日々の出来事

当院の出来事を紹介します

遠方からわざわざ

2013-10-23 23:27:23 | Weblog
先日、外傷のため糸魚川から来院なさったネコちゃんは、
無事に今日退院していかれました。
腹壁の筋肉内に至る化膿性の外傷で、抗生剤二種類と点滴加療で状態を上げ、
手術で病変をえぐり取っての退院となりました。

交代で?村上市から歯周病の犬が初診で来ました。
すでに抜けてしまった歯があり、抜けた後の穴がそのままで、
他の歯にまで悪影響を与えていると判断しました。
歯磨きをしようとしたらすごく痛がった、グラグラした歯が他にもある、
口臭もする、どうしていいものやら、とにかく痛いのはかわいそうだ・・・、
そういう状態で調べてわざわざ遠方から来院されたのでした。

こういう疾患は専門なので、とことんきっちり治療をやります。
まずは麻酔をかけて歯牙の汚れをとり、歯肉の状態を確認し、レントゲンを撮って、
必要な抜歯は行う予定です。
抜いた穴(抜歯窩)はフラップで縫合する・・・、
これは必要な操作なんですね。

私も初めからできたわけではありません。
何年もかけて修行してきたから、どんどんできるようになったわけです。
私もできない外科は紹介しています。
適当に済ませないで、歯科の治療はまわしてくれるといいんですが・・・。








決まった治療方法はないけれど

2013-10-20 17:17:36 | Weblog
診断がついたものの、完治の期待できない状況の患者さんが数件います。

  それでもできる限りのことはしてあげたい・・・

飼い主さんも私たちも、そのように考えています。


尿漏れ症状から、種々の検査で前立腺癌が見つかったワンちゃん、
頑張っています。
手術という選択肢もありましたが、根こそぎえぐることで、
生活の質が著しく低下することが確実でした。
飼い主さんは手術を選択なさいませんでした。
それでいいと思います。

白内障が進行した・・・ということで転院していらしたワンちゃん、
エコー検査で脾臓にしこりが確認されました。
細かい検査をしたら、腎臓や肝臓、心臓にも転移と考えられる病変が・・・。
確定診断ではないけれど、血管肉腫というやっかいな腫瘍だと判断されています。

二人とも、教科書的ではない治療をしています。
薬剤の効能外使用、代替療法と言われているものも含めて実施しています。
想定以上に生活の質は保たれています。

エビデンスはないけれど、うちの患者さんは、けっこうこれで維持できています。
悪性腫瘍が治るわけではないんでしょうけど・・・。
治らない病気を無理くり治そうとして、かえって余命を縮めてしまうようでは、
本末転倒・・・。

もちろん、決まった治療方法があれば、そちらをやるべきなんですがね。


















専門家ってすごい・・・

2013-10-20 11:46:50 | Weblog
不定期ではあるんですが、県外の専門家の先生をお呼びして仲間内で勉強会をしています。

昨晩は、大学で神経病を専門に診療されている先生に新潟まで来ていただきました。
神経疾患の内科と外科の両方をこなす、誰しもが認める専門家・・・。
でも年齢は私より若い先生なんですね。

通常私たち一般診療をしている獣医師が一生に一回診れるかどうか・・・、
そういう症例を毎日のように診ている先生です。
昨晩も貴重な症例や珍しいケースをレクチャーしていただきました。
うーん、神経病は奥が深い・・・。

この先生には、当院の患者さんも、過去に何頭もお世話になっています。
先日病理解剖に至った脳腫瘍のワンちゃんも、面倒をみていただきました。
髄膜種による脳内シストが自然破裂した特殊な経過でした。
最後は別の病気が進行してしまいましたが、この子の生き様は、
学術論文としてしっかり後世に残ることでしょう。

ちなみにそういう正式な学術論文は、私たち開業医の力で作りきることは困難です。
病理組織検査等、他の専門家の協力が不可欠となり、検証が必要となるからです。
また専門用語による英文作成の部分もネックとなります。

私たちが悩む一例一例の中に、貴重なケースが眠っています。
真摯に謙虚に、一例ずつしっかり診察していきたいと思います。