日々の出来事

当院の出来事を紹介します

症例発表会の準備

2010-10-30 17:23:49 | Weblog
陽が暮れるのが早くなりましたね。
この時間はもう暗い状態です。
運転には気をつけなければ・・・。

昨晩、11月7日の症例検討会の原稿をやっとこ仕上げた、院長・浅井です。

今度の検討会は、消化器疾患の症例を発表して、
獣医師がお互いに検討しあう、そういう催しです。
コメンテーターには、日本大学の教授が来てくださいます。

消化器の疾患は奥が深い・・・.
口から肛門まで、途中には肝臓や膵臓も絡んできます。
鑑別診断するべき疾患がたくさんあるわけです。

通常多くの獣医さんは、よくある疾患、頻繁に遭遇する疾患から考えていきます。
稀な、珍しい疾患は、治らない場合に検討していくことが多いでしょう。

私は、「見逃しはしないぞ」と構えているタイプなせいか、
比較的珍しい病気にも、意外に多く出会います。
多くの専門家に意見を求めたり、データを見てもらい、
できないことは協力してくれる仲間や専門家がいるので、
何とか発表に値する診療を行っています。

今回はその成果を発表してきます。
タイトルは、

 「消化管内異物摘後に嘔吐が続き、食道の筋無力症と治療的に診断された犬の1例」

です。

嘔吐の鑑別診断はけっこうたいへんなことも多いのです。
バリウム造影検査のレントゲン写真を、専門家である恩師に見てもらい、
食道後部の形態がおかしいから、重症筋無力症の可能性がある・・・、
と指摘されて、ようやく診断に至った経緯があります。

発表の準備を進めています。
他の先生方の参考になれば幸いです。

スタッフの犬

2010-10-27 23:37:06 | Weblog
今日は、寒かったですね。
10月とは思えない寒さで、ちょっとびっくりでした。
チェリビダッケ指揮ミュンヘンフィルのCDで、
ブラームスのドイツ・レクイエムを聴きながら、追悼の気持ちで書いています。

診療終了後、スタッフの犬を看取り、ちょっと落ち込み状態の院長・浅井です。

コッカー・スパニエルのあげはちゃん、9歳半は早いですが皆に看取られて旅立ちました。
飼い主さんご家族に抱きしめられて天国に行きました。

診断はつけたけれど、現在の動物医療のレベルでは、治してあげようもない状態でした。
たくさんの動物たちを、一緒の看取ってきたスタッフの愛犬です。
嫌というほど、その状態をリアルに感じていたことでしょう。
つらかったと思いますね。

家族である動物を看取ること、その辛さは当人にしかわからないものでしょう。
私も元日に猫を亡くして、しばらく言いようもない淋しさを感じていました。
自分の人間の子供より長くつきあった猫でしたから・・・。

動物は、私たちにとって、血縁は無く言葉は話せないけれど、やはり家族なのです。
そこには、確実に「絆」が存在しています。
家族に看取られ、皆に涙されて召されていきました。
最後までがんばったね、と言ってあげるのが精一杯でした。合掌



先輩から後輩へ

2010-10-25 01:55:30 | Weblog
日曜日は退院が多く、元気に帰っていただく姿をたくさん見ることは最高にうれしいです。
全ての命を助けることはできませんが、少しでもよくなってくれることは励みにつながります。

土曜日の夜、専門医に患者さんを診ていただき、自信喪失の院長浅井です。

大学の専門家って凄いですね。
どんどん、異常箇所を絞り込んで行く。
病変の在処(ありか)を、身体検査所見や通常の検査で絞り込み、除外していく。

絞って絞って、ホントにMRIなど高額な検査が必要か、治療の可能性はあるのか・・・、
根拠に基づいて診療を進めていくのです。
年に数回診ていただきますが、後輩の先生なのに素晴らしいです。
後輩の専門家から教えてもらっている先輩の私です。
開業医として第一線で、謙虚に患者さんと向かい合いたいと思っています。
それが私の居場所ですから・・・。

日曜日、看護師のベテランが新人に、自身のノウハウや考え方を伝授していました。
その話の内容を横から聞いていて、うれしく思いました。
教科書にはない、現場での、生のスキルを伝えていました。
新人看護師が、これでうまく育ってくれることを切に祈っています。
動物の医療を支えているスタッフだからです。
話している姿をみて、頼もしく思いました。
これは先輩から後輩への、立派な教育でした。

スタッフは、長い目でみて育てなければいけないと、肝に銘じました。






夜中の見回り

2010-10-23 02:11:26 | Weblog
夜間は時間で見回りをします。
特に重症の患者さんがいる場合は、宿直を置く場合もあります。
時間外の急患をけっこう受け入れているため、遅くなるとこの時間になります。

見回りしてから、机に向かうとこの時間になる院長浅井です。
夜中かなり寒いですね。

点滴を調整する、子猫にミルクを与える、抗生物質を投薬するなど、
時間でするべきことは多々あります。
動物を預かっていると、時間でチェックせざるを得ません。

好きでこの仕事をしていますから、全く嫌ではないけれど、
体調の悪い日もたまにはありますから、そういう時は辛いです。
今は、この季節恒例の、「喘息(ぜんそく)」との戦いですかね・・・。
こいつとは40年以上つき合っていますから、まあこの程度は・・・とわかっています。
最近の記事で、新たに喘息の引き金となる蛋白が発見されたようですね。

小児喘息は、こじれれば命を奪います。
私も危ない状況は、大昔にあったのです。
低酸素で苦しんでいる時は、やはり頼れるのは医者であり医療です。
6月に引退された私のかかりつけ小児科医は、必ず時間外でも診てくれました。
臨床家とはそういうものだと、背中で教えてくれた恩師です。
そのハートは私に受け継がれたと感じています。

次の世代の獣医師が育ってきています。
その人たちに、この熱いハートを伝えたいのですが・・・。
人を変えることは難しいことを痛感します。
人は「自ら気づかなければ変わらない」のであります。






勉強会

2010-10-21 20:41:39 | Weblog
毎月第三木曜日の夜は、三条市で勉強会をしています。任意の勉強会としては県内最大級の新潟小動物臨床研究会です。

こんばんは、昼の手術と歯科矯正で少々お疲れの院長浅井です。

今は新しいエコー検査機械ノ説明実習を受けています。この手の機械はどんどん進化していきますね…。見る力がないと、機械が良くても読み取れないのが、画像診断の難しいところですね!

アレックス君、大往生

2010-10-21 00:39:57 | Weblog
先日書いた寝たきりの老犬アレックス君が、今日の午後昇天されました。
18歳越えのシェルティで、大往生だったと思います。

午前中に往診して、午後に自宅でお迎えがきたため、ちょっとグレーな院長浅井です。

腎不全が進んで、末梢循環がかなり悪くなっていました。
家族に会わせるなら今のうちですよとお伝えして、娘さんが会いに来てくれていました。

トリミングルームぱうぱうのブログにも出ている、あのマイクロバブルに入っている犬です。
寝たきりではありましたが、お母さんの素晴らしい介護により、
床ずれもなく、またあまり迷惑をかけることもなく、旅立って行きました。

まさに大往生・・・
アレックス君、お疲れさまでした。
お母さん、十分に尽くしてあげましたね。

午後に、死亡確認に伺いました。
長年勤務している看護師2名が着いて来て、お別れしていました。
開業前からの付き合いでした。
さみしくなります。

合掌

来年の手帳

2010-10-20 01:04:00 | Weblog
昨日は、一日肌寒い日でしたね。
11月に近くなってきましたものね・・・。
当然か。

秋の日を感じる、院長浅井です。

11月生まれの私は、夏が過ぎ去ったこの季節が大好きです。
そこで、今日はLoftに行って、来年の手帳を入手してきました。
たくさん、種類がありすぎて困りますね。
すでに記入する予定が入ってきていたのです。

この数年使っているのは、バーティカル・タイプです。
毎月の予定を記入し、別の部分で日々の予定に入れていくタイプです。

昨年から、「ほぼ日手帳」を利用しています。
糸井重里さんがプロデュースしている手帳です。
35万人に使われているようかことが書いてありました(ホントか?)。

毎月の予定を、日々の予定に落とし込む。
多忙になってから、時間をどこで捻出するか・・・、を
悩むようになってから、このタイプの手帳を愛用しています。
タイム・マネジメントというやつですな。

この手帳、文庫本をイメージして作っている。
紙が他の日に透けてしまうことがない。
見開くと180度、押さえなくても開いてくれる。
インクの乗りがよい等々、
けっこう優れものです。

最近のヒット商品(マイ・ヒット)ですね。
これで2100円なら激安です!
ちなみに赤・青・緑・黒で、記入しています。
重要事項は赤、学会や獣医師会などは青、プライベートは緑、仕事は黒です。

手帳は人生の記録ですね。
若い頃に比べて一日一週間一ヶ月が、妙に早いのは、
年齢を重ねた証拠なのでありましょう。
秋ですな・・・


老犬アレックスの往診

2010-10-19 18:52:49 | Weblog
今日は予約診療日でした。
昼には、頼まれていた寝たきりの犬のお宅へ往診してきました。

専門誌への原稿やら症例発表会に抄録作成やらで、休日のない浅井です。
今日は肌寒い日でしたね。

ご高齢犬のアレックスは、18歳を越えたシェルティです。
トリミングルームぱうぱう、のブログにも寝たきりですが、出ている子です。
なんだかんだで、大病もせず、18歳を越えてくれたことは誇りです。

心臓が強いんだな、と感じます。
でも今日往診に行ったら、かなり弱ってきていました。
危篤ではないが、先が見えて来た・・・。
腎機能が低下して、尿量が減ってきています。

家族に会わせるなら今のうちですよ、とお伝えせざるを得ませんでした。
なるべく自宅で穏やかに看取ることを、双方で確認してきました。
入院よりは、いいよなあ、と私も同感です。

やむを得ない入院もありえますが、苦しんでいるわけではなさそうなので、
自宅へ往診して、少しでも苦しみがないようにしてあげたいと考えています。
がんばれよ!、と言いたいところですが、
 
  「もう十分がんばったよ・・・」

と言っている気がしました。
低反発マットを用いて、床ずれがない管理ができています。
すばらしい介護を目の当たりにして、尽くしてくれているなあ、と痛感しました。

今日は講習会です

2010-10-17 00:28:10 | Weblog
今日17日は、以前から楽しみにしていた講習会がある日曜日です。
知っている講師の先生なので、再会が楽しみな浅井です。

夜中にショスタコーヴィッチの交響曲第5番第一楽章を聞きながら書いております。
(一時、TVコマーシャルでシュワちゃんがドリンク剤の宣伝にでていたときの、
 「チーチン・プイプイ!」という、あれです)

講師は東京大学の獣医内科の大野耕一先生です。
消化器疾患の専門家です。
嘔吐と下痢の診断と治療に関して学ぶ予定です。

嘔吐や下痢は、毎日のように来る疾患ですが、案外難しいのですね。
奥が深いというか、油断ならない分野です。

軽く考えていると、腫瘍(がん)・・・なんてことはザラですね。
いつも、安易に考え過ぎないように自分を戒めています。

膵炎だと考えていたら、膵臓癌だったり異物の穿孔だったとかいう経験もあります。
以前、ラブラドールが嘔吐で来て、最悪の場合、腫瘍の可能性もあり得ると勤務の先生が話したら、
後で私に電話がかかってきて
 
 「腫瘍(がん)かもしれないと脅された!他の病院に行き、もう治って元気だ!」

とクレームを言われました・・・。

でもこのワンちゃん、一ヶ月後に嘔吐が再発、
検査の結果、リンパ腫でお手上げ、と他院さんで言われたそうです。
「クレームつけてすみませんでした・・・」、と報告をくれただけまあマシな話ですが・・・。

消化器は、内部がすぐには見えないので、エコーや内視鏡検査が必要な場合がけっこうあるんです。
最終的には、「病理組織検査」で顕微鏡的な診断が必要な場合もあります。
バイオプシーという検査ですね。

麻酔や費用の問題が絡むので、どんどんやるのも困難なんですね。
通常はステップ・アップ方式で攻めていきます。
内視鏡では検査できない腸の外側を、開腹での全層生検で、
リンパ腫や腺癌と診断したことは何度もあります。

口から肛門までのトータルな消化器疾患の内科と外科(特に歯科)が、
私の獣医師としての、生涯学習テーマです。
したがって、明日の講習会の内容にはすごく期待しています。




入院が19頭・・・

2010-10-16 18:42:29 | Weblog
最近、診療が不思議に忙しく、時間外診療も多く、ちょっとお疲れぎみの浅井です。

今日の午前中は、ちょっと手こずりました。
おしっこがでない、食欲ない、吐いている、ワンちゃんが来ました。
初診ではないですが、来にくい地域の方ですので、近くの先生で加療していたそうです。
お腹を触ると膀胱がパンパン、二日間尿をしていない・・・とのお話でした。

マズイよ、それは・・・

二日間以上尿閉なら、尿毒症で死んじゃいますよ、
と言いかけて言わずにエコーを診ました。
尿の濁りが激しく、出血や感染が予想されました。

午前中の後半は、その子の緊急処置でつぶれました。
麻酔をかけて尿道カテーテルを入れてみたら、案の定入らない・・・。
細かい尿道結石で、尿道が閉塞していました。
局所麻酔剤やゼリーを利用して、洗浄・フラッシュの繰り返し、
少しずつ結石が取れてきたわけですが、出て来るのが尿ではない・・・。

膿だ・・・、どこかに膿瘍があるみたいだ・・・、

来院前の処置で、傷をつけたか穿孔(穴があくこと)をした可能性が高いです。
厄介な事態ですが、尿道を確保しなくてはなりません。
1時間ほど格闘して、ようやく尿道は開通、尿を出すカテーテルの留置に成功しました。
それからは膀胱洗浄です。
汚れた尿や細かな結石が、洗っても洗っても出て来ます。

尿検査では、沈渣の染色で球菌が大量に検出されました。
MRSAなどの耐性菌でないことを祈りますが、時々あるんですよ、
薬でこじれた尿路感染症が・・・。

とにかく洗浄が基本です。
医源性にこじれた場合、その後始末はすごくたいへんな仕事になるわけです。
今日もキツい、であります。