脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

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西京極3連勝、じわじわ進撃 -京都vs千葉-

2011年08月28日 | 脚で語るJリーグ
 J2は第26節、15位の京都が4位の千葉をホーム・西京極に迎えての一戦。試合は京都がオウンゴールで先行すると、後半一時は千葉に同点に追いつかれるものの、期待のエース・宮吉の今季リーグ初得点で勝ち越し。2-1と勝利した。これで京都はホームで3連勝。対する千葉は3戦連続で勝ち星に見放された。

 

 ここまで7/31の鳥取戦、8/14の北九州戦と西京極で今季の京都を見てきた。すると2連勝でホームではすこぶる調子が良い。現にその鳥取戦から4試合で2勝1分1敗。前節こそアウェイで札幌に1点差で敗れたが、どうも個人的な印象だとヤングパワーで押せ押せの京都はまだ順位を上げられるはず。しかしながら、今節の相手はJ2優勝候補の千葉。延期の影響で京都と千葉の対戦は今季初。どちらもJ1復帰を目指すチームの対戦。注目される一戦となった。
 京都は、布陣として前回観戦した北九州戦とほぼ変わりなし。A契約条件をクリアし、5年契約が濃厚と言われる久保を筆頭に、宮吉、伊藤が3トップを組み、中山がトップ下の位置、左右に安藤、駒井、そしてチョン・ウヨンがアンカーとして森下、秋本、酒井という3バックの前の鎮座する。そして、開幕前に大怪我を負っていた工藤が古巣との一戦で初のベンチ入りとなった。
 対する千葉は、ここ2戦無得点で未勝利と、J1昇格へ向けて踏ん張りたいところ。既に3試合もオーロイと深井を負傷で欠いており、この試合ももちろんメンバー外と苦しい状況。坂本、青木良というお馴染みの両サイドバックに、センターではマーク・ミリガンと竹内がコンビを組み、ボランチにはファンゲッセル、佐藤、米倉がトップ下の位置に入り、村井、太田がウイングとして左右に配置。トップは青木孝が入った。

 
 8月最後の土曜日。
 アウェイ席には多くの千葉サポーターが。

 ゲリラ豪雨の襲来を上手くかわした西京極。雨がパラつく中で試合はスタートする。序盤から千葉が果敢なプレスで京都からボールを奪おうとする。8分にチョン・ウヨンが千葉のゴール前で際どいFKを見せてこの試合のファーストシュートとなる。京都は駒井、伊藤の右サイドのコンビで仕掛けたいところだが、千葉のプレスの網はここを警戒しており、なかなかその形が作れない。久保に至ってはなかなかシュートのために前を向かせてもらえなかった。
 ところが千葉も我慢の時間帯が長く続いた。ボールを奪ってもなかなかシュートチャンスを作れない。19分に佐藤から絶好のスルーパスが出されたが、これを米倉が決められない。千葉のチャンスはこれがほぼ初めてだったが、この大きな決定機を千葉は決められなかった。

 
 京都は安藤が若い中盤を中山と引っ張る。

 
 佐藤は古巣のサポーターから強烈なブーイングを受ける。
 19分には米倉に絶好のスルーパス。

 
 眼光鋭くゴールを狙う久保。
 期待はかかるが、11試合連続無得点と沈黙中。

 27分には、千葉が太田のサイドチェンジを右サイドで受けた竹内がエリア内でシュート。これを至近距離で京都・GK水谷が身を挺してセーブする。徐々にサイド攻撃が効いてくる千葉に対して、攻撃で低調の京都は守護神を筆頭に守備で魅せた。32分にもファンゲッセルの落としを受けた米倉のシュートを水谷がきっちりセーブして京都は先取点を許さない。
 するとその直後、34分にチョン・ウヨンの左CKから千葉のファンゲッセルが頭に当ててしまいオウンゴール。京都がラッキーな形で先制点を奪う。このCKの場面、どう考えても競り合いすら許されないほどの身長差で京都・DF秋本はマークされていたが、秋本のヘッドに見えて、その高さが仇となったのは千葉・ファンゲッセルの方だった。

 
 
 まさかまさかの千葉、オウンゴール。
 高さが裏目に出たか。

 
 激しくボールを奪い合う京都・中山と千葉・佐藤。
 一昨年まで同じ京都でプレーした仲。

 
 37分、伊藤のドリブルでチャンスを作る京都。

 1-0と京都リードで折り返した後半、千葉が立ち上がりから猛攻を仕掛ける。よっぽどドワイト監督から叱咤があったのか、京都は劣勢に縛られる展開。59分には太田に代わって投入された元京都の林に更に前線で苦しめられる。すると、62分には千葉がスローインからボールを受けた佐藤が一気に左サイドを駆け上がった村井へ絶妙なロングパス。村井はこれを左足でトラップして京都のDF酒井をかわすと、そのまま右足でシュート。これが決まって千葉の同点弾となった。

 
 
 
 
 後半から積極的に仕掛けていた千葉・FW村井。
 62分に佐藤からのアシストを見事に同点ゴールに。

 まだまだ京都もここから。64分には千葉陣内の左サイドからチョン・ウヨンのFKに走り込んだ秋本がヘッド。わずかにゴールには及ばないものの、すぐにセットプレーでこのように決定機を作れた京都が諦めずにチャンスを作ろうとする。73分には千葉の一瞬の隙を突いた。京都陣内でチョン・ウヨンが青木孝を倒してしまい、千葉のFKで始まったが、これが軽率だったか、すぐさま京都がマイボールにして速攻。センターサークル付近で伊藤がボールを受けると、上手く反転して前方へロングパス。すると、オフサイドギリギリで宮吉が飛び出す。この絶妙な飛び出しから宮吉が選択したのは長距離からのループシュート。千葉・GK岡本が飛び出しているのも見て、宮吉は足を攣りながらも30mはあるとかというロングループシュートでネットを揺らした。

 
 値千金の勝ち越し弾を決めた宮吉。
 得点を決めた後は足を攣ったのかご覧の通り。

 
 守備では固く、攻撃ではチャンスを作った秋本。

 
 今日はなかなか攻撃機会がなかった駒井。
 我慢して守備で貢献。

 勝ち越しても守りには入らない京都。宮吉、久保に代えて、内藤、ドゥトラを投入。ロングボール主体に切り替えて千葉から逃げ切りを図る。千葉も最後まで攻め抜くが、京都の集中した守備の前に同点弾ならず。試合は京都がこのまま逃げ切った。

 
 林を途中から投入するが、千葉は及ばず。
 オーロイ、深井の離脱が大きそう。

 
 かつてG大阪でプレーしていた青木良。
 千葉も4年目ですっかり中心選手に。

 京都は先制点こそ前半唯一のCKから相手のオウンゴールというラッキーな形だったが、まさに後半の千葉の猛攻を凌いでの守り勝ち。少ないチャンスで宮吉が決められたのは大きかった。これで7勝目となり、10位台突破も見えてきた。J2は中位の各チーム勝点が団子状態の混戦。まだまだ京都の順位はこれから上がってきそう。
 対する千葉は、オーロイ、深井と個人的に見たい前線の選手が出ておらず、攻撃面で詰めが甘かったか。直近の戦績を見ても芳しくなく、長丁場のJ2で明らかに我慢の時期が続いている。勝点1ポイント、2ポイント差で追うFC東京、徳島、栃木は明日試合を残している。その差を開かれると厳しいだろうし、背後には札幌、北九州の足音も確実に近付いている。