日々の出来事

当院の出来事を紹介します

本の価格

2009-06-18 19:05:21 | Weblog
私の趣味の一つは読書です。
乱読・多読・速読です。
専門書を除けば、常時数冊を平行して読んでいます。
トイレやベッドはもちろん、たまに風呂場にも持ち込みます。
なじみの本屋さんには、最低週1回は行きます。
また来た!と思われているのは間違いないでしょう・・・。
動物関係や人の使い方等のビジネス書、知的生活に関する啓蒙書は大量に保有しています。
気になったら買う、これだけです。
一行でも感動すれば、その価値があるのが本のように思います。

先日、病院の3階倉庫を片付けていたところ、学生時代に読んでいた本が出て来て、
結局本棚には収容しきれないことがわかりました・・・。
古本で売るかゴミで出したら、と家内が言いましたが、検討しますと答えるにとどめました。
人生を変えるくらい感動した本もあれば、なんでこんな本を買ったんだっけ?
と悩むようなものも出てきました。
2年3ヶ月前の引っ越しで、段ボールにつめて行方不明になっていたのでした。

それにしても本の価格はピンキリです。
獣医学の専門書だと、一冊で数万円のものも存在します。
人医の本に比べて販売される冊数が非常に少ないため、かなり割高なのだそうです。
人の内科の教科書であるハリソン内科書が、獣医のエッティンジャー内科書になると3倍くらいします。
うちに営業に来る出版者の方は、勉強して欲しい先生が本を買わず、
勉強が好きな先生がたくさん買う、と話してくれました。
ある先生は、「僕は勉強しないから本は売りに来なくていい」と言ったとか・・・。
死ぬほど勉強しても進歩に追いついて行けないのに、勉強しなかったら化石になってしまいますよ。
一般書や専門書を含めて、これは!という一冊に出逢えると本当に幸せですよね。
その感激を求めて、年に数回の感激を求めて読み続ける訳です。
そう考えると、価格ではないですね。
数百円の文庫本でも何十万円の価値がある時もあるし、時間の無駄になってしまうケースもありえます。
1200円くらいで他人様の人生が読めたりすると、本ってなんて安価なのかしら、と感じてしまいます。
ネットサーフィンでは得られないなにかが、本には存在していると思いますね。










学校動物の健康診断

2009-06-17 22:09:58 | Weblog
毎年担当している小学校へ、飼われている動物の健康診断に伺います。
今年から新潟市立浜浦小学校の担当になりました。
いわゆる校医さんですね・・・。
ウサギが二羽いたのですが、一羽は先日亡くなり今は一羽を飼育しているようです。
飼育委員会の5年生と6年生の子供たちが、健康診断に立ち会ってくれました。
健診後の質問を受けましたら、なかなかレベルが高くて驚きました。
よく勉強しているな、という印象を持ちました。
かわいがることと同時に、生態や飼育上の知識を持っていることも必要なんですね。
獣医師の仕事は最近は子供たちに人気のある職種だそうです。
私も小学生の頃、獣医師になることを夢見て現在に至ります。
昔は真面目に勉強すればなんとかなったのですが、最近はレベルが高くなっているようです。
しっかり学んでいただいて、将来獣医師になる子が出たらうれしいです。

まめ本

2009-06-15 21:58:03 | Weblog
「まめ本」というフリーペーパーを知っていますか?病院の受付にも置いてある小さな冊子です。子持ちのお母さん方には案外知られている小冊子なんですね。編集をしている方が知り合いなので、原稿を書いて載せております。季刊で年4回の出版です。今年私が書いているのは、①どうぶつだって話したい(ハズ)、②どうぶつだって歯が命、③どうぶつだって高度医療、④どうぶつだって別れはつらい、です。他に小児科の佐藤先生や子育ての専門家斎藤先生が原稿を書いておられます。地道に自分の主張を書いて行くしか方法はないのでしょうが、何か共通した世界観を感じるのは何故でしょう?子供(と同じ動物)に対する認識が共通しているのいかも知れませんね。

プロレスラー三沢光晴死亡・・・

2009-06-15 02:21:47 | Weblog
13日に広島でプロレスラーの三沢光晴さんが亡くなりました。私は特にプロレスのファンという訳ではありませんが、けっこうショックでした。年齢が近く、迫力のある試合にはテレビで何度も釘付けになった記憶があります。迫力のある無しでは天下一品だったと感じていました。でも試合中バックドロップを受けて心肺停止・・・、悲しすぎる結末です。記事によれば試合中にいつになくよろけていたとか、頭をしきりに振っていたとかいうことがあったようです。試合前から脳の異常が起きていたのかも知れませんね。リング上で試合中に死亡してしまったことが、本人にとっては本望だったのか・・・。誰にもわかりませんが、危険なことを承知でプロレスラーをしているわけですから、その強烈なプロ意識は尊重してあけたいと思います。すごい試合を見せてくれてありがとう、です。

医療のセンス・外科のセンス

2009-06-13 18:57:53 | Weblog
大学や専門学校から学生実習を受け入れたり、獣医師や看護師の候補者を実習に来ていただいたりすると、センスのあるなしを感じる場合があります。
皆それぞれに個性があり、優れている部分や実力が足りていない部分があることは人間ですから当然であり、多種多様な人格があって当然です。
しかしここは動物の命を預かる医療の現場、医療行為に向いていない方はやはり採用できません。ポイントを押さえた行動と作業の正確さは絶対に必要です。
薬や量を間違えない、患者さんの名前を間違えない、緊急事態にはターボが効く(一気に加速すること)ようでないと現場で働き続けることは難しいでしょうね。
多くの足りない部分をもっている方の共通点は、なにが欠けているのかの認識がないことでしょう。どこが実力不足なのかが自分でわからない、わけですね。
医療、特に外科手術に関してはセンスのある無しを痛切に感じます。誰でもトレーニングすれば一定の技術習得は可能です。要はうまいか否か、具体的には正確か否か、早いか否か、がセンスの差が目立つ部分です。ゆっくりでも正確な手術を教えていますが、早くて雑な獣医外科医もいるのです。本当に上手な外科医の手術を見学すると、淀まない、早い、美しい、リズムがある、よい緊張感がある、出血がとても少ない、力みがない、ですね。センスの差が歴然と出てくる世界なのです。私ですか?手術が好きでまあまあのセンスを持った「内科医」です!誰も信じないか・・・

変わるべきもの・変わってはいけないもの

2009-06-12 06:22:55 | Weblog
 診療や動物病院のマネジメントをして行く中で、変わるべきものと変わってはいけないものがあると思います。
医療の常識はどんどん変わりますし、人(飼い主さんやスタッフ)も少しずつ変わって動いていきます。
変化がないということは停滞していることとイコールである、と考えなくてはいけません。
環境の変化に対応できなかった生物が進化上生き残れなかったように、
動物病院も進化していくべきなので変化に対応していかねくては生き残れないだろうと感じます。

 その反面変わってはならない部分もあるでしょう。
根底の考え方のようなもの、動物の命を守る、飼い主さんの気持ちを大切にする、人間関係を大切にする、等々。
命のドラマを見つめる気持ちは時代や医療が変わっても、変化してはいけないし、あまり変わらないように思います。

先日見ていた本に、納得いく言葉が出ていました。
「過去と他人は変えられない、未来と自分は変えられる」
含蓄のある言葉だと思いました。
日々、一歩でも前進していたいものですね!




原因不明の難病もあります・・・

2009-06-11 18:59:26 | Weblog
昨年の5月に獣医大学でMRIを撮影した犬がいました。
「脳炎」と言われる分類に入る病態でしたが、脳脊髄液の検査等でも原因がはっきりせず、
原因不明の難病の一種と判断されました。

常識的には数ヶ月しかもたないだろうと考えられましたが、飼い主さんの努力で1年以上がんばっています。
寝たきりで排尿の障害もありますが、適切な管理で床ずれもできず、
尿道カテーテル付きながらお薬と手厚い介護で、ここまで来ました。

「手を尽くす」というという当院の方針と飼い主さんの考えが一致してここまでもったのだと考えます。
医学は相当な進歩を遂げたわけですが、まだまだ未解明な難病も数多くあるのです。
特に私が研修を受けた獣医大学の恩師のもとには、難病の患者さんが多く集まります。
現時点では治せなくても、研究が進んで急な展開がブレークする場合もあるのです。
地道な症例の蓄積と解析が必要だと痛感する日々です。

特に伴侶動物に対する動物病院での医療の場合、獣医師はなかなか病理解剖をおすすめできません。
原因がはっきりしないまま、うやむやになっているのが現状でしょう。
お亡くなりになって悲しんでいる飼い主さんにそういう提案をすることは獣医師としても気を使います。
当院では無理強いすることはないですが、原因がはっきりしない場合は、
病理解剖をすることをおすすめする場合が時々あります。
ちなみに人間の医療でも小児科領域では病理解剖は非常に少ないそうです。
親の気持ちになってみれば当然ですよね・・・。












オーダーメイドのアドバイス

2009-06-09 23:48:06 | Weblog
当院の運営に関する税務・会計管理は、専門の会計事務所さんにお願いしております。
ご縁があって担当者の方には、開業の準備段階からずっとお世話になっています。
私の性格や考え方を理解していただいている方なので、コンサルティングもしていただきます。

今日の午前中に直接会ってお話しましたが、なんとも目からウロコ的なお話が聞けました。
医療も同じですが、本や一般向けの講演を聞いただけではわからない部分や、
個別の対応が必要な話になれば、すでに一般論は通じません。
個別の、つまりオーダーメイドの対応が必要になるわけですね。
一般論としてはこうだ、でも浅井先生やあさい動物病院にとっては、その一般論は通じませんよ、
なぜなら・・・、というお話が聞けました。

あさい動物病院が目指す動物医療の方向性は間違っていないのだ、と意を新たにしました。
スタッフや設備の充実を図り、より良い医療が行えるように努力してまいります。
そのための効率的な方法をいつも模索しておりますし、堅実に運営していきたいと考えています。
MS兄貴、いつも「理系」的なアドバイスを、ありがとうございます。





ノミ・蚤・のみ

2009-06-08 22:58:52 | Weblog
新潟も暑い日が増えてきました。ノミのシーズン到来です。
ノミは散歩に出かける犬や、外に出る猫には普通に寄生してきます。
また厳密には冬でもノミは生きているため、年間を通じて寄生してくる可能性があります。

さすがに新潟の冬はきついですから、冬場にノミが寄生してくることは稀です。
それでも室内が暖かいせいか、冬でも怪しいな、と思わせる症例はあります。
外で待ちかまえていて、動物が近寄ると体温や息に反応して飛び、犬猫の皮膚にくっつきます。
血を吸うことでノミの唾液が皮膚に付いたり侵入したりします。
これが繰り返されると体側がアレルギーのなってしまい、少量の寄生でもひどい症状になることもあります。

ノミは食いつくだけでなく。条虫という寄生虫も媒介します。
またペストという恐ろしい伝染病や、猫ひっかき病と言われる人の病気の病原体を運びます。
人もノミにくわれますから、こういう病気にかかりえます。

もはやノミの予防は今や常識であり、共同生活のマナーといってもよいでしょう。
動物病院に来る意識の高い方々の多くは、「うつさない・うつされない」の常識をご存知なので、
ノミの予防剤を使用している方が多いですね。
今からでも遅くありませんので、予防を早々に始めて欲しい、というのが獣医師の願いです。
ちなみに民間療法(?)のハーブは効きません。
忌避作用はあるようですが、効果は疑問大です。
きちんと医学的根拠がある製品を利用しましょう。










フィラリア予防について

2009-06-07 17:34:36 | Weblog
犬のフィラリア症(犬糸状虫症)を予防する時期になりました。
ノミの予防と時期が重なるため、毎年この時期は繁忙期です。
たまに昨年の予防剤が余っているという飼い主さんが来ます。
余っていた予防剤を暖かくなったからと言って飲ませてはいけません。
これは本当に危険なことなので、絶対にしないでください。

なぜなら昨年の最後の予防剤投与が行われていないと、すり抜けてフィラリアが体内に侵入している場合があるからです。
蚊によって伝染されたフィラリアの子虫がすり抜けて体内に入っていると、
この時期に育ってきていて、そこに予防剤が入ると犬がショック死してしまうことがあるのですね。
特に九州や本州の西の地域、四国などではよくあることのようです。
新潟もフィラリアは普通にありますが、ショックの発生は少ないようです。
フィラリアの汚染度合いが軽いからでしょうか?
とはいえ新潟市も郊外に行くほどフィラリア症は多く存在します。

先日ネットで、「フィラリア予防はしなくていい、年1回駆虫すればよいのだ!」と
わかったようなことを書き込んでいるサイトを見ました。
この方が安いというわけです・・・。
でもこれは明らかに間違っています。
なぜならこの「イミトサイド」という駆虫剤はヒ素剤であり、毒性があるからです。
またフィラリアの虫体が侵入することを許すと、アレルギー反応が生じて人で言うところの動脈硬化が起こります。
年1回駆虫剤を注射、というのは暴論なんですね。
ネット上には玉石混合で、よい情報と怪しい情報の双方が入り乱れているわけです。
情報過多ですから、こちらが正しい情報を得る努力がかかせません。