりやすいため、事故になって当たり前です。


二番目に、なぜスイングラインを紐で結わえていたのでしょうか?

このようなことをしては、その紐にカラビナがかかってしまう可能性があり、大変危険です。


三番目に、なぜサブラインをとっていなかったのでしょうか?

ハンググライダーのスイングラインというものは、メインとサブと二つとるのが常識です。

これは、航空機でいう「フェールセーフ」の考えで、メインがだめになってもサブが効いてくれるという考えですが…。

今回の事故では、サブをとっていなかったためにパイロットが落下してしまいました。


四番目に、なぜこのような危険な状態でパイロットがハンググライダーを乗っていたのに、周りの人間が注意しなかったのか?という事です。

これはあからさまに危険です。

こんな危険な状態で、もし仲間が空を飛ぼうとしていたならば、私ならば即座に注意しています。

なぜ、この危険なスイングラインの状態でのフライトを、まわりの人間は注意しなかったのか…。


今回のこの事故については、正直、なぜこんな初歩的ミスが原因の事故が起こってしまったのか、あまりに疑問点が多すぎるのです…。

上記の四つがすべて重なり合わないと、このような事故は起こり得ないのです。




ここからは私の推測なのですが、今、ハンググライダー界では「知識の空洞化」が起こっているのではないでしょうか?

ハンググライダー人口もかなり少なくなり、必要な情報がハングフライヤーにうまく伝えられない状態になっているのではないのかと思えるのです。

不幸にして近年起こってしまった事故を見てみると…。

ハードウェアが起因する事故はなくなり、代りにヒューマンエラーによる事故が大半を占めているのです。

わかりやすく言えば、人間の不注意による事故といってもいいと思います。

これらの事故は、過去同様の内容で起こったものが多く、そのような事故が起こったという情報が伝わっていないように思えるのです。

今回の事故も、全く同じ内容のものが30年ほど前にありました。

そして、これは特に私がこの業界で仕事をしているから感じるのかもしれないのですが、「空を飛ぶ適正がもともとない方が増えているのではないか?」という事なのです。

人には翼がありません。しかし、人には空を飛ぶための知恵があります。

人はその知恵を使って、空を飛んでいます。

しかし…。

その知恵が無ければ、人は空から落ちてします。

この「知恵」を使わない方が増えているように思えるのです。

一目見て、「これは危険!」と認識することができず、人が空を飛べるのが当たり前のように考えて、ろくに考えずに事故が起こるまで飛び続けてしまう方が増えているように私には思えるのです。



ずいぶん昔ですが、私は若いころ受けた航空整備の授業の始まりの時、先生が決まって生徒に答えさせていたことがあります。

「飛行機は飛ぶものですか?落ちるものですか?」

この質問の答えは「飛行機は落ちるもの…。」

航空機を運用するものが飛行機は飛ぶものなんて考えていたら、事故が起こって大変な事になってしまいます。

いかに事故が起こらないようにするか…それを考えるのが航空機を運用する者の役目なのです。


今のハングフライヤーは、「ハンググライダーは飛ぶもの」と信じ込んでいるのではないでしょうか?

これは大きな間違い!

ハンググライダーは今回のような些細なミスでも、それが重なり合えば、事故につながってしまいます。


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