日々の出来事

当院の出来事を紹介します

職場体験の受け入れ

2012-09-28 21:25:14 | Weblog
先日、関屋中学の二年生が三人、職場体験で二日間お越しになりました。

女子三名でしたが、注射用の「針そのもの」が苦手な方が一人いらして、
見学中に具合が悪くなってしまい、休んでいただきました。
尖っているものを見て、気持ち悪くなってしまったようでした。

なんとか頑張って見学しようとしてくれたのですが、無理はしない方がよいと感じました。
他の小中学校からも職場体験を受け入れていますが、緊張感からなのか、
時々具合のわるくなる生徒さんが出ます。

特に手術室で、これからいくぞ!・・・という時に具合が悪くなることが多いです。
まだお腹開いてないけど・・・、と言う前に、

  たぶん・・・

     「独特な緊張感」

に耐えられないのだと思っています。


それは決して恥ずかしいことでも情けないことでもありません。
初めての他人の職場に来て、緊張しているのだと感じます。
まして、「命の現場」「真剣勝負の現場」なわけです。
手術の時は、血を見る場合もあるでしょう(大出血なんておきませんが)。
多少の覚悟はしてきていても、初めて生でみたらショックかもしれません。

包み隠さず仕事を見せていますが、かえって負担なのかもしれません・・・。
診察前に、

  「中学生が職場見学に来ているので、よろしく!」

とお願いすると、ほとんどの飼い主さんが気持ちよくご協力くださいます。

診察室に中学生がいると、ちょっと普段とは違う雰囲気になりますな。










長生きしたパートナー

2012-09-21 11:00:15 | Weblog
先日、超長生きしてくれた猫ちゃんが大往生なさいました。

21歳と4ヶ月の天寿を全うして逝きました。
最近はかなり弱ってきていたのですが、飼い主さんの献身的な介護により、
ヨロヨロしながらも、頑張っておられました。

あらゆる介護をしてくださった飼い主のお兄さんには、

「本当にご苦労さまでした!」

と言ってさしあげたいと思います。

保護した子猫が、まさかこんなに長生きしてくれるとは・・・。
飼い主さんが20歳の時に保護したのなら、41歳になってしまう長さですよ・・・。
人生の半分を一緒に過ごしたパートナーということになるでしょうね。

飼い主のお兄さんに言わせれば、その間いろんなことがあったんだよな・・・、
そういうことのようです。
楽しい時もあり、辛い時もあって、いつも一緒にいてくれた・・・、
そういう深い思いがあるようです。

最後に近い時期は、かなりヨボヨボで貧血・脱水・腎不全・甲状腺機能亢進症等々、
よく頑張っていたのは、本人(猫)はもちろん、飼い主さんですね。
ギリギリまでトイレには自分で行く気力があったようです。

人生を生ききる・・・まさに大往生、十分に尽くしてくれた素晴らしいお話です。
人と動物の間にある「絆」の強さに、感激したのは私だけでなないはずです。
お別れが来た後、病院にお寄りになって、看護師によくしてくれてありがとう、
って言ってくださいました。
気持ちが通じる良い仕事をしたのだと思います。








バリウム造影

2012-09-21 00:08:53 | Weblog
夜中に病院で書類仕事をしつつ、入院管理をしていました。

昼間に、食欲不振で削痩(やせてくること)し時々嘔吐がある猫の検査をしました。
バリウム造影です。
血液検査やレントゲン、エコーで微妙に怪しい部分があるのです。
でも病変がはっきりしません・・・。
膵炎の検査が陽性ですが、腫瘍や異物でも検査値の異常が出る場合もあります。
老猫なので、異物の可能性は低いとは思います。
通過障害を確認するために、バリウムを飲ませて確認していました。
純粋な膵炎なのか、腫瘍なのか、はたまた別の疾患か・・・。

けっこう面倒くさい検査です。
白い液体を飲ませてから、決められた時間ごとに、レントゲンを撮影しなくてはなりません。
スマートな方法としては、CTの方が断然楽で早いでしょう。
でも動物の場合、CTを撮影するには、原則全身麻酔が必要なんですよね。

ちなみに明日は、肺癌疑いの犬にCT撮影を行います。
MRIを撮影する可能性もあるため、長岡の画像診断センターへ看護師が連れて行ってくれます。
CTだけで診断できればいんですが。

バリウム造影は面倒くさいです。
でも時々必要になる検査でもあります。
私は性格的に、「面倒くさいことでも必要ならいとわない」ので、しっかり撮影しました。
バリウムの流れが、明らかに遅いようです。
困ったな・・・。

専門家に診ていただいて、ご意見いただく必要性があると考えています。
高齢の猫ちゃんなので、きちんとしてあげたいなと思って残っていました。

















脂肪肝細胞移植の治験

2012-09-11 16:38:24 | Weblog
医療は日進月歩です。

診断が困難だった病気が一発で簡単に診断できるようになったり、
よい治療方法がなかった病気に、新しい薬がでてきたりもします。

つい最近まで、手だてなしと考えられていた病気で急にブレイクスルーが起きることがあります。

 「再生医療」

このトレンドはどんどん進歩していくのでありましょう。

先月、治験の一環として脂肪から取れる幹細胞を投与する治験を
うちの患者さんが受けられました。

有償治験なので、一回の治療費が63000円!、毎週の投与でそれを四回行います。
脊髄の麻痺がある患者さんに投与して、回復の状況を確認しました。
この治療法はまだ治験段階ですが、安全性が高く、高い効果が期待されています。

治験は無事に終了し、リハビリをかねて入院していました。
麻痺していた後肢は、かなり力が入るようになり、びっくりしました。
従来の医療では、回復は期待できなかったからです。

無事に退院して経過をみていましたが、先日ご自宅で食べ物を穴違いしてしまったらしく、
急にお亡くなりになったようです・・・。
残念な結果になってしまいました。

このワンちゃんのご家族には、MRIやCTによる病変の確認をさせていただき、
まして実験的な治療である脂肪幹細胞の治験に同意して参加していただきました。
費用も半端ではなかったわけで、未知の治療に臨んでいただき、
強い愛情を感じないわけにはいきませんでした。


いっぱいお金をかけたから偉いのではなく、そこまでしてくれるんだ・・・、
と獣医さんから見ても、すごいがんばりだなと痛感しました。
東京だから高度な動物医療ができて新潟ではできないんだ・・・、
それが思い込みであったことは、こういう実例が証明しています。
本当に、とことんやって(やらして)くれました。


















全体会議

2012-09-08 00:29:17 | Weblog
昼休み中に、スタッフ全体での会議を久しぶりに行いました。

指導的な立場にいるコアなスタッフは、時々外部に連れ出して会議をします。
しかし全体でミーティングをしても、なかなか意見がでない・・・。
日本人というか、若いというか、言いにくいというか、考えてないというか、
なかなか積極的なものにならないのは、どこでも日常的な光景かと思います。
しばらく全員で集まることを避けていました。

独演会をしても仕方ないと思っていたのですが、コア・スタッフから

「若いスタッフに院長の考えを語って欲しい・・・」

と言われて全員集めてみました。

職場とはなにか、社会人としてどうあるべきか、プロフェッショナルとはなにか、
一人前と認められるにはどう生きるべきか、等々。
私がどのような理想を持っているかを語りました。

日々の仕事に忙殺されていると、何を理想としていたのか忘れてしまいます。
自らを律してコントロールしていくのは難しいものです。
私は、自らの理想を見失いそうな時や迷った時に、原点に帰る方法を持っています。
でも若いスタッフは、叱られたりうまくいかない時に、どうしていいかも知らないのだと思います。
だからこそ、先輩であり上司である自分が語り続けなくてはならないのだと感じました。

理想は捨てない、でも現実的に対応していく。
動物病院として、獣医師として、どう舵取りしていくか、日々眠れないほど考えています。

「全ては患者さんとご家族のため」

あらゆることに手抜きをしない、最善を尽くす、それしかスタッフには求めていないのです。
そこが心底響いたスタッフは、自ら考え、自ら気づき、自ら行動してくれるようになるのですね。
そうなってくれるよう、若いスタッフの成長に期待しています。