日々の出来事

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当院はショップさんやブリーダーさんと契約していません

2009-06-01 00:00:02 | Weblog
動物病院(獣医さん)の中には、ペットショップさんやブリーダー(繁殖家)さんと顧問契約しているところがあります。
それ自体は別に悪いことではありませんが、私の考えとしては一定の距離を置くべきものと思います。

飼い主となる方は、ショップさんやブリーダーさんと何かしらのきっかけがあって知り合うわけですね。
そしてそこから家族となる動物を購入する。
最近はインターネット経由で、遠方の業者と知り合う機会も珍しくなくなりました。
家に来て何事も無くそのまま育てば問題ないのですが、そうはうまくいかないこともあるのですね。
そんなこんなで動物病院(獣医師)の元にいらした場合、私は第三者の立場で客観的に話せなくてはならない、と考えています。

悪気はなくとも、動物は生き物であるため先天性の異常を持って生まれて来ていたり、病気になったりすることがあります。
病気や異常がある動物をわかっていて引き渡すことはないでしょうが、順調に育たないことはあり得ますよね。
その場合、飼い主さんと販売元、獣医さんの三者は微妙な関係になってしまうわけですよ。
どちらにつく、というような低レベルな話ではありません。
双方に対し、常に客観的な事実を説明できることが、獣医師としての最低限のモラルでありましょう。

ところが、そうは単純にいかないのが世の中(社会)というもの・・・。
最初のショップさんかブリーダーさんの言うことを、丸飲みで信じてしまうところに問題の根源があると感じます。
例えば食事の回数や種類。
小型犬の成長期なのに、食事は一日1回でいいと言われて信じきってしまう・・・。
あるいは成長ステージに関係なく、ずっとそこの(成分不明)オリジナル・フードを与え続けている・・・。
カルシウム剤が付いてくるのだけは、勘弁して欲しいです。
成長期に(特に大型犬種)カルシウムが過剰になると、本当に骨格が変形してしまいますよ!
成長期にはカルシウムがいるんだ、と言われると何となく納得してしまいがちですよね。
でもサイエンスである獣医学はそれを否定しています。
成長期のカルシウムの過剰給与は間違っているのです。
かなり以前から指摘されていることですから、知らないことは罪なのです。
カルシウム剤の瓶を持ってくるたびに説明するのですが、始めの「洗脳」を解くのは大変です。
さらにひどいとワクチンやフィラリアの予防はしなくていい、と言われていたりします。

組んでる獣医師から、ワクチンそのものや「証明書」・薬まで預かっているショップやブリーダーもいるようです。
そういえば以前、1頭の犬に同じ日のワクチン証明書を「2枚」もっていらした飼い主さんがいました!
ワクチン証明書の添付シールが、「カラーコピー」だったこともありました!
「てきとう」にやっているんでしょうが、2ヶ月の子犬に9種ワクチンを打っていたり(間違いです)と、無茶な実態があるようです。てきとう過ぎます。
薬もいいかげんな量で渡されていたりする・・・。有害な量(過剰投与)だったりする・・・。
獣医師と業者が「顧問契約」をする→ワクチンやフィラリア予防で紹介される→感じは悪くないから(安いから)続けて通う
→異常があっても指摘しない→異常が放置される→手遅れになる→異常があっても認めない
まあ、こんな流れが多いでしょうかね。

もちろん良心的でまじめな顧問契約獣医さんもいるし、良心的なショップ、誠実なブリーダーも存在します。
実情を知っていただいて、飼い主さんご家族が納得できて信じられる、動物の命を預けられる、
真剣に命について考えてくれる、そういう獣医さんを探して、出逢っていただきたいと思います。
でも世の中に悪徳医師がいるのと同様、悪徳業者、悪徳獣医師、悪徳飼い主がいるのも事実なんですね。
気をつけよう!一見良心的な専門家・・・。
私ですか?
ご判断にお任せしますが、自分の信念においてかなり頑固なことは間違いないでしょう。
私は自分の信じる、「信念に恥じない」獣医療を提供するまでです。
医療で手抜きは考えない、でも話を聞いてご家族の考えや諸事情を考慮する余裕は持っているつもりでいます。
第三者の冷静で客観的な立場で動物の命を守ること、そのためには特定のショップやブリーダーと顧問契約しない、
これは当院が守るべきモラルであると考えております。

あ、ちなみにショップさんやブリーダーさんが持って来たら診ますよ、獣医さんですから。
でもほとんど来ないですね・・・。手抜きしてくれないですから!
ちゃんと知ってるんですね!















このインターネットの時代ですから、動物もネット(通販)で遠方から送られてくることも珍しくありません。