日々の出来事

当院の出来事を紹介します

チャンスは目の前に転がっている

2014-05-28 10:33:13 | Weblog
昨日、息子の中学校で授業参観があり行ってきました。

音楽と幾何と歴史の授業を参観してきました。音楽の授業では、生徒の後ろ姿を見ていれば、「集中しているか」は一目瞭然です。本当によくわかります。

幾何の授業は、音楽室から教室に戻って行われました。

   「中点連結定理により・・・」

なんて懐かしい響きなんでしょう!そんなの獣医大学に行ってからは無縁でしたから。

歴史は、中大兄皇子と中臣鎌足が・・・、その時、朝鮮ではこんなことがあって・・・、蘇我入鹿が暗殺された背景に・・・、やっぱり獣医大学に進学してからは無縁でした。白村江の戦い・・・あったねえ!という感じでしょうか。

授業をされる先生方も、いろいろ工夫されておられるなと感じます。授業時間もキチンと管理されていました。宙ぶらりんで終了・・・、という冴えない授業は皆無でした。今は、獣医大学でも「教員・授業の評価」が行われる時代です。生徒が教師側を評価するんですね。ある知人の教授は、「意見欄に言いたい放題書いてくるんだよ!」と憤慨しておられましたね。中学校ではまだないんでしょうけど。

こういう授業を受けられることはチャンスでしょう。少なくともわかりやすく解説してくれている。私の頃はどうだったんでしょうか?チャンスを自分のものにできるか否かは、本人次第なんだと感じました。私が持っている本に、「チャンスはひっそりと近づき猛烈なスピードで去っていく」というのがあります。まさにそうだと日々感じています。

幾何の時間に、体調不良で保健室で寝ていた息子はどうなるんだろう??まあ仕方ないか。















最強の薬剤耐性菌が発生したというニュース

2014-05-27 19:58:49 | Weblog
ネットニュースを見ていて、ショックでした。

京都で、淋菌に最強の抗生物質・セフトリアキソンに耐性(効かない)の、
スーパー耐性淋菌が人の喉で見つかったとの報道でした。
他の耐性菌(高耐性のアシネトバクター・緑膿菌・腸球菌・ブドウ球菌等)も、
徐々にその広がりを見せてきているように感じます。
WHO(世界保険機関)は、非常に危機的な状況だとの判断をしている模様です。

使わないわけにはいかないが、下手に使うと墓穴を掘る・・・、
抗生物質にはそういう問題が潜在しています。
何となく(適当に)使用している医療関係者が多いのが実状でしょう。
獣医学生は、まともに抗生物質の使い方や注意点なんて学ばずに卒業してきます。
薬理学の授業では習う・・・国家試験にも出る・・・、
 

   でも実践での使い方は「現場でね・・・」(自助努力ってこと)

うちに流れてくる慢性の皮膚病や、慢性の尿路感染だと、
だいたいが、効かない薬を「感受性を調べもせずに」漫然と使用し続けている・・・、
そういうケースが目立ちます。
せめて効くことを確認して欲しいと感じます。
効果のない(感受性のない)抗生剤を使い続けると、耐性菌を増殖させるだけです。

本屋で人の医学書のコーナーに行くと、様々な書籍やビデオが販売されています。
抗生物質の使い方とか、救急の現場、初診の段階でどう考え、どう処方するべきか・・・、
専門家が解説してくれています。
こういうものを見て刺激を受けることを忘れてはいけないと思っています。

今、記入していることも、将来間違っていると言われるのかもしれません。
それでも今わかっていること、理論として考えられていることに則って、
日々精進していくしか道はないと考えます。

薬剤耐性菌の管理は、「国家のプロジェクト」であるべきです。
アイスランドなどでは、国家で抗生物質の使用に制限を設け、
数年で耐性菌の発生や感染を激減させたと聞いたことがあります。
やればできるのですが、なかなかやらない・・・、
人間とはそういう生き物のようです・

















下垂体腫瘍の放射線治療経過

2014-05-21 11:32:32 | Weblog
以前ご紹介した、クッシング症候群の原因が脳下垂体の巨大腺腫だったチワワ、
東京の獣医大学の動物医療センターに入院中です。

先日、放射線治療の担当医の先生からメールがあり、
順調に治療が進んでいるそうです!
よかった・よかった。

うちに入院している時も食べ物の選り好みをしていましたが、
あちらでも気分屋さんを発揮しているみたいです。
犬の入院室にいると落ち着かないようだ・・・、とのことで、
特別に猫の入院室に入れていただいているそうです。
静かな子ではありますから、猫たちには迷惑かけないと思います。

毎回、麻酔をかけて不動化を得ての放射線治療になっていると思います。
専門的なお仕事でありますから、頼るしか道はありませんでした。
このまま4週間で12回のリニアックによる放射線治療が済めば、
退院できることでしょう。

元気な姿で新潟に帰ってきて欲しいと、心から願っています。









抄録の作成・・・

2014-05-20 16:49:52 | Weblog
大掃除後に、筋肉痛に見舞われています。
まあ翌々日とかに出ないだけましですが・・・。
この山、どうしたものか。
千里の道も一歩からです。

大量の資料関係の整理に入りつつ、実は学会発表の抄録作成の締め切りが近いのです。
一人で入力して済むものでもなく、仲間うちでメールを回してご意見をいただいています。
これがまた細かいこと・・・。

学会側に、抄録集の体裁を整えるための規程があるんですが、
文字の大きさ、フォント、太字や細字、などの細かい取り決めがあるんですね。
守って入力しているつもりなのですが・・・、
部分的に直ってなかったり、意外な部分にスペースが必要だったり、で苦労しています。
(それを仲間が教えて指摘してくれている)

ダックスフントかダックスフンドか・・・もありました。
横文字では、Dachshund (ドイツ語)ですから、
ドイツ語読みならダックスフン「ト」なんです。
でもJKC(ジャパンケンネルクラブ)では、英語表記を採用していますから、
ダックスフン「ド」になるわけですね。
疲れます。

ゴールデン・レトリーバーなのか、ゴールデン・レトリバーなのか・・・。
吸入麻酔薬はイソフルレンなのか、イソフルランなのか・・・、
静脈麻酔剤は、プロポフォールかプロポフォルか・・・。
個人的にはどちらでもいいんですが、世の中はそれではダメなようです。
学会によっては、言葉が微妙に違う場合もあるんですよね。
日本人らしいやり取りを仲間内でしているため、

 「自分は、会社員や公務員になれないな!」

と実感してしまいました。はああ・・・・






大掃除

2014-05-19 22:16:03 | Weblog
今日はスタッフと力を合わせて、3階のフリースペースを大掃除しました!
ファシリテーションのセミナーに出て、スタッフと話合うためには、
適切なスペースが必要だとわかったからです。

フリースペースは、普段は使用しない様々なモノの置き場になっていました・・・。
組み立てケージや様々な消耗品のストック、私の私物も多々集積されておりました。
学生時代のノートやら、古い教科書やら、子供が使ったおもちゃ類やら・・・。

新潟に来て、初めて買った古~いMacが発掘されました。
こんなに重かったっけ・・・。
まあ今でもMacは重いです。
私のMacBook Pro の重いこと・・・。
でもMRI/CT の重たい画像データを動かすには、仕方ないスペックなのではあります。

捨てられないでいた古いモノや資料を、今回思い切って捨てる決心をしました。
最近、二回も死ぬ夢をみたので、お迎えが近いのかもしれませんね。

  大量の書籍とゴミに埋もれて死ぬわけにはいかない・・・、

断捨離にいきます!




流行病(はやりやまい)

2014-05-16 22:50:26 | Weblog
古い言い回しですが、はやりやまい(流行病)と言えば通常は感染症をさす言葉です。

我々の業界用語としては、不思議と同じ病気が続く場合を揶揄して言います。
例えば交通事故の骨折が、短期間に不思議と連続するような場合をいうのです。
普段あまりないような病気が連続してくると、またか!という気になります。

妊娠した外猫の不妊手術が連続したり、子宮蓄膿症の犬が続けざまに来院したりすると、
まだ来そうな気がする・・・と言っていると当たってしまったりもします。
最近のうちでの流行病は、内分泌疾患である「クッシング症候群」です。

クッシング症候群は犬では比較的よくあるホルモン失調です。
副腎皮質ホルモンの過剰産生がその本質ですが、意外と単純な疾患でもないのです。
様々な臨床症状の他に、種々の合併症も出てきます。
多飲多尿の他に、皮膚病(脱毛)・過呼吸などの症状に加え、
膵炎や高血圧を合併する場合が多いです。

原因の大半は脳の下垂体にできた腺腫です。
多くは良性の腺腫で、時々巨大な下垂体腺腫が見つかります。
この場合は投薬は原則禁止です(ネルソン症候群を起こすから)。
でもたいていは MRI/CT を撮影しないで、投薬に至るケースが多いようです。
時々副腎の腫瘍を見つけます。
こちらは悪性腫瘍が多いですね。

意外にあなどれないし「基本が腫瘍性疾患」なので、
ものすごく神経を使います。
人ではクッシングはすごく少ないらしいです。
確かに猫ではかなり稀ですね。
私は3例くらい診断に至りましたが、皆皮膚がペラペラの、
「皮膚脆弱症候群」や糖尿病を合併していました。

犬のクッシングは珍しくはないですが、ワンパターンの治療ではうまく行きません。
細やかなモニタリングが必要になるんですね。
薬も高価だし、あまり頻繁に見つかってほしくはないですね。
でもうちではけっこう流行っています・・・。



















ファシリテーションって??

2014-05-15 14:24:43 | Weblog
先日誘われて、ファシリテーションについて学ぶ機会がありました。

 「ファシリテーション」って何?
  会議のやり方??

という状況でしたが、参加してみて知的な興奮を感じました。

会議や話し合いを意味のあるものにするための働きかけ方・・・
とでも言うんでしょうね。
延々話し合いをしても合意が形成されなかったり、結論がでなかったりする。
納得感がなければ、人間関係が悪くなったりもありえますよね。

講師はファシリテーションについて教えるのが専門の先生。
穏やかではありますが、きちっとした方法論をわかっていての、
初心者への指導でありました。
特に少人数のグループで時間をくぎってテーマを話あうなかで、
三回目にはかなりよいまとまりに至ったな・・・
そういう感覚が得られました。

集まっていても誰も意見を言わないで下を向いている・・・、
話をしているのはリーダーのみ・・・、
うちでもよくある光景です。
盛り上がらないわけですよね。
それでいいとは誰も感じていないのは確かです。

講師のお言葉:
 会議に際して、
   
  会して議さず
  議して決さず
  決して動かず
  そもそも会さず(気持ちが入ってない)

では、どうしたらうまくいくのか・・・、

なかなかいい勉強になりました。





 
  

 









腹腔内出血・・・

2014-05-13 11:26:11 | Weblog
時々来る高齢のワンちゃんが、嘔吐・下痢・食欲不振で来院しました。
耳や歯茎がやや白く、貧血があると判断されました。
またお腹の張りが異常に感じられました。

全身状態を調べるスクリーニング検査を実施しました。
腹腔内に腹水があり、中心部に巨大なシスト(袋)が観察されました。
腹水は12%程度の出血性で、どこか血管が破綻していることは明らかでした。
画像からは左腎臓の水腎症が原因と予測されました。
稀には卵巣の嚢胞や消化管腫瘍の浸潤などの可能性も捨てきれません。

状態を安定化させるため輸血を開始、嘔吐・下痢に対する対応も並行しておこないました。

   一晩輸血したものの、貧血は進行・・・

という事態なので、飼い主さんによく説明した上で開腹手術にご同意いただきました。
心臓弁膜症・貧血・腎機能低下・血液凝固系の検査値異常(DICではない)を抱えつつ、
輸血を追加しながらのハイ・リスクな開腹手術となりました・・・。

開腹して腹腔内を観察、やはり左の水腎症でした。
消化管と癒着、左の卵巣周囲の血管からじわじわと出血が認められました。
引っ張られすぎて、血管が避けて破断してしまったのでしょう。
シーズーの腹腔内にあるシストは、13cm直径はありましたね。
病変を摘出した後、出血がないことを確認して閉腹しました。
麻酔からの覚醒は良好でしたが、術後に体重が10%減ってしまいました・・・。

一晩たって、現在の状態は落ち着いています。
十分な鎮痛をかけて経過を観察していますが、まだ予断を許しません。
今回は勝負に出て正解でした。
 
  「術中死する可能性もありますよ・・・」

で開始した手術でした。
前日に、テレビ番組で、心臓外科の天野篤教授の特集を観ていたので、
ちょっとテンション高かったかな。















生まれつきの体質は・・・

2014-05-10 22:12:06 | Weblog
今日、あるペットショップさんから、お問い合わせの電話がありました。
犬を販売した飼い主さんから連絡があり、その犬の病態に関して意見が聞きたいとのお話でした。
当院で「遺伝的・体質的な脱毛症」であるパターン脱毛と診断した若い犬を販売したショップでした。

徐々に脱毛症が拡大してきたため、皮膚バイオプシーを実施しました。
皮膚科の専門医に病理組織診断をしていただき、客観的な診断が出ています。
その所見・意見に基づき、現在加療中です。

飼い主さんは遺伝的な素因がある疾患だから、

 ショップさんに一定の責任があるという意見のようです・・・。

獣医師サイドからその話を聞くと、ショップさんに責任を求めることには無理があるように感じます。
遺伝的・体質的な素因で生じるパターン脱毛は、
たまたまランダムに組み合わさった遺伝子の組み合わせと発現で起こるのだと理解しています。
疥癬やニキビダニ・皮膚糸状菌(カビ)の感染とは区別されるべき病態だと考えます。
たまたま持って生まれ、たまたま発現してきた症状に対し、販売責任は問えないと思っています。

人間で、持病による脱毛症は病気ですから別として、
健康な男性で特に原因のない「男性型脱毛(AGA)」は、たまたま起きる体質ということでしょう。
皮膚の変化はモロに見えますから、飼い主さんは気になって仕方ないのでありましょう。
幸い悪性の変化ではありません。
もって生まれた質(たち)に関しては、

 受け入れて共存していただきたい・・・、

と願っています。












獣医大学で放射線治療

2014-05-08 21:49:18 | Weblog
下垂体巨大腺腫によってクッシング症候群を発病していたチワワが、
状態がある程度安定して今日退院していきました。

明日、いよいよ東京の獣医大学で放射線治療を受ける予定です。
飼い主さんが車で運んで行くことになっています。
新潟を朝5時出発で、予約した動物医療センターに向かうそうです。

退院間際に写真を撮り、

   「元気になって(生きて)帰ってこいよ!!」

と気合いを注入していたら、スタッフから

   「女の子(雌)ですよ・・・」

と言われてしまいました・・・。

心臓の弁膜症が持病としてあるので、大学の専門医がどう判断するかはわかりません。
動物の放射線治療では、不動化を得るために全身麻酔が必要だからです。

明日の午前中に初診で動物医療センターに行き、すぐにチェックして実施可能ならば、
午後から放射線治療の1回目をやっていただける手はずになっています。

関係者が皆、チカラを合わせて乗り越えようとしています。
頑張って乗り切って、元気に帰ってきて欲しいと、心から願っています。