読書と映画をめぐるプロムナード

読書、映画に関する感想、啓示を受けたこと、派生して考えたことなどを、勉強しながら綴っています。

ユーミンの名付け親にしてユニクロの育ての親「インプレサリオ―成功請負人」(シー・ユー・チェン著)

2013-07-19 19:54:05 | 本;ビジネス

<目次>

1 生まれたところを遠く離れて
2 バブルに湧く日本に戻って
3 バブルが弾け、内に篭もった時代
4 再びビジネスの世界へ戻り、新しい世界へ
5 ブランド・アーキテクト・グループの真髄
6 僕が考える人の幸せ、自分の幸せ

 

~1947年中国で生まれ、日本で育ち、米国式の教育を受けた著者は、10代はグループサウンズのベーシストとして過ごし、大学卒業後、渡米してアパレル会社の社長や人気中国料理店のオーナーを経験した。1980年に帰国後、CIA(クリエイティブ・インテリジェンス・アソシエーツ)という会社を立ち上げ、流行の先端を行くレストラン、商業ビル、ホテルなどをプロデュースした。ファーストリテイリングが上場する際には、新たな企業イメージを構築し、メジャーな存在にバージョンアップするためのマーケティング戦略も構築。その後の急成長を導いた。

 

著者は、通常の経営コンサルタントがプロジェクトの方向づけをするのと異なり、CIAは「未来のあるべき姿を明確化し、結果が出せるよう具体的な作業を手伝う」のが特徴だとして、「未来の旅先案内人」を自称する。様々なビジネスを手がけ、波瀾万丈の日々を送ってきたことが、今の仕事につながっていると振り返る。アンディ・ウォーホル、松任谷由実ら著名人との交流のエピソードも綴られ、興味深い。~

(日経ビジネス 2006/02/20 Copyright©2001 日経BP企画..All rights reserved.)

 

著者からのコメント;

~僕が未来の旅先案内人になり得たのは、これまで色々な仕事をしてきたからです。さまざまな国で、人から言わせればドラマチックな人生を送ってきました。この本を作るきっかけは、副社長の渋谷聡が「チェンさんの人生は波瀾万丈でおもしろく、いろいろなビジネスのエピソードがあるので、忘れないうちに本に書いたら・・・」というアドバイスです。作家である~~友人の野地秩嘉(ノジ・ツネヨシ)氏に相談したら、おもしろそうだからやりましょう、という一言で決まりました。こうして僕は、自分の人生を振り返ることになったのです。~

 

 

ミュージシャン、ビジネスマン、経営コンサルタント、そして、「未来の旅先案内人」。シー・ユー・チェンの半生は、常に時代の最先端を切り開く情熱で溢れています。著者については、上述の野地さんの著書「企画書は1行」(2006年刊)で初めて知り、自身のブログで本書についても触れていましたが、やっと読み終えました。

 

シー・ユー・チェンの現在は、ブランド・アーキテクト・コンサルタントと思えばいいのでしょうか。彼が運営するCIAの理念は次のように述べられています。

 

<僕たちが考えるブランドの構築>

ブランディングを通して僕たちが達成したいことは、

○消費者に未来の理想的な豊かさに触れる機会をより多く提供する

○戦略的資産を創造する

○マーケット・シェアの拡大のみならず、利益向上への貢献

○ブランドの持続力を高め、競合他社への優位性の確立

 

本書は8年前に刊行されていますが、次のように述べらえる今後のマーケティング、ブランディング論には一点のくもりもないような気がします。

 

~日本におけるこれからのマーケティングというのは、従来のデモグラフィックでは、捉えにくくなってきていて、ライフスタイルによる消費者理解は、戦略上、ますます重要なこだわりポイントになってきているのです。

 

我々は、資本主義社会の中で生活をしています。「不確実性」そのものが日常となっています。高度な情報化社会によって、ますますデジタル化が促進され、日々起きる現象が加速しています。このような資本主義社会の中で、人々は宗教といった精神的なよりどころよりむしろ消費を通して日々のストレスを緩和しています。

 

僕たちにとって、「ブランド」とは、消費者が「自分らしさ」を表現したり、保ったりするための消費プロセスなのです。~

 

*参考:

デモグラフィックとは、人口統計学的な属性データ。具体的には、性別、年齢、居住地域、所得、職業、学歴、家族構成など。これらの属性によって個人のライフスタイルや消費行動が異なるという考え方から、商品やサービスの性質とデモグラフィック属性を分析し、消費者を複数のグループに分けた上で有効なターゲットを探し出し、適切なマーケティング戦略を構築するのに利用されている。(ITpro)

 

松任谷由実のニックネームに「ユーミン」と名付けたのはチェンである。当時ムーミンが流行っており、中国語で「有名」を意味するニックネームをつけた。(ウィキペディア)

 

シー・ユー・チェン - Wikipedia

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%A6%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%B3

 

「ユーミン」の名付け親にして「ユニクロ」の育ての親~成功請負人 シー・ユー・チェン>

http://ameblo.jp/asongotoh/entry-10773832363.html

 

現場百遍、「企画書は1行」(野地秩嘉著/2006年)

http://blog.goo.ne.jp/asongotoh/e/ff8caa4c8f9e8afca130f1487dee74fa



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