もう一人の妻と、「アザーマン－もう一人の男－」（英/2008年）

原作：ベルンハルト・シュリンク / 「逃げてゆく愛/Liebesfluchten」(2000年)
監督：リチャード・エアー
脚本：チャールズ・ウッズ
音楽：スティーヴン・ウォーベック
撮影：ハリス・ザンバーラウコス
出演：リーアム・ニーソン（ピーター）、アントニオ・バンデラス（レイフ）、ローラ・リニー（リサ）、ロモーラ・ガライ（アビゲイル）

～妻のパソコンに納められたレイフという男性の存在、その真相を究明するために、ピーターはミラノに飛び、素性を隠して密会の相手レイフ(アントニオ・バンデラス)と接触する。二人の男はチェスゲームを通して親交を深めていく。何も知らないレイフは自分の恋人のことをピーターに自慢げに話していく。ピーターは静かな怒りを胸に秘めながら、レイフへの復讐を虎視眈々と狙う。二人の男と一人の女。三人の関係はどうなっていくのか?!そして、驚愕の真実が男たちを待ち受けていた・・・。～

★一流のヒットメーカーが集結!!
監督は、「あるスキャンダルの覚え書き」(主演:C・ブランシェット)や「アイリス」(主演:K・ウィンスレット)で米国アカデミー賞をはじめ、国際的に高い評価を受けているリチャード・エアー。原作は、大ヒットした話題作「愛を読むひと」のベルンハルト・シュリンク。男たちの間で揺れ動く女をエレガントに演じたローラ・リニー(「ミスティック・リバー」「アメリカを売った男」)、「つぐない」のロモーラ・ガライが共演!ハリウッドの実力派一流キャストが集結した!～amazon～


久々にDVDを借りて、見たのが本作。三角関係を非常に静謐に描いた作品ですが、リーアム・ニーソン、アントニオ・バンデラス、ローラ・リニーというビッグネームが揃ったわりには若干期待はずれでした。さらに観賞後スタッフ陣が、原作ベルンハルト・シュリンク、監督リチャード・エアーであったことを知るとその思いは一層深まりました。

原作者のベルンハルト・シュリンクについては私が好きな小説家の一人であり、「朗読者」、「ゼルプシリーズ」を読んでいますが、 原作となった「逃げてゆく愛」は読んでいませんでした。シュリンクの作品としては、あくまで映画を通じてですが、ちょっと異色な印象です。

＜映画「愛を読むひと」の源流ミステリ、「ゼルプの殺人」(ベルンハルト・シュリンク著/2001)＞
http://blog.goo.ne.jp/asongotoh/e/d3f22df45b983ccc5d28bef5b38cc956

リチャード・エアー監督については、もともと舞台監督なんですね。映画作品は「あるスキャンダルの覚え書き」を観ましたが、同色系の作品である前作の方が完成度という点で、際立っていると思えます。

＜リチャード・エアー - Wikipedia＞
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%BB%E3%82%A8%E3%82%A2%E3%83%BC

～2007年11月17日の記事～
＜教師が教え子に教えてはいけないこと、「あるスキャンダルの覚え書き」（英/2006年）＞
http://blog.goo.ne.jp/asongotoh/e/b6ac3094a041ac75a00ca627fafa169b


ところで、「イングリッシュ・ペイシェント」（1997）や「リプリー」（1999）でオスカー受賞を果したアンソニー・ミンゲラ監督が制作総指揮を務めたのが「ザ・インタープリター」(2005)で、その監督がシドニー・ポラック監督。逆にミンゲラ氏の「こわれゆく世界の中」、「コールド マウンテン」の製作者の一人に名を連ねるのがポラック氏。そして、この二人が製作総指揮を務めたのがリチャード・エアー監督の「アイリス Iris」(2001)でした。

＜責めるべきは男の身勝手と描かれる、「こわれゆく世界の中」（イギリス・アメリカ/2006年）＞
http://blog.goo.ne.jp/asongotoh/e/09465ddfe022d958822a16fb3069a214


さて、俳優陣。リーアム・ニーソン、アントニオ・バンデラスの両雄はさておき、靴のデザイナー・リサ役を演じたローラ・リニー。「ライフ・オブ・デビッド・ゲイル」 (2003)で、死刑制度反対運動に熱心な大学教授にレイプされた活動団体の同僚女性コンスタンスを演じていましたが、静かなる情念のような女性とどこか似通った役柄でした。彼女については、「アメリカを売った男」(2007)で取り上げました。

＜アメリカ史上最大の裏切者を描く、「アメリカを売った男」（アメリカ/2007年）＞
http://blog.goo.ne.jp/asongotoh/e/9c03199dd82bc1c569295472605fdea4


そして、リサとペーターの娘アビゲイルを演じたのがロモーラ・ガライ。どこかで見た女優さんだなと思ったら、「つぐない」（2007）に出演していたんですね。

＜イギリスのベストセラー小説への挑戦的な映画化、「つぐない」（イギリス/2007年）＞
http://blog.goo.ne.jp/asongotoh/e/43fcf2090f134d91dc9a0a83b2d70d4f