読書と映画をめぐるプロムナード

読書、映画に関する感想、啓示を受けたこと、派生して考えたことなどを、勉強しながら綴っています。

亡くなった妻への猜疑心を呼び起こした、「レイクビュー・テラス 危険な隣人」(米/2008年)

2009-12-29 19:16:15 | 映画;洋画
~白人と黒人の新婚夫婦クリスとリサは、LAの閑静な住宅地に念願のマイホームを手に入れ、期待に胸を膨らませていた。ところが引っ越して早々、隣に住むLA市警の黒人警官エイブルから理不尽な嫌がらせを受け始める。そして、それは次第にエスカレートしていき…。(allcinema ONLINE)~

監督:ニール・ラビュート
脚本:デビッド・ローヘリー
撮影:ロジェ・ストファーズ
音楽:ジェフ・ダナ 、マイケル・ダナ
出演:サミュエル・L・ジャクソン、パトリック・ウィルソン、ケリー・ワシントン、ロン・グラス、ジャスティン・チェンバース

隣人サスペンスものといえば、ヒッチコック監督の「裏窓」(1954)をはじめ、思い浮かべてみると、マイケル・キートンとメラニー・グリフィスの「パシフィック・ハイツ」 (1990)、ジェフ・ブリッジスとテム・ロビンスの「隣人は静かに笑う」(1998)、ブルース・ウィルスの「隣のヒットマン」(2002)、シャイア・ラブーフの「ディスタービア」(2007)、ナオミ・ワッツとティム・ロスの「ファニーゲーム U.S.A」(2008)、それに邦画では「容疑者Xの献身」(2008)などがありますね。

<ヒッチコックの「裏窓」で輝く女性>
http://blog.goo.ne.jp/asongotoh/e/f3c1d7913b1bc019295da62fb579f71b

<それでもヒッチコックの「裏窓」には及ばず、「ディスタービア」(米/2007年)>
http://blog.goo.ne.jp/asongotoh/e/83d4ed9d74dc5df2c9b355a5853797d7

<愛とは献身に尽きるのですね、「容疑者Xの献身」(2008年)>
http://blog.goo.ne.jp/asongotoh/e/67b13f38dcc052a0ed2d2f0624541a6d


本作のプロットに流れるのは、いまだにネタとなり続ける人種問題。特に、主人公の黒人警官エイブルがプライドを持つルーツ、そしてすでに偏見はもう存在しないかのように振舞う「何でも手に入ると思っている」白人の隣人の妻が黒人であることに、エイブルの持つ傷が疼くのでした。

隣に引っ越してきたクリスに、エイブルが、帰宅する禁煙の家に入る前に車の中でストレス解消のためにかけていた音楽のボリュームを注意して、最初に投げかける言葉が象徴的でした。

「ラップを聴いて寝ても、黒人にはなれねぇよ」

タイトルにもなっているレイクビュー・テラス(LAKEVIEW TERRACE)は、ロドニー・キング事件(92年のロス暴動の発端になった事件。スピード違反を犯した黒人男性を複数の白人警察官が暴行した)が起きた場所なんだそうです。カリフォルニアで実際に起きた森林火災を思わせるその延焼の行方とともに本編はクライマックスへと向いますが、エンディングはいつも同じなんだよなぁ。


さて、監督のニール・ラビュートは「ベティ・サイズモア」(2000)でメロドラマにはまる女性を、「ウィッカーマン」(2006)で狙われた男性の悲劇を描いていますが、本作では人種の壁に翻弄された男とその隣人を描いたんですね。

<男の存在について考えさせてくれる、「ウィッカーマン」(アメリカ/2006年)>
http://blog.goo.ne.jp/asongotoh/e/95b9abacb63060eb3f20fffc671f3d10

<「ソープオペラ」に嵌った女性が巻き起こす悲喜劇を描く、「ベティ・サイズモア」>
http://blog.goo.ne.jp/asongotoh/e/7f5c472a5aec758147d72472d9439304


そして出演陣。サミュエル・L・ジャクソンについては「ザ・クリーナー」を取り上げました。

<映画を観たという痕跡さえ消す、「ザ・クリーナー 消された殺人」(アメリカ/2007年)>
http://blog.goo.ne.jp/asongotoh/e/f4573bfc0caf01c731b1ae9d249ec771


隣人のクリスを演じたパトリック・ウィルソンは、お初にお目にかかる俳優さんでしたが、現在ブレーク中の注目俳優さんのようです。

パトリック・ウィルソン(Patrick Joseph Wilson、1973年7月3日 - )は、「アメリカ合衆国ヴァージニア州出身の俳優。父親はテレビのキャスター、母親は歌手であった。カーネギーメロン大学卒業。舞台俳優としてキャリアをスタートさせ、ブロードウェイではトニー賞にもノミネートされた『フル・モンティ』や『オクラホマ』、オフ・ブロードウェイでは『再会の街/ブライトライツ・ビッグシティ』などに出演し高い評価を得る」。

「その後、映画『オペラ座の怪人』などに出演したが、2006年にはニール・サイモンの"Barefoot in the Park"で再び舞台に立っている。2007年以降もロドリゴ・ガルシア、ニール・ラビュート、ザック・スナイダーといった監督たちの作品に出演予定」。

<パトリック・ウィルソン - Wikipedia>
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%83%AB%E3%82%BD%E3%83%B3


そして、その妻リサを演じたのはケリー・ワシントン。彼女も初めて見る女優さんだと思っていましたが、私がすでの観た「9デイズ」(2002)、「白いカラス」(2003)、「ファイティング・ガール」「Ray/レイ」(2004)、「ファンタスティック・フォー」(2005)、「ラストキング・オブ・スコットランド」(2006)などに出演していたそうです。

ケリー・ワシントン(Kerry Washington 1977年1月31日生まれ。米ニューヨーク・ブロンクス出身)。ニューヨークのスペンス・スクールを卒業後、ジョージ・ワシントン大学の演劇科に入学。テレビでは「NYPDブルー」などにゲスト出演。「100 CENTER STREET」で準レギュラー。映画は2000年「OUR SONG」でデビュー。2001年「リフト」でインディペンデント・スピリット賞最優秀女優賞受賞。。

<ケリー・ワシントン>
http://www.fmstar.com/movie/k/k0163.html


<アフリカで最も血にまみれた独裁者を描く、「ラストキング・オブ・スコットランド」(英/2006)>
http://blog.goo.ne.jp/asongotoh/e/f2275e65ad7ceafed329be2389a67a27


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