日々の出来事

当院の出来事を紹介します

かたづけ・・・

2010-04-29 22:11:04 | Weblog
最近、おかたづけの重要性を再認識しています。
私も苦手なので、すぐに散らかってしまいます。
「とりあえず・・・」という意識や、「またすぐ使用するから・・・」という考えが元に戻す習慣を邪魔します。
机の上が脳の状態と思えば、カオスの中に日々生きています。

今日、脳腫瘍と確定している犬の飼い主さんが、水素水を受け取りにきました。
それがどれくらい効くものかのエビデンスはありませんが、効いている印象があり続けています。
問題は在庫管理・・・。先日数が不足していたため再注文しました。
届いていたのですが、置き場所がいつもと違い、運搬用リフトの中に置いてありました。
本来の置き位置は2階のストックヤードですから、受付の者は見つけられず、再度取りに来ていただくという事態になりました。
これじゃあ、ダメですね。明日、院内ミーティングをして対策を話合います。
リフトの中に、とりあえず入れておくから見つからなかったのですね。
日々のかたづけや行動の正確さが、医療の質の高さを保っていくことに関与していると信じます。

私も院長室や机の上を、恥ずかしく無いように整頓しなくては示しがつきませんね!

獣医師の考え方を一定に示すべき

2010-04-28 23:50:03 | Weblog
今日、初診で去勢手術にいらした猫がいました。
飼い主さんとお話したところ、ワクチンをしてくれた前の獣医さんは、去勢手術はしなくていいと言ったそうです。
???
去勢手術をするしないは、その飼い主さんが選択なさる問題ではないでしょうか?
するメリットとデメリット、しないメリットとデメリットを説明することが、獣医師の仕事であろうと考えます。

そもそも、その動物病院の考え方は一定にしておかなければなりません。
私は「早期避妊・早期去勢」の考え方に賛成派です。
発情を覚える前に、避妊・去勢を実施するべきであると考えています。
早すぎる手術は体に悪い、という考え方は時代遅れであると思っています。
世界的なデータは、麻酔が良くなったことが要因でしょうが、早期に避妊・去勢のメリットを証明しています。

自然に任せて、避妊や去勢はしないほうがいい、と言うのは、室内で犬猫を飼うことの不自然さを忘れています。
外で自由にノビノビと・・・は理想でしょうが、安全に暮らせる時代ではないのです。
その制限の中で、犬猫たちに最高に安全でハッピーな人生を送ってもらうには、早期避妊・去勢が必要です。
それが良くないと考える獣医さんは、その旨を主張したらいいのです。
あくまで、選択するのは飼い主さんの側ですから。
動物病院側は、自分たちの信念を語ればいいのではないでしょうか?

ウサギの抜歯

2010-04-27 16:18:46 | Weblog
口が痛くて、軟らかいものしか食べられないウサギさん。食欲が落ちてしまい、脱水状態に陥っていました。一晩血管内点滴をして、今日奥歯・臼歯の抜歯をしました。根尖膿瘍といわれる状態でした。白くて丸くなった膿の塊が付いてきました!痛かったことでしょう!

MRIをもう一枚

2010-04-26 11:56:18 | Weblog
このワンちゃんは、右の第四脳室・延髄に腫瘍があり、二次性の閉塞性水頭症を併発しています。左小脳テントの直下にも小さな腫瘍が認められます。専門医に見ていただいたところ、脈絡叢腫瘍が疑われる…とのことでした。基本的には悪性で急変もあり得るので、夜間の対応もあるだろうと覚悟をしています。

MRIってすごいなあ~

2010-04-26 11:40:52 | Weblog
先日、斜頸から脳腫瘍を確認したワンちゃん…。CTでははっきりしない部分も、MRIならくっきりですね!ただはっきりするほど飼い主さんにはつらい事態となるのもまた事実なのです…。しっかりと状態を把握する、その上で対策を考える、現実を直視しないわけにはいかないのです。このワンちゃんは、脳圧を下げる治療をしたところかなり状態が改善してきました。立って歩くことはできないけれど食べることはできているそうです!すごく頑張っていると思いますよ!

写真の解説を忘れました

2010-04-21 01:56:03 | Weblog
動物の場合、じっとしていてくれません。
従って、全身麻酔をかけてCTやMRIの撮影となります。
こうすることを「不動化」と言います。
歯の場合も同様です。
人なら大概は全身麻酔は不要のはずです。
動物の歯科治療では、不動化のために麻酔が必要となります。

写真は、CTのドームに犬が入っている様子です。
麻酔器からのチューブで吸入麻酔(ガス麻酔)で呼吸を管理します。
昔に比べて、撮影はずいぶんと早くなりました。

今日のテレビで、CTから画像を作成する、「仮想大腸内視鏡」の話題を見ました。
人でも大腸内視鏡は、心理的にも肉体的にも嫌な検査なわけですね。
CTを撮影して、後から画像を作ると、内部の病変が写ってくる・・・、
そういう時代になりつつあるようですね。
動物でも内視鏡をする際は、やはり不動化のために全身麻酔となります。
小腸の病変が未だにネックとなります。
仮想内視鏡ができると、病変が見れて最高なんですが、おそらく、
そういう解析ソフトはウン千万円とかすると思いますよ・・・。


CT撮影

2010-04-21 01:54:59 | Weblog
先週、首が曲がってしまう斜頸といわれる症状のワンちゃんが来ました。1ヶ月くらい続いているとのお話でした。急に症状が重くなり、時間外で来院しました。初めはよくある中耳炎かな…と考えましたが、その後の経過というか治療に対する反応の悪さから、脳腫瘍を疑い始めました。よくある末梢性の前庭障害ではなく、内耳など脳の異常である中枢性前庭障害が疑われたため、CT撮影を行いました。狙った部位に造影剤で描出される病変が写ってきました。これで脳腫瘍は間違いなさそうでしたが、詳細がわからない…。飼い主さんのご理解をいただいて、東京へ日帰りで行き、MRIを撮影させてもらい、CTで判明しなかったいくつかの病変を確認してきました。病変で水頭症をおこしており脳圧も上がっているため、危険な状況だとはっきりしました。今は脳圧降下治療により、それなりの状態を保っています。時代の変化、医療の進歩はスゴいですね!当院では月に数回、CTやMRIといった画像の撮影をします。徹底的に手を尽くす当院の方針に、協
力してくださる専門医の方々の力添えがあるので、なんとかこなしています!費用がバカにできない額になるため、必要性の高いケースを選んで、持ち込んでいるのが現状ですね!

クッシング症候群のダックス

2010-04-13 22:05:10 | Weblog
今日は午後から狂犬病ワクチンの集合注射の当番で、小針野球場に行ってきました。
13時30分から15時30分が規定の時間でありましたが、早めに行ったら、
13時には来ていた方もいて、すぐに注射をスタートしました。
前半はけっこういいペースで犬が来ていたため、大忙しでした。
天候が徐々に悪くなり、最後は寒い中雨も降ってきて、手がかじかんでしまいました。

帰ってからはすぐに、午後の診療に入りました。
再診で眼科の検査をしたダックスは、先日の検査でクッシング症候群と判断されました。
多飲多尿の症状があり、食欲が過剰で肥満体型・・・。
しかもダックスフントは好発犬種です。
8月に他院でした検査では異常がなかったので、この8ヶ月ほどの間に生じてきた変化でした。
低用量デキサメサゾン抑制試験で、確定診断を得ました。
エコー検査では副腎の大きさが左右ともにやや腫大ぎみであることから、
ホルモンのコントロール中枢である脳下垂体に、腺腫ができていることが推測されました。
本来は、CTやMRIで下垂体の状態や大きさを確認した方がよいのです。
飼い主さんと話をした結果、眼の治療をしながらしばらくはお薬で経過をみることとなりました。
トリロスタンは高価な薬ですが、この場合は仕方ありません。

とはいえ眼の異常でいらして、関係ないクッシング症候群が見つかってしまった訳です。
むしろ食欲はあるわけですから、疑いにくい背景です。
軽い異常でいらして、難しい疾患が見つかってしまった・・・。
でも長期に管理できる疾患でもあります。
予想外に早く見つかって、かえってよかったと考えていただけたらなあ、と感じます。







予防に必要性を感じない・・・と言われちゃいました

2010-04-12 21:47:40 | Weblog
先日いらした患者さんには、ちょっとビックリしてしまいました。
いつもは、ご年配のお母さんが犬を連れていらっしゃいます。
今回はお子さんでしょうか、お見かけしないご家族が同行していました。

狂犬病ワクチンは法的義務があるからする、しかし今元気だから混合ワクチンやフィラリアの予防、健康診断はしない、と受付で申されたようです。
例年、きちんと全部をプログラム通りに実践してきた方です。
お金の事情ができたのならまだしも、予防に意義を感じないという反応は、プロの獣医師としてそのまま許容するわけにはいきませんでした。

8歳を越えたらどんな犬でも立派は中年犬です。
ましてや10歳越えなら老犬の部類に入ってきます。
半年ごとの定期健康診断はなるべく受けていただきたいと思います。
確かに今元気ならよいのかもしれません。
しかし見てわかるレベルなら、それは相当進行した変化なのですね。
一見わからない異常こそ、早期に検出したいのです。
そこがわかっていない印象でした。

フィラリアの予防も「蚊がいない地域だから」必要性を感じないとおっしゃる・・・。
他の方々でも、毎年同じような会話を繰り返しています。
昨年は、「フィラリアにかかっても駆虫すればいい」という間違った情報を持って来た方がいました。
これは100%間違っています。
なぜなら薬剤で駆虫してフィラリアを除去しても、血管の硬化病変(後遺症)は残ってしまうからです。
蚊がいないから、も理由としては脆弱です。
フィラリアは、犬だけでなく野生のタヌキなどの動物も保有しています。
蚊は風に乗って相当な距離を移動することが実証されています。
濃厚に汚染された地域とそうでない地域があるのは事実です。
したがって、蚊のいない地域だからフィラリア予防は必要ない、というのは愛犬家が考えてはならない発想です。
ちなみに最近は、猫でフィラリア症の診断にいたるケースが増えてきました。
犬特有な病気だと思って、予防していないからでしょう。
猫のほうが診断が難しく、治療も厄介です。症状もまったく異なります。

混合ワクチンを毎年打つべきかについても、専門家の間で意見が様々でています。
抗体価を測ってから打てればいいのですが・・・、現場では現実的ではありません。
犬のジステンパーと類似した病気であるヒトの「はしか」は、ワクチンをしなくなったことで、
抵抗力の低い世代があり、結果として成人になって感染し重症化するケースが増えてしまいました。
強化できる免疫は付与しておく、これは予防の観点から重要だと思います。

する必要のない予防や、費用負担のできない検査はするべきではないでしょう。
しかし、するべきことをしないのを「怠慢」というのもまた事実です。
「予防」の意義を理解した上で、上手に予防方法を活用する、ことが必要です。
まともな獣医師が、本来なら予防できる疾患に遭遇してしまい助けられなかった時の悔しさ・・・。
これは当事者にしかわからない辛さです。
人間の子供を、100%に近く防げる病気で亡くすことになったらどう悔やむのでしょう?
動物だって家族です。しかも自分で予防や定期検査を選択することはできないのです。
思いやりの気持ちがあれば、安易な発言はできないと思うのですが、理想に走り過ぎでしょうか?


しっかり診ようよ

2010-04-07 21:49:58 | Weblog
今日、初診でいらしたダックスフントは、眼の充血が主訴でした。
眼圧正常でしたが、虹彩に異常が見つかりました。
眼科はあまり得意ではないため、後日専門家に診てもらう手配をしました。

このワンちゃんは、昨年の8月に他院で乳腺腫瘍の摘出を受けていました。
術前検査のコピーを保管してくれていましたが、異常はないようでした。
しかし13歳ですし、成犬の1年は人の4~5年にあたります。
ちょっと太っているのも気になりました.
ご説明して血液のスクリニーニング検査を行いました。
ALPと TChoという値が著増していました。
エコーでは胆石はなく、クッシング症候群が強く疑われました。
ご説明してご理解いただけたので、明々後日に確認検査を行います。
デキサメサゾン抑制試験です。
火曜日の専門家の眼科診療までには結果が出るでしょう。

8ヶ月前の検査結果を鵜呑みにしていたら、見過ごしてしまっていたと思います。
不思議なことに、このワンちゃんは、フィラリア予防はしているのに、
狂犬病ワクチンや混合ワクチンは全くしていませんでした・・・。
手術を行うのに、他院さんではワクチン歴を確認しないのでしょうか?
歯石も重度でしたし、ホームケアーの指示がなされていませんでした。
しっかり全体を診ないと、何かを見逃してしまいます。
うちでは勤務医の先生方に対し、とても厳しくチェック漏れが起きないように、注意しています。

結局、最後はカルテの書き方で差が出てきます。
カルテは、自分自身や他の獣医師や看護師に対する交換日記みたいなものです。
心を込めて、丁寧に、わかりやすく、誤解を生じないように記入する必要があります。
一生懸命にカルテを書くこと・・・、私が最初に習い今は若い先生や看護師に口うるさく指導する、
医療の原点であります。