日々の出来事

当院の出来事を紹介します

火曜日は予約の日なので・・・

2010-08-31 22:24:16 | Weblog
毎週の火曜日は、当院では予約診療日です。一日のうちに、決まった方だけ予定を組んで診療しています。以前は休診日でしたが、実際には診療していたことと勤務医の先生がいるようになったため、今は予約でゆっくり診ています。

予約の日なのですが、知らずに来てしまう方もいます。中には確信犯もいるようですが、都合をつけて拝見しています。今日もごく普通に来てしまった方がおられました。あらかじめ予約をいただいていた患者さんに迷惑をかけるわけにはいかないわけです。今日はたまたま予約が少なかったため、柳田先生がうまく対応してくれていたようです。

私は、朝イチで猫の歯科処置(もちろん予約)をし、午前中は銀行用事、午後から大学院、夕方から決算事務仕事でした。院長先生はいますか?と電話いただいた方もいたようですが、今日は目一杯、個人の貯まった仕事をしていました。予約の日ではありますが、さすがに当日都合をあわせるのは難しい日もあるのです。前日までにお電話いただければ、なんとかできるのですがね・・・。さすがに当日だと厳しいです。よろしくお願いいたします。

食用油「エコナ」の発癌性確認報道

2010-08-30 13:11:47 | Weblog
診療が激忙しく、アップができませんでした。

新聞や報道で、花王の食用油「エコナ」の発ガン性が確認されたと知りました。以前から体内で燃えやすい脂肪、体に蓄積しにくい脂肪というふれこみで、特定機能食品として認可されていたように記憶しています。これを利用した犬のダイエット・フードが販売されていましたし、実際うちで飼っている犬も一時期食べさせていました。確かに比較的短期間で痩せる事に成功したように思います。

同じものを食べていた他のワンちゃんたちからは、今のところ目立った健康被害を確認できていません。このまま終息(癌を患わないこと)することを祈ります。しかし体に良いとされて国の認可を得て販売していた食品に発ガン作用があったとは・・・、でも一部の識者からは生体に危険な面があるとの指摘を数年前にある学会で聞いた事がありました。

その先生は学会の講演の講師であるため、あくまでオフレコでのお話でしたが、トランス脂肪酸の問題など、長い間使われてきたことのない油脂が生体にどのくらい悪影響を及ぼしうるか、全く検証されずに商品化されたので、安全性は疑問だ、とおっしゃっていました。脂肪は生体にとって重要な栄養素なのですね。細胞の膜を作ったり、ホルモンの原料になったりするわけです。エコナのような特殊な栄養素は革命的だったかもしれませんが、体に悪い、まして発ガン性ありでは、消費者は納得できるものではありません。

健康のために、あるいは疾患の管理にために、獣医師は特別療法食を使う場合があります。自分がよかれと思って出した療法食に発ガン性があったとは、かなりショックな記事でした。数年前に聞いた話を思い出し、警鐘を慣らしてくれていた先生の見識に驚いた次第であります。

カメちゃん大往生

2010-08-24 00:19:15 | Weblog
19年間と長生きしてくれたカメちゃんも、先日お迎えが来てしまいました。私が新潟に来た頃から、ずっと診させていただきました。飼い主さんは、とても熱心に、大切にしてくれていました。

この数年は、甲状腺機能亢進症の管理をしていました。ただこの数ヶ月は、貧血やら膵炎やらで入院の多い闘病生活でした。
お父さんが踏ん張ってくれて、医療的にはこちらが考えつく限りの全てをやらせていただきました。
特に飲み食いがうまくできなくなってから、内視鏡で食道の狭窄が判明しました。

決断していただけたので、外科的に開腹して胃にPEGチューブという給餌用のシリコンチューブを取り付けました。手術自体のリスクもかなり高かったのですが耐えてくれ、給餌開始後から状態が目に見えて上がってくれました。しかし他の持病もあり、貧血が改善せず、数回に渡って輸血を行うことになりました。一頭で、こんなに何回も輸血をした猫は初めてです・・・。

少しでも元気になってくれるよう、ありとあらゆる治療を試みました。しかし寿命というべきか、全体の状態としては限界に来ていました。それでも最後まで寿命を全うしようとする姿が印象的でした。人間には場合によっては「自殺」という道もあるわけですが、動物は自殺はできません。従ってすごくリアルに、「生きる」ということの重みを私たちに教えてくれるのですね。

カメちゃん、お世話になりました。生ききる姿を見せてもらったよ。天国で安らかに眠れよ~(私が逝ったら会いましょう)。

がんばってくれたんだけど・・・

2010-08-21 00:29:20 | Weblog
先日紹介した、先天性複合心奇形のなつちゃん、がんばってくれていました。しかし獣医大学の心臓の専門家に診ていただく予約日の前日に、残念ながら急変して旅立ってしまいました・・・。直前には、もう一つFIPという不治の病が見つかってしまい、厳しい入院管理が続いていました。必死に生きようとするその姿に、さすがの私も目がウルウルしてしまいました。

専門の先生と連絡を取りつつ輸血をしたりなど、飼い主さんのご理解もあって考えられる限りの手を尽くさせていただきました。とはいえ残念ながら良い結果には結びつきませんでした。お母さんが見舞いに来ると、お腹を出してつぶらな瞳で見つめていました。何とか力になってあげたかったのですが、残念ながら願い叶わず逝ってしまいました。

この仕事をしていると、こういう辛い体験というか、自分の限界や今の医療の限界を感じます。本人も一生懸命にその人生を生ききったと私は思いますし、お母さんも十分に尽くしてくれていました。入院中、何度も涙を流してくれて、強い愛情や絆の強さを感じていました。昨今の子供を餓死させ放置した母親などのニュースを見ると、そうではない愛情深い方もいることと対比してしまいます。助けられない命もあるのではありますが、短い人生ではあったとしても、手を尽くし心を尽くしてあげたいのは、飼い主さんも獣医師も同じ気持ちなのであります。

県外の方がお盆休みで帰っていらして

2010-08-18 01:32:48 | Weblog
お盆休み中も普通に診療していたため、県外へ転居された(うちにかかったことのある)飼い主さんが、帰省されたりして数件お越しになりました。お話を聞くと、案外不満を感じている方が多いように感じます。

ある県にお仕事の関係で引っ越しされた飼い主さんには、この業界では有名な大きな規模の動物病院さんをご紹介しました。私は病院には行ったことがないし、院長先生とも面識はありません。聞く話から、おそらくまともな診療をしているはず・・・、と思ってご紹介しました。ただこの患者さんと病院は相性が良くなかったみたいなのです。

規模は大きくてとても立派、とても混雑している(流行っている)。ただし受付してから普通に3時間待ちだそうです。診察に当たる先生が毎回異なるため、その都度症状や体質などを説明しなくてはならず困ってしまったそうです。さらにどうも担当する先生が1年目くらいの新人とわかるレベルの方ばかりだったようで、「院長先生には一度も診てもらうことはなかった」そうです。今度戻ったら別の動物病院に行くつもり、とおっしゃっていました。「先生の病院より、同じような治療や薬なのに高かったのよ~」と言われてしまい、「うちが安いのでしょう、他県なら普通ですよ」とお応えしておきました。

勤務医の先生を複数置くと、必ずこの問題が発生してきます。うちではなるべく同じ先生が同じ患者さんを担当するように努力しています。私は全員のカルテを必ずチェックし、アドバイスを出すようにしています。不明点は相談しに来るよう、診察室の奥にデスクを置いて、待機しています。責任を持たせ、獣医師としての自覚を持たせるには、担当の患者さんにとことんつき合うことが必要だと思っています。「自分が診ている患者さんだ!」と感じなければ、ただの勤務している獣医師でしかないでしょう。それでは独立開業もおぼつきません。

正直なところワクチン接種やフィラリアの予防のレベルでは、ベテランも新人も差はほとんどないでしょう。他の異常に気づくか否か、それは経過をみていいものか否か、このあたりの判断が難しいです。私もなるべく目を光らせ、診察室で患者さんである犬猫を自分自身で直接診るように努力しています。全員を自分で診るのが理想だとはわかっているのですがね。体は一つ、そういうことなのです。

よい動物病院とは…

2010-08-15 16:28:32 | Weblog
人によって、よい動物病院の定義が異なることは当たり前です。大きい規模だからよいとか、小さい規模だからよくない、などとは一概には言えません。規模が大きく人数の多い動物病院でもいいかげんな所もありますし、院長一人でもすごい仕事をなしとげる所もあります…。
院長や勤務獣医師との相性も絡むでしょうが、一番問題になるのは医療に対する姿勢や考え方かと思います。風邪のような症状でいらした患者にどこまでするのか…。同じように対応しても、飼い主さんによって反応は異なります。血液検査をして異常がなかったような場合はなおさらです。検査で異常がなくて安心したという人もいれば、風邪なのに血液検査までされた…と感じる人もいるようです。検査する前に必要性は説明しているのですがね…。見逃しを限りなく避けたい…それが獣医師の考え方の根底にあります。

よい動物病院は、動物の状態や飼い主さんの事情・都合に配慮してくれる、予算やリスクを話してくれる、あり得る病気の可能性を教えてくれる、そういう所だと思いますね。

頑張ってるよ

2010-08-13 18:58:50 | Weblog
以前紹介した、先天性複合心奇形のなつちゃん…。貧血が目立ってきてしまい、専門医に相談して輸血に踏み切りました。体重が0.8Kg しかないため、1日で入れられる量に上限があります。今日から3日間にわたり、持続的な輸血になります。本人、すごく頑張っていると思います。必死に生きようとする動物の力を感じます。動物はただ生きることのみを考えるのでありましょう。人間には自殺を考えたり、悲観したりと、また違ったたいへんさがあるのでしょうけど…、闘病している動物たちを見ていると、けなげだなあと思うわけです。

手術は自動車運転に似ている

2010-08-13 01:02:32 | Weblog
実習の学生が来ているので、仕事の説明上、例え話をすることも多いのです。手術に関する考え方として、自動車運転に例えることをよくします。

<自動車学校での習い始めは、皆初心者。学校内で基本知識を学び、車の動かし方を頭に入れる。その後実際に動かしてみる。仮免許が得られたら、先生と学外へ出てみる。よほどセンスがない人でない限り、通常は運転免許が与えられる。運転免許をとっても、まだまだ一年間は初診者マークを付けての運転だ。慣れていないが、その分丁寧なので事故も少ない。慣れて来た頃、こすったりぶつけたりしてしまう。さらに自分も一人前と考え始めると、事故を起こす。運転には対人・対物の保険が必要、車両の管理やメンテナンスも考える。遠方に出かけるには、地図やナビを用いて行く。自分からぶつかって事故をおこさないにしても、相手からぶつかられる場合も無いとはいえない。それでも何とか大事故や人身事故を起こさずに運転していることが大半である。普通のドライバーに、F1ドライバーのような天才的センス(才能)は求められない。むしろ安全運転と危険回避が求められる。>

これらを外科手術を学んでいく中で対比させて教えていきます。自動車の事故は想定外の出血などに当てはまるでしょう。当院では、衛生的で万が一に備えた手術を丁寧に行うように指導して見学させています。運転の(手術の)仕方をみれば、その人の人格がわかりますよね!これは真実!

お盆中も診療なので

2010-08-12 01:55:59 | Weblog
お盆中も関係なく診療を継続しています。

これは私にとって極めて当たり前のことです。何故なら他の動物病院さんがお休みになってしまうと、動物たちがかかれる病院がないことになってしまうからです。年末年始も含めて病院を開けているので驚かれる場合も多いですが、1998年の開院以来、何日間も続けて閉めたことはありません。救急医療の夜間動物病院や24時間対応の動物病院が無い新潟県(新潟市)では、できる限りの対応を当院でしていきたい、そういう信念(意地)でがんばっています。勤務医の先生が確保できている間は、継続することが可能だと考えています。

ホテルが多いのがこの時期の特徴です。ついでのトリミングも入ってしまいます。診療は例年そんなに忙しくないのが通例ですが、今年はダメです。入院が多く、手術の必要なケースが続いています。一般の方がお休みの期間、我々は忙しいわけです。

真に頼られる動物病院であり続けたい・・・、そう思って獣医師や看護師は交代で対応してくれています。「いのち」の現場は外から見た目ほど甘くないのですが、困った時に頼っていただけること、それに感謝していただけることが、私たちの最大の報酬・喜びです。真摯に動物医療に向き合いたいと志をたててウン十年がたってしまいました!