日々の出来事

当院の出来事を紹介します

「ミラクルおきました」の続き

2012-01-25 18:22:37 | Weblog
先日書いた、脳腫瘍のワンちゃんの続きです。

11月に発作・意識消失で来院され、MRIを東京で撮影して脳腫瘍の診断を得ていました。
12月には獣医大学へ手術の前提で紹介診療に行きました。
その際のMRI撮影で、脳内のシスト(袋)が破けたらしく、脳の圧迫などが取れている・・・というミラクルが起きていました。結果的には手術をしないで内科治療を続けていました。

しばらくよい経過でしたが、この間発作の再発があり、緊急治療を行いました。
発作の再発に対して、昨日、再度MRI検査を実施しました。
都合3回目のMRI撮影となりました・・・。

昨日は大雪のため、車での東京往復はけっこう神経を使いました。
雪というより路面が凍結していてスピードも出せないため、検査所への到着が遅れました。
東京にしては数センチの雪が積もっていて、びっくりしました。

検査の結果を獣医大学の専門家に判断してもらい、今日電話がきました。
一回目より、二回目(大学)のMRIで改善していたから手術をしなかった・・・、
三回目の画像はさらに改善しているのでビックリです・・・とのお返事でありました。

発作の再発があったので、脳の状態は悪化していると思い込んでいたので、嬉しい判断でした。
脳腫瘍自体も進行していない模様なので、このままうまくコントロールできるといいんですが・・・。
専門家も、寿命と言えるところまで行けそうですね!と言ってくれました。
内科治療に全力を尽くすまでです。







前号の子宮蓄膿症治りました

2012-01-04 01:53:59 | Weblog
前号で書いた子宮蓄膿症のワンちゃん、今日再診でいらして抜糸しました。
すっかり元気になっていて安心しました。
まだ体内では、起きた異常の修復中ではありましょうが、とりあえずの山は越えました。

手術で膿の貯まった子宮を摘出し、病理組織検査と膿の細菌培養検査と抗生物質の感受性検査に出していました。
腫瘍性の変化は確認されず、子宮の状態は化膿性炎症、細菌は大腸菌が検出され幸い調べた抗生剤は全て感受性・有効との判定でした。効く薬剤を使っていて一安心です。

抗生物質は万能薬ではありません。効かない細菌に使用しても効果が出ないし、むしろ他の細菌増殖を助長してしまうため、安易に使うと足を引っ張ります。いつもどの薬剤を使うべきか迷います。確認が取れるまでは勘が頼りです。

そういえば抗生物質の感受性検査の結果が出る前に、「O-リングテスト」と呼ばれる検査方法を動物に使用して、良い結果を得ている・・・という話を聞いたことがあります。科学的にO-リングテストがどれだけ信憑性が高いのか調べたことがありませんが(興味を持って本は持っています)、初めは適当に「勘で投薬」するリスクを考えたら、チェックできる「可能性の一つとしてはあり」かと思ったものです。動物は自らの手でO-リングが作れませんから、検者と動物との間にセンサーとしての人を一人挟む必要があると聞きました。バイデジタルO-リングテストと呼ばれる検査方法も提唱されて、ある有名な癌専門病院(人の病院)では使用されているそうです。

サイエンスとしてどこまで正確で再現性があるのか知りませんが、未だ現代科学では解明されていない・・・、でも有効な可能性のある検査や治療方法はいくつもあるようです。偏見を持たずに、追求してみる姿勢が重要ではないかと感じることも多々あるのです。個人的にはあるサプリメントの使用で、末期癌の猫が一年半も延命できた経験があります。効かない個体もあるけれど、効く個体があるのもまた事実なのでした。

薬との相性が、投薬前にチェックできたらいいな・・・と日々悩んでいます。





またまた子宮蓄膿症・・・

2012-01-03 23:42:33 | Weblog
昨晩お電話いただき、今朝来ていただいた初診のワンちゃん。
想定通り、「子宮蓄膿症」でした。
またか・・・、というのが正直な感想です。

すでに時間がたっているようで、腎機能の低下が確認されています。
肝臓などにも悪影響が起きていました。
柳田先生が全体をきちんと検査して確認してくれました。
状態がはっきりしましたので、明日手術となる予定です。

何故、不妊手術をしていなかったのでしょうか?
飼い主さんのお考えか、単なる知識不足か、獣医師の説明不足か・・・。
なってしまったものは責めることはできません。
獣医師からの十分な説明があり、ご家族の納得が得られれば不妊手術が行なわれていたでしょう。
それが何らかの理由で達成されなかったため、よくある子宮蓄膿症がまたまたおきて、
危険な状態でのリスクのある方法を取らなければならないのです。

動物病院や獣医師側から、十分な説明はされていたのでしょうか?
発生率が高く、予防することが可能な代表的な疾患なのですね。
この病気が来るたびに、獣医師としての心が痛みます。




手帳を切り替えて思うこと

2012-01-02 19:55:43 | Weblog
年末から年始にかけて、手帳を切り替えますよね。
私はこの数年間、「ほぼ日手帳」を使用しています。
紙質や開けた際の開きやすい状態、その文庫本のような体裁を気に入っています。

以前にはシステム手帳や一覧性の高い別のタイプも使っていました。
ポケットに入る手帳は携帯性が便利でしたが、やはり情報量が入らない・・・。
仕事や勉強会、学会や原稿書き、プライベートの予定を管理するには不便でした。

携帯電話のメモも便利ではありましたが、こちらは一覧性が乏しい。
中長期的な予定の全体像が見えません。
最近の結論は、月の予定と日々の予定を把握するには手帳を用い、
日々の確認・アラーム機能は携帯電話を使用する方法がよいようです。

11月にiPhone 4S に携帯電話を切り替えました。
これでインターネットの端末を持ち歩くことが可能となり、機能としては満足しています。
ちょっと電池切れが早い点が欠点でしょうか?

数年前には考えられなかった変化に戸惑いつつ、不便な時代には戻れないもの事実です。
それでも古典的な手帳の便利さ・重要性は残っていると思っています。
充電もいらないし・・・。



あけましておめでとうございます!

2012-01-01 00:20:08 | Weblog
新年、明けましておめでとうございます。
震災後、初の年越しですね。
皆で力を合わせてこの難局を乗り越えたいと、意を新たにした年末年始です。

穏やかな年末を過ごしました。
例年の年末に比べると重症の入院がいないため、治療に明け暮れる感じはありません。
こんな穏やかな年越しは久しぶりです。
例年、厳しい年末年始の入院治療体制が多いので、
嵐の前の静けさか・・・と、かえって構えてしまいますね。

昨年は最新型のエコー検査機やICU酸素室、血圧モニター、人工呼吸器など、
いくつかの医療設備を新たに導入しました。
これらの機械が早期で精度の高い診断と、より高いクオリティの治療を生んでくれると思っています。
すでに今まで以上の仕事をスタートして、よい結果が出たケースも出てきています。

昨年、スタッフと共に参加したセミナーを通じ、より良い診療を提供していきたいと考えています。
特に組織としてスタッフの士気を高め、より真剣に自分たちの使命と向き合うことを徹底していきます。
病院内の雰囲気作りを介して、患者さんにも喜んでいただけたら幸いです。

一途一心・・・ひたむきに仕事に精進したいと思います。
今年もよろしくお願いいたします。