脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

粒々辛苦 ~26節 VS 柏~

2008年10月01日 | 脚で語るガンバ大阪
 7月、日立台での戦いではリーグ再開後3連勝と勢いに乗っていたG大阪をストップさせた柏。しかし、下降するその順位は現在13位。降格ゾーンにだけは足を突っ込みたくない彼らの意地と、復調気味のG大阪にとってもリーグ王座奪還のために少しでも上位陣との差を詰めておきたいという気持ちがぶつかり合った。
 
 

 日曜日に行われた前節の東京V戦から中2日というハードスケジュールの疲労感はG大阪には確かにあった。開始序盤から柏にペースを握られ、攻守に人数をかけたサッカーで勝利への執念を見せられた。柏はここ9試合で勝利が無く、前節の川崎戦では5失点を喫する泥沼の展開。特にその川崎戦では、開始21秒で先制点を許しただけに序盤の試合に入る意識は高かったと言えよう。前線のポポを活かすべく左サイドにスピードのある菅沼を起用し、トップ下にはフランサではなくアレックスが入ってきた。
 対するG大阪は前節のスタメンとは変わって、FWに山崎が先発。まだフィット感に乏しい播戸はベンチスタート。明神の出場停止により、遠藤がボランチに下がり、両SHは右に寺田、左に二川という布陣になった。

 
 東京V戦で負傷した足を気遣う場面も見られた橋本

 推進力を奪われた試合の序盤は、加地が封じられていたことが大きかった。対面する菅沼に手を焼き、前線では流動的に動くポポとアレックスが非常に厄介だった。それでも13分、16分とこのところ好調な寺田が山崎に絶妙なスルーパスを繰り出すなど、見せ場はゼロではなかった。ハードワークをどれだけ続けられるかが鍵になった。柏はかなりタイトな守備で神経質に守ってくる。おまけに最後尾では前回再三チャンスを封じられたGK菅野がいたわけだ。前半シュートを9本放ったG大阪、流れの中で印象に残るチャンスは16分の山崎の角度のないところからのシュートぐらいだった。

 
 試合ごとに成長が見えてきた下平(右) 大先輩二川(左)も頼りになる

 
 ロニーが活きる場面は少なかった 次戦の爆発に期待

 G大阪が奪った得点は全てセットプレーだった。流れの中で攻撃に決定的なチャンスを見出せないのであれば、このセットプレーを活かせることは大きい。35分に遠藤のFKから山口のヘディングシュートを菅野が弾く、それを山崎が詰める、ここを再び菅野が弾いたところを中澤が押し込んだ。直前まで柏DF鎌田がベッタリとその高さをケアしていたが、マークが外れた途端に中澤にボールは転がってきたわけだ。守備には抜かりなしと手応えを感じていたであろう柏にとっては、この失点は痛かったはずだ。

 
 先制点となるゴールを古巣に叩き込みヒーローになった中澤

 その3分後には、左サイドの下平から二川とダイレクトパスで相手を崩し、山崎が飛び込んだところを小林が倒したとしてPKの判定。キッカーはもちろん名手遠藤だったが、この日は“コロコロ”ではなく、高速ライナーでゴール右隅に突き刺した。なかなか決定機が作れない中で効率よく得点を重ねたG大阪。柏の直近のパフォーマンスを考えれば、勝利を限りなく引き寄せるスコア展開だった。

 前半終了間際には、イライラを募らせた柏FWポポが中澤への頭突き行為で退場処分となる。おそらくその直前に中澤とポポが交錯した際に倒されたというのが引き金だろうが、これでG大阪が後半45分において人数のアドバンテージを得たとは言い難かった。

 
 44分ポポが退場 人数的にも有利になったG大阪だったが・・・

 数的有利を生かせなかった後半戦。柏のマークは前半以上に厳しくなり、必死で守る相手に対して播戸が途中投入されるも決定機をフイにし続けた。まだ復帰後、トップコンディションには程遠い。早く彼にもゴールを機に“完全復活”を願いたいのだが。その後も柏に決定的な攻撃力が欠けたためにまだ守備面では不安は無かったが、それでも1点を返されるのはどうもスッキリしなかった。
 82分に菅沼がヘッドで奪った1点は強かなものだった。スピードを活かして、囮になったニアサイドの北嶋に山口と中澤の注意が逸れたところをファーサイドで身長わずか173cmの菅沼が太田のクロスに合わせた。この時、菅沼はヘディングする直前にマーカーの加地をわずかに押して隙間を空けていた。これによって加地のヘッドの照準が狂っていた可能性は高い。集中はしていたであろうが、失点は失点。完封でしっかり締めておきたかった試合としては残念だった。

 
 意地の1発を返した柏MF菅沼 彼には勝利への執念を感じた

 
 本調子には程遠い播戸 “ゴール”というきっかけが欲しい

 
 前節の初ゴールが記憶に新しい佐々木 試合の流れを変える男だ 

 しかし、勝利したことが何よりも良薬。今は“勝つ”ことの重みと価値を歓喜に換えて選手もサポーターも実感している。つい先日まで全く勝てなかった日々が嘘のようでもある。いや、嘘ではなく、あの勝てなかった日々がこの原動力になっているのかもしれない。ハードなスケジュールに粒々辛苦にその身体をぶつける選手たちの姿が報われてきた証が見えている。続く連戦は、4日(土)の鹿島戦、そして8日(水)のACL準決勝1stleg浦和戦と、今後も過酷さと重要さを増して我々にのしかかってくる。


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