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飛行中年

空を飛ぶことに薪ストーブ、そして、旅をこよなく愛する一人の中年のブログです。

パラ・ハング、何故共存できるようになったのか?

2025-02-04 19:53:54 | ハング(hangglider)

パラグライダー、ハンググライダー。

見た目は違う翼ですが、それぞれが同じような場所で飛んでいます。

 

パラグライダーが出来てから、既に40年ほどがたってしまいました。

このパラグライダーが出来た当時、実は、ハンググライダー愛好家の一部が、パラグライダーを毛嫌いする動きがあった

です。

これに付随して、パラグライダー愛好家の一部の方たちも、同じようにハンググライダーを毛嫌いする動きがありまし

た。

…。

しかし、この良からぬ雰囲気の中、そんな動きを打開してしまう素晴らしい「考え方」が生まれ、現在のようにパラグラ

ダー、ハンググライダーが共存し、お互いを尊重する考え方に落ち着いたのです。

その考え方って何なのか?

今夜はそんなお話です。

 

私は箱根でハンググライダーを40年近く前に始めました。

その当時、同じエリアでハンググライダーとは違う翼が持ち込まれるようになりました。

出来たばかりのパラグライダーです。

当時のパラグライダーは、長方形の矩形翼で、エアインテークも大きく開き、スカイダイビング用のパラシュートと、そ

れほど違わぬものでした。

滑空比も3対1ほど…。

山の傾斜に沿って飛ぶのがやっと…。という代物でした。

 

そんな、出来たばかりのパラグライダーを、正直言いますと、一部のハングフライヤーが馬鹿にする言動を言っていたの

です。

そんなもんだから、パラグライダーを始めたばかりの人たちも、ハングフライヤーに敵対心を自然と持つようになりまし

た。

正直「困ったもんだな~。もっと広い目をもって考えてみれば、どうでもいいことのはずなのに…。」

当時、私はそう考えていました。

 

しかし、こんな間違えた考え方は、当然、直ぐに消えていくことになりました。

 

その出来事とは、有名なハングフライヤーが、そして、同じく有名なパラフライヤーが、お互いをリスペクトするように

なったのです。

 

考えてみれば、コレ、当然のこと!

本当に向上心を持つものであれば、翼の違いなんてどうでも良いこと。

パラグライダー、ハンググライダー。

同じような場所から飛び立ち、同じような場所に降り、同じような風の中を飛ぶものです。

ならば、それぞれの持ち合わせている風の知識や飛行技術などが、翼の違いを越えて共有できると考えたのです。

 

結果的にこの考え方は大正解!

お互いの翼の違いを越えて、知識や技術が共有できるようになったのです!

この考え方のもと、パラグライダー、ハンググライダーそれぞれのトップフライヤーが、翼の違いを越えて、学び合い、

して、リスペクトするようになっていきました。

 

その業界を引っ張るトップフライヤーたちが、このようにお互いをリスペクトするようになってしまうと、もはや、それ

に続く人たちも、その動きに習うことに、自然となってしまいます。

 

例えば、パラグライダーはその飛行速度がハンググライダーに比べゆっくりなため、風に対して誤魔化しが効きません。

よく風を読み、飛行コースを考えることがより重要になります。

これが飛行速度の速いハンググライダーだと、スピードで強引に乗り切ろうとしたりと、正直、「下手な飛び方」をしが

ちなんです。

こんな悪い乗り方も、パラグライダーの方の乗り方を学べば、よりハンググライダーでも上手に飛べるようになるはずで

す。

 

そんな感じで、お互いの持つ風の知識や飛行技術が、自然とそれぞれのトップフライヤーが学び合うようになったという

わけです。

 

小さな器は、少ない水しか蓄えられません。

しかし、大きな器は、より多くの水を蓄えることが出来ます。

スカイスポーツだって同じ!

翼の違いという小さなことにこだわってしまうと、技量が頭打ちになってしまいます。

より、多くの情報を得て、より、それを自分のものにすることが出来れば、更に大きな世界を築けるはずです!

 

この共通意識をみんなが持つようになって、現在のような、パラ、ハング共存できる世界が築けるようになったんです

ね!

 

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非常に悩む仕事…。

2024-11-21 08:30:41 | ハング(hangglider)

私の仕事は、スカイスポーツ系のギア、つまり、機材のデザインや製造などです。

修理なんかも行っており、特にハンググライダーのセールの修理は、ほぼほぼ日本でウチだけしか行っていません。

…。で、今回ちょっと困った仕事が来ました…。

 

その困っている仕事というのが、コイツ↓のセールの修理です。

ドイツのA.I.R社が作る、固定翼ハンググライダーATOS VRです。

ハンググライダーは、主に使用されている機体は2クラスあり、一つは今までのアルミパイプのフレームを使用した物。

もう一つは、この固定翼と言われる、カーボンファイバーを使用した飛行機と同じ構造を持つものです。

で、困っている内容がコレ↓

前側の上面が、横方向に結構広く裂けてしまっているんです。

「そんなのあて布をあてて、縫ってしまえばいいじゃん!」

そんな声が聞こえてきそうですが…。

実はそのように、横方向に長くあて布をあてると、必ず飛行特性がおかしくなるんです!

 

下の図を見てください。

その理由を分かりやすく書いたものですが…。

上図のように、前側の上面って、翼にとって非常にデリケートな場所になるんです!

あて布となるセールクロスの厚みは0.2ミリほど

それを縫う糸の径もだいたい同じ0.2ミリほどです。

わずかな厚みと思われるかもしれませんが、このわずかな厚みが、この部分では空気の流れを確実に乱してしまうんで

す!

随分神経質だな!と思われる方もいるかもしれませんが、これ、決して神経質な話じゃないんです!

以前同様な破れ方をしたセールを、横長にセールクロスをあてて修理したところ、明らかに飛行特性が変わり、特に失速

が間違いなく早く変化してしまったんです!

その経験をしてからは、なるべく空気の乱れが少なくなる形に修理を行ってきたのですが…。

 

今回のは、かなり広い範囲で横方向に長く破れており、しかも、修理がかなり困難な場所でもあります。

 

いろいろと考えて、今回出した妥協案は…。

リペアテープ(補修用の粘着剤付きセールクロス)を併用した修理です。

 

強度の必要な個所は、縫いで補修し、その面積も出来るだけ少なくなるように工夫する。

そして、強度的に大丈夫なところはリペアテープで補修する。

そういうものです。

 

場合によっては、縫いで補修したところも、出来るだけ凸が無くなるように、その上から薄い粘着テープを張る必要があ

るかもしれません。

 

航空力学の教科書では、やはり今回の破損個所にあたる場所の凹凸は、確かに繊細であるとちゃんと書いてあるのです

が…。

いざ実際に自分がそれを経験してみると、「これほど違うの!」と驚いてしまうんですね!

 

大昔の飛行機は、主翼の表面に丸い頭をしたリベットを打ち付けていたそうですが…。

これだと理論どうりの効率にならないということが分かり、沈頭鋲というでっぱりのないものが使われるようになりまし

た。

何も知らなかった昔は、「随分こだわるんだな…。」そう思ったのですが…。

いろいろ経験した今では…。

確かにそれじゃ飛ばないわ!

そう納得させられてしまいます…。

 

コメント (2)
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今年もクロカン騒動 その3

2024-04-27 05:52:28 | ハング(hangglider)

またまた起こりました! クロカン騒動!!

クロカンとは、ハンググライダーでどれだけ遠くへ飛べるか…。

その日本記録を狙う競技の事です!

ちなみに、現在の日本記録は、茨城県石岡市から仙台の少し先までの230キロメートル!

さて、クロカン騒動3回目のこの日はどうなったでしょうか…。

 

いつものごとく、私は飛んで行った選手の回収係…。

ただ走っても面白くないので、途中で美味しいものを頂きます!

道の駅茂木にて、苺ソフトクリーム!

ここの苺ソフト、生の苺を練りこんでいて美味しいんです!

 

…。と、シゲト氏よりラインが入る!

どうやら早々に降りたようです。

シゲト氏の回収に向かいます。

イマイチな結果でしたが、お疲れさまでした!

 

シゲト氏にナビを任せて、更に選手を追います。

現在は、スマホの位置情報を活用して、LIVE TRACK24というアプリで、飛んでいる選手の位置が分かります。

LIVE TRACKを見ながら、選手を追いかけていると電話が鳴ります。

パラグライダーで、同じくクロカンを狙っていたNの目氏からです。

「回収してもらえないか?」とのこと…。

本日の回収メンバーには入っていなかったのですが、近くだったし、車にも乗れたので回収します!

お疲れさまでした!

 

ここから更に北に走ります。

他の選手は、まだ飛んでいる模様…。

一時間ほど走ったところで、一人選手が降りてしまいました。

T原氏です。

降りてから一時間後に現地に到着しましたが、まだ、機体が片付いていません…。

 

T原氏を回収したころに、先を飛んでいた選手が立て続けに降りてしまいました。

回収に向かいます。

まずはS野氏…。

イマイチな様子…。お疲れさまでした!

続いてS戸氏。

先日降りた場所とほとんど同じ…。お疲れさまでした。

最後はN藤氏。一応本日の最高飛距離になりますが、80キロほどで終わってしまいました!

ちょっと開き直りの感じですね!

ちなみにN藤氏は、今週月曜日に放映されたNHKの番組「100カメ」に、気象予報士として出演しています。

明日くらいまでならNHKプラスで見ることが出来ます。

 

こうして本日は、今一つの結果となってしまいましたが、既に現在田んぼには水が入り始めました。

降りる場所が無くなり始めたので、もうこれ以上は、クロカン記録を作ることは難しいです。

今年の関東での最高記録は、茨城県石岡市から磐梯山の麓までの約160キロメートル…。

イマイチな結果で終わってしまいました。

また、来年チャレンジですね!

 

みなさん、今年もお疲れさまでした!

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今年もクロカン騒動!その2

2024-04-12 08:40:30 | ハング(hangglider)

4月11日。毎年この時期になると起こる「クロカン騒動」の第二弾目がありました!

クロカンとは、ハンググライダーでどれだけ遠くまで飛べるかを競うもの。

ちなみに、現在の日本記録は、茨城県石岡市より仙台の少し先までの230キロメートルです。

果たして、4月11日はこの記録を塗り替えられたのか…。

私は今回も、このクロカン騒動に巻き込まれ、飛んで行った選手の回収をするために、ハイエースを走らせます。

満開の桜を眺めながら、選手が飛んで行った北を目指します。

…。途中で寄り道…。

益子町の外池酒造。

今の時期だけ売られている「花さんらん」という酒をゲット!

コレ、安くて美味いんです!

 

ちょっとより道した後は、ひたすら北へ…。

選手からは、まだ連絡がありません。

連絡がないということは、まだ飛んでいるということなので、とにかく北へ向かいます。

…。と、気象予報官のN藤氏よりラインが入ります。

伊与野(栃木県の一番北あたり)にランディングしたとのこと。

この後、次々と選手からランディングの連絡が入ります。

みんな同じような場所にランディングしています。

どうやらこの日は、伊与野あたりが限界だったようです。

距離にして80キロメートルくらい…。

薄曇りだったので、思ったほど距離は延びませんでした。

まずは、N藤氏を回収。

日本を代表する、気象予報官です。

次はM田氏。

N藤しより2キロくらい距離を伸ばします。

そして、S戸氏。

いつもナチュラルハイな方です。

最後はT原氏

この方、何故か降りた後は、いつも泥だらけの方です…。

 

こうして4月11日のクロカン騒動は、その幕を閉じました。

クロカンは、田んぼに水が入るゴールデンウィークあたりまでチャンスがあります。

また、記録が出そうなときがあったら、このブログにてお知らせいたします!

 

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ハンググライダーの運搬…。ファスナーは上か下か?

2024-02-15 08:29:37 | ハング(hangglider)

私の本業は、ハンググライダー関係のギアの製造。

もう30年ほど、この仕事をやっていますが…。

最近、困ったことが起こっています。

それは…。

ハンググライダーを車に乗せるとき、ファスナーを上にするか下にするか!なんです!!

もうこれ、面倒くさくて…。

ハンググライダーの構造など分かっていなくクセに、全く「その人の気分」で決まっています。

いちいち一人一人に、「ファスナー上?下?」なんて聞いたりして…。

あ~。俺チャック(チャックじゃない!正式名はファスナーだ!!)は下!

間違っていたら、その人の気分を損ねてしまう…。

もう、面倒くさくて仕方がありません!

 

ここで、私がこの問題に結論を出します。

そんなのどっちでも構わないよ!

でも、強いて言えば、今のハンググライダーの構造を考えると、ファスナーは上の方が良いかも…。

なんです!

 

じゃ、なんでこんなややこしいことになったのか…。

そのいきさつを、今夜はお話しします!

 

もともとこの問題が起こったのは、キングポストレス機という機体が、約25年前ほど前に出来たことが発端です。

このキングポストレス機とは、性能を良くするため、ハンググライダーの上部の構造材をすべて無くし、空気抵抗を

少なくした機体の事を言います。

この図の上の部分がまったくない機体ですね!

このキングポストレス機は、クロスバーと言われる構造材に、強度の高いカーボンを使用することにより、上部の構

造材を一掃することが出来ました。

しかし…。

この種の機体が出来た当時、まだカーボンの信頼性が未知数だったのです。

そのため、危険を冒さぬよう、敢えて、いままで禁止だったファスナーを下にする積み方を奨励したのです。

ファスナーを下にすれば、カーボンのクロスバーが直接車のキャリアにぶつかることがありません!

実際、初期のころのキングポストレス機の中には、クロスバーをカーボンとハニカム材やケブラーなどとの複合素材

にしたものが登場しており、確かに、それらが直接キャリアにぶつかるような積み方は、やめた方がよさそうと言え

るものでした。

でも…。

時代が進むにつれ、あらゆることを考えると、クロスバーは少々重くなっても厚肉の信頼性の高いものの方が良い!

ということになり、その形も、あらゆる方向に対して強い、円形に近いものヘと進化を遂げてきました。

この時点にて…。

車のキャリアの強度よりも、クロスバーの強度の方が、はるかに高くなっていたのです。

こうなってくると、もう、クロスバーの強度を気にして、ハンググライダーを車に積むこと自体が、無意味になって

しまいました。

だって、あんなに分厚い肉厚をしたカーボンのクロスバーが、わずか、0.9ミリの肉厚のアルミ材に、強度で負ける

はずはありません…。

 

でも、昔から続いた習慣と言いますか…。

ハードウェアの進化を無視した、浅はかさと言いますか…。

ハンググライダーの上下を、意味もなく気にして車に積むという習慣だけが残ってしまったのです!

おそらくですが…。

やたらめったら、ハンググライダーの上下を気にして車に積んでいる人は、ハンググライダーのハードウェア―を、

真には理解していないからでしょう。

だから、無意味なことなので、こんなこと、もうやめましょうよ!

…。

 

最初の方で、結局は、全部のグライダーについて、ファスナーを上にした方が良いのでは!と、お話ししましたが、

この理由についてご説明します。

まず、ファスナーを下にした積み方の場合、コントロールバー周りにトラブルが起こる可能性があります。

また、このコントロールバーに干渉して、セールを傷める可能性もあります。

更に、カーボン材は熱に対して弱い特性があります。

つまり、カーボン製のクロスバーを上にする、つまり、ファスナーを下にする積み方をした場合、炎天下でクロスバ

ーの強度が低下してしまう可能性があるのです。

このような理由で、私は、すべてのハンググライダーは、ファスナーを上にして車に積んだ方が良いと考えていま

す。

 

今回お話しした、ハンググライダー運搬で、ファスナーは上か下か問題…。

確かに面倒臭く意味のないものだったのですが…。

実は、一つだけ「利点」もありました!

それは…。

やれ自分はファスナーが下だ!とかやたらこだわる人は、上達が遅い傾向がある!このことを知ることが出来ること

す。

これは、私のようなハングフライヤーを指導する立場の人間にとっては大事なことです。

これ、考えてみれば当然のことで…。

意味も理解しないまま、やたら一つのことにこだわるということは、柔軟さがない、臨機応変さがない!

そういうことです。

この二つは、ハンググライダーの上達に、なくてはならないものであり、その方の適性を前もって知ることが出来

る…。

そんな利点はあります!  

 

皮肉に聞こえますか?

 

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