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狂犬病の集合注射について

2006-04-24 00:51:09 | Weblog
 毎年4月中は、狂犬病ワクチンの集合注射の当番があります。今年は4月中に4回、市内の会場で犬に注射を行います。日本では50年くらい発生がない伝染病ですから、私もビデオでしか見たことがありません。しかし一歩海外に出れば、アメリカやロシア、フィリピン、朝鮮等々、発生のない国の方が珍しいのです。発生が認められないから大丈夫、ということはありません。海外から違法に持ち込まれる動物がいる実情や、中国で繁殖した子犬を輸入・販売していた現実を考慮すれば、今まで入ってこなかったほうが不思議です。
 アメリカでは野生動物のスカンク等がウィルスを持っています。以前ニューヨークで少女が神経症状をおこし、診断がつかずに経過した結果、最期に狂犬病と診断され病理解剖で確認されたことがありました。その子の親によれば、キャンプに出かけた際、一人でいたときに小さな怪我をしていたことがあったことがわかりました。おそらくその時に野生動物にエサを与えて咬まれた可能性が高く、都会に帰って時間が経過してから発病したものと考えられています。
 またロシアの船は守り神として犬を乗せていることが多く、ロシア船が多く来港する新潟や小樽を専門家は危険視しています。実際、稚内ではロシア船から犬が上陸、静止に行った保健所の職員が犬に咬まれたという事件もありました。
 最近は犬に狂犬病ワクチンを打っていない飼い主さんが来院することも増えました。打つようにご指導するのですが、罰則が甘いせいか、すんなりとワクチン接種を受けていただけるケースは多くはありません。困ったものです。ちなみに私自身は、自分自身に人用の狂犬病ワクチンを打ってあります。人間は東中通の三条医院でワクチン接種できます。「危険地域への海外旅行ですか?」と聞かれて「動物病院の獣医師なんです」と答えたら、なるほどと言われたことがありましたね。
 獣医師で自分自身に狂犬病ワクチンを打ってある人は少数派なんだろうなあ。