読書と映画をめぐるプロムナード

読書、映画に関する感想、啓示を受けたこと、派生して考えたことなどを、勉強しながら綴っています。

愛される喜びと無視される虚しさを描く、「マリア・カラス 最後の恋」(伊/2005年)

2008-10-18 05:52:01 | 映画;洋画
原題:CALLAS E ONASSIS
監督:ジョルジオ・カピターニ
脚本:マウラ・ヌッチェテッリ 、ラウラ・イッポリッティ 、レア・タフリ
撮影:ファビオ・ザマリオン
出演:ルイザ・ラニエリ、ジェラール・ダルモン、セレナ・アウティエリ、アウグスト・ズッキ、オルソ・マリア・グエリーニ

~実業家のメネギーニ(アウグスト・ザッキ)に見い出され、地味な女性から人気オペラ歌手へと変ぼうをとげたマリア(ルイザ・ラニエリ)。やがてメネギーニとマリアは結婚し、トップの座を守るべく二人三脚を続けるが、無一文から身を興して世界一の富豪となった海運王オナシス(ジェラール・ダルモン)がマリアの心を奪う。(シネマトゥデイ)~

本作はテレビ映画。オナシス役のジェラール・ダルモンはフランス語でセリフを言っているのでしょうか、アフレコになっています。タイトルにあるように、カラスの音楽的な側面ではなく、彼女の二人男性との関係を中心に描いています。母親との相克や彼女が受けた教育がさらっと登場人物との会話の中に挿入され、二人の男性に対する真摯な愛が見て取れます。

カラスの最初の夫は、30歳年上のイタリアの実業家ジョバンニ・バティスタ・メネギーニGiovanni Battista Meneghini(1896 in Verona; † 21. Januar 1981)。後にカラスがギリシャの大富豪で海運王と呼ばれたオナシスへ出奔し、オナシスとは愛人関係として続くことになります。そして、ケネディ大統領未亡人ジャッキーとオナシスの結婚を機にオナシスと別れることに。

本作では、カラスとオナシスの関係のスポットが当てられていますが、カラスがメネギーニに寄せていたいたいけな想いが描かれます。それを裏付けるニュースが昨年報じられました。

~米国生まれの世界的なオペラ歌手、故マリア・カラス直筆のラブレターや豪華な衣装などが、競売大手サザビーズが来週当地で開くオークションにかけられることになった。 このうち、63通あるラブレターは、いずれもカラスが1947─50年にかけて元夫のメネギーニ氏に宛てて書いたもので、カラスの元夫のイタリア人実業家、ジョバンニ・バティスタ・メネギーニ氏の遺産から出品された。~[ミラノ 2007年12月6日 ロイター]

オナシスの妻だったアシーナ・リバノスの再婚相手John S-Churchillの実家は、イギリス首相ウィンストン・チャーチル(Winston S-Churchill)を輩出した名門チャーチル家だそうです。本作でも、オナシスが、バカンスを楽しむために、メネギーニ、カラス夫妻ともにチャーチルを自分の船に招待しているシーンがあります。オナシスのチャーチルに対する扱いが、あくまでもビジネスのために利用する目的であったことを物語っています。


マリア・カラス(Maria Callas、1923年12月2日 - 1977年9月16日)は、「ソプラノ歌手である。ニューヨークで生まれパリで没し、20世紀最高のソプラノ歌手とまで言われた。特にルチア(ランメルモールのルチア)、ノルマ、ヴィオレッタ(椿姫)、トスカなどの歌唱は、技術もさることながら役の内面に深く踏み込んだ表現で際だっており、多くの聴衆を魅了するとともにその後の歌手にも強い影響を及ぼした」。


アリストテレス・ソクラテス・オナシス(Aristotle Socrates Onassis、1906年1月15日 - 1975年3月15日)は、「ギリシャの実業家、ミリオネア。20世紀最大の海運王と言われた。オスマン帝国時代のスミルナ(現トルコ領イズミル)で中流階級のギリシャ人家庭に生まれた。スミルナ一帯は第一次世界大戦における連合国の勝利の後、1919年にギリシャによって占領されたが、1922年にケマル・アタテュルク率いるトルコ軍によって奪還された」。

「紛争の中オナシス家は財産を失いギリシャへ難民として移住。1923年にギリシャを離れアルゼンチンに行き、1925年にアルゼンチンとギリシャの市民権を取得した。その後海運業で成功し、1957年にはギリシャのフラッグ・キャリアであるオリンピック航空を設立」。

「オナシスは1946年に海運王スタブロス・リバノスの娘アシーナ・リバノスと結婚。二人の子供であるアレクサンダーとクリスティナは両方ともニューヨークで生まれた。アシーナはオナシスと1960年に離婚した後、ブランドフォード侯爵ジョン・ジョージ・ヴァンダービルト・スペンサー=チャーチル(後の第11代マールバラ公)や彼女の姉ユージニア(Eugenia)の夫であったスタブロス・ニアルコスと再婚した」。

「オナシスは一度目の結婚中にオペラ歌手マリア・カラス(Maria Callas)と知り合い、最初の妻と離婚。9年ほど関係していたが、1968年にはアメリカ大統領ジョン・F・ケネディの未亡人ジャクリーン・ケネディと結婚。」

「オナシスは1975年にフランスのヌイイ=シュル=セーヌで彼が晩年患った重症筋無力症の合併病である気管支肺炎によって死んだ。彼の遺産は娘のクリスティナ、アレクサンダー・S・オナシス財団、そして妻ジャクリーンに相続された。ジャクリーンの相続した財産は彼女の愛人モーリス・テンペルスマンの手によって利殖され、また、クリスティナの相続した財産は彼女の一人娘アシーナ・オナシス・デ・ミランダに相続された」。

出演陣ですがイタリア映画だけに情報不足です。簡単な紹介で失礼します。

マリア・カラスを演じたのはルイザ・ラニエリ。カラスに負けず劣らず美しい女優さんです。

ルイザ・ラニエリ(Luisa Ranieri)、1973年12月16日、イタリア生まれ。「愛の神、エロス(米・伊・香港・中国・仏・ルクセンブルグ・英)」(2005)、「対独パルチザン戦線1943 ナチス包囲の島(伊)」などの出演作があるようです。


オナシスに扮したのはジェラール・ダルモン。フランス出身で、歌手でもあるようです。

Gérard Darmon (born February 29, 1948 in Oran) is a French movie actor and singer. Second husband to Mathilda May.

<ジェラール・ダルモン. GERARD DARMON>
http://french.rose.ne.jp/actor/darmon.html


オナシスの妻だったアシーナ・リバノスを演じたのは、セレナ・アウティエリ。Serena Autieri、1976年4月4日、イタリア・ナポリの出身。

「Bulli & Pupe」(2002)、「Vacanze Romane」(2003-2004)、「Shakespeare in jazz」(2006)、「Facce da teatro」(2007)などの出演作があるようですが、さっぱりわかりません。ミュージカル映画への出演が多いようです。


ケネディ大統領未亡人ジャッキーを演じたのは、Anna Valle。1995年の6代目ミスシチリアであり、ミス・イタリアです。

Anna Valle(19 June 1975, Rome, Italy);Elected as Miss Italy in 1995, she started acting in a lot of TV movies and Tv series that gave her such a big audience: "Commesse", "Per amore", "Papa Giovanni", and many others. She has even starred in some international projects like "Augustum" with Peter O'Toole and Charlotte Rampling, in which she played Cleopatra, the Egyptian queen, and the Deutsch TV Series "Aeon". However,her most important roles are three: the one of the unlucky Iranian princess Soraya in the biopic about her life, "Soraya" (2003), the sweet mistress Margherita in "Cuore" (this performance took her to win a prestigious "Grolla d'oro") and the intense Claudia Castelli in "Le stagioni del cuore", with Alessandro Gassman.

She hasn't had a great cinema career: she starred in "Sottovento!" (2001) a boat movie that didn't earn any money, but in 2006/7, after a cameo in the biopic "Callas and Onassis" in which she played Jackie Onassis, she shot three movies: "SoloMetro", "MissTake-una commedia nera" and especially "carnera", a movie based upon the life of the boxer Primo Carnera.

カラスの最後の公演は日本で、1974年11月11日の札幌厚生年金会館が彼女の生涯における最後の公式な舞台だったんですね。カラスについては、ファニー・アルダンがマリア・カラスに扮するフランコ・ゼッフィレッリ監督の映画「永遠のマリア・カラス」(2002年 伊・仏・スペイン・英・ルーマニア)がありますので、見比べてみたいと思います。

<Maria Callas, O Mio Babbino Caro>
http://jp.youtube.com/watch?v=SvrHxQ3qjAE&feature=related

<Maria Callas>
http://jp.youtube.com/watch?v=A60tQ--67MY

<20世紀最高のソプラノ歌姫マリア・カラス、没後30周年>(2007年09月18日)
http://www.afpbb.com/article/entertainment/music/2284922/2157849


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