日々の出来事

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ダックスフントのⅡ型椎間板ヘルニア

2014-01-29 12:17:51 | Weblog
先週、ダックスフントで外力外傷によるⅡ型の椎間板ヘルニアを経験しました。

通常ダックスフントで起こる椎間板ヘルニアはⅠ型で、椎間板内の髄核が突出しています。
一般には、軟骨の質が元々弱いため生じるのだと解釈されています。
加齢や肥満に伴って生じる場合が多いようです。

Ⅱ型の椎間板ヘルニアは、髄核は脱出していません。
一般的には大型犬に多く、ゆっくりと発症してきます。
今回は、暗いところに犬がいて踏まれてしまったという事故が原因でした。

脊椎の骨折も可能性があるため、視野に入れつつ治療方針をたてました。
脊椎骨折や脊髄神経の損傷があった場合、どうするべきか・・・。
通常の片側椎弓切除術(ヘミラミネクトミー)では対応できない可能性がありました。
脊髄や神経の損傷がチェックできる専門機関への受診が推奨されました。

飼い主さんと相談し、県外ではありましたが脊椎外科の専門動物病院に運び込みました。
神経機能検査で脊髄や末梢神経のダメージを判定し、MRI検査に持ち込みました。
結果的には脊椎の骨折は否定、胸椎10-11番における椎間板の突出が確認されました。
そのまま手術となり、Ⅱ型の椎間板ヘルニア(突出)が確認されたわけです。

術前・術中・閉創前に、きちんと神経機能検査を繰り返し、脊髄のダメージを確認していました。
なかなか専門的な分野なので、特殊設備が必要でした。
持ち込んで大正解、MRIを撮影して開けるだけ・・・、
では術後の不安が残っただろうと感じました。
要は証拠立て、回復の見込みは相当に高い、と判断されています。

まだしっかりとした歩行はできていませんが、今後のリハビリで回復していくだとろうと判断されます。
神経機能検査のグラフから、予後(経過のこと)はかなり期待できる・・・と言われています。
費用はかなりかかりましたが、それ相応の意義のある検査・治療であったと感じました。
大学病院でも、ここまでできるところはそうそう無いみたいです。



















自宅で急変した患者さん

2014-01-20 23:29:17 | Weblog
去年、エコー検査で脾臓に結節性病変が見つかり、
CT検査で肝臓や心臓に転移と考えられる病変が見つかっていたワンちゃん、
今日の午前中に再診していて、午後に自宅で急変してしまったようでした。

私は、保健所主催の年一回の義務講習会に参加していて病院には不在でした。
平井先生が時間外で対応してくれたようですが、来院時には事切れていたそうです。
右心房に腫瘤が見つかっていたので、状況証拠からは血管肉腫が一番疑われていました。
突然死の可能性があることはご指摘してありましたが、本当に辛い経過であったと思います。

持病の状態について理解していても、実際に急変となると当事者は本当に辛いものです。
私も自宅で、大切にしていた三毛猫が元日に突然死していた経験があります。
ご家族は十分に尽くしてくださったと感じていますが、切ないことに変わりはありません。

ご冥福を心からお祈りしたいと思っております。