日々の出来事

当院の出来事を紹介します

ヒヤドキ

2009-07-26 01:41:40 | Weblog
 ひやひや、ドキッとするようなことが、医療の現場では起こります。
ミスや事故に至らずに気づけばよいのですが、こういうヒヤドキは次に同じことが起きないよう対策をしなくてはなりません。
何となくOK、私的にOKが怖いんですよね。指差し確認が必要だと感じることが多いです。
駅で駅員さんがしているあの「指差し確認」です。声を出す必要があると思うのです。
 投薬や手術の絡んだヒヤドキは、多くは確認の不正確さや予測の甘さが原因です。
私は麻酔や手術のステップで、必ず指差し声出し確認します。
◯◯投薬します→入れました→投薬終了→カルテへの記入よーし→反応確認→
呼吸管理OK→血圧安定、心電図医モニター異常なし→次行きます・・・こんな感じでしょうか。
不妊手術なら、皮膚切開します→切開完了・止血よーし→腹筋の露出OK→では開腹します→
子宮角確認・鉗子で牽引します→卵巣動静脈を確認→鉗子で血管を確保→・・・
という感じで少なくとも頭の中で声出し確認をしています。
 ヒヤドキが発生する場合は、たいてい何か確認が甘いのですね。
若い先生が手術をする場合、私の監督下で行いますが、どこまで起きうるトラブルに対処できるようにしておくか・・・
けっこう性格が出てくる部分ではありますね。
ヒヤドキの発生の仕方を見ていると、内科向きなのか外科向きなのか・・・よくわかりますよ。


治療しなくていい??

2009-07-23 06:11:50 | Weblog
 私どもの病院では、検査の必要性や治療のオプションを提示した上で飼い主さんのお考えを尊重しています。せっかく動物病院に来てくださったのですが、治るのに投薬や処置を望まない飼い主さんが少数ながらおられます。もちろん始めから全てを確認するとなると、膨大な費用と手間がかかる訳ですから、ケースバイケースだと思います。見て触ってすぐにわかる病態もあるのですが、検査しないとわからない病気もけっこうありますよ。
 検査して判明した異常に対しては通常治療すると思うんですよね。治したいから動物病院に来ているんだと、我々は考えているんですね。でも中には治療を望まない飼い主さんも・・・。例えば骨折や靭帯の損傷はないけど、足を上げてしまっているワンちゃん。痛いのは明らかなのですが、薬はいらないという。高価な薬でもないし動物には苦痛が明らか・・・、お薬の力を借りてもよいと思うんですがね?お薬に対する・投薬という行為に対するイメージが悪いのかな?と考えてしまいます。
 市販されている様々な本の中には、とんでもないことを記述しているものもあります。全てをストレスのせいにしてしまい、ストレスを解消し「病気に感謝すれば治る」と説く・・・。癌も感謝すれば治る、医者の投薬を中止すれば自然に治る、という・・・。
 自然治癒するケースももちろんあります。でも目に見えないところで進行していたり、完治に至らず中途半端に治って後遺症を抱えて来る動物の多いこと!特にステロイド剤に対する反応が、処方する側からすれば大きな踏み絵です。ステロイド剤は体に悪い薬→体に悪い薬を出す医者は悪い医者 こういう短絡的な図式ですね。確かに体は単なる臓器の集合体ではなく、魂を入れる器であるわけですが、器が壊れている以上、器の破壊を最小限にするか修復しなくてはなりません。「自然に治りますから投薬しないで経過をみます・・・」、放置しているだけの場合もあるんですよね・・・。


プロの仕事を見て・・・

2009-07-22 23:00:56 | Weblog
 19日の日曜日に、長岡で歯科の恩師・フジタ動物病院の藤田桂一先生をお招きして、講義と症例の処置実習を受けてきました。先生は私に犬猫の歯科学を勉強するきっかけを作ってくださった方です。猫の歯肉炎処置と口内炎の猫の対する全臼歯抜歯、あと犬の歯周炎に対する抜歯とフラップ閉鎖の実技を見学しました。レントゲン撮影から抜歯・傷口の閉鎖に至るまでの早いこと。久しぶりにプロの仕事を目の当たりにして、もっと修行というか精進が必要だと思いました。
 実際、一日に紹介症例を入れて複数例の歯科処置をルーチンにしているそうです。同じ動物病院を運営する獣医師なのに、この差は大きいですね。新潟では歯科の仕事に力を入れている私ですが、この先生の仕事を自院でもできるように、がんばっていきたいと思います。
 お話して、実は同じような立場なんだけどおかしいな・・・、とその差を痛感することは、
「歯科治療だけに専念できるわけではない、通常の診療の他に人員のマネジメントや他の手術も勤務医ができない手術はせざるを得ない、時間を作って症例報告や学術の論文も書かねばならず、教育雑誌の原稿の期限が常に平行して存在する、
そういう中でも何とかして最高のパフォーマンスで仕事を提供していきたいそういう熱意がある」、これは同じなんです。
でもなぜだか、アウトプットされてくる結果は大きな違いがある・・・。不思議ですね!
 でも飼い主さんから感謝されること、動物たちが元気になる姿を見ること、これが私たち臨床獣医師の喜びであることは共通でした。それがないと、正直やってられませんよ。
真面目にやればやるほど、際限なく課題が見つかってくるものですから!
とりあえず目標とする先生がいることで、路を外れずに進むことができているように思います。



予約じゃなくても受けてます

2009-07-14 23:58:47 | Weblog
 火曜日と日祝の午前中は、7月1日から予約で通常料金の診療に変更してみました。
案外好評で、混むのが嫌な方や子犬や子猫の初診でゆっくり説明を聞きたい方が利用なさっています。
もちろん予約で対応している訳ですが、ほぼ毎回予約日と知らずに(確信犯?)来院なさる方がいます。
予約の飼い主さんが優先にはなりますが、実際には診療をお受けしています。
帰ってくださいとも言えませんしね・・・。
 私たちスタッフは、真に頼られる(頼りがいのある)動物病院を目指しています。
ですから、予約日とは知らなかったと言って来院なさってもかまわずに診療をお引き受けしています。
だって、せっかく来て下さった訳ですから!
年間を通じて、必ず診療をお受けできるよう、最大限の努力をしています。
勤務の獣医師や看護師は大変ですけど、皆で協力して休みをずらしてガンバッています。
獣医師が私一人だった時期は、学会で不在だったりすると診療ができない日も過去にはありました。
現在は、この数年間、完全に休み・診療を受けれない日は無かったと思いますよ。
 やっと、私の理想が達成されて来た気がいたします。
でも維持・継続が大変なんですけどね。
継続は力なり、とはよく言ったものです。




血液凝固異常

2009-07-14 17:39:01 | Weblog
 手術の前に行う検査を術前検査と言います。
どこまですれば十分と言えるのか・・・、自費診療の動物病院では常に頭の痛い問題です。
最低、肝臓や腎臓に異常が無いかは確認する必要があると思います。
特に出血を止める細胞である血小板の数は必ず確認するべきです。
 外傷縫合のような小さな手術でも、血液が固まる機能に異常があると、
小さな出血でも止まらない場合ってほんとにありますね。
大きな手術の場合はなるべく術前に血液凝固系の確認検査をさせていただいています。
凝固異常に関して100%確認できるわけでもありませんが、大筋で確認可能です。
 昨日の犬の不妊手術でも凝固異常があったらしく、細かな出血が止まりにくくて焦りました。
大事に至らなくてよかったのですが、フォン・ビルブランド病など、恐ろしい凝固障害もありえます。
外科手術をする以上は、このリスクは常に付きまといます。
そういう時は、やはり手技のスピードが要求されますね。
早くきれいに正確に、これって外科医の基本です。
出血が止まらなかったら、焦らず急げ!、
先輩の教えを思い出す、一瞬であります。





一つの時代が終わった感じが・・・

2009-07-13 00:31:56 | Weblog
 昨晩から預かっていた友人の19歳のチワワのワンちゃんがいました。
一晩、寝ずの看病をしましたが脳が障害を受けており、もう限界に近くて一時帰宅させました。
自宅に帰って世話をしている最中に急変したそうで、来院時には事切れていました。
病院で亡くなってしまうよりは、飼い主さんがいるところで看取られたわけなので、
ワンちゃんにとっては、よかったかもしれません。
でも看取る側は本当につらいですよ。家族ですから・・・。
お互いに順番にお迎えが来るのだとわかっていてもですね、お別れはつらいんです。
 
 この子はいろいろ思い入れがある子で、若い頃は咬みつき癖があり、人間嫌いでした。
でも訳あって今の飼い主さんにもらわれて、かわいがっていただき人間不信が改善していました。
愛情を持って接していただいた結果だと感じます。
また歯の全顎抜歯処置をしてから、なんだかんだと案外元気で長生きしてくれて、
全身状態と歯の因果関係を実感させてくれたワンちゃんでもありました。
 
 最近は寝たきりでしたが、管理がよくて床ずれも発生せず、平日はほぼ毎日8時すぎに病院に来て、
飼い主さんは出勤し退勤時に迎えに来る、そういう生活をもう何ヶ月も続けておりました。
ここまでがんばれたのは体力もあったんでしょうけど、やはり飼い主の愛情のチカラです。
これだけ尽くしてもらえれば本望だったと思いますね。
開業前からの付き合いの犬が亡くなり、個人的には一つの時代が終わってしまったような、
喪失感があります。
コーちゃん、天国で安らかに眠れよ~。また会おうぜ!って気持ちで冥福を祈ります。
さみしくなるなあ・・・




トリミング

2009-07-12 00:38:11 | Weblog
当院では、動物たちを清潔で美しく保つためにトリミングの専用設備を持っています。
けっして、診療のついでにトリミングをやっているわけではありません。
一つの独立した施設と考えています。

カットやシャンプーなど通常の業務の他に、薬浴などの診療に関わる仕事もあります。
当院のトリマーは、動物病院の仕事を熟知したスタッフの一人です。
ですから、心臓が悪いとか発作の既往症がある子でも、安全にトリミングを行うことが可能です。

このたび診察券のリニューアルに伴い、トリミングルームの独立した名称を検討しています。
スタッフでよい命名を検討中です。
どんな名前の美容室になるのか・・・、今から楽しみにしています!
7月からいくつか新しいサービスを開始したようです。
どうぞ気軽に利用してくださいね!






診察券リニューアル

2009-07-09 23:49:47 | Weblog
 7月から診察券をリニューアルしました!今までの診察券は紙製でスタンプカードを兼ねていましたが、
金券としての管理が煩雑な上、使い捨ては正直エコにもよくない!、と判断して辞めることにしました。
今度の診察券はプラスチック製でしっかりしたものです。

 でもいきなりスタンプカード中止では申し訳ないな・・・、とも考えました。
そこで、今まで時間外扱いでありました火曜日と日曜祝日午前中の診療時間を、通常料金の予約診療にしました。
今までも年中無休「状態」で数年がんばってきておりますが、「年中無休」と宣言するのは実際には気が引けます。
東京や横浜あたりで冗談抜きで、「年中無休」の看板を出している動物病院が。「臨時休診」していたのを知っています。
そういう時って、研修旅行とか、の理由をつけるんですよね・・・。
私にはとてもできない「ジョーク」です。

 当院では、4人の獣医師が交代でがんばって診療をつなぎます。
その意思をはっきり明示するためにも、診察券を変更してみました。
年末年始や盆暮れでも診療してきましたし、今後も継続していく所存です。
だって実際診てあげなくてはならないケースが、必ずくるものですから。





心臓のエコー実習

2009-07-06 23:46:05 | Weblog
 仕事が終った後の自主的な勉強会で、今日は見附動物病院の星先生に心臓のエコー検査の実習をしていただきました。星先生は循環器学会の専門医を目指して勉強中、現在新潟県内では一番心臓疾患に詳しい若い先生です。私も心臓や循環器疾患は興味が強く、今までにも貴重な症例をいくつも見つけて報告してきました。でも学会での報告に値するレベルの高度な診断となると、やはり専門家と言われる先生方の協力が不可欠です。エコーは機械のレベルと撮影者の技術で結果が変化してしまう場合があるからです。
 過去の症例では、開心術を実施した両大血管右室起始症の犬(世界初!)や大動脈の重度狭窄の猫のケースがあり、いずれも専門医の力無くしては診断自体が揺らいでしまうものでした。実力がないと誤診を招くと思います。微妙なケースはやはり専門家に相談することが重要だと思います。
 私も歯科の症例で依頼処置を頼まれることが増えてきました。私で判断や処置に迷うものは、イコール専門医の仕事となります。このあたりの見極めが本当に難しいと感じる、今日この頃です。

基本に忠実にやろうよ・・・

2009-07-04 23:27:53 | Weblog
昨晩急患で、事故にあったと思われる飼い主不明の子猫を診療しました。
前日に、他の動物病院で検査と治療(唇の縫合処置)を受けていたようですが、状態が悪い・・・。
連れていらしたのは当院がかかりつけの方で、保護した方から預かっているとのことでした。

前の病院ではレントゲン等で骨折もないし、「大丈夫」と言われていたそうです。
でも子猫は食餌もとれないし、息苦しそうなのです。
触ると痛がります。
よく見ると、呼吸時の胸(胸郭)の動きが変なのですね。
吸気時に拡がるべき胸郭が一部凹んでしまう。
肋骨が2ヶ所折れるとおこる「フレイル・チェスト」だと思いました。
レントゲンを撮ってみると、やはり胸骨の付近で5本も骨折していました。

基本はまずは患者の状態を先入観なしで観察することです。
レントゲンも適当に撮影するのではなく、部位を絞ってから撮影することが基本の一つ。
もう一つは狙った部位をフィルムの中央部に持ってきて撮影することです。
そうしないと見落しが発生しがちです。
あと同じ部位は、最低垂直に2方向撮影する必要があります。
1枚(1方向)だけだと見えない異常が、垂直2方向の撮影で判明する場合があるのです。

今回がよいケースで、横からの撮影ではわからないです。
前の先生は。横しか撮影しなかったのか見落しなのかはわかりませんが、
この子猫は一晩苦痛に耐えていたことになります・・・。
かわいそうに。
口の中も切れてるし、呼吸は辛そうだし、「大丈夫」はマズイよなあ。
基本に忠実にやれば見つかるものなので、うちのスタッフ獣医師は見逃さないと思いますよ。
こんなの見逃したら、私、勤務医をぶっ飛ばしてしまいますから!