日々の出来事

当院の出来事を紹介します

ダライ・ラマ講演会

2010-06-22 01:19:09 | Weblog
義父が亡くなり、葬儀があったことをすでに書きました。その義父が旅行がてら楽しみにしていたのが、20日に長野市で開催された、ダライ・ラマの講演会でした。義父は生前に密教に興味をもっていたようで、入院が長引いた場合でも体力があれば行きたいような話になっていました。結局、その希望は叶わなかったので、これは供養の一環になるかと考え、休みを取ってあったこともあって車で行ってきました。

長野市は2時間半くらいで着いてしまい、意外に近い印象でした。会場はさすがにノーベル平和賞を取るような方ですので、すごく警戒が厳重でした。金属探知器など、持ち物検査も徹底されておりました。会場周辺は、黄色いテープで囲われていて、物々しい印象でした。内容に関しては、・・・子守りも絡んでよく頭に入っていません。ただ世界の平和を守るには、努力が必要なことはよくわかりました。このためには、英語をもっと学んで世界の人々とのコミュニケーションが欠かせないようでした。宗教間でいがみ合うのではなく、相手のことを知って尊重することで平和が保たれる、そういう内容でした。自分たちの考え方や主張を、一方的に押し付けるのは、今後の世界の平和を考えたら、あってはならないことなんですね。世の中が平和であることで、私たち動物病院の仕事も成り立っています。平和な社会であることが、日本人には当たり前のように思われていますが、実際は平和を保ち続けるには努力が必要なんですね。

上田市にいる親戚の家に一泊して、上田市の自然の豊さに感銘を受けました。子供のころから好きな「みすず飴」の産地です。周囲の山々と緑の多さが印象的でした。昼に私だけ新幹線に乗り、以前から約束していた埼玉の動物病院へ見学に出かけました。見学と懇親会をして有意義な体験をしてきました。明日からの診療に役立てたいと考えます。最終の新幹線で無事に帰って来ました。日本は、確かに平和なんですね・・・。

義父を看取りました

2010-06-17 02:23:25 | Weblog
2月から入院中だった、妻の父親を、16日の夕刻に家族で看取りました。完治が困難な病態で、緩和ケアーの病院に転院していました。最近はかなり弱っておりましたが、前日の夜中から状態が急に悪化してきていました。

家内を始め、泊まり込みで対応していたわけですが、夕方遅く、長野にいる家内の姉家族全員と、私の家族全員、それに義母で15分くらいの急な経過で見送らせていただきました。涙・涙でしたが、皆が「ありがとう・大好きだったよ・楽しかったよ」と声かけして、よい旅立ちとなりました。

体の処置をしていただいて、愛用の帽子をかぶせてもらい、自宅に連れて帰りました。緩和ケアーの先生と看護師さんは、よく尽くしてくれたと思います。病院の霊安室で、お焼香をしてお別れしてくれました。

私も医療関係者の端くれとして、ご遺体を扱うことがあります。目を閉じる処置をしたり、体を洗ってとかしてもらったりなど、皆でキレイにして送り出すことが時々あります。旅立ちの際には、人にも動物にも「尊厳」が必要なんだと思いました。最後に家族から、感謝を伝えてもらえるか否か、泣いてもらえるかどうか、考えさせられることが多々ありました。担当医には、ある種の使命感を感じていました。緩和ケアーって、痛みや苦痛の管理をしながら、治らない患者を看取る仕事ですよ。普通の神経では身が持たないでしょう。翌日からご出張との話でしたが、ギリギリでこの先生に看取られて、義父は幸せだったと思います。

もし義父がいなかったら、家内がいないので、私の家族(子供)も存在しないことになります。出逢えた奇跡に感謝して、しっかりと葬儀を執り行いたいと考えています。丸二日診療には出れませんが、よろしくお願いいたします。

テレビ放映・・・

2010-06-15 23:30:22 | Weblog
知り合いの方々から、テレビに出ていましたね、とこの数日言われることが多々ありました。
一つは、新潟のBSNが当院の歯みがき教室の撮影にいらしたので、それが放映されたことを指摘されました。
ご近所の方で見ていたり、歯医者さんの知人やご家族が見て教えてくれたりしました。
教室は社会貢献の一環ですので、歯みがき習慣が他の動物病院さんや飼い主さんに広まるとうれしいと思っています。

もう一つは、かなり前に撮影され、放映されていなかった元盲導犬ベルタのその後に関しての放映です。
新潟では日曜日に放映されたようです。が自分は見ていません。
ベルタが引退して移転前の動物病院に引っ越してきた際や、最近腰が弱ってきたベルタが出ていたようです。
当然、うちの家族も一緒に映っていたはずです。それは1年以上前の撮影なので、さらに腰が悪くなったベルタは今回でていません。12日の歯みがき教室の直前に、以前の飼い主さんで視覚障害者の石塚さんがベルタに会いに来てくれました。
新しい首輪をプレゼントしていただきました。

テレビというかメディアの影響は大きいですね。全国的に見られてしまいますので、県外から電話がかかってきたりして、びっくりします。次に撮影に来る時は、ベルタが歩けなくなった時かもしれません・・・。ベルタには、きれいに年齢を重ねて欲しいと思っています。

人の入れ替わり

2010-06-15 02:45:54 | Weblog
動物病院を運営していると、従業員の方々には徐々にですが確実に入れ替わりが生じます。
今日、1名の看護師が退職していきました。
そして結婚・妊娠とおめでたい事があった看護師も退職を申し出てきました。
今日は気持ち的にヘビーな一日となりました。

様々な理由で退職したり、急に人が増えたりします。
時の運、みたいな面がどうしてもあるようです。
スタッフ数が足りない時に優秀な方が見つからず、人が充足している時に有能な方が応募してきたりします。

人は皆、ご縁があって出逢っていると感じます。
当然、私の都合にあわせて、全てが回ってくれるわけではありません。
思ったように人材が集まらなかったり、逆に少数精鋭になる場合も経験しています。
思うようなスタッフが集まらなかった時期に、尊敬する先輩にグチを聞いてもらったことがありました。
 「来るもの拒まず、去る者追わず」、「他人を変えようと考えるな、自分を変えよ」、とはその際に教えていただいた格言です。

勤務医の獣医さんや女性が大半の動物看護師は、独立や結婚・出産等で入れ替わりがおきます。新陳代謝でもありましょうし、変化は世の常です。変にこだわらないで、流れに任せて対策を講じるのみです。

その方法論を知ってから、気が楽になりました。誰も自分(私)の代わりはいない、というのが事実です。私が不在の時に診療や入院管理をつないでくれるのが勤務の獣医師、私の診療をサポートしてくれているのが看護師をはじめとしたスタッフです。彼らの協力なしには、効率的でよい診療はできません。とはいえせっかく育てても、いつかは退職していなくなる・・・、子育てを繰り返しているような錯覚を感じる、今日この頃です。出逢いに感謝して送り出してあげるのが、私(親)にできることですかね。

歯みがき教室開催

2010-06-13 00:30:21 | Weblog
6月12日、無料の歯みがき教室を当院で開催しました。
開催に先立って、BSN放送さんの取材があり、歯みがき教室の様子を撮影をして行かれました。
当初は、翌週の月曜日の夕方に放映すると聞いていましたが、その日のうちに放映されたらしく、知り合いの方からメールをいただいて、放送の事実を知りました。当然、自分は観ていません・・・。

歯みがき教室には、チワワ2頭とビーグル1頭が飼い主さんと一緒に参加してくれました。
初めはちょっと緊張していたワンちゃんと飼い主さんでしたが、すぐに打ち解けて熱心に聴講し歯みがき実習に取り組んでくださいました。ちょっとした工夫で、歯ブラシができるようになります。人の歯科と異なる動物特有の事情や考え方を学ぶことで、歯みがきに仕方が異なる理論をしり、正しいオーラルケアが実施可能となるのです。

私たち動物病院のスタッフも、よい経験をさせていただきました。深いコミュニケーションを体験することができ、今後のおつきあいの参考になりました。味付き歯ブラシに目覚めたワンちゃんたち、太らないように気をつけてくださいね!

iPad

2010-06-11 19:36:44 | Weblog
アップルのiPadは、一代センセーションになっていますね。
私もすごく欲しいですが、今すぐ所持したい派ではないので、供給が安定したら入手したいと考えています。

先日テレビで、外科手術中にCT画像をiPadに映し出して、血管を確認しながら腫瘍の摘出をやっていました。無菌処置用のフィルムを巻いていたので、スマートな感じはしませんが、十分実用的だと感じました。肝臓の腫瘍摘出など、重大な血管が絡む疾患では、血管などの脈管の走行は手術の都合上、極めて重要な情報です。開けてみてから考えよう、という時代は終わったわけですね。

iPadの洗練されたデザインと機能は常識を変えてしまうかもしれません。
周辺のマック・フリークの方の中には、ノートもiPhoneも捨ててしまえ!と言い出している人もいます。
それは極端として、充電がもう少し増えないと不安な気がします。
本ではなく、電子書籍が普及する起爆剤になりそうな予感です。
医療の現場も激変しそうに感じています。

どこまでするか・・・その2

2010-06-11 00:07:16 | Weblog
またまた似たようなケースが来てしまいました。
不思議と同じような病気が続いて来ることがあるのです。
こういう事態を、業界用語で「流行病(はやりやまい)」と言います。

先日、初診で来て入院していた19歳の老猫ちゃん、腎臓が悪かったり肝機能障害があったりしました。
当初出ていた、ふらつく・涎(よだれ)が出る・食欲がないなどの症状は、肝性脳症や腎不全に関連したものかと考えていました。退院後に薬だけ取りに来られました。患者である猫が不在です。しかし、お話を伺えば、首が曲がってしまう斜頚という症状と、回旋、けいれん発作があったようでした。これは十分に脳の異常を疑う症状なんですね・・・。

鼓室包という部位の前庭障害という神経症状が明らかなように思えました。
本来なら、MRIを撮影して中耳炎や腫瘍を確認したいところです。
しかし、この飼い主さんは、猫が19歳と高齢であり、予算も限られているそうで、高度な医療は望まれない様子でした。
どこまでできるかと、どこまですべきか、どこまでしたいか、はオーナーさんによって差があります。
その要望に対し、話を合わせて可能な限りの医療を行うのが、動物病院の使命だと考えています。

獣医師としては、きちんと原因を追求して、可能な限りの手を尽くしてあげたい、しかしオーナーさんには都合や考え方がある・・・。とはいえ全てを年齢のせいにされてしまい、かわいそうだから・・・という奇麗な言葉で面倒くさい検査や費用がかかる検査から逃げて欲しくはないのです。でもどんな検査も多少のリスクはありますからね、強制はできないですね。

十分な時間をとって説明し、お互いの落としどころを探り、双方が納得してから医療を行う(あるいはしない)ことが大切なように考えています。なかなか難しい問題であり、ケース・バイ・ケースである点が悩ましいですね。

対照的な経過になった脳腫瘍の犬

2010-06-05 00:40:41 | Weblog
脳腫瘍の疑いで入院していたワンちゃん、昨日の夕方にお帰ししてその日の晩に亡くなられました。
ご遺体の処置のため、夜中に来ていただきました。
最近、発作を起こすようになり、しばらく入院していました。
以前から、脳腫瘍を疑うような所見がありましたが、他の持病もあり麻酔をかけてのCTやMRIの検査には至れませんでした。
比較的短期間の経過であり、飼い主さんご家族に長期間の負担をかけずに旅立っていきました。
いい子だったと思います。ご自宅で皆のいる所で看取っていただけたわけで、本当によかったと思っています。

以前のブログにも書いた、MRIで脳腫瘍が確認されたワンちゃん。こちらは、経過が極めてが厳しいことが予想されましたが、がんばっているようです。たいしたものです。歩けないものの、食事はとれていると聞いています。画像診断だけで安易に「もうダメです」、と言うことがいかにナンセンスか実感します。他院さんで、治らないとか、もうダメです、とか言われて流れてくる症例がけっこうあります。適切に対処すれば、苦痛なくがんばれるケースも多々あります。私はもうダメですと言わず、やれることをやって手を尽くしてみましょう、という言い方にします。だって、まだまだ一緒に過ごす時間を伸ばすことができるのも、また事実なのです。

全てが理想通りには運びません。でも、予想以上にすごいがんばりを見せる子がけっこういるんですよ・・・.。うちの患者さんである、マックちゃんやポピーちゃんは奇跡の症例と呼んでいいでしょう。普通の医療ならとっくにお迎えが来ているはずなのですね。何をしているかって?それは秘密ですが、ある種の漢方薬などを使っています。本当に効いているのか検証は難しいでしょうが、手応えとしては効いている、あるいは良いQOLでの延命ができている、と感じます。西洋医学と東洋医学の良い点を利用しています。「統合医療」と言われる治療で、案外よい経過、あるいは穏やかな進行による看取りを実現しつつあります。

どこまでするか、はオーナーさん次第・・・

2010-06-03 00:01:51 | Weblog
 動物病院で診療していると、予算やリスクなどの関係上、こちらが必要と感じる医療を施せない場合が以外とあります。
保険の利かない「自由診療」の世界ですから、きちんと詰めようとすればそれ相応な費用が発生します。
言葉が話せない動物に対する医療では、本人をよく観察して原因を絞り込むことが無駄を減らすことにつながります。
しかし、見たり触ったりの診察だけでは、きちんと判断できないのもまた事実であります。
詳細な状態の把握、例えば、血管内点滴を行う前に、電解質や血液ガスの測定をして体液の状態を把握することは重要です。
これらの検査なしで点滴をするのは、適切ではないと思います。
特に状態が悪い、シビアな状態の患者さんでは必須だと感じますし、データに基づいて治療することで劇的な改善を体験します。

 動物病院側も、なるべく安価に済ませてあげたいと思う訳ですが、現実にはきちんとしたデータが欲しい。
「てきとう」に済ますほうが難しいのです。よい加減ではなく「いいかげん」になりがちです。
保険診療なら、一種のマニュアルの世界ですから、マニュアル以外のことは通常考えません。
我々動物病院の世界は完全自由診療ですから、結果と対費用効果が全てです。
 検査をうけた→嫌な病気が見つかってしまった
 費用をかけた→そのわりには改善しなかった  
 手術をうけた→経過が悪く命にかかわった(しなければよかった)

こういうことを考えないで動物病院に来てしまう方がけっこういます。
私たちは、検査や治療の必要性を説明します。そして見積もりも話すようにしています。
それでも、どこまでするか(できるか)は、オーナーさん(飼い主さん)次第なのです。
十分な話をして、お考えや事情をお聞きしてから、プランを決定するようにしています。
プロとして十分な手当てが施せない場合も少なくありません。
でもあくまで、飼い主さんあっての動物ですから、私たちが我慢できる点は我慢するように自分自身に言い聞かせています。