日々の出来事

当院の出来事を紹介します

血液検査を読み切る

2008-01-27 13:28:45 | Weblog
 血液検査は日々の診療において重要かつルーチンな検査です。病気の診断の他に、手術の前や投薬の前に確認の目的で実施することも多いのです。
 検査費用に見合った内容を読み切ることができるかは、たいへん重要なことだと思います。必要かつ十分な検査項目数をしないと見落としが発生しがちです。また、血液をガラスの板上に薄く伸ばし、顕微鏡で形態を観察することが重要です。病院によっては手間のかかるこの観察を省いてしまっています。例えば、白血球数が正常値か正常以下で左方移動という所見があったら、これはとても良くない所見です。昨日もこの所見がある犬がいましたが立派に肺炎がありました。検査内容を読み切ることができるかは、その獣医師の能力にかかっているわけです。日々、精進が必要なんですね。

犬の咳

2008-01-22 12:47:13 | Weblog
 犬に咳を起こす原因はたくさんあります。若い犬ではバクテリアやウィルスによる感染症が多いです。肺炎や気管支炎も多いですが、喉の神経障害や異物、腫瘍が背景に隠れていることもそんなにまれではありませんので注意が必要です。 中年期以降の犬の発咳の原因で多いのは、僧帽弁閉鎖不全に伴う咳と気管虚脱でしょう。同時にあるケースも多いため、注意が必要です。咳と一口に言っても、その原因は多彩なので奥が深いものですね。

歯科・口腔外科の講習会

2008-01-20 18:06:17 | Weblog
土日にかけて、大阪の梅田で日本動物病院福祉協会主催の歯科・口腔外科の講習会に参加してきました。講師はアメリカからいらしたパデュー大学のゲリー・ランツ教授でした。二日間みっちり勉強させてもらい、少々オーバーヒートぎみです。自分が一番興味を持っている分野ですので、第一人者の実戦的な内容は大変な刺激になりました。
昨晩はお世話になっている、日本小動物歯科研究会の網本会長や藤田先生とよいお話ができました。また今日は学生時代に実習でお世話になった小儀先生と偶然会場で再会し、よい思い出となる出張となりました。お休みを取らせてさせていただき、ありがとうございました。

臨床家として

2008-01-10 02:38:54 | Weblog
先日学会の会合である先生と話したところ、感じるところがありました。最近の若い獣医師の先生についてのことです。勉強はできる、技術的にも標準的なものを取得している。英語の本も読めて、インターネットも活用している。確かに仕事はできるが飼い主の気持ちがわからない、というケースです。例えば患者さんである動物に癌がみつかったとします。その癌は現在の医療水準では、よい治療方法がないと教科書やネットの検索に書いてある。診断はしましたがこれ以上やる事はありません・・、と真顔で伝える、そんな若い獣医師が増えているようです。治らないにしても、いくらでもしてあげられることがあるのに、診断と治療だけが仕事だと思っているようなのです。私ならそんな先生には診てもらいたくないですね。私は、臨床家として最期まで手を尽くす、飼い主さんととことん付き合う、そういう獣医師を育てていきたい、と考えております。

薬の管理

2008-01-10 01:33:22 | Weblog
お渡ししてあるお薬の管理は万全でしょうか?ご家族の誰かの薬と間違ってしまわないように気を付けましょう。先日いらした猫の飼い主さんは、皮膚病の猫に出したはずの軟膏がいつのまにか人用の軟膏とすれ違ってしまったようです。初めは当院が出した軟膏だとおっしゃっていましたが、その薬剤は当院には無いものなので勘違いして入れ替わってしまったことをご理解いただきました。人間の子供が動物に出した内服薬を誤って飲んでしまった、という事故も経験したことがあります。この時は小児科医と連絡を取り合って事無きを得ました。お薬の保管には細心の注意を払ってくださいね。

脂肪肝パート2

2008-01-07 23:30:37 | Weblog
先日入院していた猫は確実に脂肪肝だったのですが、血液検査の塗抹標本でおかしな細胞が出ており、脾臓が大きいため針吸引細胞生検をしてみたところ、リンパ腫という悪い病気が見つかりました。単純な脂肪肝ではなかった訳です。使える薬剤が限られるため、専門家の先生方に意見を聞いて治療に当たりました。裏には裏があるというか、単純明快ではない場合もあり、臨床の面白さと難しさを痛感しています。

脂肪肝

2008-01-07 00:22:19 | Weblog
脂肪肝、と言うと食べ過ぎてなるイメージを持つ方が大半です。人ではお酒の飲み過ぎや食べ過ぎでおこるようです。動物の場合、犬ではないようですが、猫では食欲不振に伴う絶食で脂肪肝が高率に発生します。絶食により体脂肪が使われ中性脂肪となって血液を介して肝臓に流入します。そのままエネルギーに変換されればよいのですが、猫はこの変換効率が悪いため肝臓に貯まりやすいのです。従って、点滴の他に高カロリーな食事をチューブを利用して与えることが必要不可欠です。脂肪肝なのに高カロリー食を与えることが治療になるなんて、ちょっと不思議な感じがしませんか?

明けましておめでとうございます

2008-01-02 03:25:37 | Weblog
新年あけましておめでとうございます。皆さんは動物たちと無事に年を越せましたでしょうか?当院は年末年始も休まず診療していたため、重症の初診や紹介転院などでてんてこ舞いです。昨年の今頃は今の病院の建設真っ最中でした。シビアなタイムスケジュールではありましたが、3月の移転に何とか合わせることが叶いました。あれからすでに9ヶ月、皆様にご支持いただき順調な運営を続けてきております。特筆すべきは田中先生が着任してくれたことで長時間の手術が可能となり、学会や講習会があっても臨時に休診とすることが無くなったことでしょう。今後もスタッフの充実を図り、地域の皆様にとって必要不可欠な動物病院であるよう努力してまいります。今年もよろしくお願い申し上げます。