日々の出来事

当院の出来事を紹介します

すごい吹雪ですね

2010-01-13 10:07:42 | Weblog
今朝から、新潟市内はものすごい吹雪です。
強風に伴う風の音が半端じゃないですね。
佐渡からのジェットフォイルは全便欠航、
JRの越後線は内野から吉田間が運休らしいです。
新津から通勤しているスタッフの一人は、車で2時間弱かかったそうです。

北国はこういう出来事が普通にあるため、雪が降らない地域に比べればたいへんです。
正直、東京出身の私にはこたえます。
幸い(?)大学が北海道でしたし、零下20℃くらいまでは体験済みです!
6年生のころは、卒論の実験で夜中に猛吹雪の中を徒歩で帰宅し、
翌朝は、また猛吹雪の中、授業に向かった記憶も鮮明です。
(貧乏学生で車を持っていませんでした)
氷の破片が顔の当たると痛かったですね。
今となれば、いい思い出ですけど。

春が来るのを信じて耐え忍ぶのが北国でしょう。
その喜びもまたいいものです。
桜の咲く時期を待ちわびています。

膝蓋骨脱臼の手術

2010-01-12 21:17:03 | Weblog
 土曜日に膝の手術をしたワンちゃん、今日無事に退院していきました。
小型犬に多い、膝蓋骨内方脱臼の手術をしたチワワです。
簡単なようで奥深い分野なので、毎回この手術は緊張します。
リスクはあまりない、でも加減が一頭ごとに異なる気がします。
さじ加減をどのくらいで良しとするか・・・、毎回微妙に悩んでいます。

今回の子は、状態としては膝の皿の骨が溝(滑車溝)からはずれっぱなしのグレード3でした。
膝蓋骨がはまっているべき滑車溝が異常に浅く、筋肉の緊張に耐えられずに外れてしまうのでしょう。
小型犬ではある程度遺伝的な素因があるようです。
でも皆がなるわけでもない。
グレードの4(最重症)は専門医に回す必要があります。
大腿骨が変形していたり、筋肉の長さが変わってしまっているからです。

ごくたまに長期に引きずっていて、うちの動物病院に来院時にはすでにグレード4という犬もいます。
3で手術に踏み切っていただけるといいのですが・・・。
正しい情報が、獣医師や飼い主に伝わっていないのでしょう。
こじれて流れてくるケースが後を絶ちません。
なるべく早く、その分野に詳しい先生に相談や紹介していただけるといいのですが・・・。

私は迷ったり、悩んだりすると、すぐにその道の専門家にすぐ相談してしまいます。
注意点を教えていただけたり、視点が異なる治療方法を教わることも少なくありません。
膝の手術方法もいろいろあるのです。
私は3つの術式を組み合わせて行っています。
ちょっと面倒ですが、確実性を重視しています。
これで満足、という手術は案外ないものです。
毎回反省というか、あそこはもう少し小さく削って、ここはもうすこし角度をつけておけば・・・、
間違ってはいないのでしょうが、「完璧!」と自己満足できる手術はそうそうないような気がします。
精進の道は続きます。

地震ハンター

2010-01-11 02:24:21 | Weblog
日曜日の診療後、昨晩は本棚の整理・移動をしていました。
たまたま見たテレビ(NHK)で、地震予知のドキュメントを放送していました。
巨大地震を予知するため、研究者たちがなにをしているか興味深く見ました。
予知のために計測データを取り続ける人たちを地震ハンターというようです。

近い将来、シアトル付近で巨大な地震が起きうるという理論を検証していました。
数百年という長い周期での地震の発生が、地層の研究から判明したようでした。
大昔の巨大地震による津波が日本にまで到着しただろうとの推測を検証、
江戸時代の日記に、
 「地震がないのに大津波がきた」という記述が複数残されていた。
日記の日付と時間を現代のコンピュータで解析すると、地層の変化と日記の記録が符号する。

時間と場所を越えて、理論が後世で立証される・・・、
その研究が将来の被害を最小限にするかもしれない、

時代を越えた仕事に、ロマンを感じてしまいました。
専門外の方々の大きな仕事に畏敬の念を覚えました。



植物から人工骨とは・・・

2010-01-10 23:19:43 | Weblog
イタリアの研究成果で、植物から人工骨を作れることがわかったと記事に出ていました。
材料は、植物の「つた」だそうです。
詳細は読んでいませんが、今ある種々の人工骨より、理想的なものができるとのこと。
すでに羊への埋め込み実験で、良好な結果をだしているとのことでした。

私は犬猫の歯科治療や外科治療を勉強しているので、骨補填材は興味ある分野です。
歯周病で顎の骨が弱っていたりして骨折する場合もあります。
また、腫瘍の切除などで、骨が欠損し不足する事態もありえます。
今ある骨補填材のたぐいは、それなりに良いものがあります。
しかし、完全に満足のいくものでもありません。

最近は骨折の手術で使用する固定材料でも、従来の金属プレート類からチタンプレート類へ、
また吸収性のプレート類へ、進化が進んでいます。
植物から作られるプラスチックでパソコンを作っているのは富士通でしたでしょうか?
再生力にある植物から、治療用の材料が得られ結果も良ければ最高ですね。

環境に負担が少なく、動物の体にもやさしい素材で、治療にあたりたいものです。

人により受け取り方が異なる

2010-01-09 09:58:22 | Weblog
昨日の手術前におもしろい反応を見ました。
同じボディ・アクションでも、人により反応が違うことがあります。
こちらの期待が通じない、とは悲しいものです。

ダックスで手足が短いため、血管内点滴用の留置針がなかなか入らなかったようです。
苦労していて、なかなか手術が始まらないため、私が入れることになりました。
短くて曲がっているため、難しいのは確かです。
集中して何とか血管内に針を挿入することに成功しました。
そこで、私は左手の手のひらを上に向けて出しました。

私は、「やったぜ!」という意味で、

 野球選手のようにパチンと手打ちをして欲しかったのです・・・。

看護師は「意味不明」と去って行き、
別の先生は「テープですか?」ときました・・・。
誰も私の望みを理解してはくれませんでした。

私も研修医時代に、入院室に入ってきた教授が、
「浅井先生、これでーす!」と両手を上げていましたので、
  「お手上げですか?」と聞いたら
    「飛び込み(急患)です・・・」

冷たい空気を感じたのは間違いありません。

タイム・マネジメント

2010-01-08 12:50:46 | Weblog
最近読んだ本に、タイム・マネジメントは、できないくらいの仕事を敢えて抱え込み、
それをこなさないと身に付かない、と書いてありました。
ほぼ同時にある先輩獣医師に同じようなことをアドバイスされました。

診療・手術・検査・急患対応・原稿書き・口臭研究のデータ取り、に加え、
個人的には読書の時間、子供の世話・送り向かえなどなど、
正直いくら時間があっても足りない気がします。

万人に与えられた時間は一日24時間で平等ですので、どう有効に使うのか・・・。
人生の永遠の課題でありましょう。
有限だからこそ、有効に大切に使う、これは動物の命と一緒ですね。

無限ではない。だからこそ重要。
時間も無制限で命もやり直せるなら、一見よさそうですが実は何もしないでしょう。
こういうことは少年時代に「ブラックジャック」を読んで痛感した記憶があります。

実際、同じ人間なのに、ものすごい偉業を成し遂げる人がいる・・・。
そういえば、心臓外科で有名な金沢大学の渡邊先生も、ブラックジャックを読んで、
医師を志したと記事に出ていました。
こういう方は時間の使い方を熟知しておられるのでしょうね。
余裕・余暇という意味では無駄な時間も人生では大切でしょうが、
何かを成し遂げようとするには、時間の有効活用が欠かせません。





歯科治療の基本は同じ

2010-01-07 20:26:08 | Weblog
今日の午前中は、長男の上顎切歯(前歯)の矯正治療に付き添いました。
日本歯科大学さんに行きました。
小児歯科の担当の先生から、処置の流れを見せていただきました。

動物と異なり、口を大きく開けてとか右を向いてなどの指示に患者が従います。
動物ではありえないわけですね・・・。
動物病院では、基本的に麻酔下での処置となりますので。
指示には従うが、文句も言うのが人の医療の大変なところでしょうね。
矯正の器具の取り付け方なんかは、動物も人も一緒です。
当たり前ですが。
獣医歯科の大御所、アメリカのPeter P Emily 先生は人の歯科医療を獣医学分野に持ち込みました。
そのお弟子さんが育ち、今の私たちの指導者となっています。
徐々にではありますが、専門家や意識の高い獣医師が育ってきています。
でも、とにかく絶対数が少なすぎます。
人の歯科医の数は多すぎ、動物の歯科医は少なすぎる現状です。

ちなみに隣の治療ブースで別の子を処置していた先生。
どこかでお見かけしたような・・・。
あの特徴のある眼鏡は・・・!。
うちに犬がかかっている飼い主さんの旦那さんでした!
まあ新潟は狭いですから、こういうこともありますね。
職業を存じ上げなかったので、びっくりしました。


連載が決まりました

2010-01-07 01:16:06 | Weblog
年末に、獣医学の専門誌を出版している会社さんから、執筆の依頼がありました。
犬猫の予防歯科に関して、月イチの連載を動物看護師向けの専門雑誌に執筆して欲しい、との依頼でした。
連載を持て、ということですね・・・。

年越しから年明けにかけて検討していました。
若い方々に予防歯科を正しくレクチャーしたい、そう思いました。
ただ、毎月締め切りがくる世界に身を置いたことはありません。
診療しながら、大学院に行きながら、果たして責任もてるであろうか?
そんな不安が頭をよぎりました。

病気になってから治療するのと、あらかじめ予防して発症を防ぐのでは、
全く効率が違います。
予防の方が安価で確実に軽く済むのです。
ワクチンと同じですが、動物病院側と飼い主さんの意識変革が必要です。
毎日の努力が欠かせません。
若い看護師や獣医師のために、理想をお伝えしていくべく筆を執ることとしました。









年賀状ってすごい!

2010-01-06 17:49:11 | Weblog
今年いただいた年賀状で、一通忘れがたいものがありました。

私が獣医大学の外科で研修医をしていた際に担当していた猫ちゃんが亡くなったのです。
22歳半だったようです。
すごい長生きさんですね。

この雄猫はみいちゃんと言いました。
尿道結石に伴う尿道狭窄で、「会陰尿道瘻設置」という手術を行った子です。
当時よくご指導いただいた助教授の先生と、「新しい術式」でやってみよう、
という話になり、「包皮粘膜の温存」による尿道の形成を行い成功しました。

経過は良好でしたが、私がその後に新潟へ移動したため年賀状のやりとりだけしていました。
数年して飼い主さんは結婚されて転居、子供さんも生まれて・・・、
そんな中、ずっとみいちゃんは大切にされていた様子でした。

亡くなりました、との連絡は悲しかったですが、大往生だったみたいです。
全く会えなくなった飼い主さんと連絡が取れるなんて、
ネットの時代でも年賀状は違った意味でいいですね。
若い頃、必死で診療していたことを思い出させてくれました。
合掌

遺体を焼いてきました

2010-01-04 22:27:09 | Weblog
14時から立ち会いで、愛猫みいやの遺体を焼いてきました。
元旦の夕方に亡くなってしまい、お別れをしてお花を備え焼き場に家族皆で行きました。
お経をあげてもらい、最後のお別れをして火の中に入って行きました。

触ってやるといつもの毛並みの感触がありましたが、冷たく固くなった遺体は、
家族の死を実感させるのに十分でありました。
きれいな死に顔で焼却機に入って行きました。

なぜかその機械の手前に白い猫が動かないで横たわっていました。
焼き場の方に聞いたところ、ノラ猫ちゃんで弱っており、
橋脚機の前が暖かいからそこにいて動かない・・・、
とのことでした。
頭を触れば動くのですが、一見亡くなって呼吸もしていないように見えたのです。

40分くらいで焼き上がりました。
家族で骨を拾い、持って行った陶器に納めて帰ってきました。
今は自宅の猫階段に安置しています。
昨晩の急患3件は、みいやのこともあって、真夜中にもかかわらず診察しました。
助かる命は助けてあげたいと思ったからです。
動物を家族として扱うことの難しさ、別れの辛さ、
そして何よりなぜ獣医師になろうと思ったのかの原点を思い出させてくれました。

みいや(ん)、今まで10年間、ありがとう。
安らかに眠っていいよ。
時が来たら、後から俺も行くからね。
しばしの別れだ!