日々の出来事

当院の出来事を紹介します

エコー検査

2013-02-09 21:24:54 | Weblog
昨年入れ替えた超音波エコー検査の機械は優れものです。
まだまだ使いこなせませんが、今まで見れていなかった病変が見えるのは事実です。
エコーを診療で用いないことなど、現代の獣医診療では考えられないことです。

今日も、クッシング症候群の疑いでダックスフントの検査をしました。
副腎がきちんと描出され、正常より大きいことが明らかとなりました。
古い機械では、きちんと描出することすら困難でした。
新型機はカラードプラも付いているため、血流の判断もしやすくなりました。
特定の血流を頼りに、膵臓など狙った臓器を探し出すこともできるようになり感激しています。

変化が見えるようになれば診断精度が上がるし、自分の勉強も進みます。
今、うちの病院にあるエコーは、獣医大学の病院と同等のレベルです。
でも使いこなすには、相当の修行が必要みたいです。

先日も、肥大型心筋症か否か微妙な猫が来ました。
テキストで勉強しながら、今の診断基準ではそうであろうと断定しました。
古い基準で古い機械でやっていたら見逃していた、と今の自分は感じます。

診断機器は自分の臨床を支える道具です。
使いこなすための修行が続きます。
早く異常を発見できれば、治る可能性も高まるのであります。




次年度の勤務獣医師さん

2013-02-07 23:45:21 | Weblog
昨年の1月に柳田先生が退職して独立なさってから、
ほぼ丸一年間、実質一人で診療してきました。

セミナーや家の用事でどうしても不在になる場合は、
大塚先生が臨時で病院の診療をつないでくれていました。
協力してくれた大塚先生も年度末で退職となります。
5年間の在籍に心から感謝しています。

次年度は、勤務獣医師の先生が二人確保できる見通しとなりました。
一人は女性で既卒者、もう一人は男性で新卒です。
今日、女性の先生と面接して来ていただくことで内定を出しました。

少しは楽ができるだろうか・・・と夢みたいなことを考えています。
実際にはそうはいかないのが明らかです。
うちのやり方を、ゼロからきっちりと指導しなくてはなりません。
診察の仕方からお話の仕方、採血やレントゲン・エコー検査の方法、基本的な手術まで、
多くの体系を実戦で教えていかなくてはならないからです。
手術や麻酔管理は、特に実戦でやらせていかないと、身に付きません。

箸の上げ下げ・・・のような基本的な動作を、キッチリ身につけさせないと事故につながります。
特に手術にかかわる周辺が危険度大です。
目が離せません。
逆にいうと、目が離せるようになってきたら半人前、
想定外の事態にも臨機応変に対応できるようになったら一人前です。
一人前に育つには、自分の経験では3年くらいはかかるように思います。

基本的な考え方をきちんとマスターすれば、常識的な臨床はできるように育ちます。
自慢ではないですが、私は若い先生を育てるのはうまい方だと思います。
診療や手術の方法論・技術論を、言葉で説明できるからです。
料理の素人に、専門家がゼロから教えていくと考えれば似ているような気がします。
素材をどうとりあつかうか、道具をどういう理屈で使いこなすか、
食べる人の状況にどう配慮していくか・・・、
動物病院の仕事は、実は飲食業のようなサービスに似ていると思っています。

でもそのあとは自分で自分を育てていくしかない、
自分で気づいていかないと、それ以上にはなれません。
私を越えて、存在価値のある一人前の獣医師に、育っていただけることに期待しています。
まずは基本的なことからみっちりと教え、飼い主さんご家族の役に立てる獣医師を育てるつもりです。





猫の全顎抜歯

2013-02-06 10:10:09 | Weblog
火曜日は予約診療日とさせていただいています。
時間のかかる手術を入れることが多い日です。
昨日は猫の全顎抜歯を行いました。

猫の歯肉炎や口内炎は難治性のことが多く、
疼痛のため食事ができないというケースをたくさん経験しています。
食べたそうにしているけれど、食べられない・・・、
無理して食べると悲鳴をあげる・・・・、
そういうケースがけっこうあるのです。

また口臭が強いこともあり、飼い主さんとしても辛い状態であったりもします。
抜歯により口腔内の局所環境が変わると、かなりの確率で歯肉口内炎が改善します。
今回は、最終的に全ての歯を抜歯しました。
全ての歯牙がない、状態となったわけですね。

病理組織学的検査で、リンパ球形質細胞性口内炎と診断されています。
難治性の病態であることは間違いないわけですね。
でも良くなる可能性がありますから、手間と時間をかけてのチャレンジを行ったのです。

吸収糸で歯肉を縫い合わせ、今日は軟らかいフードを勢い良く食べていました。
このままお薬のいらない状態になれるといいんですが。

ヒモ状異物

2013-02-05 09:44:43 | Weblog
先日、猫がお菓子の箱をしばっているヒモを飲み込んだかもしれない・・・
とのことで来院され入院で経過を見ていました。

金属ならレントゲンでうつりますが、軟らかいものはレントゲンではうつりません。
エコーで胃から腸を観察してみましたが、今ひとつはっきりしません。
引っかかってしまっているような、絡み付いているとか閉塞してしているような所見も観察されませんでした。

本人(猫)もケロッとしているため、経過を慎重に観察していました。
途中のモニタリング検査でも、怪しいな・・・でも閉塞でもない・・・、
そんな状況が続きました。

いったん帰宅して様子をみましょうか・・・という話になった翌朝、出てきました。
便の中にヒモが丸ごとでてきたのです!
出ない場合も想定されていましたから、出て来てくれて本当によかったです。
特に腸に絡み付いてアコーディオン状になってしまうと、本人も辛いし手術もタイヘンです。

今回はバリウム造影や内視鏡検査、開腹手術には至らず、無事に退院できてよかったです。
レントゲンやエコーではっきりしない異物は、本当に獣医さん泣かせなんですね。

リハビリの講習会

2013-02-03 19:34:09 | Weblog
診療の合間をぬって、万代シルバーホテルで県獣医師会の講習会に参加してきました。

講師は酪農学園大学の佐野忠士先生。
最近、日本大学から移籍された、麻酔の専門家の先生です。
ペインコントロールや麻酔科医の観点から、リハビリに関しても研究なさっていたそうです。
酪農大は私の母校です。
知り合いの先生が、自分の母校に赴任するというのは、なんだか不思議な気がします。

私が大学生だった頃は、牛や馬が実習の対象であり、
犬や猫といった伴侶動物の診療・小動物臨床の教育は最小限でした。
基礎系の研究室に在籍していたこともあって、犬猫とは縁遠い生活でした。
時々、小動物の研究室で帝王切開がある、と聞けば見学に行ったりはしていましたが。
卒業して別の大学で研修医になった時点では、猫の去勢すらやったことはなかったのです。

でもそれはかえって良かったことだと、いまでは考えています。
研修医として大学病院で、初めに基本の手ほどきを受けた先生方は、
当時の最先端を走る獣医師の方々でした。
変な癖をつけられないまま、いきなり最先端の方々から仕込まれたわけですね。

酪農大は、今では立派な小動物臨床を行う大学病院ができました。
これからも素晴らしい臨床で、引っ張っていってくれることでしょう。





画像診断の勉強会

2013-02-02 11:01:24 | Weblog
昨晩は、有志の勉強会に参加してきました。
画像診断のスペシャリストの先生に来ていただき、症例を検討していただきました。
一般臨床をしている自分たちだけでは判断が難しいケースに対して、ご意見いただきました。

 これははたして異常なのか正常なのか・・・

微妙な場合が少なくないのか実情です。
特に、レントゲンやエコーなどの一般的な画像診断で絞り込まないと、
次に必要な、内視鏡やCT/MRI などの麻酔が必要な検査に進むべきか否かの判断ができません。

専門家に、「これはおかしいよ・・・」と言い切っていただけると、
次の話に進みやすくなります。
自分では気づかなかった異常を指摘されると、修行が足りんな・・・と痛感します。

第三者の視点を借りながら、見落としを減らす・・・そういう努力を日々していくつもりでいます。

皮膚科の勉強会

2013-02-01 17:25:04 | Weblog
先日、有志で皮膚科の専門家をお呼びして、勉強会を開催しました。
診療が終わってから三時間・・・、
皮膚科の基礎の基礎をレクチャーしていただきました。

犬猫の診療をしていると、診療の30%くらいは皮膚科関連だと感じます。
ノミやダニの感染の他に、内分泌疾患に伴う脱毛や腫瘍性の皮膚病も多々経験しています。
なかなか奥が深い分野で、日々修行という感じが皮膚科なんですね。

様々な要因が重なっているのが皮膚病なので、スッキリと原因が判明しないことも多いです。
アレルギーという言葉が一人歩きしていると感じます。
犬種や猫種に特有な要因も奥が深いと思って、日々奮闘しています。

私の場合、ある程度がんばってみてもわからない場合はバイオプシー(生検)してしまいます。
それで判明する病態、バイオプシーでしかわからない病態がたくさんみつかってきます。
治るか治らないか、見逃しはないか、いつも我慢になってしまうのが皮膚病なんですね。