日々の出来事

当院の出来事を紹介します

子猫が全てもらわれて行きました!

2012-07-21 19:01:21 | Weblog
佐渡からうちの動物病院に通ってくれている患者さんがけっこういます。

毎週のように、誰かしらはいらしている現状です。
簡単な話はあまりなく、けっこう難しいケースが多いように感じます。
だからこそ、わざわざ海をわたってまで来てくださるのでありましょう。

先月から子猫を三匹連れていらした方がいて、昨日最後の一匹も無事にもらわれて行きました。
佐渡の会社の倉庫で、飼い主のいない猫が五匹出産し、二匹はもらってもらえたが、
三匹が貰い手がなく新潟まで連れてきたわけでありました。

飼っている犬猫がうちに来ている患者さんなので、無下にもできません。
何とか貰ってもらえるよう努力します・・・という話にしてお預かりしました。
ワクチンやウィルス検査を済ませて、待合室に診療時間中は出しておくことにしました。

問い合わせがあれば、面会していただいたりして、少しずつ貰われて行きました。
昨日、犬がうちにかかっているお宅の紹介でいらしたご家族がいて、
気にいっていただけたようで、最後の一匹が貰われて行きました。

病院での会議中もずっと膝上でいい子にしていた子で、最近は飛び回る元気も出ていました。
愛着が増していた矢先のお別れでしたので、少々寂しい気がしています。
まあずっと居候でいても困るのですが・・・。
小学生のお兄さん・お姉さんのいるご家庭で暮らしたほうが幸せでしょう。

息子さんが、名前は「サク」にしようと言うので、なんで「サク」?なのと聞いたら、

 佐渡から来た黒い猫だから・・・

だそうです。

大切にしていただけると思いますので、これはこれでよい旅立ちです。

複数回のMRI撮影・・・

2012-07-17 11:50:18 | Weblog
脳や神経の病気を疑ってMRI画像を撮影することがあります。

CT検査に比べると、脳の状態が格段によく状況がわかるため、
今までは東京の獣医大学や専門の検査所に(かなり無理して)移送して、
撮影を行っていました。

飼い主さんに行っていただければ一番よいのですが、
お仕事の都合上、難しい場合も多く、
スタッフや私が、車や新幹線で運んでの撮影もけっこうありました。

幸いなことに6月から長岡市で、MRIとCTの撮影ができる二次診療(紹介のみ)の動物病院がスタートしました。
以前から知っている先生が始めたので、すでに数件のMRI検査をお願いしました。
これからは、脳の病気(脳炎や脳腫瘍など)の診断がスピーディーになることでしょう。素晴らしい時代になったものです。

今、通っていただいている脳腫瘍のワンちゃん(ラブラドール)は、
11月・12月・1月と、都合三回のMRIの撮影を行い、経過を見ています。
この時はまだ長岡の画像診断センターが稼働していなかったため、
三回とも、東京へ移送しての撮影となりました。

一回目で脳腫瘍と診断し、手術の前提で獣医大学へ行き二回目の撮影、
特異な経過(腫瘍による脳内シストが破裂)で状態が改善していたので、
手術は中止し、帰ってきた一ヶ月後、再度発作があって三回目の撮影となりました。

専門家の先生いわく、きわめて珍しい経過なので、
今週末の獣医神経病研究会で症例発表なさるそうです。

飼い主さんは、命がけの手術をしなくてもよいことになったので、
その分やれる限りのことをしてあげたい、と言ってくださっています。
高齢でもあるし、治らないにしてもよいQOL(生活の質)を保てているので、
このまま内科治療を継続して、行けるところまでいく覚悟の様子です。

複数回のMRI撮影や移送で、かなりの金額がかかってしまいましたが、
病態をご納得いただくには必要な検査でありました。
ここまでさせていただけるとは、開業獣医師として素晴らしい時代になったと、
痛感する事例の一つです。

セミナーが続きます・・・

2012-07-14 00:35:44 | Weblog

最近、細かなセミナーが続きます。

昨日は、午後から長岡で経営のセミナーに出てから、
夜は新潟で画像診断のセミナー、
今日は三条で、細胞療法のセミナーに出てきました。
来週も東京でのセミナーに参加してきます。

専門的なそれぞれの分野で、日々様々なアップデートがあるのです。
まさに、日進月歩であります。
実際には、もっと早い印象です。
昨日の常識、今日の非常識という感じさえします。
それに遅れないように勉強していくだけでもけっこうタイヘンです。
不思議なことに、勉強会(セミナー)に来る顔ぶれはいつもだいたい同じです。
アップデートの重要性を認識している同業者は、決まっているわけです。

研修医(昔は代診と言いました)だった頃に習得した技術や知識で、
そのまま診療し続けている同業者も多いのです。
時代も動物医療の中身も、大きく変わっているのにですよ・・・。

私自身も、診療の経験を積むにつれ、様々な変化が起きて今があります。
検査の必要性や時期の判断、手術にもっていくタイミングの判断、
看取りのための配慮など、教科書では学べない多くの経験を積み上げてきました。
若い先生から質問をされると、それなりのベテランに入ってきたとは感じます。

しかし私は、若い頃に教わった恩師の教えを忘れることはありません。
 
 油断するな、裏には裏があるものだ。
 わかったつもり、が一番怖い。
 できたつもりになるな、上には上がいる。

私やうちの病院スタッフにできることは、ひたむきに真面目にやり続けることだけ。
経験にあぐらをかくことはないのです。
そういう性格ではありません。

 油断せず、
 優しいこころで、
 確かな技術と知識を武器に、
 真剣に、動物医療に取り組みたいと考えます。 

うちの動物病院が、10年・20年たった時に、どういう臨床を実践しているか・・・、
今から楽しみにしています。
勉強が楽しくなくなったら、引退でしょうな。



午後はセミナーに出てきました

2012-07-12 18:39:35 | Weblog
午後から、長岡でセミナーに出てきました。

以前から、何度もレクチャーを受けている、
「リーダーシップ・セミナー」です。
講師は藤原直哉先生、
先輩であるシートン動物病院の長部院長の紹介で、参加しています。

今年は複数の動物病院さんからも参加者がいて、
同様な問題意識を持つ同業者が来てくれて、よかったなと思っています。
各動物病院が、自分たちを高めて、より良い診療を提供してくれたら・・・、
地域社会に少しは貢献できるのではないかと考えています。

今年は、複数の病院スタッフにも同席してもらっています。
私が目指す、居心地のよい組織作りの参考になれば・・・と思っています。
看護師のコア・スタッフとトリマーを連れて行っています。
今年のシリーズはトータルで6回、私は復習をかねての参加です。

わかっているようで、しっかりと確信が持てないのが組織の運営です。
スタッフに、気持ちよく・高い意識をもって働いてもらい、
お客様(飼い主さん)から納得していただけるような働き方をして欲しいと思っています。






血栓塞栓症の治療

2012-07-11 19:30:42 | Weblog
昨晩、予約診療の最後に来た猫は長年なじみの猫でした。

元気だったそうで、一年くらい会っていませんでした。
急に左前足がきかなくなり、様子がおかしいとのことで来院されました。
診察してみてすぐに気づいたことは、右前足との温度差です。

  触ってみたら左は冷たい感じがする・・・。

爪を切っても出血もない・・・。
血行障害や血管の閉塞が疑われました。

おまけに呼吸もすごく荒い・・・。
心臓病からくる血栓塞栓症が強く疑われました。
緊急疾患の代表です。
こういう疾患があるからこそ、お休みや時間外であっても、
自分の患者さんは基本的に自分が診ているわけですね。

状況から死亡リスクは高いと判断しました。

少ないスタッフ数ではありましたが、そのまま夜に向け、
検査や治療に入りました。
局所の血行障害を確認し、レントゲンで肺水腫を確認、
心エコーでは肥大型心筋症が疑われました。

ICUケージで酸素化しつつ、強心利尿治療を行い、
飼い主さんの了解のもと、

  すっごく高価な薬剤である血栓溶解剤(t-PA)の

      「クリアクター」・・・・・・・・・

とうとう使ってしまいました。
一本、うん万円もするんです。

人の脳梗塞などでは、非常に有効性のある血栓溶解剤です。
でも保険の効かない動物医療で使っていいものやら・・・。
心臓病の専門医の先生から得ていた情報をもとに、投薬してみました。

夜中中、回復を信じて見守りました。

しかし・・・、
一晩頑張ってくれていたのですが、午前中に急変してしまい、
旅だって行かれました。

できうる限りのことはしたつもりなんですが、
お力になることがかなわず、とても残念に思っています。
本当に急なお別れで、飼い主さんはさぞお辛いこととお察ししています。


新しい「盲導犬」との出逢い

2012-07-07 20:29:04 | Weblog

先日、当院に犬がかかっていらっしゃる方のお宅に、新しく盲導犬がやってきました。
奥様が盲導犬として利用なさるのだそうです。
うちに健康診断に来られ、実にひとなつこいワンちゃんでありました。

当院には以前、ベルタという盲導犬のリタイア犬がいました。
横浜で9年盲導犬をしていましたが、肝臓を悪くして早めの引退でうちにきました。
不思議なご縁で、以前にのユーザーさんは佐渡のご出身でありました。
新潟の盲学校を出ていらっしゃる、しかもそのときの先生のお一人は家内の知人でありました。
世の中って不思議ですね。

病院のカウンター脇の柵付きのサークルは、看板娘(お婆ちゃん)ベルタの定位置でした。
診察に同行して来た子供さんが、よく柵越しにおやつをあげてくれていたのも、懐かしい思い出です。

盲導犬などの介助犬は、きちんと仕事をしなくてはなりませんから、
けっこうなストレスがあると思います。
その分、プライベートでは、飼い犬としてかわいがってくださるのも事実です。

お互いに支え合う、よい関係性が築けるといいですね。
動物病院とも、うまくつきあえるといいですね。
盲導犬に好かれる動物病院でありたいと思っております。

タヌキに襲われた猫ちゃん

2012-07-06 19:59:51 | Weblog
先日、遠方から、外で狸(タヌキ)二匹に襲われた外傷の猫ちゃんがやってきました。

下半身を中心に重度の外傷で、脱水して低体温に陥り弱り切っていました。
咬傷(こうしょう)は、口腔内にいるバクテリアが傷から体内に侵入してしまうため、
案外やっかいで、最悪命にかかわることもあるのです。
ばかにはできない、といつも思います。

今回は来院時にはすでに腎不全に至っており、筋挫傷に伴うミオグロビン血症が原因と考えられました。
人でいうと事故や大けがによる「クラッシュ症候群」と似た状況と判断しました。

ICUケージ内で保温・点滴して、循環を改善し、ペインコントロールを実施、
抗生物質は嫌気性細菌もターゲットに使用、創傷治療は洗浄とウェット・ドレッシングしました。
尿は順調に出ていましたが、重度の代謝性アシドーシスのコントロールに難渋しました。

感染と激しい炎症、疼痛との闘い、腎不全の管理・・・。
考えられる限りを尽くしてみましたが、とうとう息絶えてしまいました。

 残念です。

膀胱癌の猫ちゃん

2012-07-05 23:23:02 | Weblog
生きる力って、
 
 すごいです。

いま通ってくれている猫ちゃん。
他院では膀胱炎として扱われていました。
うちに来院した時は、触診でしこりがわかるくらいまで進行していました。

症状は・・・、

 よくある血尿ってやつですね。

症状だけで、軽く判断してはいけないのです。
患者をよく診もしないで、投薬してはいけないのであります。

エコーで診たら、膀胱に巨大な腫瘤がありました。
手術でえぐりましたが、全てを切除するのは不可能な状況で、
診断のためバイオプシーしたところ移行上皮癌(膀胱癌)と判断されました。

普通はそれなら、もうダメかも・・・と考えます。

しかし実際の経過は、どうしてなかなか良いのです。
日常生活はご家族の協力でできているようなのです。
途中、漢方薬などで経過を観察していなしたが、腫瘍の破片が詰まっておしっこが出なくなり、腎不全にもなりましたが・・・、復活しました。
今は食欲もすごくあるようです。

膀胱の大半が腫瘍に置換されているため、カテーテルを留置して導尿していますが、
これがまたたいした体力で持ちこたえているわけです。
痛みや苦痛はあんまりないように観察されます。

動物は自殺はできないのですね。
最後まで生き続ける姿勢でいますから、診ていて切ない場合もけっこうあります。
進行癌と言われても、この子は最後まで生きることを諦めないでしょうね。

 痛みがなくて、御飯が食べれて、家族と共に家にいられて・・・、

たいしたQOL(生活の質)の維持でありましょう。
それでいいのです。

椎間板ヘルニアの転院例

2012-07-05 00:31:46 | Weblog
先日初診で、腰が抜けて歩けないダックスフントがいらっしゃいました。
かなり遠方からのご来院でした。

5日くらい前に急に腰がぬけて、立てない・歩けない・おしっこできない、
そんな状態での来院でした。
幸いにも「深部痛覚」は残っていました。

十二分にⅠ型の椎間板ヘルニアが疑われるケースでした。
でも前の動物病院では、とても中途半端な治療がされていました。
椎間板ヘルニアの可能性すら、指摘されていないようなお話でした。

経過も数日たっていたので、手術を行う前提で急ぎCT検査の手配をしました。
胸椎13番ー腰椎1番の左側に、突出した椎間板物質が確認されました。
CT撮影後の手術は無事に成功できたと思います。
一ヶ月程度のリハビリで、歩行できるようになるはずだと期待しています。

椎間板ヘルニアに対する対応は、きちんとされなくてはなりません。
保存でいい場合と、手術しかない場合があるのです。
特に深部痛覚が消失したら、早々に手術に踏み切らなくてはなりません。

急に来るのが、Ⅰ型椎間板ヘルニアの特徴です。
ゆっくりと進行・悪化するⅡ型の椎間板ヘルニアもけっこう最近は多いです。
適切な対応をタイミングよく行っていく難しさ・・・、
故に臨床家を慌てさせる病気が椎間板ヘルニアなのですね。

人では脊柱と脊髄の隙間がけっこうあるらしく、しびれなどがあっても麻痺にいたるケースは稀と聞いています。
ところが犬では、隙間がかなり狭くギリギリで、すぐに脊髄損傷と同じ状態になるようです。
脊髄損傷と同じような病態がすぐに発生するようなのです。

とにかく手術が早々に終了できることが予後を決めます。
今回は適切に手術に持ち込むことができてよかったです。

獣医大学の病院での肝臓腫瘍摘出手術

2012-07-01 00:42:33 | Weblog

先日、神奈川県の藤沢市にある日本大学の動物病院で、
当院の患者さんの犬にできた肝臓の腫瘍を摘出手術してもらってきました。
手術の前日に入院・検査のために看護師が連れていき、私は手術の当日に行って見学してきました。
術後に経過は良好との報告をいただいています。

新潟でエコーやCT検査を行い、どういう状態かの大半は判明していました。
私がやっても手術できなくはない部位ではありましたが、

 お金はかかっても専門家にやってもらいたい・・・

との飼い主さんのご意向で、肝臓の外科に定評がある先生に依頼しました。

18時からの手術でしたが、昼前に大学病院に着けたため、病院内の見学をして、
顔見知りの先生方にご挨拶して、夜の手術時間まで他に手術を見学させていただきました。

獣医師になる学生や若い研修医を教育する病院ですから、やたら人が多いです。
自分も駆け出しの頃、そういう現場にいたことを思い出します。
「レジデント」という名札をかけているスタッフは、ある程度任されている経験者みたいです。
獣医師なんだけどまだまだ実力・経験が・・・という方は修行中の身なんでしょう。
そういう先生も、先輩の仕事を見て、一緒にやって、経験を積んで行くわけですね。

自分がやる気ばかりの駆け出しだった時代を、懐かしく思い出しました。