脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

質実剛健、恐るべし横浜 -HOYOvsY.S.C.C.-

2011年12月03日 | 脚で語る地域リーグ
 全国地域リーグ決勝大会の1日目第2試合は、九州リーグ王者で1次ラウンドのCグループを1位通過したHOYO AC ELAN 大分と関東リーグ王者で1次ラウンドをワイルドカード(2位チームの上位1チーム)で3年連続決勝ラウンド進出を果たしたY.S.C.C.の対戦。試合は終始Y.S.C.C.がリードする展開で4-0と快勝。勝点3ポイント共に大きな得失点差4点を獲得した。

 

 

 ここまで2年間、地域決勝大会の舞台では屈辱を味わってきたY.S.C.C.。2009年のアルウィン、そして2010年の市原と、いつも4チーム中の最下位に沈んで入替戦にも進めなかった。その雪辱として、関東リーグ王者の質実剛健ぶりを改めて誇示してくれたサッカーだった。
 試合開始2分、FW青田が須原からの浮き球のパスを中央からHOYOエリア内に入って受けると、しっかりと決めて先制。青田のシュートセンスも脱帽だったが、マーカーが外から追う形になったHOYOの守備は残念だった。やはり層の厚い関東リーグ最多34得点の攻撃力。いきなりの先制パンチで試合を優位に進めることに成功した。
 この後のY.S.C.C.のサッカーは強かで素晴らしいものだった。ボールを止める、蹴るという点で自分たちのミスが少なく、ほとんどHOYOにボールを取られない。また、それぞれの選手が流動しながらスペースを埋めていくことで流れを常に作り続けるタフネスがあった。27分には右サイドから渡邉が右サイドから切り込んで中央へ折り返すと、これをエース・辻がしっかり合わせて2点目となるゴール。隙のない攻撃でY.S.C.C.が加点していく。

 
 2点目は左サイドバック・後藤の大胆なサイドチェンジから。
 相手の中途半端なクリアを誘発させた。

 
 中盤で平間がボールキープ。
 Y.S.C.C.は前半だけでシュート10本。

 
 電光掲示板には「大分-横浜」という違和感のある表記。

 2点リードで折り返したY.S.C.C.は後半に入っても一向に衰えない。57分にはHOYOの緩慢なボールキープを自陣で奪うと、小澤が見事なロングパスで前線の辻へ。辻がこれを持ち込むと、上手く相手DFをかわしてゴールへ沈める。大きな3点目で明らかに勝負あり。ここでHOYOに盛り返せる可能性すら見出せなかったのも驚きだったが、Y.S.C.C.の堅実かつストロングなそのサッカーに魅了される。

 
 
 頼れるエース・辻正男。
 昨季のひたちなかを彷彿とさせる頼もしさは健在。

 
 大宮の長兄・大剛、横浜FMの次兄・千真…
 渡邉三兄弟の末っ子・渡邉三城は右サイドで躍動。

 75分には途中出場コンビでHOYOを崩した。吉野が右サイドから折り返したボールを松本がニアで受けて角度のないところから4点目となるゴールを決める。全てが上手く回り続けたY.S.C.C.はこのまま4-0で試合をクロージング。対するHOYOは初戦から全く振るわず、4失点大敗となった。

 
 途中出場コンビの吉野と松本で1点をダメ押し。
 層の厚さも侮るなかれ。

 
 HOYOはエース・堀がほとんど見せ場を作れなかった。

 
 HOYO・中嶋がボールを持ち込む。
 しかし、堀とのコンビはシュート1本しか放てず。

 まさにY.S.C.C.の見事なサッカーに釘付けになった90分。サポーターの方に話を聞くと、昨季限りで「平日のY.S.C.C.」は返上したとのことで、今まで再三この地域決勝大会で悩まされてきたベストメンバーが3日間揃わないという事態も今季は克服したようだ。シーズン前には何人かの選手が神奈川教員クラブに移籍したり、練習環境は中学校のグラウンドで夜行っていたりと苦労話は絶えないチームだが、この舞台でこのサッカーができるのは本当に素晴らしい。初日からいきなりの運動量に2日目以降が懸念されるが、間違いなくY.S.C.C.はJFL昇格に大きく前進したといえるだろう。
 また、HOYOの撃沈ぶりにも驚きは隠せない。2月の西日本社会人大会以来見たが、スケールダウン著しい印象。堀、佐藤、中嶋で構成される前線もパッとせず、シュートは90分でたった3本。特に守備陣は先制点を献上してからブレーキが効かなかった。Jリーグ経験者も多いだけに、昨季のこの大会では来季の台風の目になるかとも思えたが、一転苦戦を強いられることになった。失点4、得点0は非常に厳しい結果となったHOYO。2日目以降の戦いに注目だ。

 
 明暗分かれた両者の戦い。
 さて、Y.S.C.C.は相模原を相手にどんなサッカーを見せるのか。


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