脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

J2観戦記④ 京都VS湘南

2007年07月26日 | 脚で語るJリーグ


 日中の晴天から一気に蒸し暑さが増したような日暮れの時刻に久々の西京極へと向かった。J2の30節、第3クールに入って負けなしで現在3連勝、引き分けも挟めば7連勝中の京都が湘南を迎える一戦だ。
 平日の水曜日にも関わらず、子供たちが夏休みということも手伝ってか、アウェイゴール裏以外はまずまず観客が詰まっていて驚かされた。公式記録では8,500人強。平日もなんのそので遙々駆けつけたアウェイの湘南サポは20~30人ぐらいか。とにかくそれと対照的な京都のゴール裏の熱気が現在のチームの調子を代弁するかの如くじりじりと伝わってきた。

 京都は平島の出場停止でDFラインを右から大久保、角田、手島、三上というメンバーで構築する。中盤から前は最近不動のメンバー。個人的に京都が息を吹き返した決定的な要因を、以前C大阪相手にジャーンと斉藤抜きで大勝した湘南との対戦にて見出せれば面白いと思い、そういう意味では両者の戦いぶりに注目できるもってこいのカードであった。
 対する湘南は前線に新外国人のエドワルドが加入し、原と2トップを組む。中盤はアジエルが王様だ。またベテラン加藤も無尽蔵のスタミナでゲームを作る。前回湘南を生で観戦した時とは違い、左の尾亦以外は田村、斉藤、ジャーンとベストに近い駒が揃っていることも注目であった。

 立ち上がり両者落ち着いた出だしであったが、前半5分パウリーニョが抜けだしフリーに。GKも抜いて放ったシュートはジャーンにクリアされるが、ワンチャンスに強いエースの存在が際立つ京都であった。そのパートナーはここ数試合切れている田原。ヘディングの強さは群を抜いている。ことごとく制空権を掌握していた。この二枚看板を操る中盤の二枚看板が徳重と倉貫という今季加入組だ。この2人は試合開始から惜しみなくその豊富な運動量で両サイドを起点としてチャンスを作る。正直現在の京都の好調の要因がこの2人に起因するということは誰もが分かることだろう。あとはどうフィニッシュに持ち込むか、そこを湘南の斉藤、ジャーンという二枚の壁がゾーンでよく守っていた。
 試合の入り方こそ悪くなかった京都だったが、DFラインと石井、斉藤大の間に空いたスペースをなかなかケアできなかった。ポゼッションは握ったように見えるが、いざボールを取られれば、そのスペースから湘南はアジエルを中心にリズムを作り出す。40分には決定的なチャンスも訪れるが、アジエルのシュート逸でチャンスをフイにしてしまう。前線のエドワルドと原のコンビは悪くない印象だ。湘南もフィニッシュにどう繋げるかが注目点だった。

 先制点のチャンスは28分湘南に訪れた。CKからジャーンが合わせ先制ゴールを決める。前回C大阪戦で観た痛快な湘南のサッカーが幕を開けたかに見えた。しかし京都は決して浮足立つことはなかった。むしろ左サイドを切り裂く徳重の突破と倉貫の読みの鋭い展開力から京都も得点の匂いを漂わせる。前半は前がかりになることなく後半に反撃のチャンスを求める形で前半は終了した。

 原に代えて石原を投入した湘南は自分たちのリズムを作る間もなく、決定的な崩され方で徳重の同点弾を献上する。京都の後半の立ち上がりのリズムは非常に良かった。一気に試合のリズムを京都に持っていくには十分な同点弾で、そこから京都のポゼッションは確固たるものになっていく。54分には目の覚めるようなミドルシュートを三上が叩き込む。あっさりと逆転に成功する京都。西京極のボルテージは最高潮に達する。やはりキーマンは中盤の2人であることは間違いないが、前線のパウリーニョ、田原の2人も湘南には厄介であり、この2人に釣り出される形で湘南DFの隙ができたといっても過言ではない。本当にいい相乗効果を生み出している京都の攻撃であった。
 その後、次第に足が止まる湘南にたたみかける意思の表れか、京都は倉貫に代え、渡邉大、そして徳重に代えて中払を投入。結果的に追加点こそは奪えなかったが、看板の中盤2人の不在を全く感じさせない切れた動きでこの2人はチャンスメイクする。渡邉大は果敢に右サイドを突破し、切れ味鋭いクロスを何本も供給する。片や逆サイドでは中払が得意のドリブルで湘南を翻弄。選手層の厚さも誇示する京都に対して湘南は何もできなくなっていた。
 終了間際のジャーンを上げっぱなしにするパワープレーも万事休す。京都が安定した試合運びで勝利を収める。

 これでさらに勢いづいたか京都。この試合を見る限りなかなか負ける気配は無い。すっかり日本屈指のエレベーターチームに成り下がってしまったが、今季は4度目の昇格が盤石の安定ぶりで果たせるかもしれない。勝ち点差1でピッタリと追う札幌も背中は充分見えている。
 対する湘南はフィニッシュに課題を残すこととなった。エドワルドの更なるフィットが望まれるところだ。

 相変わらず、アウェイ泣かせの特殊な造りの競技場と芝の悪さが気になったが、メインスタンドはこの季節虫が本当に多い。まぁ今の京都の好調さにそれを気にするサポもいないかもしれないが・・・

 この後、アジア杯準決勝サウジアラビア戦観戦のため梅田サポフィに移動。結果は皆さん知っての通り。頭を切り替えて、週末の佐川印刷VSFC岐阜のゲームに思いを馳せることにした。


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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
サンガ好調ですね~♪ (バンダナ)
2007-07-26 13:17:12
なんか今のサンガの好調っぷりをみていると、降格したのにパウリーニョをかっさらわれなかったばかりか倉貫&徳重を獲得できたのがわかる気がします^^w

ただ、去年終盤から中払がベンチに甘んじてるのはやっぱり気になるなぁ~。
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サンガには頑張って欲しいんです。 (プーマン)
2007-07-26 21:59:48
私も先ほどスカパーで試合チェックしました。
1点先制されて手島、角田を中心にしたディフェンスが混乱するかな?と思ったんですが・・・。
やはり徳重、倉貫はいいですね。選手層も厚いので2人が最初からとばしていけますしね。アンドレもそろそろ帰ってくるでしょうし攻撃に関してはあまり心配は無いような気がしますが。
問題は毎試合のように変わるセンターバックの選手ですかね?まあそれもチアゴが戻れば解消できるかな?と思います。
1試合のお休みがいい方向にいけばいいんですがね。
休み明けのセレッソ戦に注目しましょう。
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コメントありがとうございます。 ()
2007-07-26 23:54:16
J2ネタになると反応がいいですねw

>バンダナさん
今の京都にとって倉貫と徳重は大きいです。メンバーをしっかり固定して戦っているところにこれまでの京都と違う匂いがします。
中払はスーパーサブとしてリズムを変えられますからまだ安泰じゃないかな。人気も併せてチームの広告塔ですから。

>プーマンさん
湘南戦は正直両チームよく守ったなという印象です。特にCB陣は双方集中力をよく保っていました。
湘南のGKキムはいい選手ですよ。
京都は確かにCBの固定が急務ですね。ファーストチョイスはチアゴと角田と森岡で争う感じですが。
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