日々の出来事

当院の出来事を紹介します

外傷管理(創傷治癒)

2011-01-30 00:53:15 | Weblog
先日初診でいらしたワンちゃん。
他院さんで去勢と肛門のおでき、尾にできたおできを切除したそうです。

しかし尾っぽにできたその傷が埋まらない・・・。
拡大してきている・・・それで転院してきました。
尾の周囲、約二分の一が皮膚欠損、尾なので通常の形成が不可能でした。

傷を治す特殊な綿をはりつけて、経過を観察中です。
湿潤療法(ウェット・ドレッシング)です。
欠損がでかいので、埋まってくるにはおそらく1~2ヶ月はかかるでしょう。

よかれと思って手術をされたのでしょうが、経過がよくないことは外科手術では起こりえます。
しかし大切なのは、うまくいかなかった場合のリカバリー、フォローでしょう。
医学的に論理的に正しい診療をしなくてはなりません。
「てきとう」「いいかげん」という医療が通じる時代ではなくなっているのです。


調べてよかった

2011-01-28 11:16:44 | Weblog
先日、中年期の犬(シーズー)の避妊手術をしました。
左の卵巣に小さいですが、通常では見かけられない変化(硬結)がありました。
子宮も通常よりは太くなっていました。

このワンちゃんは、以前にも乳腺の腫瘤を切除して良性の腫瘍でした。
今回も「念のため」ということで病理組織検査を行いました。

結果、悪性ではありませんでしたが、腫瘍性の変化ではありました。
「卵巣乳頭状腺腫」・・・、子宮は蓄膿症の前駆状態「子宮水腫」でした。

肉眼的には、良性か悪性かは、はっきりとはわかりません。
病理検査結果の報告を見て、意外な結果に驚く事も稀ではありません。
先日は、乳腺腫瘍の中の一部が「肥満細胞腫」ということがありました。

詳細に調べないと、しっかりと診断されない場合もある、そういうことです。
油断大敵なんですね。

糖尿病

2011-01-28 01:22:10 | Weblog
入院で、なぜだか糖尿病が多いです。
通院で済む糖尿病ならまだいいのですが、入院が必要なレベル・・・。
コントロールが難しいから入院しているわけですね。
同じ病気が続くことを、「流行病(はやりやまい)」と揶揄します。

猫2匹と犬一匹が、血糖値のコントロールが困難な状態で点滴しています。
糖尿病に対するインスリンの使い方には、基本と応用があります。
勉強するほど奥の深い分野です。

実は内分泌疾患は、基本に忠実に対応すれば、たいていは上手く行きます。
今、入院しているケースは、教科書通りではうまくいかない子たちです。
頭を使うので、ホントに疲れます。

今日は、柳田先生がお休みでした。
一人でこなしつつの入院管理です。
お昼ご飯は、食べられませんでした・・・。
今日は夕方に患者さんが集中していまい、効率よく運ぶことができませんでした。
これもまた人生であります。


寒い時期特有の病気

2011-01-27 01:11:04 | Weblog
今ほど、時間外で初診の犬を診てきました。

明日検査していきますが、たぶん甲状腺機能低下症が背景にあるでしょう。
外で飼っている老犬です。
虚脱していました。
この時期は、寒い時期に特有な病気の子がけっこう来ます。

昨晩は、猫が膀胱炎できました。
電話では尿道結石が疑われましたが、閉塞はしていなくて幸いでした。
猫の泌尿器疾患も、寒い時期には多いですね。

老犬を外で飼育していると、仮死状態で連れて来られることが少なくありません。
若い頃は大丈夫だったんだろうとは思います。
今年は寒いですからね。
外の犬や猫を見かけると、心が痛みます。




飼い主不明の負傷動物に関するシンポジウム

2011-01-23 20:26:30 | Weblog
今日は、勤務医の先生が休みだったため、一人で午前中と午後の診療を行いました。
難しい病気での入院もけっこういるので、一人だと、けっこうキツいですね。
普段、分担して仕事を進めているので、一気に効率が下がります。

獣医師一人でもできるけど、効率が悪い!、そういうことです。

昼間に、黒埼市民会館での「飼い主不明の負傷動物」に関するシンポジウムを聞いてきました。
新潟小動物臨床研究会の本間会長もお話なさいました。
こういう場合は、やはり猫が多いと思います。

飼い主さんがいるのかいないのか、はっきりしない猫ですね。
通りがかりの方が保護して来られるケースが多いのです。
治療したあとどうするのか、費用はどうするのか、明確なルールがありません。
ボランティア的に治療するケースが大半です。

飼い主さんがいそうで、見つからない場合が本当に困ります。
首輪をしているが、飼い主さんが出て来ない、そういうケースですね。
個体識別のための「マイクロ・チップ」を装着してくれていると一発で飼い主判明なんですが・・・。
まだまだ、そういうことは理想のようです。



痛かったでしょう

2011-01-21 10:12:00 | Weblog
これは何でしょう?

先日、摘出した膀胱結石です…。表面がざらざらで、すごく痛そうです!頻尿症状のワンちゃんから出てきました。

この子は他にも、精巣の巨大な腫瘍があり、肺にも腫瘍が認められ、歯周病も重篤でした…。顔から膿が出ている状態で来院されました。いっぺんに治療したため処置がたいへんでしたが、今日無事に退院していきます!元気になってお帰りいただけるのは、獣医さんとして最高に嬉しいことなんですよ。

「創傷治癒」の講習会

2011-01-18 20:43:03 | Weblog
日曜日に、学術委員長をさせていただいている新潟小動物臨床研究会の講習会を行いました。
講師は、東京都で動物病院をされている山本剛和先生でした。
私が研修医をしていた獣医大学病院の後輩筋にあたる方です。
共通の知り合いの先生がいたりして、楽しい会話ができました。

創傷治癒(そうしょうちゆ)は、要は傷が治ることですね。
動物病院では犬猫を中心に、いろんな外傷の子が来院します。
外で喧嘩した、交通事故にあった、他院での手術の傷がくっつかない等々、
様々な傷があり、獣医師の頭を悩ませます。

すぐに治るものから、数ヶ月もかかるものまで様々です。
体には自ら治す力(再生力)が本来備わっています。
それを邪魔せず、適切に管理して、痛みや苦痛から動物を開放してあげたいのは、
どんな獣医師にもある共通の認識ではないでしょうか?

ポイントを押さえれば、そうそう変なことは起きないのです。
でも、時々は想定外の事態が起き得ます。
人間ならしないような動き、例えば傷を激しく舐めてしまったとか、安静にできないとか・・・。

昔は、傷はガーゼを当てて乾かして治すものでした。
消毒をするものでもありました。
しかし現在の創傷治癒の理論は異なります。
実践してみれば一目瞭然なのですが、治る早さが全然違うのですね。
圧倒的に早いわけです。傷もキレイだし・・・。

治る機転を邪魔しない・・・、消毒は細胞にも毒、肉芽を大切に扱う、
乾燥すれば細胞は壊れる等々・・・、知っていたことと知らないことがありました。
アップデートをサボると、あっという間に置いて行かれる・・・、
そういう時代に診療しているんだな、と実感してしまいました。


ヒートテック様様

2011-01-13 19:41:58 | Weblog
雪の降る日が増えましたね。
固まった雪で、道路はガタガタです・・・。
気温もそれなりに低いですから、防寒対策は必須でしょう。

しかし診察では半袖の診療服を愛用している、院長浅井です。
長袖は仕事着としては好きになれません。

しかし外に出るとけっこう寒いですから、防寒しないわけにもいきません。
結局、今年はユニクロで売っていた、「ヒートテック」を内部に着ています。
たしかに薄いわりには暖かい!
ヒートテック様様です。

ただ、少々問題もあります。
手術中は、マスクにキャップ、手術用のガウンを着るわけです。
これらは細菌やほこりを通さない不織布でできています。
このため、内部はけっこう蒸し暑くなるんですね。
そこに無影灯からのライトの光が重なります。
室温の割に、けっこう暑く感じるんです・・・。

外に出る際には必須、でも手術に入る際には不要・・・、
なかなかうまくいきませんな。

見学にでかけました

2011-01-12 11:05:07 | Weblog
火曜日は予約診療日です。
留守を柳田先生にお願いして、見学に出かけました。
栃木県の那須にある、遠藤犬猫病院さんです。

途中の五泉や津川あたりは、山々が雪化粧でたいへん美しい風景でした。
車中、シベリウスを聞きながら、冬の道を楽しみました。
車はボルボ、音楽はシベリウス、外は雪景色・・・、
まるで北欧にいるような感じですね。

こちらの動物病院は整形外科がご専門ですが、透析や腎臓移植もなさっている病院です。
腎移植の適応に関する問題や、膝蓋骨脱臼に対する新術式のお話も聞けて、たいへん勉強になりました。

オレンジとグリーン、ブラックの柱の外観は、なかなかインパクトが強かったですよ!
ちなみに那須はカラカラに晴れていました・・・。
新潟は昨晩から大雪でしたので、今日行かなくて正解でした。
遠藤先生、よい刺激をありがとうございました!