読書と映画をめぐるプロムナード

読書、映画に関する感想、啓示を受けたこと、派生して考えたことなどを、勉強しながら綴っています。

オスカー作品賞を逃したそのメッセージ、「アバター」(米/2009年)

2010-03-17 10:29:00 | 映画;洋画
監督、脚本:ジェームズ・キャメロン
音楽:ジェームズ・ホーナー
主題歌:レオナ・ルイス、「I See You」
撮影:マウロ・フィオーレ
出演:シガニー・ウィーバー、ゾーイ・サルダナ、サム・ワーシントン、スティーヴン・ラング、ミシェル・ロドリゲス、ジョヴァンニ・リビシ

<アバター (映画) - Wikipedia>
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%90%E3%82%BF%E3%83%BC_(%E6%98%A0%E7%94%BB)

遅ればせながらやっと本作を観ました。話題の3D映像については、以前「ベオウルフ」を観ていたからでしょうか、予想していたより衝撃的ではありませんでした。もっとクリアな映像を期待していたのですが、全体的に靄がかかったような彩度で、自分の目が悪くなったためなのかと不安になったりしました。

ストーリーは、キャメロン監督自身の「ターミネーター」、「エイリアン」の主客を逆転させたような、あるいはローランド・エメリッヒ監督の「インデペンデンス・デイ」の焼き直しのような印象を否めませんでした。とは言え、その映像技術にはさすがに圧倒されました。

さて、今年1月中旬、中国国内で上映停止になるとの噂がネット上に流布し、大きな反響を引き起こしていることが報じられました。実際には上映停止でなく、3バージョンある同作のうちの2D版の上映中止によって上映館の縮小を行い、自国作の「孔子」(胡玫監督、チョウ・ユンファ主演)を放映するというものだったようですね。一方で、上映縮小が、宅地の強制立ち退きやチベット民族への迫害を連想させるストーリーを中国当局が懸念したためではないかとの声が取沙汰されましたね。

今回のアカデミー賞では元夫婦対決となったキャスリン・ビグロー監督の「ハート・ロッカー」に作品賞、監督賞、オリジナル脚本賞を譲ることになりました。私はまだこの作品を観ていませんが、イラクを舞台としたアメリカ軍爆弾処理班を描いた戦争アクションなんだそうです。

「アバター」はある意味で、中国当局が懸念した問題よりも、カナダ出身の監督によるアメリカのインディアン征服を問うた作品であるのではないかとも思えます。邪推になりますが、アカデミー賞の審査員たちが作品賞に「ハート・ロッカー」に票を投じたのは、失敗に終わったイラク戦争に対する政権批判は許容できても、アメリカのインディアン征服史という国家建立批判は受け入れられないというアメリカのマインドセットを感じます。

<ジェームズ・キャメロンが築いた映像技術~世界を魅了する「アバター」の魅力~>
http://blog.goo.ne.jp/asongotoh/e/b867982b7b202cde2eb31f4c1106014b


能書きはこれくらいにして、出演陣について。

<地球人(スカイ・ピープル)>
アバター計画を率いる植物学者グレイス・オーガスティン博士に扮したシガニー・ウィーバーについては、どうしても「エイリアン」の航海士エレン・リプリーを想起してしまいましたが、「バンテージ・ポイント」で取り上げましたので割愛します。

<大統領暗殺を描く新たなフラッシュバック映画、「バンテージ・ポイント」(アメリカ/2008年)>
http://blog.goo.ne.jp/asongotoh/e/1a3be348358c0d5c0b0e0726572962ac


元海兵隊員で、脊髄損傷で下半身不随となっているジェイク・サリーに扮したサム・ワーシントンは、初めて知る役者さんでした。


<サム・ワーシントン– Wikipedia>
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%83%A0%E3%83%BB%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3


元海兵隊パイロット、トゥルーディ・チャコンに扮したミシェル・ロドリゲス。どこかで見たことのなる女優さんだと思いましたが、「バトル・イン・シアトル」で活動家を演じていました。

<自由貿易がもたらす悲劇を訴える人々の闘い、「バトル・イン・シアトル」(アメリカ/2008年)>
http://blog.goo.ne.jp/asongotoh/e/fe9948b471cf6dd0e295b2f76a1e8e8b


元海兵隊の大佐で、RDA社の傭兵部隊を率いるマイルズ・クオリッチを演じたのは、スティーヴン・ラング。こちらも初めて知った俳優ですが、57歳であの肉体には脱帽ものです。


<スティーヴン・ラング– Wikipedia>
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%B4%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B0


RDA社の人間で鉱物資源開発の責任者パーカー・セルフリッジに扮したジョヴァンニ・リビシ。15年前に「Xファイル」で雷に撃たれても生きていた青年を演じた頃から、「ギフト」(2000)でのラストを飾るシーンで活躍する青年を経て、ついにこんな役を演じるようになったんですね。

<ラスト7分11秒の無念、「パーフェクト・ストレンジャー」(アメリカ/2007年)>
http://blog.goo.ne.jp/asongotoh/e/b66e67200c9bb35d9796589e31a0492c


<ナヴィ>
ナヴィの狩猟部族・オマティカヤ族の族長の娘ネイティリに扮したゾーイ・サルダナ。ナヴィたちは当然特殊メイクしているので誰が誰だかさっぱりわかりませんでしたが、彼女は前述の「バンテージ・ポイント」のレポーター役で登場していますし、「ヘイブン」では可憐な少女を演じていました。


<ケイマン諸島は「税金天国」ではなかった?「ヘイヴン~堕ちた楽園~」(アメリカ/2004年)>
http://blog.goo.ne.jp/asongotoh/e/510e2f7ac516a79d9745c221b7aefbfe


ネイティリの母親、「エイワ」の神託を伝える巫女モアトに扮したCCH・パウンダー。本作では全くわかりませんでしたが、「硝子の塔」(1993)、「ロボコップ3」(1993)、「フェイス/オフ」(1997)に出演する名バイプレイヤーです。


<CCH・パウンダー– Wikipedia>
http://ja.wikipedia.org/wiki/CCH%E3%83%BB%E3%83%91%E3%82%A6%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%BC


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