日々の出来事

当院の出来事を紹介します

ルルちゃんさようなら

2014-09-24 23:27:53 | Weblog
先日、入院していた馴染みの老猫ちゃんが急変してお亡くなりになってしまいました。
最近、急に寝たきりになっていましたが、22歳・・・呼吸状態の異常で入院していたのです。
朝イチはまだ落ち着いていたのですが、8時前に急に状態が悪化してしまい看取りました・・・。

思えば、開業する前からのお付き合いでした。
カルテを見返したら、初診は20年前の4月、その後マンションの9階から落下、
骨盤骨折をしてしまいましたが助かったのでした。

眼球の病気である、角膜表皮壊死症をやって専門家に手術をしてもらったり、
そのからみで東京まで行ったり、いろんなことがありました。
丸20年間お付き合いいただき、感謝の念にたえません。

こんなに長くお付き合いいただくとは、想像もしていませんでした。
本当にいろいろ教えていただいたと感じています。
勤務医時代から独立開業を経て今の病院への移転など、
その全てにおいて関わってくれていたことになります。

今後、これだけの期間を全うできるケースはまずないだろうと思います。
飼い主さんも本当によくがんばってお世話してくださいましたし、
私たちも徹底的に寄り添ってきました。
一つの時代の終焉を感じずにはいれません。
心からご冥福を祈りたいと思います。 合掌


リンパ腫が続くとは・・・

2014-09-19 23:09:55 | Weblog
先日、体調不良でいらした柴犬のワンちゃん、エコーで不思議な病変が腹腔内に見つかりました。
腹水も微量ながら増加していました。
腫瘍が十分に疑われ、CT検査のできる病院に紹介して検査していただきました。

エコーで私が確認していた病変は、リンパ節の一部だったらしく、
腹腔内にある複数のリンパ節が腫大していたようです。
その時に実施した細胞診の結果が、今日届きました。
悪性のリンパ腫でクローナリティはT細胞性であり、ステージは5b と判断されました。
専門家が血液を見ると、少数ながらリンパ腫の細胞が末梢血にも出ていたもようです。

抗がん剤による化学療法の適応なのですが、ご家族からは費用的に一番良さそうな方法は選べないと聞いています。
自由診療である動物病院の辛いところですね。
少しでも快適に過ごせるように、できる限りの手を講じたいと考えています。

他方、風邪のような症状を引きずっていた猫に、鼻腔内リンパ腫が確認されてしまいました。
小さい頃から鼻風邪のような症状は引きずっていたみたいです。
7月の検査ではレントゲンとCTで、気管支肺炎が疑われていました。
鼻腔内に腫瘍性の変化は確認されませんでした。

その後の対症療法では完全に良くはならず、先日鼻の中を調べていたら腫瘍細胞が出てしまいました。
今日、専門家の判断が届き、鼻腔内リンパ腫と確認されました。
肝臓の一部にも小さなしこりがあるし、気管支肺炎の所見も続いています。
鼻腔が原発なのか、肺や肝臓が原発なのか・・・、どれかが転移なのかは判断困難です。

体調がすっきりしない場合や診断がはっきりしない場合は、
発熱が続く場合や貧血などでは、やはり腫瘍を疑ってしまいます。
特にリンパ腫は多いですね。
抗がん剤や放射線治療が適応なのですが、費用やリスクのからみから、
誰でも受けさせてくれる治療方法ではないのが実状です。

治らないとしても、できる限りの手は尽くしてあげたいといつも思っています。

















また子宮蓄膿症・・・

2014-09-11 23:55:55 | Weblog
今朝の初診で、子宮蓄膿症のワンちゃんがまたやってきました。

食欲と元気の低下、多飲多尿、嘔吐、よく見ると、陰唇腫大、腹囲膨満でした。
これで子宮蓄膿症を疑わない獣医さんはいないでしょう。
学生か初心者の獣医さんなら、わかりやすくて良かった・・・、そんな感じになるでしょう。
診断は難しくない・・・でも心配なのは体力の有無、合併症の有無です。

子宮の細菌感染によるエンドトキシン血症、腎不全、凝固異常、
よくある合併症に膵炎、甲状腺機能低下、クッシング症候群、DIC・播種性血管内凝固症候群など、
「あなどれない」疾患の代表ですから。

手術はそれほど難しくはない。
心配なのは、麻酔と術後管理ですかね・・・。
急変もありえますしね。

今回は、飼い主さんがお医者さんなので、リスクの説明をご理解いただけていると感じています。
十分な術前検査をさせていただけているので、明日の検査結果を見てから手術ですね。
現時点ではミニチュア・シュナウザー特有の、高脂血症(脂質異常症)が顕著です。
中性脂肪は500 over でした・・・。
胆石もあります。
急性炎症の指標・CRP値はふっとんでいます。

腎不全なし、膵炎あり、DICではないがAPTT値が延長、軽度の僧帽弁閉鎖不全あり、
クッシング症候群と甲状腺機能低下症を除外したら、念のための輸血準備で手術にいくぞ!
と看護師たちに気合い入れまくりしてました。
あ、ちなみに冷静に手術に臨みますからご心配なく。
心配なのは麻酔だけ、東京から麻酔の専門家・長濱正太郎先生を呼び出そうかな・・・。












17年間お世話になりました

2014-09-09 19:04:22 | Weblog
昨日、子犬の時から約17年間お付き合いいただいたパグ犬がお亡くなりになりました。

最近は寝たきりに近い状態で介護状態でしたが、ご家族の献身的なお世話によりよいコンディションでずっと過ごしていました。急に具合が悪くなり相談の上で入院管理していましたが、17歳のお誕生日の夜に天国に帰っていかれました。

入院中に急変してしまうかも・・・というリスクはお話してありましたが、

  「本人が酸素室にいたほうが楽なようなら入院させておく・・・」

という熟慮に熟慮を重ねた上での、大人の判断でした。
これにはご家族として本当に悩まれての決断だと感じました。
私もできる限りの手を尽くしていましたが、スタッフ一同がいる中、
急に呼吸が弱くなって昇天していきました。

ご遺体をシャンプーして、さっぱりしてからお迎えに来ていただきました。
お花屋さんも、時間外だろうに事情を察してお花を届けてくれました。
皆に愛されて大切にされたワンちゃんでした。

まさに大往生とはいえ、17年間を振り返ると寂しいです。








皮膚病の診断・管理

2014-09-08 13:13:37 | Weblog
今、平井先生がフレンチ・ブルドッグの不妊手術をやっています。
この子には、同時に皮膚のバイオプシー・生検をする予定です。
 
  なぜか・・・

ものすごくひどい皮膚病で、他院で長く引きずってしまっていたからなんですね。
とにかく痒い!らしい・・・。
食事を治療食にしていたようですが、改善しなかったそうです。

ちなみに平井先生が初診で診た際、皮膚表面のスタンプ検査やスクレーピング検査(顕微鏡で観察する検査)
被毛の顕微鏡検査をさせてもらったら、「今まで一度もそんな検査はしてもらっていない!」と驚かれていたようです。こんなの初歩の初歩、当たり前のあたりまえであります。どんな皮膚科の教科書や専門誌でも、必ず書いてある確認項目なんですね。今までの獣医さんは、そういう基本をはしょってしまっていたのでしょうかね。

基本通りに話を進めていきます。通常は皮膚の感染(細菌・カビ・ダニ)を除外し、皮膚の過剰な炎症を押さえ込む治療を行います。回復しないか、再発する場合は、アトピー性皮膚炎やアレルギー体質(花粉やほこり・食品蛋白など)を考慮して評価を検査で確認しています。ホルモン失調が背景にあるような場合もあれば、非特異的な変化や先天性の問題を抱えている場合もあるため、疑わしいときは皮膚のバイオプシーを行っています。避妊・去勢していない犬は、皮脂の分泌が性ホルモンの影響を受けてしまいます。今回はそれを抑制するために不妊手術をしているわけなんです。

皮膚のバイオプシーを専門家に評価してもらえば、極めて客観的な治療の指針となります。治りが悪い場合は必須の検査であると、私は考えています。基本に忠実に話を進め、先入観を持たず、わからなければ専門家にご相談、これが私のやり方です。

先ほど平井先生から、皮膚の切開をしたら腹壁から「非吸収糸」が見つかったと聞きました。おそらく3年前の帝王切開時の縫合糸でしょう。もしかしたら、この糸に対する異物反応で皮膚がひどいことになっているのかもしれません・・・。腹壁上の皮下組織もすごく固いそうですので、ダックスフントなら「縫合糸肉芽腫」も疑ってしまうケースですね。

脂漏症で体臭も凄いし、とにかく引っ掻くからフケも凄いのです。何とかして、ワンちゃんにとっても飼い主さんにとっても快適な生活ができるように、治してさしあげたいと思っています。